米国テロ事件

925日号)

米国で起きたテロ事件は、「民間人を無差別に狙う」という、まさに絶対にやってはならないことだった。が、その後の米国の行動はどう評価すべきなのか。

ブッシュ大統領は事件直後、ただちに軍事的報復を表明。着々と軍事行動へ向けての秒読みに入りつつある9月20日、「世界のあらゆる地域のあらゆる国は決断しなければならない。我々と共にあるか、さもなくばテロリストと一緒になるかだ」と演説している。「俺の味方につかない奴は、ぜーんぶ敵だからね」ということだ。はっきり言って、そうとう傲慢で恫喝的な発言だと思う。

さらに、ブッシュはこの戦いを「すべてのテロ集団を見つけ出して打ち砕くまで続く」これまでにない長い戦闘になるとも述べている。出動している軍の規模からして、民間の犠牲者が大勢出ることも十分予想されそうだ。

そこで、どうもよく分からないことがある。テロと軍事行為は、どこで区別されるのだろう。主体が、国家かそうでないかで区別しているのだろうか。だとしても、何の関係もない一般市民を大勢殺してでも、暴力で自分の主張を通そうというのは一緒のような気がするのだが。テロは悪で、米国の軍事行動は善という根拠はなんなのか。ご存じの方がいたら、ぜひ教えて下さい。

 

 

健康

915日号)

なんだか、のべつ健康チェックをされているような気がする。家でのんびりテレビを見ていれば、最近やたらに増えた「健康バラエティー番組」で自らの不健康な部分が次々と明らかになる。新聞を見ると、健康食品や、中高年向けの健康雑誌の広告がイヤでも目につく。「健康でなければならないのだ」という強迫観念が、日本中に蔓延しているのかもしれない。このままいくと、「健康を気にし過ぎて病気がちな人」向けの健康雑誌が発刊される日もそう遠くはなさそうだ。

厚生労働省の発表によれば、今年930日までに100歳以上になる人が日本には1万5475人いるという。5年前は7373人だったというから、ほぼ倍増である。なるほど世界一の長寿国なはずだ。でも、果たして生きがいを持って楽しく生活できているお年寄りも同じ割合で増えているのだろうか。ぜひ知りたいところである。

「健康」も「長寿」も、充実した人生を送るために大切な要素だとは思う。しかし、それが人生の目的ではないはずだ。手段と目的を取り違え、さらにエスカレートしてるこの状態は健全じゃないよね。

今年も9月23日、24日と2日間にわたって組合の健康診断がおこなわれる。人生を楽しむためにこそ、健康チェックを。

 

 

ワールドゲームズ

95日号)

綱引きやボウリングなど、知っている種目もある。しかし、「コーフボール」「ブールスポーツ」となると、どんなモノやらまったく見当もつかない。その見当のつかないところが、逆に「一体どんな競技なのか」と興味をひいたりもするのだが。8月に秋田で開かれていたワールドゲームズのことである。

「第2のオリンピック」ともいわれるワールドゲームズ。オリンピックに公式採用されていない運動種目を集めた総合国際大会として、1981年に始まったという。

オリンピックと大きく違うのは、参加選手が国の代表ではなく、あくまでも個人だということだろう。オリンピックがナショナリズムに利用されがちなのに対して、こちらはメダル授与の際も国旗掲揚や国歌演奏を行わなかった。「行わなかった」と過去形なのは、残念ながら今回の秋田大会から全競技で表彰式に国旗・国歌を使用することになってしまったからだ。

オリンピックが競技会なら、ワールドゲームズは運動会だ。オリンピックの二軍的地位を求めたりせず、草スポーツの一大イベントとして発展する道を選んでほしいなあ。ひょっとすると、将来、東京建設まつりみたいに「尻ずもう」や「キャタピラゲーム」が競技種目として正式採用されるかもしれないぞ。

 

 

いろいろな会話

825日号)

「面と向かっては言いにくいことばかり、送ってくるんだよなあ」。娘さんと携帯でメールのやり取りをしているという方が、困ったような、うれしいような顔で話してくれた。携帯メールは、不足しがちな親子の交流にも貢献しているのだ。

それにしても、ものすごいハヤリ具合である。電車の中では、そこでもここでも親指をすばやく動かして、文字を打ち込んでいる。多い人になると、一日に100件以上のメールを交信しているらしい。こちらからの一方通行で返事が来ないと、イライラするのだとか。何とも忙しいことだ。

8月はお盆の季節である。ご先祖や亡くなった家族の霊を家に招き入れて供養する。ふだんは、あの世とこの世に別れて暮らす者同士が、この一時だけ同じ屋根の下にいられるわけだ。故人が親しかった人なら、きっと積もる話もあるだろう。会話が一方通行だけなのは、致し方ない。携帯メールの会話とは、ちょっと違う点だ。でも、そんな会話こそが故人に対しての「慰霊」であり、また残された者にとっても、慰められ、反省し、もうひと頑張りしなくちゃと、気持ちを新たにすることができる。

誰がとは言わないけど、「霊」を、現世の生臭い政治の道具として利用するのだけはやめてくれないだろうか。

 

 

真夏日

815日号)

以前は、真夏でもここまで暑くなかった。ところが、ここ6〜7年ほど前から人間の体温なみの36度・37度は当たり前、ひどいときには40度近くにもなるという酷暑の夏が続いている。地球の温暖化現象とやらかも知れない。

最高気温が25度以上だと「夏日」、30度以上だと「真夏日」と呼ぶのだそうだ。とすれば、今のこの状態には、それこそ「チョー真夏日」という区分が必要だと思うのだが。

そんなチョー真夏日の7月22日、品川区住宅まつりが開かれた。スタッフ全員汗だくでがんばり、無事終了。後片付けをしている最中、30代の主婦の方が話しかけてきた。「スタッフの皆さんはご存じかどうか。塗り絵や木工教室に参加した子供たちが、終わった後、暑さでグッタリして、日陰の方で倒れるようにして休んでいるんですよ」。

正直な話、「迂闊だった」と思った。スタッフは各自で暑さ対策をしていたようだが、お客さんのことまで頭が回らなかったのだ。猛暑とともに増える熱中症。とくに幼児は体温調節機能が未発達なため、大人よりも熱中症になりやすい。住宅まつりの開催時期も考える必要があるのかもしれない。

帰り際、その主婦の方が「来年も楽しみにしていますからね」と笑顔で声をかけてくれた。

 

 

インプット

725日号)

手塚治虫の「鉄腕アトム」は、こんなふうに始まる。「自分の子どもを交通事故で失ってしまった父親が、子供にそっくりなロボットをつくって育てる。しかし、ロボットと人間はやっぱり違っていた。徐々にそのことに気がつくようになった父親は、子供のロボットを捨ててしまい…」。

いま話題のスピルバーグ映画「AI」もよく似たストーリー展開だ。「AI」の主人公は、「愛する」という感情をインプットされた子供型ロボット、デイビッド。養子にもらわれた彼は、絶望されていた実の子供が奇跡的に甦ったことで、身勝手な親に捨てられてしまう。

最近また「実の親が子供を虐待し、死なせてしまう」という事件があった。報道によれば、「リンチ殺人」としか思えない内容である。親に、虐待されたあげく殺されていく子供の気持ちを考えると、痛ましくてしょうがない。

「愛・悲しみ・憎しみ・喜び」などの感情をインプットされたロボットが将来本当に出現するのかどうか、分からない。しかし逆に、こんな不安感は持っている。普段の生活の中で「愛・悲しみ・憎しみ・喜び」といった感情やそのコントロールの仕方をインプットされることなく大人になってしまう人間が、これからますます増えていくのではないか、と。

 

 

政治の中身で盛り上がろう

715日号)

祖父・父から続く3代目の衆議院議員。厚生大臣を3回、郵政大臣を1回経験している。ほんの4ヵ月ほど前までは、森首相の派閥で会長を務め、森擁護の先頭に立っていたのは記憶に新しい。経歴を見ればわかるように、「自民党の変人」どころか典型的な自民党議員として、党を引っ張ってきた人物というのが、正しい小泉像だろう。その彼が「改革」を高らかに唱えて首相の座に就き、驚異的な国民の支持率を集めている。

客観的に見れば、突如、「変革者に生まれ変われ」るはずもない。だとすれば、「本人自身には何の変化もなく、人気だけが異常に高まる」という、この現象を作り出した張本人は、やっぱりテレビを筆頭とするマスコミと見るのが妥当かも。

「お父さんのためのワイドショー講座」によれば、小泉氏関連の放送時間は、2位を引き離して圧倒的なトップなのだとか。芸能ニュースが「芸能」そのものを取り上げず、「芸能人」周辺の話題で終始しているように、現在の報道も、「政治」そのものではなく、「小泉純一郎という政治家」周辺の話題で終わっている場合が多いようだ。テレビ局から見れば、小泉氏も視聴率を上げるための消耗品の一つに過ぎないのだろうが。

もっと政治の中身の論議で盛り上がろうよ。

 

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