春の訪れ

325日号)

今年の冬は例年になく、降雪が多かった。その影響でか、野菜の価格の高かったことと言ったら…。八百屋さんでいつごろまで高値が続くのか聞いても、「うーん、わかんねえなあ」と言われたのが1月末のこと。白菜などは2分の1カットから4分の1のものに。「レタスはしばらく買ってないわねえ」とボヤいている方もいた。が、3月に入り、じょじょに野菜も安くなりだした。そう、春の訪れである。

荏原支部では、現在、分会の再編成に取り組んでいる。組織の減少で危機感を感じた支部の方たちが対策を話し合う中で「組合活動の原点に戻って、地域にねざした組織をつくろう」との意見が出されてのものだとのこと。まずは組織の強化を、という思いだろう。また、品川区内の9支部でも、現在、組織の強化を念頭に、支部再編成へ向けての話し合いがもたれているところだ。

冬の間、植物は目に見える成長はしていない。しかし、地面の下ではしっかり根を伸ばし、栄養をたくわえて春にそなえるのだ。

20013月、本当に久しぶりに、月別の組合新加入者が脱退者を上まわりそうだ。なんとなく組合にも、じょじょに「春の訪れ」がやってきそうな気がする。4月は支部総会の季節。みんなで春を実感したい。

 

 

環境に配慮

315日号)

名刺やチラシの片隅に、「再生紙を利用しています」と書かれているのを見かけることが多い。最初にコレを考えた人は、さすがだと思う。環境に対する自分の考えを、手軽にアピールする見事な方法だ。しかし、これだけ誰も彼もが使うようになると、その効果はあるのだろうか。安直なイメージ戦略にすぎなくなってしまっているような気がするのだが。

先日、住宅の屋根建材大手メーカー、クボタと松下電工の2社が、建材の材料として、白石綿(クリソタイル)の使用を中止すると発表した。クリソタイルは石綿(アスベスト)の一種で、ヨーロッパでは、すでに使用が全面禁止になっているもの。新聞報道によれば、クボタでは、使用中止に際し、「石綿は健康被害などイメージも悪い。環境に配慮する企業戦略として一歩を踏み出したい」とコメントを述べているらしい。

現在、日本で使用されているアスベストは約18万トン。その9割が建材に使用されている。つまり、まず建築職人がアスベストで被害をこうむるわけだ。

「環境に配慮する企業戦略」って、翻訳すれば「中止するのは企業のイメージアップになるから」ということでしょ。いま現在、じん肺で苦しんでいる人たちは、この言葉を聞いてどう思うだろう。

 

 

リセット

35日号)

国会参院予算委員会では、村上前参議院議員の証人喚問がおこなわれた。新聞の一面では、森首相のどうしようもない生態報告や国会議員たちの汚職の話題が花盛り。毎度毎度のこととはいえ、みんなの暮らしを良くしてもらうべく選んだ国会議員のはずなのに、国会ではその議員の悪事を糾明するのに貴重な時間を費やし、新聞も貴重な紙面と時間を、その報道に割かねばならない。それだけの時間やお金を、もっと実のある事のために使えたはずなのに…。まさに浪費ですね。たしか国会議員って、税金から給料を払っていたはずだが。

最も給料の高い国会議員である森首相の「ゴルフお楽しみ」が論議になった際、テレビで町行く人々に感想を聞いていたが、「もうあきらめてます」「今さら驚かないわ」など、諦観した答えが多かった。その気持ちよーくわかります。

ただ、ひとつ気になることがある。森首相が、「総理の座に居座る」臨界点をグーンと上げてしまったのではないだろうかということだ。これから首相になる人は、よっぽどの失点があっても、「森さんに比べればまだマシ」ということでお目こぼしになったりして。

最初から末期症状だった森政権も風前の灯らしい。さあ、臨界点をリセットする準備はいいかな?

 

 

昔の条文

225日号)

先日、確定申告関連で新聞にこんな記事が載っていた。年金受給者である父親を扶養している息子が、父親の介護保険料も、自分の社会保険料控除に合算できると思っていたら、税務署から「対象にはなりません」と言われた。「父は年金だけでは生活できないので、この負担は私がしたといえる」と不満を訴えているというのだ。

年金を1年間に18万円以上もらっている人の場合、介護保険料は年金から天引きされ、18万円未満なら直接納付することになっている。直接納付ならば扶養している人が払った扱いに出来るのだが、天引きだと本人の収入から引かれるので、肩代わり負担に該当しないという理屈のようだ。

えっ、そうだったの? さっそく、電話で東京国税局に聞いてみた。応対してくれた職員によれば、「所得税法の社会保険料控除の条文は、昔つくられたものですから、社会保険料を年金から天引きすることなど想定してなかったんですよ」とのこと。「でも、おかしいと思いませんか?」。「ええ、確かに。しかし、法律を改正でもして、条文が変わらない限り、今のように取り扱うしか、どうしようもないんですよねえ」。

いかがですか、皆さん。納得していただけましたでしょうか。

 

 

プラットホーム

215日号)

イナカの高校生だった頃のことを思い出した。学校からの帰り、最寄り駅のプラットホームは、帰宅する生徒で溢れんばかりになっている。ホームから線路に下りて、1円玉を線路の上に置き、電車が通るのを待つ。通過後、ペチャンコになったお金を拾ってきて、誰の1円玉のつぶれ具合が一番美しいかを競い合うという、バカで幼稚な遊びをやっていたのだ。

先日の新大久保駅でのできごとは本当に痛ましい。と同時に、「目の前で同様のことが起きた時、自分なら助けに行けるだろうか」と自問した人も多かったのでは。その後、二人の勇気を称えたり、誠実な人柄だったと言う談話が発表されたりして、美談で終わってしまいそうな雲行きになっている。

はっきり、「私も絶対に助けに行く」と断言できる人は少ないはずだ。「うーん…」と悩んでしまうのが一般的だろうし、それが正直な気持ちだと思う。

ただ、ああした行為を、「美談」という「立派な人格の人が行った感心すべきおこない」の話ではなく、「ごく普通の人のごく普通な行為」として考えてみないと、他人事になってしまうのではないかしら。皆さんはどう思いますか?

それにしても、日本のプラットホームって、どうしてあんなに高いのだろう。危ないよね。

 

 

税金の使われ方

25日号)

昔で言えば、「年貢の納め時」(とは言わないかも)、確定申告のシーズンがやって来た。組合でも1月22日から、早くも申告相談会が始まっている。

みんなが税金に対して敏感になっているこの時期に、まさにグッドタイミングと言うべきなのか、行政側が国民に対して、「あなたたちが税金の使われ方をしっかり監視しないから、ほら」と言わんばかりの事件で、マスコミが賑わっている。

経営者の誰もが、心の中ではひそかに夢に見ているに違いない、領収書の一切必要ない便利な経費、「機密費」。飲み食いやら、政界工作やら、何でもありの使いたい放題らしい。ホント、名前に「機密」がつく物には、ロクなものがない。彼らにとっては、私たちの血税なんて打ち出の小槌ぐらいの認識なのだろう。

ところで、皆さんは、全建総連などが制定を求めている「納税者の権利憲章」というのをご存じだろうか。「国家を運営していく上で、主権者である国民が、その費用をみんなで出し合うのはその通り。でも、納めるためのもろもろの事柄はきちんとするべきだし、集めた税金の使い方に対しては主権者として、監視する権利もあるべきだ」という内容のものだ。

いい加減、税金の使いたい放題も「年貢の納め時」にさせなければ。

 

 

イマジン

125日号)

21世紀早々、20世紀末の話題から始めたい。昨年の暮れは、100年の区切りということで、20世紀のできごとを振り返るドキュメント的なテレビ番組がいっぱい放送されていた。出来事といっても明るい話題はわずかで、戦争・事件・事故など、絶対に我が身に降りかかってもらいたくないような映像が次々に映し出される。そして、締めくくり。なぜか番組のラストにジョン・レノンの「イマジン」がやたらとかかるのだ。いちいち数えていたわけではないので正確な数は分からないが、かなりの番組で、この曲が使われていたのではないだろうか。はっきり言って安直ですね。

「イマジン」、つまり「想像してごらん」ということ。ジョン・レノンは、この曲の中で、いろいろな形の理想郷・平和な世界を「想像してみて」とストレートに歌っているのだが、英語のこの歌で、どれくらいの日本人にそのメッセージが伝わったのだろうか。もういい加減、戦争などの悲惨な映像に「イマジン」を流して、「はい、一丁あがり」というのは止めにしましょうよ。

ジョン・レノンは1940年生まれで、生きていれば、今年で61歳。日本の総理大臣と、ほぼ同年代だ。あの人こそ、もっと、ふだんの行動に「イマジン」が必要なんだけどねえ。

 

 

こんにちは21世紀

15日号)

21世紀だ。世界中が21世紀になった。さてこれからの時代はどういう世の中になるのだろうか。不安と期待が入り交じる。

旧ろう森第2次改造内閣が発足した。「21世紀に似つかわしくない顔触れだ」とか「盛(森)下がり内閣」だのと揶揄されての船出だ。650兆円にもなる借金財政をどう再建するか。景気回復に向けての政策は。歴代総理2人を加え、巨人軍の重量打線におとらない「巨人軍内閣」に期待するしかないのか。国民からそっぽを向かれている森政権交代を叫ぶ野党が巻き返しを図るのか。国民に目を向けた政治を目指してほしい。

新年を迎えても建設業界は厳しい状況に変わりはない。企業倒産が全産業で毎月1500件を超え、その3分の1が建設業。しかもその半数が中小企業に集中。激烈な低単価での受注競争という実態の反映だ。仲間の仕事とくらしは切実なものとなっている。

今年6月には東京都議会議員選挙、7月には参議院議員選挙が予定されている。仲間の仕事とくらしを左右する選挙だ。21世紀最初の重要な選択になるだろう。

ともあれ平和で住みよい21世紀こんにちは、だ。組合新聞も「仲間に愛される新聞」づくりに頑張りたい。今後ともご愛読のほどを。

 

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