今世紀最後です

1215日号)

昨年に比べるとずいぶん穏やかな年の瀬である。去年は、「ミレニアム」だの「2000年問題」だので、新年を迎えることに対する期待と不安とで、皆が浮き足立っていたような気がする。ところが今年は、「いよいよ21世紀だ」というワクワクした雰囲気があまり感じられない。せいぜい、「今世紀最後の」という、やや後ろ向きなフレーズが冠についた催し物・イベントがやたら目に付くぐらいだ。そう言えば、近所にある、ちょくちょく閉店セールをやっているお店でも、「今世紀最後の閉店セール」というのをやっていたっけ。

子供のころ思い描いていた21世紀といえば、SFのような世界だった。携帯電話やパソコン、ロボット犬など、それらしき物も出現したが、現実は想像していたほどでもなかったなあ。残念。逆に、環境問題のように大きな落とし穴も待っていた。

そして、私たちが未来に向けて残してしまった大きな宿題が、平和の問題だ。20世紀は「戦争の世紀」と言われる。実際、日本人に今世紀の重大事件を聞いてみると、広島・長崎への原爆投下、太平洋戦争、日中戦争などが上位に来るというし、世界には、今も戦渦にある人たちが大勢いる。

21世紀こそ「人類が戦争を克服できる世紀」でありますように。

 

 

罪はどちらが大きい?

125日号)

11月はじめにあった石器発掘のねつ造事件。たとえ、「魔がさした」としても、とり返しのつかないことをやってしまったのは本人が一番良く分かっているだろう。しかし、この人、プロの学者ではなく民間の研究者で、仕事のかたわら休日も返上して発掘作業を続け、発掘に専念していた現在では、失業保険しか収入がなかったという。学問的には、大きな犯罪なのだろうが、その背景には、民間任せのお粗末な考古学調査の実態もありそうだ。

お粗末くんをもう一つ。先日の「森内閣不信任案決議」をめぐるドタバタ劇のことだ。もしや、と期待した方もいらしたと思う。実際、各マスコミの論調も「不信任案可決も可能」といったものが多かった。それだけに、国民にとっては、「またもや政治家に裏切られた」「この人たちに何か期待するほうが無理」との失望感ばかりが残る結果となってしまった。

だが、今回の自民党内の抗争劇、実は「造反議員は除名」との恫喝があった時点で、あのような結果になることを、現場の記者連中は見通していたらしい。にもかかわらず、やたらドラマチックに取り上げ、国民の意識をミスリード(誤った方向に誘導)したのだとしたら、その罪は「石器発掘ねつ造」と、どちらが大きいのだろう。

 

 

ちょっと宣伝です

1115日号)

今年の4月24日に東京建設のホームページを開設してから、6ヵ月とちょっと。アクセス件数(見に来てくれた人の数)の表示は、1113日現在、「895」を示している。1ヵ月あたり約140件、一日平均で4〜5件といったところだろうか。もちろん「ねつ造」ではなく、正味の数字である。

確かに、内容にはまだまだ改善の余地がある。が、「もっと多くの人に見に来てほしい」と担当者も申している。そこで、この欄をお借りして、ちょっと宣伝させていただきたい。

全建総連のホームページによれば、現在、全国の傘下単組・県連のうち、ホームページを開設しているのは11。見比べていただければ分かるが、この中でもビジュアル的に間違いなく見劣りするのが、東京建設のものだろう。しかし、そこは辛抱して、たとえば「最新情報」のページをクリックしてほしい。これから行われる各種講習会、支部旅行の案内などがいち早く紹介されている。担当者曰く、「毎週、新しい情報を更新しています」とのこと。また、一般ユーザー向けには、業者案内のページも用意してあるので、ホームページをお持ちの方は、ぜひ登録を。

それにしても、ITの道は、遠くけわしい。気長にお付き合い下さい。

 

 

福祉後退を許すな

115日号)

ちょうど1年前。当欄で、石原都政の福祉切り捨てについて触れた際、「この先に待っているのは、”70歳以上も医療費1割負担”という老人保健法の改悪だろうか」と記していたのだが、その懸念が、2001年の元旦から現実となりそうだ。

111日、「医療保険制度改正関連法案」が自民・公明・保守ら与党による強行採決で衆院厚生委員会を通過。今会期中に成立する見通しで、来年1月1日から実施されるという。

この法律が施行されれば、70歳以上の人は、医療費が原則1割負担となる。厚生省では患者の負担増は1.5倍になると試算している。医療機関の収入は変わらないそうだから、市民の負担増分は、すべて国庫の歳出減になるわけだ。

負担には、一応、上限があるようだが、上限などいつ切り上げられるか分からないし、10月から始まった介護保険料の徴収とあわせて、高齢者の生活を大きくおびやかすことは間違いない。まさに「大企業優先の無駄遣いには金に糸目をつけず、国民からはしぼりとる」の図そのものではないだろうか。

「福祉切り捨て」政策の中で、建設国保への助成だけが例外などということはありえない。今こそ、私たちも「福祉後退は許さない」の声をもっと高く上げなくては。

 

 

スーパー悪役

1025日号)

1022日に開かれた東京建設まつりでのこと。毎年、子供たちが楽しみにしているイベントのひとつに「スーパーヒーロー登場」がある。悪役の戦闘員が登場して子供たちに襲いかかり、あわやというところでスーパーヒーローが登場。子供たちと力を合わせて、悪者を退治するという筋書きのものだ。

この悪役を、ここ10年ばかりずーっと引き受けて下さっているのが、世田谷支部の羽鳥俊成さん。「子供の頃からエースで4番」と自ら言うだけあって、運動神経の良さで身のこなしが抜群なうえに、悪役としてのキャリアも加わり、毎年、怖がって泣き出す子供たちが何人も出るほどである。

恐怖におののく子供たちの中には、4歳になる羽鳥さんの息子、竣くんも含まれている。以前「お父さん、どうして僕が悪者にやられているときに助けてくれなかったの」と非難されたのだとか。「そんな事できっこないよなあ」と笑いながら、「あと2、3年は、俺がやってるってことに気がつかないでくれるといいんだけど」と父親の顔をのぞかせる。

悪役のコスチュームを身につけると、「出番です」の合図。今年も子供たちをおおいに怖がらせるために、羽鳥さんは悠然と控え室を後にした。

 

 

オリンピズム

1015日号)

スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋、そして拡大の秋。何にしても絶好の季節が秋だ。

今世紀最後のオリンピック、シドニーオリンピックが101日閉幕した。17日間、28競技300種目に熱戦がくりひろげられた。日本の成績は金5、銀8、銅5の計18個のメダルを獲得した。特に女子の活躍が目立った。マラソンの高橋尚子選手、柔道のヤワラちゃんこと田村亮子選手や水泳陣の頑張りは、見ていて興奮した。

今回のシドニーオリンピックは、グリーン・オリンピックを標語に、環境保護に留意された施設計画が評価されたという。また、韓国と北朝鮮の同時入場行進が実現したことや、アボリジニーという古い歴史を持つ人々の存在を示した大会でもあった。

「人間の尊厳を保つことを大切に考える平和な社会の確立を促進することにある」というのがオリンピズムの目標だ。その意味でも印象深い大会であったと思う。

このあと18日からはパラリンピックが同じ施設を使って開かれる。障害者のスポーツ国際大会だ。118の国地域から約4000人の選手が出場する。日本からは150人余りの選手が出場し、アトランタ大会の金14個を超える成績が目標だという。日本選手の活躍に期待しよう。

 

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