嫌なことは忘れて

1215日号)

いよいよ押し詰まった。師走である。年々クリスマスだ、正月だという感慨が薄れてくる。これも歳のなせるところか。しかし、1999年もあと十数日。年(歳)を忘れて未来に夢を託したい。

誰かがこんなことを言っていた。「意欲をもって働く者に、年をとるひまがない。創造的な人間は80歳でも若い」と。組合は来年創立45周年を迎える。働き盛りだ。この不況のなかで組織は減少してしまったが、来年は「雑草魂」で「リベンジ」だ。

支部ニュースコンクールがあった。どの新聞も力作ぞろいで、評価点数は僅差。特賞は馬込支部だったが、青年部、婦人部ニュースもそれぞれ個性的でよかった。組合の活動を陰で支える婦人部は、感情細やかな記事が多い。青年部は自分たちの主張を堂々と紙面に反映させている。婦人部のおふくろさんと青年部の息子さんの年齢を足して2で割ると丁度45歳ぐらいになるのではなかろうか。

今年もいろいろあったが、嫌なことは忘れて、楽しかった、良かったことだけを残して、来年は希望の持てる飛躍の年にしたいものだ。東京建設新聞への皆様のご愛読に感謝し、変わらぬご支援をお願いしたい。2000年はNET(new energy of togoshi)だ。

 

 

子供たちの未来

125日号)

言葉の頭に「お」をつけると、丁寧なものの言い方になるのが普通である。しかし、かえって下品かつ滑稽に聞こえてしまう言葉も、あるようだ。例えば、「お受験」とか。

あの言葉を聞くと、「すると、何かい? いずれは、お官僚、おキャリア、お天下り、お汚職、お逮捕と言えってか?」と憎まれ口の一つも叩きたくなってしまう。

「我が子の将来を真剣に考えているからこそ、受験させている」という方もいるだろうしかし、誤解を恐れずに言えば、アレは、受験の当事者である子供の意志を無視して行われる、「親の身勝手な見栄の張り合い」ではないだろうか。

そんな親の手前勝手な気持ちや期待を知ってか知らずか、子供たちが将来なりたい職業のトップが「大工」だという。実に、うれしいと共に痛快である。先日、テレビのバラエティー番組で「大工さんの匠の技」を特集していた。さまざまな大工道具を使っての洗練された技術は、ただただ溜め息をつくばかり。子供たちが仕事に就く年齢になる頃まで、「大工になりたい」という願いを持ち続けられるように、そして、それを叶えてあげられるような社会にしなければ、と強く思う。

ちなみに、「受験」を丁寧に言うときは、正しくは「ご受験」だそうです。

 

 

今年の流行語

1125日号)

少し気が早いが、今年、目についた言葉を眺めてみることにしよう。まずは「ミレニアム」。最初にこの言葉を聞いたときには、また新しいビールが発売されたのかと思った。キリスト教から出た言葉で、「千年紀」とか「千年王国」という意味だそうだ。もともと西暦自体がキリストの誕生から数えているわけだから、そちら関係では盛り上がるのだろうが、例によってお調子者の日本でも大いに使われた。

続いて、日本中が真っ青になった東海村の事故で、一躍、原子力に対する安全管理の危うさと共に知れ渡った「臨界」という言葉。「物質が、ある状態から別の状態に変化する境目」のことを指す。建築業界は、今年も不況から脱出できる気配が見えない。私たちに強いられている我慢も臨界をとっくに超えているのではないだろうか。

「予言や奇跡を起こす超能力」が、本来の意味だそうだが、超特価の大安売りで、マスコミに使われたこんな言葉もあった。「カリスマ」。店員、美容師、OLなど何でもありだが、この安直な使われ方が逆に良いのかもしれない。本当に「カリスマ」に支配されるなどというのは、絶対避けたいものだしなあ。

ところで、夏前まで大騒ぎだった「ハルマゲドン」って、いったい何でしたっけ?

 

 

石原都政の福祉切り捨て

1115日号)

石原都政、1年目にして、さっそく福祉の切り捨てが始まった。まあ、最初から予想されたことでは、あったのだが。11月8日に明らかになった都の来年度予算の各局要求を見てみると、高齢者への福祉施策が大きく削減されているのが目立つ。寝たきり老人への老人福祉手当の廃止。シルバーパスの有料化。

そして、重大なのが、老人医療費への助成を5年後に廃止するという案である。現在、65歳から69歳の人を対象に助成しているが、これを、新しく65歳になる人をその都度、毎年対象からはずしていき、5年後には廃止になるという寸法だ。しかも継続して助成を受けられる人も、医療費が1割負担になるという。この先に待っているのは、「70歳以上も医療費1割負担」という老人保健法の改悪だろうか。

65歳になったから、公営国保に移るよ」ということで、東建国保をやめていく組合員の方も、いらっしゃる。が、いったん公営国保に移ると、年齢制限により東建国保には戻れない場合もあるのでご注意を。東建国保は実質9割以上の給付率。やっぱり強い味方なのではないか。

ところで、この案は、まだ正式に決まったわけではない。福祉の後退は許さないという都民の意志の結集が必要だろう。

 

 

臨界事故

115日号)

「日本人の原子力に対する危機意識のなさには、ビックリする」。東海村でウラン加工施設の臨界事故が起きた次の日、東京のある外資系企業では、外国人である上司が家族とともに関西へ避難してしまい、「仕事にならない」と嘆いている日本人社員の声が、新聞に載っていた。

「何を大ゲサな」と思う人もいるだろう。しかし、欧米人の大多数は、そう思っていない。それが冒頭の言葉である。チェルノブイリの教訓だろうか。

10月に入って、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが、事故現場への視察にやってきたが、これも「チェルノブイリ、スリーマイルに次ぐ重大な放射能事故」との認識によるものだ。

当日、現場から半径350メートル以内は避難、半径10キロ以内は屋内待避を住民に要請した。しかし、いくら家の中でも安全なワケはないのだ。欧米人なら即座に逃げ出していただろう。

実はその後、中性子線が出ていて、建物の中も危険だということが分かったのだが、「混乱が予想されるから」と、その事実を知らせず、批難させなかったという。混乱しないように避難させるのが行政の役目だろうに。人命より混乱の回避が大事だったのか。本末転倒では片づけきれない、何かイヤーな感じが残る話である。

 

 

秋空の下

1015日号)

この号が届くころには、始まる日本シリーズ。プロ野球1年間の総決算だ。王監督率いるダイエーが念願のリーグ優勝。ONの監督対決も面白そうで、見てみたかったが、残念ながら実現しなかった。来年に期待するとしようか。

ここ5、6年はナイター試合となっているが、以前は、日本シリーズといえば日中に開催していた。中学・高校のころは、トランジスタラジオを学校に持っていき、耳を手で隠しながら、授業中、イヤホンで野球放送を聞いていたものだ。今回は両チームともドーム球場ということで、日程上はスムーズなのだろうが、どうも密閉された空間での野球では興趣がそがれるように思うのは、時代遅れだろうか。

その点、10月6日に行われた「建設国保の補助金確保」を求めての1万人集会は、秋にしては汗ばむほどの晴れ渡った青空の下で、気分そう快だった。7500人以上の仲間が東京都庁前に集まった光景も壮観だが、野球の観客と違い、一人一人が請願者という主役だ。これほどの数の人が手渡しで、請願するのは、東京都でも過去に例がないという。

日比谷野外音楽堂が満員になるほどの人たちが次々に並んで請願書を渡していく姿を、都のエライ方たちも上のほうから、見ていただろうか。

 

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