精神保健及び精神障害者福祉に関する法律見直しに関する意見書



 我々「精神病」者は人権と主権の回復をまず第一に要求する。そのため以下の要求をするものである。
 大和川病院事件(大阪)、栗田病院事件(長野)、山本病院(高知)事件等々数多く暴露される精神病院での患者虐殺虐待事件は、精福法のもとで我々「精神病」者が社会から「厄介者」「危険な者」として排外され精神病院に追い込まれ、単に監禁されている実態を暴露している。こうした事件は精福法が存在しなければあり得ない事件である。「精神障害者は何も自分で決められない」、「精神障害者は精神病院へ強制入院するしかない」、「精神障害者は監禁するしかない」「精神障害者保護者に保護してもらう存在である」といった「精神障害者」への差別を肯定した上で、「精神障害者」への強制入院と監禁を法的に保障している「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下精福法とする)」こそがこうした事件を引き起こしている。
 我々「精神病」者の人権と主権を否定してきた最大の悪法精福法の撤廃を我々は要求する。精福法は強制入院制度、通報制度、入院中の行動制限、などにより日常的に私たち「精神病」者をその管理下におき、我々は毎日強制入院におびえて暮らしている。強制入院は人権侵害であり、医療上もその対象となった「精神病」者の治癒への流れを逆行させるものである。強制入院制度の中でとりわけ措置入院制度は、「自傷他害の恐れ」を要件に人を監禁するものであり、「精神障害者」に対する予防拘禁制度である。とりわけ「精神障害者」にだけ予防拘禁制度があるのは、法の下での平等に反し、憲法違反である。また「他害」の中には名誉毀損まで含まれ、我々「精神病」者には言論の自由が存在しない実態がある。入院中の閉鎖処遇や保護室への監禁も重大な人権侵害であり、我々「精神病」者の人としての誇りを否定し、著しく治癒を妨害している。
 また精神医療の現場において医師が精福法により私たちの生殺与奪の権限を持っているため、入院中はことさら外来においても医師と患者の対等な医療的関係は保ち得ないでいる。精神医療が医療の名にふさわしいものとなるには精福法は撤廃されるしかない。昨今ノーマライゼションがうたわれ障害者と健常者の共に生きる社会が提唱されているが、精福法にはその23条に一般人通報があり、我々は隣人からの通報におびえ共に生きる社会とは隔絶された現状におかれている。手帳制度が付け加わったものの、内容は無に等しいどころか、監視は強化される一方である。
 以上の理由で我々は、強制入院法であり、我々を監禁する法である精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の撤廃を直ちに要求する。
 そして福祉に関しては強制入院法とは切り離し、全障害者の必要性・利害の基づいた、難病者をも含めた全障害者統一福祉法によって保障されることを要求する。福祉が、管理や監視と切り離されるためにはこのことは重要な要求点である。現状の精福法では、福祉的側面も常に強制入院制度の影響下にあり、管理、監視の側面をまぬがれ得ない。
 現在精神病院入院患者の内約30%が10年以上の入院患者で占められており、この人達は強制入院制度のために社会から切り離され、行き場を失った人たちである。この人達に対して今「心のケアホーム」なる構想が語られているが、これは新たに長期入院患者を私立精神病院の「固定資産化」するものであり、我々は断じて認めることはできない。長期入院患者自身の要求に基づく退院促進策を求める。
 また今のところ「処遇困難者専門病棟」は建設されていないが、公衆衛生審議会の「処遇困難者専門病棟」設置の「中間意見」は撤回されておらず、いつでも「処遇困難者専門病棟」新設の動きがありうる状況である。我々は「精神病」者仲間を分断してより重装備の隔離拘禁施設に追いやる「処遇困難者専門病棟」に対して断固反対すると共に、公立精神病院の実質的「処遇困難者専門病棟」化および現在各所で摘発をされているような民間精神病院での先取り保安処分施設=「処遇困難者専門病棟」として機能してきたあるいは機能している民間病院の監査が患者の声を吸い上げていないことに対して断固抗議するものである。
 以下に今我々が求めるものを列挙する。
*まず第一に厚生省精神保健福祉課は患者会と月に1回会って意見を聞く場を作れ。 そして部内にその担当者をおけ。
*「精神障害者」に対する差別欠格条項の撤廃。
*就労の強制をするな。就労しているかしていないかで「精神病」者を選別するな。 と同時に労働安全衛生規則での職場からの病者であること一点を持っての排外をするな*「精神障害者」に対しては、精神科外来のみならず精神科そのほかすべての科の医療費を全面的に無料化せよ。
*所得の保障をせよ・生保基準を聞き上げろ。介護費用を生保費用に組み込み、他人介護制度を「精神病」者にも保障すべき
*医師看護人の数を増やし、特例と特例外しを撤廃せよ。
*保護室は撤廃を求めるが、すぐに撤廃できないなら、保護室にいるときは常に看護人がつきそう、マン・ツウ・マンの看護を要求する。
*強制入院制度は撤廃を求めるがすぐに精福法が撤廃できないなら、任意入院患者(任意入院といっても退院制限があるので強制入院の一形態である)も含めすべての入院患者に弁護士を国費で付けよ。弁護人をつけるための窓口の連絡先を精神病院の電話機の側に張り出せ。これは憲法34条(「拘留・拘禁の要件、不当拘禁に対する保障」何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、拘留または拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない)に保障された権利である。
*精神科ソーシャルワーカーの国家資格化が決められたが、資格取得の要件として我々「精神病」者から教育を受けることを明記せよ
*精神病院入院中及び外来においては患者本人に現金を持たせ、金銭管理をさせろ。
*精神病院は患者を品物扱いするな。我々は人間である。患者を一つ二つと数えている実態がある。
*保護室は撤廃を要求するが、現状で保護室が懲罰的に使われている実態がある。保護室を懲罰に使うな。
*電気ショックを懲罰に使うな。
*電気ショックと精神外科手術を法的に禁止しろ。
*安心して病気になれる権利を保障しろ。
*すべての精神病院に自由に使える台所を設置しろ。熱いラーメンが食べたい。生活能力を喪失しないためにも。
*「精神病」者を選別して入院拒否をするな。入院拒否に対しては法的制裁を。
*長期入院患者に刑事補償金並みの退院準備金を。
*公営住宅に「精神障害者」単身者優先枠を(「精神障害者」単身者の入居を禁じた差別欠格条項の廃止)
*すべての公営住宅に共同ホームを
*退院できる人に住宅を保障する義務規定の法律を
*アパート退院患者の半数は自殺しているという統計がある精神病院でできている。 これに対抗するために以下の要求がある
 24時間365日安心して飛び込める場所。人のぬくもりのある場所を
 24時間365日話ができる電話回線
 24時間365日飛んできて相手をしてくれるサービスを
 地域で交流でき安価な食事のできる場を小学校の学区に1つ、小学校の空き教室を私たち「精神病」者に開放を
 そこまでも行けない「精神病」者のために自宅への安価な給食配達サービスを
 介護者派遣サービスの実施を、私たち自身が指名する介護者の派遣のための金銭的 保障を


1998年4月
全国「精神病」者集団