LADD権利カタログ
《 二の4 学校教育 : 実 例 》
 

 

 Dさんの子供Eちゃんは移動には車いすを使っていて、知的な障害も持っています。 小学校に入学する時期になり、教育委員会は養護学校へ行くようにと勧めてきました(@)。Eちゃんは地元の幼稚園に通っていて友達もたくさんいるので、DさんはEちゃんを地元の小学校に入れたいと希望しました。教育委員会は「養護学校には経験豊かな先生も多いし、設備も整っていて、Eちゃんに最も適した教育ができます。地元校ではその保障ができません(A)」「地元校に行くとなると、通学やトイレ介助、教室移動、給食の世話などは保護者のほうでやっていただきます(B)」などと言います。  DさんとEちゃんはその条件を受け入れて、地元校に通いはじめました。しかし授業はみんなが同じペースで進んでいくのでついていけません。先生はEちゃんに合わせた教育計画を作ることもなく(C)、Eちゃんにも分かるように教材を工夫したりすることもありません。それどころかEちゃんには体育は無理でしょうということで最初から見学にされたり(D)、遠足の時は「本人への負担が大きいので辞退したほうがいいのでは」と言われたりします(D)  Dさんは我が子のためと思ってがんばってきましたが(E)、入学以来学校からは折にふれ養護学校へ転校するようにという圧力を受け、毎日学校に縛りつけられ、学校からの協力も得られず、疲れ果ててしまいました。同級生の保護者たちにも「Eちゃんがいるから先生の注意がEちゃんに集中し、他の子の勉強が進まない」と言われ(F)どうすればいいのか途方に暮れています(G)

 

 

 

@障害を持つ子供には同世代の子どもから隔離された教育が原則となっている

 → 統合教育を原則とすべき

A障害を持つ子供への教育に関する情報、経験、設備、サービスは養護学校に偏っている
 → 地元の学校でも養護学校で提供されるものと同等の教育レベルを保障されなければならない

B地元校に行く場合は親の責任にされてしまう

 → 障害を持つ子供ならではのニーズに応えるために、人的対応も含めたシステムの確立が必要

C子供の能力とは無関係に、機械的に一律に授業が進められる
 → 個別教育計画の作成と実施が必要

D本人や親の意向を無視して、教育を受ける機会が制限されている

 → 他の子供と同等な教育機会が提供される保障

E本来は学校の責任であるべきことが親の負担にしわ寄せられている
 → 子供の教育に必要な人的、物的支援が提供されなければならない

Fクラスに障害をもつ子供がいると、マイナスだと取られやすい

 → 多様な子供が共に学ぶことの重要性が理解されていない

G孤立した親を支える仕組みがない  → 支える仕組みが必要

   


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《 U−4 学 校 教 育 》

 

〈基本事項〉

 教育は個人が社会との関わりを広めていく過程と、それを支援する行為である。
 そのような教育を実現するためには、多様な人が共に学ぶ環境が必要である。
 この考え方は年齢、性別、個人の特性の違いを超えて全ての人に当てはまり、個人はそれぞれの希望と能力に応じた機会を提供される権利を有する。

 

@原則

1:ここに述べる権利は、全て障害をもつ本人や保護者の自己決定による選択によって行使される

2:国は選択を可能にするために、国からの干渉を受けない独立した存在の非営利公益の第三者機関が客観的に見て同等に評価できると認める充分な数の選択肢を提供しなければならない

3:国は上記選択肢の提供に当たっては、それぞれの選択肢の長所、短所についての客観的な説明を、障害をもつ本人と保護者が理解できるように行わなければならない

4:国はこの基本原則を保障する仕組みを確立しなけれならない権利教育、権利擁護、それらを行う機関と人材の養成)

5:上記機関は国からの干渉を受けない独立した存在の、非営利公益の第三者機関でなければならない

A隔離、分離教育から統合教育への政策転換

1:国は原則隔離ではなく、原則統合に政策を転換する

2:国は隔離教育の場で提供できるのと同等の教育サービスを、統合教育の場でも提供しなければならない

3:上記教育サービスは、そのときの社会資源によって提供できる最上級の教育サービスでなければならない。国はそのために、常に見直しと更新の作業を継続する

4:上記見直し、更新作業には、障害をもつ当事者と保護者、あるいはその委任を受け障害をもつ本人と保護者の意見を代弁する代理人が参画しなければならない

 

B統合された環境での教育

  1:障害をもつ本人は同世代の子供と同等の経験をする権利を有する

  2:障害をもつ本人は地域社会で生活しながら教育を受ける権利を有する

  3:障害をもつ本人はもっとも制約の少ない環境で学ぶ権利を有する

 

C適正手続の保障/当事者の参画

1:障害をもつ本人や保護者は、個別の能力に応じた教育計画の立案、決定の手続きに参画する権利を有する

2:国や教育委員会は障害をもつ本人や保護者の希望が第一義的に尊重される保障をしなければならない

3:上記の希望は本人の最善の利益を優先する環境のもとで表明、実行されなければならない

4:障害をもつ本人と保護者およびその委任を受けた代理人はCで述べた事項について是正の申し入れや訴訟などを行うことができる

5:国は上記の是正の申し入れや訴訟などを行うことができる制度を確立しなければならない  

D個別性の保障

1:障害をもつ人は、本人にとってもっとも適切な教育を受ける権利を有する

2:国や教育委員会は、本人にとってもっとも適切な教育とは何かを検討するための個別教育会議を設置しなければならない

3:障害をもつ本人は、社会生活能力を獲得する教育を受ける権利を有する

4:障害をもつ本人は、自己の学習及び人格の成長、発達に必要な援助を個別に受ける権利を有する

5:障害をもつ本人は、専門的な技術を身につける機会を保障される権利を有する

6:国や教育委員会は、個性や違いを尊重する教育を行うことにより、個人の学力や能力の違いで差別されない保障をしなければならない

7:障害をもつ人は国や教育委員会に対し、点字、手話、コンピューター操作など、本人の学習上必要な技術を得るための機会と材料と人員を請求し、受ける権利を有する

E具体的なサービス

1: 国や教育委員会は、障害をもつ本人が自分の意見を主張する訓練を提供しなければならない

2: 国や教育委員会は、建築物やコミュニケーション上のアクセスを確保しなければならない

3: 国や教育委員会は、障害をもつ本人のニーズに応じて補助教員の加配をしなければならない

4: 国や教育委員会は、個性を尊重した教育を実現するため、少人数学級を実現しなければならない

5: 国や教育委員会は、重度知的障害児に対する教育について研究を深め、実行しなければならない

6: 国や教育委員会は、障害をもつ本人に対し、これら諸条件の不備を理由に他の者と異なった扱いを受けたり、資源を利用する権利を制限してはならない

F選択の権利/適切な情報

1:障害をもつ本人や保護者は選択をする上で必要な情報を請求する権利を有する

2:障害をもつ本人や保護者は必要な情報を受け取ることを阻害されない権利を有する

3:国は、障害をもつ本人や保護者が上記の二つの権利を阻害されたとき、是正の申し入れや訴訟などを行うことができる手続きの保障と援助機関が関与できる保障をしなければならない

4:上記機関は国からの干渉を受けない独立した存在の、非営利公益の第三者機関でなければならない

 


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