LADD権利カタログ
《 二の10 欠 格 条 項 : 実 例 》
   

 

 Kさんは聴覚障害があり小さいときから病院でいろいろな検査や治療を受けてきました。そしていつも優しく献身的に働く看護婦さんの姿を見て、大きくなったら自分も看護婦になりたいと思うようになりました。高校生になり看護婦になる道を探っている内に、聴覚障害があると看護婦になれないという法律がある(@)ことを知りました。また看護大学は聴覚障害があるということで受験さえも断ってきました(A)。

 Kさんは看護学を勉強するチャンスだけでも欲しいと願うのですが、大学のほうは「看護学には実習があり、視覚障害があると無理です(B)」、「あなただけに特別なサポートはできません(C)」、「看護婦になれないのだから勉強しても無駄になります(A)」と取り合ってくれません。

 

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 Lさんは重度な障害がありますが、自分で介助者の手配をし、民間住宅での一人暮らしを続けてきました。

 このたび市営住宅に入りたいと申し込んだところ、Lさんのように常時の介護を必要とする人が単身で公営住宅に住むことは法律で認められていないという理由で断られてしまいました(@)。市役所に訊くと、公営住宅に住めるのは自分で身の回りのことができる人(A)で、Lさんのような人は親と暮らすか施設に行くべきだと言われてしまいました(B)。Lさんは、これまでも民間住宅で一人暮らしをしてきたのだから問題はないはずだと言いましたが、そういう決まりですからと押し切られてしまいました。

  @障害があることで一律に免許が禁じられている

 → 障害のために仕事の上で何らかの困難があるかもしれない。しかしそれは職場の問題であり、免許を与えないこととは別の問題である

A障害を理由にして勉強の機会を与えられない
  → 免許を取ることと勉強することは別のことである

B障害についての先入観だけで門前払いをしている
  → 無理かどうかは本人が決めることである

C障害を理由にして勉強する環境を整えてもらえない
  → 学校は平等な学習機会を提供すべきであり、国はそれを支援すべきである

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@障害の重さと生活を営む能力は別のものである
  → 障害という外形的な区分で一律に入居を禁じた法律を持っていること自体、大きな差別である。

A「自分で身の回りのことができる」ことに判断基準を置いている
  → 実際の作業は介助者が行うとしても、それを管理できるかどうかが重要なはずである

B個人の暮らし方を役所が想定、あるいは指図している
  → 自分の暮らし方は自分が決めるのが当たり前であり、役所が口を出すこと自体、異常なことである


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《 U−10 欠 格 条 項 》

 

〈基本事項〉

 障害を持つことによって社会参加を阻まれることはたくさんあるが、障害をもつ人の排除を制度で定め、社会的に正当化しているのが欠格条項である。
 欠格条項には、特定の障害に対して一律に排除を定めた絶対欠格と、一定の要件を定めてそれに当てはまる者の排除を定めた相対欠格がある。

 欠格条項によって自分の進路や夢を絶たれた者はきわめて多いが、それら欠格条項の多くが障害に対する過去の固定観念から作られたものであり、現在のような自立思想の高まりや補助器具の発達や介助者の援助は考慮されておらず、何より本人のやる気や個人差を織り込むという考えのないままに作られていると言っても過言ではない。

 一律の排除を定めた条項が存在すること自体、きわめて差別的であり、国は欠格条項について全面的な見直しを行うべきである。

 

@絶対欠格と相対欠格

1:絶対欠格条項はこれを廃止する

2:相対欠格条項は個人差、補助器具の使用や補助者の介在、活動環境の改善を考慮したものに改める

3:身体状況の変化や補助器具の発達、補助者の質的向上、活動環境のさらなる改善などによって欠格に当たる事由がなくなったと認められるときは、欠格とされていた資格・免許を速やかに回復する

4:国は「欠格条項に関する会議」を設置しなければならない

A欠格条項に関する会議

1:国は欠格条項に関する会議の活動の細目を定める。その細目には以下に述べる諸点を含まなければならない

:欠格条項に関する会議は国からの干渉を受けない独立した存在の非営利公益の第三者機関とする

3:欠格条項に関する会議の構成員には、各種の障害をもつ人が含まれなければならない

4:欠格条項に関する会議は、国および国とは異なる管轄の組織が定めている欠格条項について、それが本当に必要なものなのかを再吟味する

5:欠格条項に関する会議は、上記の再吟味の結果不必要と認められる欠格条項について、その廃止または改善を命ずることができる

6:欠格条項に関する会議は、@の3で述べた資格・免許の回復に関して紛争が起こったときの処理方法を定める

B調査・研究

1:欠格条項に関する会議は、世界各国の欠格条項の現状を知るための調査を行い、その結果を公表する

2:欠格条項に関する会議は、わが国の欠格条項の現状を知るための調査を行い、その結果を公表する

3:上記調査は継続的に行い、欠格条項に関する国内外の状況の変化を公表する

 


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