LADD権利カタログ
《 二の3 施 設 : 実 例 》

 

 障害を持つFさんは、ここ数年自分の障害が重くなり、これまで世話をしてくれていた母親の体調もすぐれず、在宅で暮らしていくための社会的な支援も充分期待できないため、このまま地域で暮らしていくことに困難を感じ、施設に入所しました。(@)

 入所前の説明では、必要なときに高度な介助が受けられ、自分のペースに合わせた生活ができると聞かされていましたが、入所してみると、職員は忙しい忙しいと言って、呼んでもなかなかきてくれない(A)し、Fさんは介助を受けないとトイレを使うことができないので夜は紙おむつ(A)を当てられました。夕食もまだ明るいうちに終え(A)なければならないし、外出のときは一週間以上前から許可を受けなければなりません(A)。

 このようなことについて施設側と話し合う機会を持ちたいのですが、施設長は「うちは精一杯やっていて、まだいいほうです」と言って話し合いの席に着いてくれません(B)

 Fさんは他の施設を知らないのでこれで本当にいいのか外部の人に見てもらいたいのですが、ここには訪れる人も少なく、外部の情報が入ってきません(C)。それに他所との比較でなくとも、人間の暮らす場として、今の状況はおかしいと思います(D)

 オンブズマンという役目の人が監視をしている施設もあると聞きますが、ここにはそのような人はいないようです(E)。

 退所しても一人では暮らしていけない(@)し、今の施設にいたのでは自由はないし、しかし相談する相手もいません(F)

 

@追いつめられた選択として施設入所を選んでいる

 → 多様な暮らし方の選択ができることが必要

@障害があると、地域で暮らしていくことが難しい
 → 施設に行かなくても地域で暮らせるだけの社会的援助の仕組みの整備が必要

A施設の都合による介助で、本人の意向と合っていない  → 居住者の希望を尊重した介助が必要         B施設側が改善に消極的

 → 居住者の声が施設運営に反映される仕組みが必要

C施設と外部がつながっていない
 → 外部とのつながりを持った、風通しの良さが必要

D施設運営の中に人間の暮らしという視点が抜け落ちている
 → 施設側からの視点ではなく、居住者にとって暮らしの場だという視点が必要

E外部からの監視が行われていない

 → 外部から監視する仕組みが必要

F居住者が孤立している
 → 居住者の直面する問題について相談でき、居住者側に立って問題解決をはかる仕組みが必要


LADD権利カタログ
《 U−3  施  設 》

 

〈基本事項〉

 過去の日本において障害を持つ人に関わる施策の中で、居住型施設の持つ役割はきわめて大きいものがあった。施設は本質的にその内部だけで居住者の生活が完結する体質を持っており、加えて立地の容易さから、町の中心部から外れたところに造られることが多く、我が国の隔離を中心とした政策の象徴的存在であった。しかし地域社会の一員としてごく平凡に生きることを可能にする社会資源が求められている現在、これまでの施設のあり方は厳しく再検討されなければならない。

 

@施設

1: 以下のような性格をひとつでも持つ施設の新設はこれを認めない
 a:居住者の意見が運営に反映されない施設

 b:居住者に運営に関する情報が公開されない施設

 c:寝起きする場所と日中活動の場所が分けられていない施設

 d:居住者の自由な行動が不当に管理、束縛されている施設
 e:周辺住民とのつながりを持っていない施設

2: 1で述べたような性格を持つ既存施設は、改善計画を作成しその下で改革を行うと共に、改善が困難な場合は、閉鎖計画を立ててその下で閉鎖する

3: 2で述べた改善計画または閉鎖計画を作るため、各施設は計画作成委員会を作らなければならない

4: 2で述べた改善計画または閉鎖計画の作成作業について、国はタイムスケジュールを定めなければならない

5: 3で述べた計画作成委員会は、居住者およびその施設を監視する団体あるいは個人からの委員が含まれていなければならず、この両者で全委員の過半数を占めなければならない

6: 5で述べた施設を監視する団体あるいは個人とは、国や自治体、施設経営者からの干渉を受けない独立した存在の非営利公益の第三者機関あるいは個人でなければならない

A監視システム

1: 施設は、そこで居住者の人権が尊重されているかを監視する仕組みを持っていなければならない

2: 1で述べた監視は、@の6で述べた団体あるいは個人によって行われる

3: 2で述べた団体や個人は必要に応じて、立ち入り調査、施設の運営に関わる情報の入手、施設への是正申し入れ、是正されないときの訴訟、居住者による訴訟の支援を行うことができる

B施設と地域生活

1: 国や自治体は、障害をもつ人が施設入所という選択をせざるを得ない状況を作り出してはならない

2: 1の目的のために国や自治体は、障害をもつ人が自己決定を尊重され、適切な援助を受けながら自分の選んだ地域で暮らすことができるような社会システムを構築しなければならない

3: 1および2の状況が作り出されたあとにおいて、どこでどのような暮らしを営むかについては、もっぱら障害をもつ人の自己決定にもとづいた選択による

4: 3の選択のために、充分な選択肢の提供がなされなければならない

5: 3の選択を行うために、障害をもつ人は選択肢を比較検討できる情報を入手し、必要に応じて分かりやすく説明を受ける権利を有する

6: 国や自治体や施設は、5で述べた権利を保障しなければならない

C法制化、ガイドライン

1: 国は@ABで述べた事を実現するための法律を整備し、以下のことについてガイドラインを作成する  a:居住者の人権の定義  b:居住者の人権を守る方策  c:人権侵害が起こったときの扱い  d:居住者の意思を尊重する仕組み  e:居住者、職員、周辺住民への人権教育プログラム

 f:施設で提供されるのと同程度の生活レベルを保障できる地域サービスシステムと、それをチェックするシステムの構築

2: 1で述べたガイドラインを定期的に見直すため、国は見直しのためのタイムスケジュールを定めなければならない

3: 1で述べたガイドラインの作成および2で述べたガイドラインの定期的な見直を行う機関には、施設居住者および施設を監視する団体あるいは個人からの委員が含まれていなければならない。またガイドラインの作成や定期的な見直し作業においては、外部からの意見を公聴する機会を充分設定してその意見を作業の中に反映していかなければならず、その発言者には施設居住者および施設を監視する団体あるいは個人が含まれていなければならない  

 


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