LADD権利カタログ
《 二の11 情 報 保 障 : 実 例 》

 

 聴覚障害のあるMさんはテレビドラマが好きですが、聞こえないので何を言っているのか細かなことは分かりません。文字放送や字幕放送を受信できるデコーダーを取り付けましたが、文字放送は数が少ないし、ニュースには字幕はつきません(@)。阪神淡路大震災の時はどの放送局でも被災状況を伝えていましたが、画面から被害の概要は分かるものの、どこがどのようになっているのかはよく分かりませんでした(A)。神戸には同じく聴覚障害を持つ知人がいますが、安否の確認もずいぶん時間がかかりました。

 1999年に茨城県東海村の核燃料工場で起きた事故では、外出を禁止する知らせが聴覚障害をもつ人には届かず、非常に危険だった(B)という報道がありました。もしテレビのニュースに字幕が付いていたら、このようなことは防げただろう(C)と思います。

 アメリカではデコーダーについての法律があり、そのおかげで日本では高価なデコーダーがどのテレビにも内蔵されている(D)そうです。それにニュースにも字幕放送が付いている(E)ので、何か事故があったときでも安心です。

 アメリカでは電話システムも聴覚障害をもつ人が使える(F)ようになっていて、相手が特別な機械を持っていなくても連絡を取ることができるそうです。

   

@聴覚障害があることで、得られる情報が極めて限られている

 → 情報はすべての人に平等に保障されなければならない

A緊急時の情報が伝わっていない
  → 情報は障害の種別に関わらず重要であり、社会的に保障されなければならない

B緊急時の情報が伝わっていない
  → 緊急時の情報不足はしばしば生死に関わる

Cニュースに字幕が付いていない
  → 緊急時の最も有効な情報源はニュースであり、ニュースの情報は全ての人に伝えられる体制が作られなければならない

D日本ではデコーダーの内蔵が義務づけられていないため、量産効果がなく、高価である
  → アメリカでは13インチ以上の全てのテレビに内蔵が義務づけられているにも関わらず、量産効果で価格上昇が抑えられている

Eアメリカのニュースには字幕が付いている
  → 日本では漢字仮名交じり文への誤変換の怖れがあるとか、著作権の問題があるとして字幕化が進んでいない

Fアメリカでは文字電話と音声電話をつなぐリレーシステムがある
  → 日本の聴覚障害をもつ人の連絡手段としてはFAXが多用されているが、これは相手がFAXを持っていなければ使えない


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《 U−11 情 報 保 障 》

 

〈基本事項〉

 現代は情報社会といわれ、情報の持つ重要性はますます大きくなっている。しかし障害を持つ人の中にはこのような情報化の流れから取り残され、生死に関わる情報さえ得ることが非常に困難な人たちがいる。  アメリカではテレビに字幕放送を利用できる機器の内蔵を義務づけているほか、2006年までに全てのテレビ番組に字幕を付けることを表明している。一方、わが国では機器の内蔵が義務づけられていないためにデコーダーを後付けしなければならず、高価なために福祉制度の日常生活用具給付事業の対象となっている。また2007年までに全ての番組の字幕化を表明してはいるが、ニュースやスポーツ中継などは除外されており、生命に関わる緊急性のある情報については保障されていない。これについては漢字仮名交じり文に変換するとき誤変換の可能性があり、情報が正確に伝えられない怖れがあると説明されている。

 またテレビ番組の字幕化については著作権に抵触するという問題もあり、これについてはまだ具体的な方針は明らかにされていない。

 

@情報保障

1:国は障害の態様に関わらず情報を等しく得ることが国民の権利だということを明確にしなければならない

2:国は全ての国民に等しく情報を保障するために必要な施策を行わなければならない

A字幕放送

1:国は全てのテレビ番組における字幕放送の実現に必要な施策を行わなければならない

2:国は上記の目的を実現するための施策のタイムスケジュールを明確にしなければならない

3:国は全ての国民が情報を得る機会が得られるよう、テレビへのデコーダー内蔵を義務づける

4:国は字幕化に伴う誤変換の問題を解決するために必要な技術開発、技術者の養成を行う

5:国は字幕化に伴う著作権の問題を解決するために、関係諸機関の合意を形成して、必要な法律の整備を行う

B電話

1:全ての受話器は音量調節機能を持たなければならない

2:全ての受話器は補聴器の利用を考慮して設計されなければならない

3:電話システムは、聴覚障害をもつ人がFAXなど特別な器具を持ち歩かなくても電話を利用できるよう、整備されなければならない

4:電話システムは、聴覚障害をもつ人と聴者の間の会話ができるような仕組みを持たなければならない

C表示

1:建物や店舗の所在、室名、道路の名称、列車の案内、バスの行き先など、不特定多数の人に情報を伝える表示は、できるだけ多くの人に見やすく、分かりやすいものでなければならない

2:国は上記の目的を達するため、できるだけ多くの人に見やすく、分かりやすい表示について基礎的な研究を行う研究会を設置しなければならない

3:上記研究会の構成員には、各種の障害をもつ人が含まれなければならない

4:上記研究会は、その作業の過程において幅広く障害をもつ人の意見を聞いて、よりよい表示の開発を行う

5:上記研究会は、開発した表示についての追跡調査を行い、表示の改善に努める

6:表示はそれ単独では不充分であり、音声、触覚など他の媒体との重層的な組み合わせが必要である。上記研究会は有効な組み合わせについても研究し、その実現を図る

7:国は上記研究会の研究成果を速やかに実現するよう、関係法令や設計規準を整備しなければならない  

 


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