LADD権利カタログ
《 二の2 住 居 : 実 例 》

 

車いすを使うAさんは親元を離れて一人暮らしをしたいと思っています。アパート探しのために不動産屋に行ってみました。

 1軒目は事務所の入り口に段差(@)があって出入りできないので、入るのを諦めました。

 2軒目で応対に出た係員は「車いすで使えるアパートなんてないですよ(A)。市営住宅にでも頼んだらどうですか」とまともに相手にしてくれません(B)

 3軒目でもやはり同じことを言われたので、「少し改造すれば住めます」と粘ってみましたが、「建物本体に傷を付けることなく改造できますか」「出ていくときは元通りにできますか」(C)「改造費はどうやって工面するのですか(D)」と矢継ぎ早に質問されて返答できませんでした。

 一方で公営住宅では、Aさんのように障害が重くて身辺介助の必要な人が独りで住むことは、公営住宅法で禁じられている(E)そうです。それに数が少ないのでなかなか入居できない(F)そうです。

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 全盲のBさんは不動産屋に、「火事でも出されちゃ困るし、第一あんたも一人暮らしじゃ逃げ遅れるかもしれないじゃないですか。危なくてお世話できませんよ(G)」と言われました。

 別の不動産屋では、いっぱい専門用語を並べられて早口に説明され、何がなんだかさっぱり分かりませんでした(H)

 どこへ行っても点字の説明書や契約書はないし、代わりに読んで下さいと頼んでも面倒くさがってやってくれません。Bさんは一人で探すのは無理かもしれないと思い始めています(I)

 

  @不動産屋の入っている建築物のために中に入れない
 → 《建築物》、《利用》を参照

Aそもそも車いすで使えることを視野に入れて造ったアパートがない
 → 住宅の基本性能を改良する必要

B客としての扱いをしてもらえない
 → 《利用》を参照

C素人には分からない技術的な話でやりこめられている
 → 利用者の立場に立って援助してくれる専門家が必要

D改造への公的助成がない。あってもそのことを知らない
 → 助成制度を作ること、制度があることを広く知らせる、制度や技術的な問題に詳しい人の援助、が必要

E公営住宅法に欠格条項がある
 → 公営住宅法の改正が必要

F車いすで使える公営住宅が少ない
 → 簡単な改造でニーズに応えられる公営住宅の建築の促進

Gこのような根拠はない。危険を未然に防ぐ機器もある。正しい情報を不動産屋に理解してもらう必要がある
 → 客観的な情報を提供することが必要

H分かりやすく説明してもらえていない
 → 消費者にはきちんと分かりやすく説明してもらう権利があり、業者には説明する義務があることを明らかにする。それが守られていない場合に守るように求めることができる手続きを確立することが必要

I障害があるために起こる社会的不利を自力で打ち破る困難さ
 → 支援してくれる人や仕組みが必要


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《 U−2  住 居 》

 

〈基本事項〉

 障害を持つ人の住宅は、建築上の障壁、家主の拒否などによりその選択の幅が限らている。住居の選択が制限されることは自由な居住形態を選ぶ権利が制限されることであり、それは自立した社会生活を送ることを困難にする。従って障害をもつ人の社会参加を支援するためには、十分な選択肢を保障する住宅政策が採られなければならない。
 障害をもつ人の住宅の質は、そこで必要とされる人的介助などの量と質を左右し、それは社会保障システム全体に影響を及ぼす。従って住宅は個人の資産であろうとも、公共財として位置づけられなければならない。

 住宅は人の生活の基礎となるものであるが、障害をもつ人は往々にして、対等な立場で契約を結びにくい圧力を受けがちである。従って、私人間の契約であっても、すべてが契約の自由に任されることは妥当ではない。

 

@契約

1:家主は住宅の賃貸や販売に当たって、障害を理由にして過重な条件を付けたり、拒否したりしてはならない

2:家主は住宅の賃貸や販売を拒否するときは、その理由を明示しなければならない

3:障害をもつ人は家主との交渉や契約に当たって、自らが指定する第三者の同席、助言を求めることができ、家主はそれを拒否することはできない

4:地域での生活は自立への第一歩であるにもかかわらず、障害をもつ人は保証人を得ることが困難な場合が多い。従って国は公的な保証人制度を確立しなければならない

5:障害をもつ人は、家主との交渉や契約に当たって障害をもとにした不当な扱いを受けたと感じたときは、独立した存在の非営利公益の第三者機関に異議や是正の申し立てをすることができる

6:上記第三者機関は上記の申し立てに関して、家主に対して、交渉や契約に関する調査の権限を持つ

7:上記第三者機関は上記調査の結果、家主が不当な扱いを行ったと思われる場合は、申し立て者を代理して家主に対して是正の申し入れや訴訟などを行うことができる。

8:公営、民営に限らず、住宅の決定が抽選によって行われる場合は、応募抽選の機会均等化を計らなければならず、国はこの機会均等化の具体的な方法を策定しなければならない

A建築物について

1:住宅は集合住宅、一戸建て住宅に関わらず、そこで障害をもつ人を含む多様なニーズを持つ人が暮らしやすく、将来の改造を行いやすくするような基本性能を持っていなければならない。この基本性能には、障害を持っていることによって不利になる可能性のある非常時の安全性が含まれる

2:国は上記の目的を達するため、住宅が持つべき基本性能を策定し、建築確認の要件とする

3:上記基本性能の策定に当たっては、定期的な見直し作業を行い、常に質的向上を図らなければならない

4:障害をもつ人は、改造請求権をもつ

5:家主は、民間・公営にかかわらず、正当な理由がないのに住宅の物理的改造を拒否してはならない

6:国は住宅が公共財であるとの認識のもとに、既存住宅に対する改造の助成制度をつくらなければならない。この助成には、賃貸住宅などを退去するときの原状回復に必要な費用も含む。

7:上記助成制度の運用に当たっては、障害をもつ人に最も適切な改造はどうあるべきかを検討する専門家のチームが総合的な観点から検討し、実行しなければならない。
 この検討、実行は障害をもつ人のニーズに個別に対応するとともに、社会生活を送る上で必要な近隣との関係において必要な諸性能にも考慮しなければならない

8:上記専門家チームの活動および改造助成には、改造が当初予想した成果を上げたかの事後評価と、十分な成果を上げていない場合の追加の改造を含む

9:上記専門家チームは建築、介護、リハビリ、補助器具などの専門家および障害をもつ本人、家族、本人の指名する代理人などによって構成するほか、必要に応じて他分野の専門家の参加を求めることができる

10:国が定める改造の助成制度には、上記専門家チームの人件費や必要経費に対する助成を含む

B公営住宅

1:国は現行の公営住宅法について、障害をもつ人の居住に不当な制限を加える条項を廃止、または改正の方向で再検討しなければならない

2:上記再検討作業には、障害をもつ当事者あるいはその委任を受け障害をもつ人の意見を代弁する代理人が参画しなければならない

3:上記再検討作業は定期的な見直し作業を行い、質的向上を図らなければならない

4:上記見直し作業には、障害をもつ当事者あるいはその委任を受け障害をもつ人の意見を代弁する代理人が参画しなければならない

5:公営住宅の供給に当たっては、民間における住宅供給の状況を調査し、必要に応じて障害をもつ人の住宅取得機会が均等化するような優先割り当て制度を定めなければならない

6:上記調査および優先割当制度の策定は、国や自治体からの干渉を受けない独立した存在の、非営利公益の第三者機関が行う

C家賃補助

1:国は、障害があるために所得が充分でなく、家賃支払いのために国が保障すべき生活レベル(所得保障の項参照)を下回る人たちに対し、以下の条件を勘案した上で家賃を補助する制度を整備しなければならない
 ・仕事の関係や近隣との関係など、生活を維持する上でその住宅が必要だと認められるとき

 ・その住宅の品質が、国が保障すべき生活レベルを実現できるものであること

2:国は上記の家賃補助制度のため、求められる住宅の品質を定めるとともに、必要に応じて住宅の品質を改善するための資金補助制度を作らなければならない

3:国は上記の住宅の品質を確保するため、家賃補助の要請のある住宅に対して検査し、改善を命じ、改善の完了を確認しなければならない    

 


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