金田式 SL-110用 ターンテーブルアンプ No.179(Dec 2006 記)

まだまだ校正中

目的

USから帰国し、いろいろあったが、なんとか時間ができたので、ここで、思い切ってターンテーブルアンプを作ることにする。
伝説となっている、「DCモータの駆動系で、ここまで音が変わるのか」という体験をするのが目的。

始まり

ターンテーブルアンプは、部品キットもない。これは、結構、部品が特殊、保守品種と多岐に渡っているのと、あまり本当に作る人がいないためだろう。 とくに、アンプをディスクリートで作るとなると入手難のTrを3組分用意する必要がある。
ただ、DCモータをちゃんとした駆動力の高いアンプで駆動したら、音がどう変わるかは興味のあるところ。なにしろ、もとの駆動回路は、数少ないディスクリート部品でこれだけの動作をさせるという意味で、設計エンジニアの苦労がわかる傑作なのだが、モータ駆動は、トランジスタ1石のコレクタ出力である。
No.179は、アンプにICを使い、他の部分もICを多く使っているお手軽版であるのであるが、金田アンプ愛好者のご尽力で、雑誌には相当のミスプリントがあることも判明している。
とりあえず、簡易版でもあり、アンプそのものに比べ、金田先生ご指定パーツのご利益もすくないであろうと、キャパシターについては、ディップマイカ、一部スチコン・マイラ等を使うことにする。


経過

1)部品
部品集めは、最初、心配したが、ネットのお仲間からの情報とか、聞いてみれば秋葉の店であったりしてそろった。
ただ、LM13600はそのままではなく、LM13700を使用。FG信号を拾うフォトインタラプターもシャープではなくコウデンシのSG2BCを使用。 キャパシターは、SEコンの代わりにディップマイカ、位置検出信号の出力にはスチコン。
電源パスコンの一部には、マイラ。 抵抗は、基本的には、ニッコーム
整流ダイオードは、30年前に入手したガラス封じの東芝の高速ダイオード。
電源のケミコンも、KMではなく、特価のELNAのAudioタイプ。

2)ケースと配置
ケースは、一回り大きな物を使い、電池駆動ははなからあきらめ電源一体型とする。
基板の配置も写真をみれば分かるように雑誌とは違う。
3)配線
先人のご尽力で判明している雑誌のミスと考えるべきところは、下記。

*制御部回路図(図5)
ホトインタラプター関連
−フォトトラ部のEが0V接続だが、この信号を受けるのが、+−5V電源のコンパレーターなので−5Vにすべき。
−フォトダイオード部のKも、0Vでは、実際若干光量不足気味で、−5Vにつなぐ。
MC14011B関連
−11番ピンと13番ピンが逆
−14番ピン(+5V)、7番ピン(−5V)の接続なし。
−Xtalとパラレルに入っている抵抗が回路図では1.8Mオーム、実体図では1.5Mオーム。実際使ったのは、1Mオーム。
*MC14046B関連
−14番ピンと3番が逆

*制御部実体図(図20)
基板表
−下に2つ並んだ33・45回転用VR 10Kオーム、回路図では5Kオーム
−その近くの位相制御量調整VR 10Kオーム、回路図では2Kオーム
−上のVR近辺の3つの680Kオームの抵抗は、回路図では、390Kオーム2個、820Kオーム1個
−同じく近くの82kオーム、回路図では、39kオーム。
基板裏
−電源用縦パターンの左から2本目への5Vジャンパーは、上から1/3程下がったところへ
−電源用縦パターンの左から4本目への5V未接続
−ICピン用の横3穴パターンの左から3列の上から2つめと3つめへのジャンパーが、ひとつずつ上で、3つめと4つめにつける。
−ICピン用の横3穴パターンの左から4列の上から2つめに入っているジャンパーは3つめにつける。
−ICピン用の横3穴パターンの左から6列目の上から10番目、−5V未接続。


*ゲインコントロール基板、裏(図19)
−I2とI1の指示が逆
−+5Vの基板電源用棒パターンへの接続が間違えて‐5V用につながれているのでショートする。隣の棒パターンへ。

その他、内臓したため、電源配線用に、端子板を使った。
プレーヤ部は、雑誌の通り改造。使用したのは、3台所有しているSL-110/1100の内の新しいものでモータは、MJL9Aというもの。初期のものは、MJL-12Aを使っている。

調整等

まず電源をやっつけて、クロックから入る。クロックと分周器の動作をオシロで確認。分周期の出力は、細いパルス(原クロック巾)なので、オシロは、最高輝度でがんばってもらう。
位置検出信号発振器
オシロで発振周波数を確認して、振幅を無負荷で確認。オシロの誤差かツェナーの偏差かで、5.38Vに対し、5.1V前後と若干低目。
で、プレーヤーの改造を済ませて、FGパルスを確認。ここで、インタラプラッターの接続を間違えていて、修正するがおかげで鏝の熱で引き出し部が結構きたなくなった。いつかシリコンの充填材でも入れてきれいにしよう。
で、位相制御部のVRをMINにしてターンテーブルを回転させる。
最初は、まわらず。ICの電源配線を何箇所か忘れていたため。
回転を始めたので、まずは、位置検出信号発振器の出力コンデンサーの調整。なにしろ回路図には、他のプレーヤー用より一桁多い82000pFと入っているし、実体基板図には記載されていない。多分8200PFの間違いであろうと今は廃止になっている手持ちのスチコンを集め8200pFより始める。大体共振はしているらしく、プレーヤーをつなぐと15Vほどになる。10000pFでも、5000pFでも振幅は減るので、手持ちが許す限り調整し、3900pFを2個の7800pFにする。これで、16Vちょいになる。
ゲインコントロール基板で、オフセット調整。波形が上下対称でないのでDC成分をキャンセルする方向か、ピーク値が上下で同じに持っていくか悩む所。目分量で、DC成分が0になるような所へもっていった。このクライテリアだと、回路図の500オームでなんとか調整できる。ピークと言われると、ここの抵抗値はもう少し大きめにする必要がある。
その後、アンプゲインの調整、ここも、3chの波形が完全に相似ではないので悩むところ、振幅の小さなchのゲインをほぼ調整範囲最大にして、この辺だろうというとこにきた。
で、位相制御をゼロにして、まずは、祖調整でも言うべき、速度調整で33/45回転の双方に合わせる。
回路図通りでは合わず、18Kオームと15Kオームとなった。

で、クロックとFGをオシロで見ながら位相ロックをかける、VRをあげるとちゃんと少しまわした所でロックする。
雑誌の記事通り、位相制御をかけ過ぎると振動を始める。ロックがかかって控えめな所で止める。

音質等

早速、いろんなLPを聞く。 ピアノトリオのベースが、がーんとピアノが入ってきてもちゃんと残る。ニールヤングのハーベストの英語がすらすら聞き取れる。ボーカルの微妙な息遣いがちゃんと聞こえる。
噂は、本当であった。一言でいうと、ますます分解能があがり自然に聞こえる。 友人達とのオーディオの会でも、録音・再生メディアを意識させない音に近づいたとの感想が聞かれた。
たまに、スクラッチがこれが目の前で回っているレコードの音なのを思い出させてくれる。
写真は、最近出来上がった、6336Bのメイン等と並べて取ったもの。

今後の課題等

位置信号発振器の出力コンデンサーの値が気になって、「オーディオDCアンプ製作のすべて」を確認すると、SL-1200は2000pF、SP-10MK2が8200pFとなっているが、No.129の雑誌記事では、SL-110が8200pFとなっている。今回使用した、SL-110のモータは少なくとも初期のSL-1200と共通のはずで、矛盾がおきる。
実際調整中も念の為と200pFを試した記憶があるのだが。ひょっとしたら発振器の周波数が共振周波数の2倍になっているのかもしれない。なぜなら、Cが4倍違うということで、周波数が2倍になるからだ。次回、時間ができたときにもう一度2000pFを試してみようと思う。

今回、金田式ターンテーブル制御系の効果が確認できたので、SL-110は内部に余裕があるので内臓形を作ってみたい。
後、SL-7/SL-10等のICで回っているジャケットサイズプレーヤの最終段だけまともなアンプに変えたらどうだろうと思い始めている。

追記

2007年2月15日
位置信号発生器の出力コンデンサーについては、WEBの先人よりご指摘があり、表にある1200は、MK3との事。
本文をよく読むと、その記述がある。
早とちりであったが、一安心。