「宗玄」「くどき上手」ときて、今回は雄町米の「風の森」です。前の二つと比べると、香り
の強さはやや劣るものの、飲み口はすっきりとして、後味が口の中に留まりすぎないところが
特徴と思われます。従って、天ぷらなどの揚げ物や油ものにも合う酒と言えます。ちなみには山ウドの天ぷらを塩で食しましたが、この酒は実に
よく合いました。一口酒を含んでその味と香りを楽しんだあと、山ウドを口に入れる
とその香りがいっそう引き立ち、さらにもう一口酒を含むと次は口に残る油分がすっ
きりと洗い流され、そして優美な酒の香りの余韻を味わうという、これまた幸せのひ
とときです。また、「風の森」全般に言えることですが、この酒はコストパフォーマンスが高
い。つまり、安くてうまいということです。こういう良心的な酒蔵にはずっと頑張っ
てもらいたいと思います。…飲み続けますので。(富田様)
酒未来・純米吟醸「くどき上手」生酒(亀の井酒造)について
酒米は「酒未来」。この「酒未来」という酒米は初めて目にしましたが、「山田錦」と共通したふくらみのある香りが印象的でした。日本酒度は+1とありますが、しっかりと管理保存された「生酒」に関して言えば、甘辛は二の次と言うべきでしょう。それよりもこの酒の場合は、購入したその日より2日目、2日目よりは3日目と、舌先に感じる味わいが増したように感じました。「旨味成分」が増しているのでしょうか、専門的なことはわかりませんが、開栓して5日目(この日に全部飲んでしまったのでその先のことはわかりませんが)、がもっとも味わい深い感がありました。
次回は何を飲ませてくれるのでしょう、楽しみです。(富田様)
平成15年4月の新酒宗玄雄町純米・無濾過生原酒飲んだ感想
香りの高い酒です。いわゆる「吟醸酒」の吟醸香とか、「フルーティー」な香りだとかいったものと質と量感が違います。今、おおかたの日本人が求めている「淡麗辛口」という平べったい味覚文化と、ある意味対決の姿勢を見せているかのような主張のはっきりした、曖昧さのない酒蔵の心意気を感じます。鼻腔に広がる香りはクチナシのようで、それでいて甘ったるい酒ではなく、舌には口に含む食物の味を柔らかくふくらませ、例えば「銀だらの粕漬け」とか、この季節で言えば「蕗の煮物」などが特に味わい深くなる気がします。もちろん、酒だけでもいけます。 「生酒」は世に多くあれども、町の居酒屋や量販店の酒屋では多分この手の酒は手に入らないでしょう。「すぎむら」さんと出会えてほんと、よかった。
冨田 亨(44歳男 妻と子ども3人あり)