一滴に杜氏の技が光る
地酒><BR><BR>
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               当店会員の方が当店販売の商品を飲んだ感想を募集致しております。
無濾過生の商品の今の味を知って頂くために開設いたしました


10月29日 黒伊佐錦(芋焼酎)。大口酒造協業組合(鹿児島県大口市)製。 焼酎にも「無濾過」があることを初めて知りました。ラベルに「蒸留したての新酒を濾過せずそのまま詰めました。無濾過特有の強い香りとコクのある味わいをお楽しみ下さい。」とありましたが、この酒を飲んでいるときに6歳の娘が「これサツマイモのにおいがする。」と言ったのにはびっくりしました。それほど芋の香りが強いのです。わずかに「えぐみ」を感じますが、いい意味での個性になっていると思います。特に食後酒にいいと感じました。
9月28日 風の森・山田錦・純米斗瓶取り・無濾過生原酒(油長酒造) 純米斗瓶とり、酒米は「雄町」。無濾過無加水生原酒。 確か、5月に雄町米の「純米しぼり華」を飲みましたが、これはその「冷やおろ し」ではないでしょうか。何となく味と香りに同系列のものを感じました。ただ、 「しぼり華」が「さわやか」だとすると、こちらは「まろやか」です。一夏寝かせた分 、熟成が進んだのかもしれません。 とある杜氏の方に伺ったのですが、仕込みの終わった原酒を貯蔵するのに、吟醸 酒と大吟醸酒では貯蔵庫の温度を違えてあるのだそうです。大吟醸の方がより低温で 熟成させるとのことでした。つまり一夏寝かせると簡単に言っても、相当厳密な温度 管理を要しているわけで、またそうしているからこそ、こうしたうまい酒を頂けると いうことを肝に銘じて、日々味わわなければなあと思いました。(富田様)  
9月24日 さつまの海」大海酒造協業組合製造。  鹿児島の芋焼酎です。先日の台風15号と前後して東京はいきなり涼しくなりまし た。温かい酒が時に恋しい季節の到来というわけです。  この「さつまの海」もしばらく氷を入れて飲んでいたのですが、そういうわけ でお湯割りを試しました。何とも不思議ですが、香りの広がりが全く違います。もち ろん、お湯割りの方が豊かです。しかし、香りが豊かゆえに水っぽさというかお湯 っぽさというものが惜しい気がしました。それならストレートでと思ったのですが、 お湯割りほどの香りが立ちません。そこで少し燗をしました。温度計で計った訳では ありませんがおよそ人肌くらいから香りが豊かになりました。なるほどこういう飲み 方もあるのだと新たな発見がありました。  いろいろな飲み方が試せるのもよい酒だからこそと言えます。これからの季節、ス トレートに加え、燗も楽しめるような焼酎と出会えたという喜びがありました。(立川の冨田様)
8月8日 澤乃井「辛口にごり酒」(小澤酒造株式会社)  この酒は本醸造酒です。つまり「醸造用アルコール」を使用している酒で、「醸造用アルコール」で味が整えられている分飲みやすいと言えば飲みやすいのですが 、好みから言うと本当は足されたアルコール部分が浮いている感じがしてどうも今ひとつなのです。ところが、この酒は製造月日がなんと「01年11月」。2年近く眠 っていた酒なのです、それも杉村さんの冷蔵庫で。これが酒造元から出荷されたものな解りますが、一販売店の主人が執念とも言える情熱を以て寝かせていたものなの です。  その結果、多分出荷当時は多少「発泡性」があって、「辛口にごり酒」の名に ふさわしいものであったかもしれませんが、今ではじっくり落ち着き醸造酒とは思え ない深くて淡い味わいがあります。  これは果たして「酒蔵」と、販売店としての「酒屋」のどちらの手柄なのでし ょうか。正直なところ、例えば、「去来抄」の言う「誠に作者その心をしらざりけり 」に近いものを感じました。
7月19日 「宗玄」酒米は「純米八反錦」精米歩合55%。無濾過生原酒。 宗玄酒造株式会社製。(石川県珠洲市寶立町宗玄)  この夏休みに、子どもを連れての家族旅行にかこつけて、宗玄を訪ねることにしました。「宗玄」の「山田錦」と「雄町」に感激したからですが、今回「八反錦」にも新たな感激がありました。それは鼻腔を抜ける香りの清々しさです。いわゆる「辛口」に属する感じの舌上の感触ですが、それが、この季節にはほどよく快い清涼さにつながっています。
7月19日 「蕃薯考」(芋焼酎)  店頭で試飲をさせてもらった一杯でコメントをするのはなかなか難しいのですが、実に香り豊かで爽やかな一杯でした。サツマイモの、昔懐かしい「焼き芋」の香りが、口に含んだ瞬間に訪れ、口いっぱいに広がると、するっとほどけて抜けていく感じが非常に魅力的でした。今、我が家にある「白金の露(しらかねのつゆ)」(芋焼酎・鹿児島)のある意味香りの強さと対照的な(店頭で飲ませてもらったものは、クーラーから出した冷たいものだったので、その辺のニュアンスが何とも言えないのですが)ものでした。聞けばその名は江戸時代の書物から取ったものだそうで、製造法をその書物に倣ったということです。本当に江戸時代の人がこのような焼酎を飲んでいたとしたら、我々はこの数百年をいったい何のために費やしてきたのだろうという思いに駆られる一杯でした。
6月24に日・いも焼酎「一壷春(いっこしゅん)」 古澤醸造合名会社。(宮崎県日南市大堂津) 原材料、甘藷・米麹。甕壺仕込、甕壺貯蔵。  サツマイモ(銘柄はわかりませんが)のよい香りがまずは、鼻腔に広がります 。味に「甘み」や「辛さ」のそれほどない焼酎は香りが全てだと思っています。焼酎 に使う麹にも色々あると思いますが、これは「白麹」を使っているとうかがいました 。九州の焼酎は「黒麹」を使ったものもかなりあると聞いています。何度か、そうい うものも飲んでみました。その人の好みで、どちらがどうというわけではないと思い ます。今回はオンザロックを中心にいただいておりますが、食中はもちろん、食後 の酒としても(個人的には食後の方が)いいと感じました。実にいい香りです。鼻に つかず、あっさりとして、舌先からすうっと消えていく感触が心地よい酒でした。  時に、焼酎はその銘柄に人気が出ると、途端に市場から顔が消え、たまたま出 くわすとびっくりするほどの値段になっているのがどうも納得できません。願わくは 、「売れない時代を支えた贔屓の貧乏人」を大事にして頂きたいと思うわけです。    立川市 冨田
6月13日「天の戸 美稲」(あまのと うましね)純米にごり生酒。浅舞酒造株式会社(秋田県平鹿郡平鹿町)。 酒米は「美山錦、吟の精」。 癖のない飲み口の非常にすっきりとした酒です。「にごり生酒」とありますが 、澱が少しある程度の清酒に近い感じです。無濾過生原酒に特有の芳香は充分に感じ られますが、口の中でほどけて消え去るさまはこの手の酒が苦手な方にもいけるよう に思います。すっきりとした飲み口なので、和食に限らず様々な料理にも合うと思われます。 個人的にはあっさりとした味わいにややもの足りなさを感じているので、もう少し寝 かせた後の「冷やおろし」あたりをいただきたいと、そんな贅沢なことを思ったりしております。                   立川市 冨田
6月5日「風の森」13BY純米吟醸斗瓶とり(油長酒造株式会社)。酒米は兵庫県産「山田錦 」、精米歩合60%。酒瓶の裏ラベルによると、仕込み水は「金剛葛城山系地下伏流 水」とのこと。役の行者(役小角)をはじめ古代日本の様々な伝説にゆかりのある地 の水と思うと、徒や疎かにはできないものとは思いながらも、緊張感に欠けただらし ない飲み方をしてしまい申し訳なく思っております。  常日頃「山田錦」は万人向けで面白さに欠けるなどと思っていたのですが、こ の酒は違います。よほどうまく拵えたのでしょうか、またはやはり「斗瓶とり」の製 法がいいのでしょうか、酵母(K-7)が、いや「水」がなどと色々考えたのですが、素 人にはわかりませんでした。香りのよいこと、味わいがしっかりとありアルコール臭 が表面に出ないこと、後口がすっきりとして様々な料理と合うこと、など今まで飲ん だ酒の中でも理想型に近い気がします。正統派の「無濾過生原酒」、「文句あるか」 という感じでした。
   立川市  冨田様(44歳男)

5月16日「宗玄」純米山田錦、無濾過生原酒 精米歩合55%(宗玄酒造株式会社)
 前回の「宗玄」は純米雄町でしたが、今回は純米山田錦です。雄町と比べると やや軽い感じで、飲みやすさということに限ればこちらが上かもしれません。ただ、 雄町のような「癖になってしまいそう」といった個性には若干欠けると言える気がし ます。そういう意味では万人向けで文句のつけようはありません。  瓶やラベルには「日本酒度」「酸度」などの表示はありませんが、「日本酒度 」はおそらく+2〜+4度くらい、開栓後の味の深まりから見ても「酸度」も決して 低くはないと思います。ほとんどの料理に間違いなく合う味です。  不思議な感覚ですが、「文句のつけようがない」ところが、不満な気分です。 個人的には「純米雄町」に惹かれるものの、大衆スター「純米山田錦」に抗えない自 分も認めざるを得ないのが実情です。(富田様)


15年5月10日「風の森」雄町純米しぼり華。酒米は雄町米。油長酒造株式会社製。
「宗玄」「くどき上手」ときて、今回は雄町米の「風の森」です。前の二つと比べると、香り の強さはやや劣るものの、飲み口はすっきりとして、後味が口の中に留まりすぎないところが 特徴と思われます。従って、天ぷらなどの揚げ物や油ものにも合う酒と言えます。ちなみには山ウドの天ぷらを塩で食しましたが、この酒は実に よく合いました。一口酒を含んでその味と香りを楽しんだあと、山ウドを口に入れる とその香りがいっそう引き立ち、さらにもう一口酒を含むと次は口に残る油分がすっ きりと洗い流され、そして優美な酒の香りの余韻を味わうという、これまた幸せのひ とときです。また、「風の森」全般に言えることですが、この酒はコストパフォーマンスが高 い。つまり、安くてうまいということです。こういう良心的な酒蔵にはずっと頑張っ てもらいたいと思います。…飲み続けますので。(富田様)

酒未来・純米吟醸「くどき上手」生酒(亀の井酒造)について
 酒米は「酒未来」。この「酒未来」という酒米は初めて目にしましたが、「山田錦」と共通したふくらみのある香りが印象的でした。日本酒度は+1とありますが、しっかりと管理保存された「生酒」に関して言えば、甘辛は二の次と言うべきでしょう。それよりもこの酒の場合は、購入したその日より2日目、2日目よりは3日目と、舌先に感じる味わいが増したように感じました。「旨味成分」が増しているのでしょうか、専門的なことはわかりませんが、開栓して5日目(この日に全部飲んでしまったのでその先のことはわかりませんが)、がもっとも味わい深い感がありました。
 次回は何を飲ませてくれるのでしょう、楽しみです。(富田様)
平成15年4月の新酒宗玄雄町純米・無濾過生原酒飲んだ感想
 香りの高い酒です。いわゆる「吟醸酒」の吟醸香とか、「フルーティー」な香りだとかいったものと質と量感が違います。今、おおかたの日本人が求めている「淡麗辛口」という平べったい味覚文化と、ある意味対決の姿勢を見せているかのような主張のはっきりした、曖昧さのない酒蔵の心意気を感じます。鼻腔に広がる香りはクチナシのようで、それでいて甘ったるい酒ではなく、舌には口に含む食物の味を柔らかくふくらませ、例えば「銀だらの粕漬け」とか、この季節で言えば「蕗の煮物」などが特に味わい深くなる気がします。もちろん、酒だけでもいけます。 「生酒」は世に多くあれども、町の居酒屋や量販店の酒屋では多分この手の酒は手に入らないでしょう。「すぎむら」さんと出会えてほんと、よかった。               冨田 亨(44歳男 妻と子ども3人あり)




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