食品の栄養素


蛋白質 コラーゲン 脂質 コレステロール 糖質 食物繊維

ビタミンA ビタミンB1 ビタミンB2 ナイアシン パントテン酸
ビタミンB6 ビタミンB12 ビタミンC ビタミンD ビタミンE
ビオチン ビタミンK 葉酸 ビタミンP

カルシウム リン マグネシウム ナトリウム 塩素
カリウム 亜鉛 ヨウ素 マンガン セレン モリブデン クロム コバルト 硫黄 ゲルマニウム

補足
酸と塩基 核酸 所要量 薬理作用 水溶性 脂溶性 野菜の栄養価 活性酸素対策
ストレス 食品添加物 遺伝子組み替え食品 電子レンジ
アルコール・フェノール ポリフェノール フラボノイド タンニン カロテノイド 硫黄化合物
トランス酸


栄養素について

 食品に含まれる栄養は見た目には同じでも栽培の仕方や季節により異なり、旬の野菜は季節はずれのものに比べて、栄養価(ビタミンC、カロテンなど)が2倍から3倍以上も違うようで、できるだけ旬のものを食べるのが良いとされます。
 現在は野菜よりも肉食が主流になっていますが、健康維持の点から考えますと、菜食主体の方が良いのではないかと思われます。
 しかし、穀物と菜食を主体にした場合、つまり偏食する場合には、個々の食品に対する栄養素の知識が必要になってきます。 というのは、その認識に欠けるとミネラルやビタミンなどの欠乏が生じかねないからです。 しかし、その知識を持っていれば、何が欠け気味になるのかが分かり、それを意識的に補充することによって栄養の欠乏を回避することができます。
 また、穀物と肉だけという場合にも、やはりビタミンやミネラル(特にカルシウム)の欠乏に陥りがちですから、栄養素について理解を深めておく必要があります。 そこで、以下ではこの概要を述べることにします。

項目説明/1日の所要量/欠乏症・過剰症/多く含む食品
蛋白質  蛋白質は体の重要な構成要素で、20種のアミノ酸から構成されます。 そのアミノ酸の中には、体内で作られないか、または十分に作られないものは、必須アミノ酸とされ、これは11種のものがそうです。

 必要となるアミノ酸が全て揃わないと蛋白質が作られないことより、その成分構成も重要になってきます。 例えば米ではリジンが不足していて、これだけでは全てのアミノ酸が十分に活用されない状況になっています。 (なお、このリジンには肌を整える働きがあるとされます。) このため、例えば牛乳や鶏卵のアミノ酸価が100であるのに対して、米では61L(Lは欠乏しているアミノ酸のリジンのこと)となっています。 つまり、摂取した蛋白質の少なくとも39%が無駄になってしまいます。 これは、パンや中華麺の場合も同じで、パンは42L、中華麺では36Lとなっています。
 さらに米や野菜の蛋白質自体が少ないので、菜食主体の食事では、蛋白質が不足する事態となっています。 このため、牛乳、卵、肉、魚、豆、干し海苔などで補う必要があります。
 特に干し海苔の場合、蛋白質の成分が多く(重量比39%。これに対してご飯は2.6%。つまり10倍以上も違います。 さらに米などには不足しているリジンは十分に含まれ(米の1.4倍)、実質的には約20倍くらい違ってきます)、一見それほど栄養にはならないと思われがちですが、実際には無視できません。 つまり、市販されている干し海苔一枚の重量は約2gですが、これは米の蛋白質の栄養価に換算すると、40gくらいということになります。 ご飯の茶碗一杯の重量が約140gということですから、海苔四枚でそれと対等以上になります。 (もっともこれは腸での吸収率を除外してですが。海草類の場合、吸収率が比較的悪いとされます。)

 ただ、肉、魚介類、穀類は酸性の食品なので、これらの食品を多量に食べる場合には、野菜、果物、海草類(ワカメ、昆布。特にワカメのアルカリ度が高い)も食べるようにするべきです。 特に肉(他には卵黄、玄米、するめ、かき、まぐろなども)の酸性度は高く、野菜(特にほうれんそうやキャベツ、大根、大豆、あずき、いんげんまめ、しいたけなど)や果物(バナナ、ミカン、ナシ、リンゴ、イチゴ、干しブドウ、くり、柿、スイカなど)も一緒に食べる必要があります。 嗜好品では、お茶、コーヒー、ぶどう酒、カレー粉もアルカリ性食品です。
 しかし、蛋白質の過剰摂取は肥満や大腸ガンの原因になったり、悪玉の腸内細菌を増加させるようになることより、あまり推奨されません。(腸内細菌が産生するものの中には、発ガン物質となるものも少なくないようです。腸内細菌は一定の数が繁殖していて、あるものが優勢になると、他が劣勢になります。したがって、悪玉の腸内細菌を抑制するには、善玉の方を優勢にすることが効果的ということになります。)

 動物性蛋白質と植物性蛋白質の違いは、単に蛋白質を構成している各アミノ酸の成分比率の相異にすぎません。 特に植物性蛋白質の場合には、ある必須アミノ酸が十分に備わっていないことが多く、このことが動物性蛋白質が優良であるとされる由縁です。 ただし豆類は優良で、あずき・いんげん豆・ささげ・だいず・緑豆はアミノ酸価が90以上となっています。

 因みにだいずなどの場合、害虫に強い作物の遺伝子を組み込むことが行われたりします。 しかし、植物の中には有毒なものが多く(害虫に強いということはこれが関係しているのではないかと思われます)、そうした遺伝子組み替え作物の安全性が疑問視されています。
 また、国産のものが外国産に比べて安全だと言われるのは、外国産の場合には、輸送時の害虫被害や鮮度などの劣化を防止するためにさまざまな薬品が散布・塗布されることが理由のようです。 また、作物を育てる場合、危険性の高い農薬を使っていることもよくあるようです。
しかし、穀類に不足しがちなリジンはそれほど多くはなく、この不足をカバーするものにはなっていません。 特に小麦が少なく、このためリジンを他の食品から補給しないと摂取した蛋白質の5割以上が無駄になります。 パンを主食とする欧米人が肉をよく食べるのは、このことが一因になっているように思われます。 しかしながら、そうした食生活に不足しがちなのはビタミン類です。
 一方、我が国では蛋白質の不足をみそ汁である程度カバーするようになっていて、ご飯にみそ汁というのは、理に叶ったものになっています。 また、食材を少量ずつ多彩に盛り合わせるという習慣は、個々に不足しがちなアミノ酸を補足させ合って、アミノ酸価を100に近づけるという「平均値効果」を狙ったものと考えられます。

 肉や魚を焼いて食べる場合、コゲが生じますが、このコゲに含まれるトリプトファンのコゲ(トリプPと命名された)には強い発ガン性があるとされます。 生成量は微量ですが、かなり強い変異原性があるとされ、コゲはできるだけ避けた方がよいようです。 そうしたコゲは以前から食べられていて、何も問題になってはいなかったではないかと考えるかもしれませんが、これはその影響がかなり後になってから現われるものだからでしょう。 つまり、遺伝子が傷つけられて、それがガン細胞になるとしても、ガンとして顕在化するには10年以上かかることより、その因果関係を把握できなかったからでしょう。
 また、以前は平均寿命が短かったため、ガンが顕在化する前に死亡する人が多かったということも関係しているでしょう。 現在は、食生活の改善や医療の発達により高齢化社会を迎えていて、発ガン物質に対して高い関心が持たれるようになってきました。

 なお、ストレスは様々な悪影響を及ぼしますが、これは蛋白質とも関係し、ストレス状態になるとエネルギー源として蛋白質も利用しようとするため、体内から蛋白質が引き出され、この欠乏が起こり易くなってしまいます。 その状態の時、蛋白質の摂取が少ないと、肌荒れや筋肉の低下(腰痛の原因にもなる)、免疫能力の低下、肝臓機能の低下(これにより活性酸素などの有害物質の除去に支障を来すようになり、ガン化を促進させてしまうことにもなる)などが生じるようになります。

成人男性…70g(体重64kg×1.09)
成人女性…56g(体重51kg×1.09)
欠乏症…成長不良、貧血、疲労、肝障害、免疫力低下など
過剰症…蛋白質が体外に排出される際カルシウムが消費されるため、蛋白質の多量摂取は骨粗しょう症の原因になることがある。
魚貝類、肉類、卵類、乳類、種実類、豆類、藻類(乾燥品)。
なお、ご飯は2.6gなので、茶碗一杯は、2.6×140/100=3.6gとなります。
コラーゲン  コラーゲンも蛋白質の一種ですが、これは通常の非コラーゲン蛋白質とは異なり、細胞の外に出て、細胞同士を結びつけたり、細胞間マトリックスを形成して細胞などを正しく配置する役目を果たしています。
 また、コラーゲンには細胞に酸素や栄養素を渡したり、老廃物を経由するという働きもあり、コラーゲンが減少すると、この働きが滞るようになってしまい、細胞の新陳代謝が低下して老化の原因になります。

 コラーゲンが特に多く含まれている部分は皮膚(40%)や骨・軟骨(20%)で、他には腱、血管、内臓などとなります。 体全体では、全体重の約6%をコラーゲンが占めているとされます。
 体全体の蛋白質の割合では、約30%がコラーゲンとされます。 蛋白質の数は非常に多く、その数は10万種類以上とされることより、コラーゲンが如何に多いかということがそれで分かります。

 骨はスポンジ状の網の目のようになったコラーゲンの中にカルシウム化合物が沈着してできたものです。 もしコラーゲンの合成が十分に行なわれないと、骨が弱くなって折れやすくなるところの骨粗鬆症が生じることになります。
 また、関節の軟骨にもコラーゲンが多く、コラーゲン不足になると、軟骨の弾力性が失われて水腫が発生したり、軟骨が減って硬骨同士が接触するようになり変形性関節炎の原因にもなります。 (これを改善するためにはコラーゲンの摂取が有効とされますが、ある臨床試験では有効性が認められたものの、他の臨床試験ではあまり有効性が認められないという結果もあり、はっきりとした有効性は立証されていないようです。)
 血管もコラーゲンで支えられていて(他にはエラスチンもあります)、コラーゲンが不足すると血管が弱くなり、異物の侵入を招くことになります。 特にコレステロールが血管に入り込み、これにカルシウムが沈着すると、動脈硬化を引起こします。 

 コラーゲンの構造は、普通の蛋白質が球状の塊になるのとは異なり、長い棒状となり、これが3本より合って3重らせん構造をしています。 また、そのらせん構造では所々橋架けのように結合し合っていて、コラーゲン全体としての強度をさらに高めています。

 コラーゲンのアミノ酸組成は他の蛋白質と比較すると独特の組成となっていて、グリシンが最も多くこれはコラーゲンの約1/3を占め、他に多いものとしては、プロリン及びヒドロキシプロリンが21%(なお、これらは正式にはアミノ酸ではなくイミノ酸となります)、アラニンが11%と、かなり偏った構成となっています。 非コラーゲン蛋白質ではグリシンやプロリンはどちらかといえば少ない部類に入るアミノ酸です。 なお、植物の場合の細胞間結合にはコラーゲンは用いずにセルロースを用いていて、植物性蛋白質と動物性蛋白質の大きな違いの一つは、コラーゲンがあるかどうかであると考えられます。
 コラーゲンにのみ見られる特殊なアミノ酸であるヒドロキシプロリンやヒドロキシリジンはプロリンやリジンの側鎖(各アミノ酸を特徴付けているもの)の水素が水酸基に置き換わったものですが、この置換はコラーゲン分子の初期合成後に行なわれ、この置換を補佐するのがビタミンCです。 この水酸基による水素結合によって、コラーゲンの3重螺旋の構造を保っています。

 水素結合は、酸素と水素との共有結合電子が正電荷の強い酸素側に強く引き付けられることによって端側の水素には分極による正電荷が現われ、これと負の分極が生じている分子の端の原子と引き合うことによります。水素結合の身近な例は氷です。なお、この電気的引力は小さな分極によるもののため、この力は距離とともに急速に減衰します。つまり、これは十分に接近している場合以外には有効な引力ではないため、これは分子構造を保っている共有結合と似ていますが、違いは結合が選択的であることと、結合が比較的弱いことです。遺伝子の二重螺旋も水素結合により保持されていて、これまた外部の影響を受けやすくなっています。
 もしヒドロキシ化が十分に行なわれないとコラーゲンが弱くなり、例えば血管が破れやすくなります。 これが壊血病と呼ばれるものであり、初期の長い航海では最も恐れられたものです。 これはビタミンCが全く欠乏したことによるもので、長い航海で野菜や果物をほとんど食べつくした結果、野菜や果物を全く食べなくなったためでした。

 さらに、コラーゲン分子の長い側鎖になっているリジン同士が橋架け結合をして、肌などの弾力性を保っています。 しかし、中年以後になると異常な橋架けが多くなります。 これは老化架橋と呼ばれるのですが、これにより肌の弾力性が低下したり、シミやシワの元となります。 この異常な橋架けの原因は紫外線によって作られる活性酸素とされます。
 コラーゲンの老化架橋が血管に生じると動脈硬化や高血圧の原因となり、コラーゲンを摂取することは動脈硬化の一つの予防となります。  

 コラーゲンの分解は蛋白質分解酵素のペプシンによってはできず、コラゲナーゼという酵素が必要となり、これにより3本鎖が切られます。
 また、コラーゲンは低温の熱によっても分解され、この場合には3本鎖が解けた状態になります。 この状態となったものがゼラチンです。 ゼラチンを加水分解すると、一本鎖が細切れとなったコラーゲンペプチドになります。
 コラーゲンが熱で分解される温度は、人や豚などの恒温の陸上動物では約40度くらいですが、海に住む魚などの変温動物(これは、魚が熱容量の大きい水と常に接していることより、恒温性を保つのは難しいからと考えられます)では、0〜25度の温度になります。

 若い場合には繊維芽細胞によるコラーゲンの合成能力が高いことより、コラーゲンの摂取不足はあまり問題とならないようですが、加齢とともにこの能力が低下し、このため合成される量よりも分解される量(1日に壊れるコラーゲンの量は2000mgとされます)の方が多くなり、皮膚ではシミやシワが発生してこの老化を引起こします。
 なお、皮膚の弾力性を保っているコラーゲンやエラスチンは紫外線により生じた活性酸素によって損傷を受けます。 エラスチンも細胞間マトリクスを形成しているものです。
 また、コラーゲンとエラスチンを結びつけているのがヒアルロン酸で、これは保水力に優れていることより、乾燥肌を防止するのに良いようですが、通常の食品から所要量を満たすのは難しいため、これはサプリメントから摂取するのが良いようです。

 さて、コラーゲンも蛋白質であり、結局アミノ酸にまで分解されて摂取されますから、これは蛋白質を十分に摂っていれば良く、特別にコラーゲンを摂取する必要はないと考えるかもしれませんが、前に述べたようにコラーゲンのアミノ酸組成が特殊であること、しかも蛋白質の摂取はそれほど多くないことより、通常の食生活による蛋白質の摂取ではコラーゲンの合成素材は不足気味となり、したがってコラーゲンを摂取する必要が生じます。
 なお、コラーゲンの場合には非コラーゲン蛋白質とは異なり、腸管よりアミノ酸まで分解されたものだけが吸収されるのではなくて、ペチプドのままでも吸収されるとされ、このこともコラーゲンを摂取することが有効な理由のようです。

 コラーゲンを食品より有効に摂取するには、骨付き、皮つきの材料をじっくり煮込んで、その煮汁を飲むか、その煮汁を冷蔵庫で冷やして煮こごりにして食べるのが最適とされます。 また、コラーゲンを含む食品としてゼリーがありますが、ゼリーには増粘多糖類で作ったものもあるため、材料がコラーゲンであることを確認する必要があります。
 コラーゲンについて良く知るようになると、一見無駄なように見えた皮や骨が、実は大切な栄養源であることに気がつきます。

コラーゲンは特に所要量は定められていないのですが、1日当たりの摂取目安量は約3〜10gのようです。
欠乏症…肌荒れ、肌のシミ・シワ、爪が欠けやすくなる、新陳代謝の低下、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、変形性関節症など。(特に中高年の場合)
過剰症…特に報告されていないようです。
骨、皮、腱、内臓などに多く含まれます。
脂質  脂質はエネルギー源や脳・脊髄・肝臓などの臓器の構成要素として利用されます。
 食物としての脂質とは主に油脂のことで、つまり油または脂肪のことを指しています。 これらの違いは、油が常温で液体になるのに対して脂肪の方は固体になることです。 この相異を生み出すのは、油脂に含まれる脂肪酸の違いによるものです。
 さて脂質の定義は、水には溶けないが、ベンゼンなどの有機溶媒に溶けるものというように漠然としたものになっています。 この主なものとしては中性脂肪や脂肪酸の他に、ホスファチド類(リン脂質)や糖脂質、テルペン類(ビタミンA・E・Kがこれに該当)、ステロイド類(コレステロールやビタミンD、多くのホルモンがこれに該当)、ロウがあります。
 動植物に含まれる油脂は中性脂肪になっています。 中性脂肪とはトリグリセリドのことで、これはグリセリンと3個の脂肪酸が化合(エステル結合)してできたものです。 グリセリンは3個の炭素鎖の各炭素に水酸基がついたもので、この水酸基が脂肪酸と結合するということになります。 なお、「トリ」とは3を意味するものです。 (グリセリンとグルコースとは比較的似ていて、グリセリンからはグルコースが合成されるとされます。) このため脂質と言えば、中性脂肪または脂肪酸のことを意味しています。 (グリセリンは比較的小さいため、中性脂肪の大部分は脂肪酸になります。) 摂取した中性脂肪は、膵臓から分泌される消化酵素であるリパーゼによって、グリセリンと個々の脂肪酸に分解されます。
 酸とつくものは、大概 COOH基(O=C-OHで、これはカルボキシル基と呼ばれ、これを含むものはカルボン酸と呼ばれます)またはNOOH基(O-N-OH)やPOOH(O-P-OH)を持っていて、これが親水性などを示します。 また、アルコールと呼ばれるものは、OH基(水酸基)を持っています。 コレステロールはこれに該当します。
 脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。 さらに不飽和脂肪酸は、不飽和の個数にしたがって、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸とに分類されます。
 不飽和脂肪酸というのは、脂肪酸の炭素分子にまだ(結合性が)飽和されていないものがあるもので、これは化学的活性が高いということになります。 したがって、酸化しやすくなってしまいます。 このことは不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸に変化するということを意味します。 なお、カルボキシル基(COOH)側から数えて、二重結合がある炭素をω-nで表します。
 飽和脂肪酸は結合性が全て満たされたもので、これは主にエネルギー源として利用されます。 余った場合には脂肪として貯蔵されることになり、これが肥満などを引起こします。 なお、糖分の摂取もエネルギー源として利用されることになり、過剰な糖分の摂取も脂肪となって体内に貯蔵されます。
 脂肪酸は炭素鎖の長いものですが、二重結合がある場合、そこの結合角は180度からずれます。 つまり、この炭素鎖は折れ曲がります。 このため、それぞれの密着性が低下することによって、分子同士の結合性が弱まるということになり、不飽和脂肪酸の多いものは常温で液体となります。 一方、動物性の油脂の場合には飽和脂肪酸が多いため、常温では固体になります。
 肥満の解消には、よく運動が行われるのですが、これは脂肪をエネルギーとして燃焼させるということの他には、次のことも関係しているようです。 運動することで多量の汗をかき、このため体内の水分が減少してしまうのですが、この状態に置かれると、脂肪の代謝がさかんに行われて、水分の欠乏を補うとされます。
 また、糖分の摂取を控えるという方法もよく行われますが、この状態に陥ると、その欠乏を補うために体内脂肪が利用されるということによります。

 脂肪酸にも必須脂肪酸(体内で合成されないが、体内で重要な役割を持つ脂肪酸)があり、これを摂取する必要があります。 この主要なものが、リノール酸とリノレン酸(α-リノレン酸)となります。 (これらはビタミンFとも呼ばれます。これらが欠乏すると、皮膚炎が生じたり、肌の張りを失い、シワが増える原因になります。また、リノール酸はコレステロールや中性脂肪の沈着を防ぎ、動脈硬化などを予防する働きもあります。)
 他には、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)もあります。 なお、エイコサペンタエン酸はイコサペンタエン酸(IPA)とも呼ばれます。 (EPAはコレステロールを低下させ、血小板の凝集を防ぐ働きがあることから、これが欠乏すると、心筋梗塞や動脈硬化が起こりやすいとされます。これはDHAも同様なようです。また、EPAやDHAは大腸ガンなどを抑制するとされます。他には、EPAには抗リュウマチ作用があるようです。)
 ところが、リノール酸(食用油に豊富に含まれる)からはγ-リノレン酸(GLA)とアラキドン酸(動物性脂肪に豊富に含まれる)が生合成されます。 ただし、アラキドン酸は体内で合成されにくいようで、これも必須脂肪酸となっています。
 また、α-リノレン酸(シソ油、エゴマ油、アマニ油などに多く含まれる)からはEPAとDHAが生合成されます。 (α-リノレン酸とγ-リノレン酸の相異は、二重結合の場所が異なることです。)
 したがって、必須脂肪酸はリノール酸とα-リノレン酸、アラキドン酸となります。

代謝径路は次のようになります。

 (n-6系) リノール酸 → γ-リノレン酸 → ジホモ・γ-リノレン酸 → アラキドン酸
 (n-3系) α-リノレン酸 → EPA → DHA

 さらに、ジホモ・γ-リノレン酸、アラキドン酸、EPAからは、プロスタグランジン(それぞれPG1、PG2、PG3と表わされます)やトロンボキサン(それぞれTX1、TX2、TX3と表わされます)などが作られます。 (リノール酸からγ-リノレン酸への転換はいろいろと制約があり、難しいようです。)
 アラキドン酸由来のプロスタグランジンやトロンボキサンは次のような局所ホルモン作用があるとされます。

 プロスタグランジン…免疫抑制、血管収縮など。
 トロンボキサン…血小板凝集による血栓形成、動脈硬化など。

 しかし、EPAからできるトロンボキサンは、アラキドン酸のトロンボキサンの作用とは逆で、血液を固まりにくくします。 このため、その摂りすぎは出血しやすくなるということになるので、この過剰摂取は望ましくありません。
 したがって、リノール酸とα-リノレン酸の摂取比率は、2:1〜1:1くらいが望ましいようです。
 なお、リノール酸からできる他の局所ホルモン物質(ロイコトリエン)の作用として、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー症状が生じるとされます。

 以前では、ロイコトリエンは臓器での寄生虫駆除に働いていましたが、現在では野菜の栽培は化学肥料を用いて行なうことになったので、野菜に由来する寄生虫がいなくなり、代ってアレルギー症状が発生することになったようです。 もっとも、また有機栽培のものが出回るようになったので、寄生虫症が根絶されたわけではありません。
 さらに生肉や生魚に由来する寄生虫症があります。 多くの魚にはアニサキスという寄生虫がいることがあり、これは胃や腸に穴を空けて潜り込もうとするので、激痛が生じるとされます。 アニサキスには特効薬がないということなので、この駆除はそれを摘出する以外にないとされます。
 普通、アニサキスは魚の内臓に寄生しているということなので、刺し身でのこの寄生虫症はあまりないのだと考えられます。 しかし、魚の鮮度が落ち、内臓が腐敗するようになると、筋肉にも入っていくことになります。 特にサバは鮮度が落ちやすいことより、筋肉にも寄生していることがあり注意が必要です。 また、-20℃で24時間冷凍すると死滅するということなので、そのように冷凍されたものは大丈夫なのでしょう。 しかし、それ以外の魚の場合、特に鮮度の落ちた魚を刺し身などにして生で食べるのは危険です。 (ワサビやショウガなども普通の使い方では、その退治にはあまり効かないとされます。)
 また、ドジョウやライギョには顎口虫がいる可能性があり、これらを生で食べるのは危険です。
 豚や牛などの場合では旋毛虫がいるとされ、生で食べるのは危険です。 欧米ではこの寄生虫症が多いとされますが、これは生で食べることがあるからのようです。

 もちろん、生合成の量が不十分な場合には、他の必須脂肪酸も食物から摂取する必要があります。 例えば、リノール酸の摂取量が多いと、α-リノレン酸の代謝が十分に行われません。 (これは代謝酵素が共に同じになっていて、リノール酸が多いとこちらの方ばかりが代謝されるためです。)
 米やパンなどの主食に不足しているものが、蛋白質と脂質ですが、欧米の場合では、この不足を肉や牛乳に求め、我が国では主に大豆などの豆類に求めています。 この相異で重要な点は、肉や牛乳の場合には飽和脂肪酸が多く、多価不飽和脂肪酸が少ないことです。 つまり、肉や牛乳だけでは飽和脂肪酸が不足しがちになるということです。 このため、そうした食事をしている人の場合では、皮膚が弱くなったり、肌のきめ細かさを失う結果になるのではないかと思われます。

 必須脂肪酸になっている多価不飽和脂肪酸の効用としては、動脈硬化の予防、(悪玉)コレステロール値低下、抗がん作用、肌をきれいにする(細胞膜を構成するリン脂質の一つに不飽和脂肪酸があります)、脳の働きを高める、などがあります。
 それが動脈硬化の予防になるのは、飽和脂肪酸は動脈硬化などの原因になる血中の悪玉コレステロール(これはLDLのもの)を増加させ、一方、多価不飽和脂肪酸はこれを減少させることによります。
 ただし、不飽和脂肪酸は活性酸素によって、老化の原因にもなる過酸化脂質ができてしまうので、この摂りすぎはあまりよくありません。 そこで、飽和脂肪酸(S)と多価不飽和脂肪酸(P)との比を表すものである、P/S比は1〜1.5くらいが望ましいとされています。

 活性酸素にはラジカルのものとそうでないものとがあります。 酸素は呼吸に必要なものですが、この濃度が高くなると毒性を示します。 生体は大気の酸素濃度に順応(あるいは適応)しているためか、その濃度が狂うと、生体の調節作用がうまく働かなくなるのだと考えられます。
 過酸化脂質は活性酸素とともに生体に悪作用を及ぼす二大元凶のようなものです。 他にはブドウ糖の不完全燃焼の結果ともいうべき乳酸も挙げられます。 この乳酸は蛋白質と結合して組織を固めさせることより、肩こりなどの原因になる他、視力低下の原因にもなります。 この乳酸の増加はストレスによって生じるアドレナリンの分泌の結果として起こります。
 よく受験勉強で視力が低下するのは、理解したり、覚えようとあせる余り、ストレスにさらされることが原因のようです。 しかも、それが学習困難性に拍車をかけるという悪循環に陥ってしまっているのです。

 なお、ω-6系のリノール酸からトロンボキサンが生成されますが、これは血液を固まりやすくして、血栓の原因になるとされます。 また、リノール酸を摂りすぎはアレルギーやアトピーになりやすいとされます。
 しかし、魚油などに多く含まれるω-3系の多価不飽和脂肪酸であるDHAとEPAからできるトロンボキサンの方は血液を固まりにくくするので、リノール酸とは逆作用になります。

 因みに、脳(この細胞は減少する一方となります)の老化防止には蛋白質(各アミノ酸の供給)、鉄分(酸素の円滑な供給)、ビタミンE(動脈硬化の防止)の十分な摂取が欠かせないとされます。 

 この弊害を無くすには、抗酸化物質であるビタミンCやビタミンE、β-カロテンなどを多く摂取する必要があります。 また、過酸化脂質を分解するビタミンB2を多量に摂取するのも効果的です。
 活性酸素は、細菌などの異物を攻撃するために生じます。 (こうした生体の防御機能が働いている間は、共生している、あるいは勝手に居座っている細菌もおとなしくしています。これは人間社会とよく似ていますが。) また、活性酸素はストレスにさらされたり、激しい運動をした場合にも生じます。 (過労死は過労そのものが原因というよりは、常時強いストレスにさらされたことによって生じている活性酸素が主な原因と考えられます。因みに回転カゴに入れられたネズミは、カゴを回し続ける「過労」により死んでしまうようです。)
 したがって、炎症が生じたり、ストレスにさらされたり、激しい運動をした場合には、ビタミンCやビタミンEなどを十分に補給した方が良いということになります。
 ストレスが活性酸素を発生させるのは、次のことによります。 ストレスによって副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、後者が血管を収縮させるのですが(これは外敵から襲われた場合、血の流出を最小限にするためになされる生体の防御反応のようです)、この結果臓器は虚血状態に陥ります。 この状態から再び血流が元に戻ったとき(再灌流)に、活性酸素が大量に発生するとされます。
 また、アドレナリンは、肝臓に貯えられているグリコーゲンを分解させて、ブドウ糖の量を増加させます。 この結果、脳の活動が高まることになります。
 したがって、そのようなストレス反応というのは、外敵から身を守るための防衛反応と考えられるのですが、これは非常時の場合の反応であり、生体にとってはあまり望ましい反応ではありません。

 なお、脂肪の過剰摂取は脂肪細胞を増やして、肥満になったり、様々な病気を引起こすことより嫌われていますが、この脂肪細胞は単にエネルギー源としての活用に留まるだけでなく、様々なホルモン様物質を生産し、体に有用な働きを為しているとされます。 このため、この細胞が少なすぎると、つまり痩せすぎの人や筋肉質の人は短命に陥るとされます。

成人男子…50〜70g(16才頃がピークで75〜90g)
成人女子…50〜60g(13才頃がピークで65〜80g)
上記は単に脂肪エネルギー分。また、エネルギー消費が大きいほど所要量は増加します。
欠乏症…脳の機能低下、痴呆性、成長障害、脱毛、皮膚炎、不妊、体力低下など。
過剰症…肥満、ニキビ、動脈硬化(動物性脂肪)など。
油脂類、魚類、肉類、種実類、卵類、乳類、豆類。

 豚肉などの場合は飽和脂肪酸も多いので、多量の摂取は控えた方が良いとされます。 これは、不飽和脂肪酸の吸収を阻害してしまうことにもよります。

 多価不飽和脂肪酸でも、EPAとDHAは魚介類にしか多く含まれていないことより(例外は、蛙や、鯨、鶏の肝臓で、これらにはDHAが多く含まれています)、単に脂質の摂取だけでは不十分であり、魚介類も食べるようにするべきです。(魚介類には総じて多く含まれています。) 特に、DHAは脳の細胞形成に重要な役割を果たし、この摂取は記憶力を向上させたり、脳細胞の減少を抑制して、痴呆症を予防するとされます。 ただしこれを過剰に摂取すると、出血しやすくなりますが。

コレステロール  コレステロールはリン脂質とともに細胞膜を構成したり、胆汁酸やホルモンの合成材料となる他、脳の神経インパルスの伝達繊維である軸索を取り囲んでいるミエリン鞘に含まれています(なお、これがあることによって神経インパルスの伝達速度が高められています)。
 コレステロールは体内でも合成されます。 この濃度は一定に保たれるように、摂取したコレステロールが多ければこの合成量は少なくなり、摂取量が少なければ合成量は多くなります。 しかし摂取量が過剰であると、コレステロールの血中濃度が高くなるということになります。 もしその状態が長期間に及ぶ場合には、動脈硬化の原因になるので、この過剰摂取は良くないとされる由縁になっています。 ところが、コレステロールの摂取が少なすぎると、今度は血管が弱くなってしまい、脳内出血などが起こり易くなってしまいます。

 コレステロールが高くなる原因としては、高コレステロール食品の過剰摂取ということ以外に、コレステロール合成促進やコレステロール排出低下、運動不足などがあります。
 コレステロール合成促進はストレスが主な原因とされます。 つまり、ストレスを受けるとそれに抵抗するために各種のホルモンが分泌されるのですが、これらはコレステロールから合成されるため、この合成が促進されるためです。 ただし、肉体労働時など運動量が大きい場合にはこの合成が抑制されるので、ストレスによる合成促進は軽労働時や安静時、睡眠中の場合ということになります。
 コレステロール排出低下は肉食時などでの食物繊維の摂取不足が主な原因です。

 運動不足がコレステロールの増大を招くというのは、適度な運動はHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やし、LDLコレステロールを減少させることになるのですが、運動不足はこれを阻害するためです。

 LDLは血管に沈着し動脈硬化などを引起こすことより、悪玉コレステロールと呼ばれます。しかし、動脈硬化を起すものはLDLが酸化したものであり(これは体内では異物となり、マクロファージに吸収されます。このマクロファージが死滅して血管壁に多く蓄積すると、血管腔が狭まることになります)、この酸化を防止すれば、動脈硬化を予防することができます。体内でこの酸化を引起こすものがフリーラジカルなのですが、この酸化を防止するものとしてよく挙げられのがポリフェノールです。これは赤ワイン等に多く含まれていて、この摂取量の多いフランス人では心臓病による死亡率が少ないという統計が出ています。

 LDLやHDLはコレステロールがリン脂質や蛋白質と結合したリポ蛋白質であり、これによってコレステロールは血液と親和して存在しています。 リポ蛋白質には、LDL(低比重リポ蛋白質)やHDL(高比重リポ蛋白質で、蛋白質が多い)の他に、超低比重リポ蛋白質とカイロミクロンがあります。 HDLが善玉コレステロールと呼ばれるのは、血管壁からLDLなどを運び去って、肝臓に回収する働きを持つことによります。

 酸化を防止するのはポリフェノールといったフラボノイドだけではなく、ビタミンCやビタミンEやカロチノイドもあるのですが、これらは日常的な摂取量が多くないため、あまり目立たないのでしょう。

 動脈硬化指数及び血栓形成指数が特に高いものは牛乳、チーズ、ヨーグルト、バターです。 次に牛肉や豚肉などが続きます。

 コレステロールのコントロールは肝臓でなされているため、肝臓が悪化すると、この機能が低下します。 しかし、肝臓は沈黙の臓器で悪化しているかどうかが分かりません。 したがって、その予防が大事になってきますが、これとしては十分な睡眠をとり、過度な飲酒を避けることが重要です。

 熟睡中である、夜中に分泌される成長ホルモンの作用で肝細胞が再生されます。 また、横になっているというだけでも肝臓に血液が集まり、肝細胞の再生が促進されます。この再生が滞ると、活性酸素によって傷つけられることで生じた、肝細胞の繊維化により硬くなり、肝硬変になりかねません
 他には、ビタミンB12の摂取が効果的で、よく二日酔いにはアサリやシジミが良いというのは、これらに多く含まれていることによります。
 コレステロールは平均して140〜280mgが吸収されるようです。 また、摂取量の半分程度が吸収されるようなので、この摂取量の上限は600mg程度と考えられますが、体内で合成される分を含めると、この値は高すぎるでしょう。
 特に高脂血症の人の場合、1日300mg以下が望ましいとされます。 また、これは1977年にアメリカ上院の栄養学改善委員会によって推奨された値でもあります。 したがって、この所要量(というよりは摂取上限値になりますが)は300mgとします。 なお、この摂取量の適正値は160〜200mgとされます。
欠乏症…肌の老化促進、脳出血など。
過剰症…動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞。
魚貝類、肉類(特にレバーなどの内臓)、卵類(卵黄)、生クリーム、チーズ。
糖質  糖質は、ほとんどエネルギー源として利用されます。 これ以外の主要なエネルギー源は脂肪ですが、他には余剰な蛋白質も利用されます。 (ただし、蛋白質のエネルギー源としての利用効率は悪く、エネルギーとして取出すために、摂取したエネルギーの30%が必要となります。 一方、糖質では6%、脂肪では4%が使用されるだけです。)

 糖質は、単糖類、二糖類、小糖類、多糖類(でん粉など)に分類されますが、全ては単糖に分解されて吸収されます。

 小糖類とはオリゴ糖のことで、これは腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増やすとされます。ビフィズス菌は、有害物質を生成する悪玉の腸内細菌の増殖を抑制するだけでなく、ビタミンB1・B2・B3(ナイアシン)・B6・B12・葉酸などの合成もしているようです。
もし分解されない場合には、その吸収は行われません。 (特に牛乳に含まれている乳糖はこの分解酵素を持たない人もいるため、吸収が行われないということになります。)
 さらに、分解されたブドウ糖以外の単糖類も全てブドウ糖に変換されます。 そしてこのブドウ糖がエネルギー源として利用されることになります。
 ブドウ糖はグリコーゲンとして肝臓(約100gまで。または60〜70g?)や筋肉(約300gまで)、脂肪細胞に貯蔵されます。 肝臓や筋肉での貯蔵が限界に達した場合には、全て脂肪に貯蔵されることになるので、糖分の過剰摂取は肥満の原因になると言われる由縁です。
 特に脳はブドウ糖(炭水化物に主に含まれているのがこの糖です)のみをエネルギー源とするため、これが不足すると脳の働きが低下することになります。 (夜、自然に眠くなるのは、肝臓にグリコーゲンとして貯えたブドウ糖を使い果たして、血糖値が下がってくることが理由ではないかと考えられます。)
 特に脳の場合、ブドウ糖は使い捨てになっていて、常に補給する必要があります。 脳が一日に消費するエネルギーは500kcal程度であるとされ、これは成人男性の一日のエネルギー所要量2,300kcalのうち糖質の分の約60%である1,380kcalの36%に達します。
 500kcalをブドウ糖の量に換算すると、125gになります。 この量を三度の食事に分けて摂取するとすると、一回の食事で少なくとも42gの糖分が必要だということになります。 ごはん一杯は約140gで、この中には糖分は45gしか含まれていません。 つまり、ごはん一杯では糖分の欠乏が生じるということになります。 しかも、糖分は野菜や肉、魚、卵には少ないため、この摂取は主に穀類や芋類、豆類、種実類、果実類、菓子類からとなります。

 ちなみにラットを使った実験では、蛋白質、脂質、糖質の成分比で、蛋白質の成分比が多いほど、学習能力が低下するということが示されています。 逆に糖質の成分比が高いほど、(総合的な)学習能力が高まります。 蛋白質は生体を構成するのに重要なものですが、この摂りすぎは害になることが多いようです。 特に肉は蛋白質が多く、肉だけを食べて米などをあまり食べない場合には、このことが生じます。

 ただし過剰に摂取すると(精製された砂糖を大量に摂取する場合など)、インシュリンが大量に分泌され、ブドウ糖が細胞内に吸収されてしまうため、結果的に低血糖になってしまいます。 よく食後に眠くなってしまうのは、それが原因であると考えられます。
 なお、ストレスが生じた場合には、肝臓からブドウ糖が多量に引き出されるため、高血糖となり、糖分の過剰摂取と同じ状態になります。(このため、ストレス過多も糖尿病の原因になります。)

 ブドウ糖が体内で大量に消費されると、血液は酸性に大きく傾きますが、これを中和するために(常に弱アルカリ性を保とうとすることより)、アルカリ性のカルシウムが骨などから溶出することになります。 つまり、その結果、骨や歯が脆くなったりします。 (なお、カルシウム濃度が高くなりすぎると、細胞死のメカニズムが作動し、細胞が死んでしまうとされます。特に神経細胞の場合には、増殖によって元通りになることができないので致命的といえます。)

 糖分の摂取で気をつけるべきことは、砂糖のように既に分解されている糖分の高いものを摂取すると、グリケーションが生じるようになることです。 グリケーションとは、鎖状になったブドウ糖が蛋白質に勝手に付加してしまうことです。 それにより水晶体や皮膚などの組織の柔軟性や透明性が失われるようになります。
 また、糖分が急激に吸収されて、すぐに枯渇するため、高血糖状態から低血糖状態に陥るのですが、この低血糖状態を回避するために、攻撃ホルモンともいうべきアドレナリンが出て、肝臓からブドウ糖が放出されるということになります。 これが何度も続くと、アドレナリンが出やすい体質となり、短気な性格となってしまいます。

 アルコールも同様で、他にはコーヒーもアドレナリンが出やすくなるとされます。 さらに、アルコールはビタミンやミネラルを尿として排泄してしまうとされます。 しかし、アルコールはストレス感の緩和にもなるため、功罪の両面性があります。 ストレスが溜まっているとき、適度に飲むのは健康に良いでしょう。 (なお、アルコールは最終的には約12時間後に肝臓で中性脂肪(脂肪肝の原因)となりますが、これが消失するにはさらに12時間が必要とされます。これが休肝日を設けた方がよいと言われる由縁です。)
 また、40代になるとアドレナリンの分泌量が増えてくるとされます。 よく中年の方が些細なことで怒りやすいのは、ストレスにされされ続けることによってアドレナリンが出やすい体質となったり、アドレナリンが増えてくることが原因のようです。
今ではそれが現代的な性格とみなされるようになりましたが、これは食生活の変化に原因があったということになります。

 ちなみに、発酵により単糖が分解されてアルコールができますが、これは分子が小さいために脳の血液脳関門を通って脳に入り込みます。 この結果、神経の興奮を鎮めるようになり、これが酔いの実態です。 したがって、適度なアルコールの飲用はストレス感を弱め、ひいては健康に資するということにもなります。 また、アルコールは成分の浸出作用があるため、草木の薬効成分などを抽出させため、薬酒や果実酒作りに利用されます。

成人男子…1,400kcal 成人女子…1,100kcal
(1日のエネルギー所要量2,300(1,800)/kcalの60%程度)
欠乏症…筋力低下、思考力低下など。なお血糖値が低下すると、怒りっぽくなり、攻撃性や凶暴性が増すとされます。
穀類、芋類、澱粉類、菓子類、種実類、豆類、藻類。
食物繊維  食物繊維は、糖類でも、消化酵素によって分解されないものです。 これとしては、キチン、セルロースなどがあります。 これは水溶性のものと不溶性のものとに分けられます。
 食物繊維は栄養分にはならないのですが、以下の働きがあることより、食物繊維も栄養素として認識されています。 水溶性食物繊維はコレステロール値を低下させたり、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあるとされます。 また、不溶性食物繊維は、腸内での発ガン物質や毒性物質の吸収を妨げ、ガンの予防効果があるとされます。 (発ガン物質の吸収低下は、不溶性食物繊維が腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増殖させ、悪玉菌の方を減少させるからのようです。 つまり、高脂肪食により過剰に分泌された胆汁酸が小腸で吸収されずに大腸までいき、それが悪玉の腸内細菌により発ガン物質に変わることが主な理由とされます。) また、便秘気味の人や痔疾の人には良く、食物繊維は便通をスムーズにさせるという効用があります。 以上のことから、特に肉を多く食べる人にとっては食物繊維は必須の栄養素ということになるでしょう。
 また食物繊維には、発ガン性や催奇形性、生殖毒性などで悪名高いダイオキシン(この毒性の強さはサリンの30倍以上)を吸着して体内から排出させる効果もあります。
 ただし、過剰に摂取するとカルシウムなどのミネラルの吸収低下を引起こすとされ、過剰摂取は控えます。

 穀類(ただしパンを除く)や肉類・卵類・魚介類は酸性度が高いため、普段野菜をあまり食べない人は、できるだけ野菜も食べるようにするか、きのこや海草、果物を食べるようにするべきです。 これは、体液の酸性度が高くなると、それを中和するために骨からカルシウムを溶出させてしまうからです。
 特に日本において虫歯となる人が多いのは、カルシウムなどの摂取量が少ないということの他に、主食である米の酸性度が高いためではないかと考えられます。 また、野菜の摂取量が減少し、代って肉や魚介類の摂取が増えたということも原因しているでしょう。 カルシウムの摂取量が少ない原因には飲料水も関係していて、日本の飲料水は軟水であることより、水に含まれるものも少なくなっています。

 軟水なのは火山や山岳地帯が多いということが関係しているようです。 つまり、火山灰地で酸性土壌が多いということや、山岳地帯が多く雨水が一気に流れてしまい、ミネラルが十分に溶けだす時間がないということが関係しているようです。 さらに、現在では護岸工事のために、石や岩石との接触があまりないままの水を用いることが多くなっていて、ミネラル分がさらに減少しているようです。 軟水か硬水かどうかは石鹸の泡立ちによって判断でき、軟水の場合には泡立ちがよくなり、これが最大の長所といえるかもしれません。 また、平野部の河川の長さが比較的短いということは、河川の汚染度が比較的低いという利点があるでしょう。 近年は、安価なことから中国野菜の輸入が増えていますが、河川の汚染度が高いためか、農薬の使用量が多くなっているようです。
 また、このことには野菜の摂取量が減少し、代って肉や魚介類の摂取が増えたということも原因しているでしょう。
   なお、日本人男性(30代平均)の栄養素摂取状況としては、食物繊維が最も不足していて、これは所要量の半分程度しかないとされます(他には、カルシウムとマグネシウムが2〜3割ほど不足しています)。
1日の所要量は、摂取エネルギー100kcalにつき1g程度(正確な推奨値は1.16g)とることが望ましいとされます。
欠乏症…コレステロールの増大(この過剰摂取は動脈硬化の原因になります)、便秘など
種実類、野菜類、藻類。
ビタミンA

脂溶性
 ビタミンAとして働くものには、動物性のレチノールと植物性のカロテノイド類(ただしこの中の約30種)の2つがあります。 カロテノイドにはα-カロテンやβ-カロテン、クリプトキサンチンなどがありますが、植物から摂取されるカロチノイドの大半がβ-カロテン(90%を占めるとされる)であることより、カロテンといえば、β-カロテンのことを指しています。 しかもβ-カロテンはビタミンAとして働く力が強いことより、植物性食品での主要なビタミンAの摂取源となっています。 ただしカロチノイド類のものはビタミンAの前駆体であって、ビタミンAそのものではありません。 このため、ビタミンA効力という値によってその量を判断します。 ただし、ビタミンAへの変換にはナイアシン(B3)やパントテン酸(B5)などが必要となり、これらが十分でないとビタミンA不足にもなります。 また、ビタミンAは脂溶性のため生のまま食べた場合にはほとんど利用されないようです。
 ビタミンAは過剰に取ると頭痛や目眩いを引起こすようになるので、動物性のものやビタミン剤から摂取する場合には、上限値を越えないようにする必要があります。 しかしβ-カロテンの方は、必要以上のものはそのまま残ることより、この心配はありません。
 β-カロテンは一般に有色野菜に多く含まれていますが、根にはほとんど含まれていません。

 ビタミンAの機能としては、発育促進、上皮細胞の発育・保護(髪・爪を強くしたり、シワ・肌荒れを防止します)、網膜にある視細胞(桿体のことで、これは光の明暗に反応するもの)の活動の維持、細菌に対する抵抗力の増進などがあります。
 また、β-カロテンの場合には、癌の大きな原因ともなっている活性酸素を抑えたり、マクロファージなどの免疫細胞の働きを高めるとされます。 (活性酸素はストレス、飲酒、呼吸、添加物・医薬品の摂取、便秘(大腸のコレステロールによる)などで生じる他、タバコの煙や排気ガスにも含まれています。また、人工的な音を長時間繰返し聞いたり、人工的な光を長時間浴びたりすると、脳内に活性酸素が多量にできるとされ、細胞膜が過酸化されたり、脳腫瘍の原因ともなります。) ただし、これは肺癌には抑制効果はないとされます。 一方、α-カロテンには肺癌や肝臓癌、皮膚発癌などに対する高い抑制効果のあることが、マウスでの実験により確かめられたようです。
 しかしながら、β-カロテンを錠剤で長期に渡って多量(一日30mg以上)に摂取した場合には、逆にガン発症率が高くなったという報告もあるので、錠剤で摂取する場合には注意が必要です。このことは、β-カロテンの過剰摂取はビタミンAの活性を低下させる、ということからではないかと考えられます。
 余分なビタミンAは肝臓に貯えられます。

 なお、レチノールは光、熱、酸素、酸によって壊れやすいため、調理や保存する場合にはこのことに注意する必要があるようです。 一方、β-カロテンは光や酸素には弱いのですが、熱や酸には比較的強いという性質があります。

成人男子…2,000IU(IU:国際単位) 成人女子…1,800IU
レチノールの場合、上限は5,000〜10,000IU
注.国際単位とは、物質の量を生理的効果の度合いで表す単位。ビタミンAの場合、1IUは0.3μgとなる。
欠乏症…夜盲症、角膜炎、皮膚や粘膜の角質化(肌荒れ、皺、いぼ、ふけ症などの原因)、粘膜乾燥、発育障害、免疫機能の低下、虫歯、味覚や嗅覚の喪失、脱毛など。

過剰性…頭痛、目眩いなど。妊娠初期(3ヵ月以内。特に最終月経開始日から28日〜50日目は重要臓器の発生・分化期で、絶対過敏期とされる)では、奇形児出産の可能性があるようです。
魚類、レバー、卵類、野菜類(ただし根の部分は除外)、藻類。
ビタミンB1

水溶性
熱に弱い
 ビタミンB1はチアミンのことで、ブドウ糖を代謝してエネルギーを取出すのに必要となります。 ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源となっています。 このため、B1は神経系の発育や維持に不可欠なものとなっています。

 ブドウ糖の代謝が完全に行われないと、強い酸性物質の乳酸ができてしまい、これは疲労蓄積や頭痛・肩こりの原因になります。 特に激しい運動をした場合には乳酸ができ、これが血液に溶け込んで血液を酸性にさせ、疲労感を引起こします。 そこで、レモンなどの果物を食べると酸性を中和でき、疲労感が和らぐということになります。 それができない場合には、骨からカルシウムを溶出させて中和するということになり、これが何度も続くと骨が脆くなっていき、最終的には疲労骨折が起こるということになります。
 また、神経筋への刺激伝達物質であるアセチルコリンの合成に関与しています。 他には、アルコールを分解したり、消化液の分泌を促進させます。 (糖質の摂取が少なくアルコールを多飲した場合、ウェルニッケ脳症になりやすいとされます。) また、声帯の緊張を高め、澄んだ高音を出せるということが言われていますから、特に歌手には良いようです。

 ビタミンB1は貯えておくことができないので、必要量を毎日摂取する必要があります。 ただし、ニンニクなどに含まれるアリシンは、B1と結合して、この化合物を体内に留めておくことができます。 これより、持久力が高められるということになります。

 ビタミンB1は、水溶性で熱に弱いので茹でた場合には、野菜の葉では5割ほど減少することが多いですが、他に煎った場合にもかなり減少し、これも5割ほど減少します。 (しかし、同じ水溶性でもビタミンB2は5割も減少しません。) なお、煮なおした場合にはほとんど壊れてしまうようです。

 参考までに付け加えると、ビタミンBというのは水溶性のビタミンの分類名とされたことより、多くの種類があります。 一方、ビタミンAは脂溶性のビタミン名とされたのですが、これは一つだけになっています。 このことは、他のものがアルファベット順になったことが理由のようです。
 しかし、中にはBnやアルファベット名でないものもあります。 これは、後にビタミンの成分が判明したことによります。 なお、B群とは、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンのことです。 これとビタミンCとが水溶性になります。

成人男子…1.1mg 成人女子…0.8mg
欠乏症…脚気(四肢の麻痺など)、ウェルニッケ脳症(眼球の運動麻痺、言語障害などの脳障害)、脳の機能低下(無気力、記憶力低下、判断力低下など)、食欲減退、消化不良、疲労感・倦怠感、免疫機能の低下、筋肉痛、肩こり(糖代謝不全による乳酸などの蓄積が原因)、腰痛など。
小麦類、種実類、豆類、魚類、豚肉類、卵類など。
ビタミンB2

水溶性
光に弱い
 ビタミンB2はリボフラビンのことで、これはFMN(リボフラビンにリン酸が付加したもの)やFAD(FMNにアデニル酸が付加したもの)の構成要素となって、水素の転移を行います。
 FADによる脱水素反応は、脂肪酸を分解するのに必要となります。 つまり、脂肪酸に二重結合の部分を作って切断しやすくするのに必要となります。 この切断ができない場合、脂肪酸をアチセルCoAにしてTCAサイクルで燃焼させることはできなくなります。
 この燃焼の概略は次のようになります。 まず脂肪酸はCoAと結合してアシルCoAとなります。 これがさらにCoAと結合して、炭素2個が切れたアシルCoAとアセチルCoAができ、このアセチルCoAがTCAサイクルで燃焼されることになります。 これはアシルCoAのアシル基側の炭素鎖がなくなるまで続きます。
つまり、細胞にエネルギーを供給し、細胞の活動を活性化させるものというということになります。
 他の重要な働きとしては、活性酸素や過酸化脂質の分解への関与があり、これらの生成を抑制する効果があります。
 また、肌や粘膜の健康を保つことより、美肌のビタミンとも呼ばれます。

 ビタミンB2の特徴としては、水溶性の他に、光やアルカリ性で壊れやすいという性質があります。 このため、食品は冷蔵庫などの冷暗所で保存する方が良いということになります。

成人男子…1.2mg(14〜18才がピークで1.5mg)
成人女子…1.0mg(13〜14才がピークで1.3mg)
欠乏症…口唇炎、口角炎、角膜炎、眼精疲労、白内障、発育障害、肥満、脂漏性肌、脂漏性皮膚炎、吹き出物、脱毛、白髪、免疫機能の低下、B3・B6欠乏症など。
魚類、レバー、卵類、チーズ類、茸類、藻類。
ナイアシン
(ニコチン酸)

水溶性
 ナイアシン(旧ビタミンB3)はNAD(P)のことで、これも水素の転移を行い、糖質や脂質、蛋白質を代謝してエネルギーを取出すことや、ホルモンなどの合成に関与しています。 また、アルコールからできる、二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドを分解するのにもナイアシンが必要です。
 ビタミンB2との相異は、ナイアシンが一つの水素を転移するのに対して、ビタミンB2の方は2つの水素を転移するということ、そして酵素と固く結びついている点です。

 ナイアシンはアミノ酸のトリプトファンから体内でも作られますが、これは所要量を満たすまでに至らないことが多く(このためには蛋白質を100gほど摂取すれぱよいとされますが、これは摂取過剰となります)、食品から摂取する必要があります。 例えば、トウモロコシの蛋白質にはトリプトファンが少なく、これを主食にして他にほとんど食べない場合には、この欠乏症であるペラグラがよく発症したということです。

 ナイアシンは魚類・肉類には豊富に含まれていて、通常これらを摂取しているかぎり欠乏の心配はありません。

成人男子…17mg(15〜18才がピークで18mg)
成人女子…13mg(12〜16才がピークで15mg)
摂取量上限値は30mg
欠乏症…ペラグラ(「荒れた皮膚」を意味する言葉。皮膚炎、下痢、脳障害から痴呆に至ることもある)、口内炎、胃腸障害、ホルモン合成能力の低下、神経症、不眠など。
種実類、魚類、イカ、レバー、豚肉、鶏肉、茸類、甘海苔、ワカメなど。
パントテン酸
(ビタミンB5)

水溶性
 パントテン酸(旧ビタミンB5)は補酵素の一つであるコエンチームA(CoA)の合成(構成要素)に必要なものです。 さらにCoAは酢酸などと化合して、アセチルCoAができます。
 補酵素の働きは基質の転移で、CoAの場合には、アシル基を転移させます。 アシル基は分子の中のカルボキシル基COOHから水酸基を除いたもので、R-COで表わされます。特に、CH3COはアセチル基と呼ばれます。
 CoAの働きは、グルコースが解糖されてできるピルビン酸や、脂肪酸、アミノ酸との合成によってできるアセチルCoAを、TCAサイクル(クエン酸回路とも)に入れ、このアセチル基とオキザロ酢酸とが化合してできたクエン酸の炭素2つを脱炭酸化してエネルギーを取出すことです。 (つまりより低いエネルギー状態に移行することによって、その差分のエネルギーが取出されるということになります。より低いエネルギー状態への移行とは、より強い結合状態のものに移行するということを意味しています。これは高い所から落下させて位置エネルギーを取出すのと同じようなことです。特に炭素と酸素との二重結合は結合エネルギーが高くなっていますが、酸素分子の方の二重結合はこれの半分程度です。) この一連の反応の最終結果として、クエン酸はオキザロ酢酸に戻るので、同じ反応が繰り返されるということになります。 また、TCAサイクルは、グルコースや脂肪酸、アミノ酸の原料を提供するものにもなっています。
 他には、アセチルCoAとコリンとが化合して、神経伝達物質であるアセチルコリンができます。
 生理的な作用としては、副腎での副腎皮質ホルモンの合成を促進します。 このホルモンは、ストレスなどが生じた場合、血糖値を高めて脳を活性化するなどしてストレスに対処するためのものです。 また、病原菌などの異物を認識するものである抗体の合成に関与し、免疫系の働きを正常に維持するのに役立っています。 他には、善玉コレステロール(HDL)の合成促進(これは動脈硬化などの予防に役立ちます)、新陳代謝の促進、コラーゲンの生成に関与などの働きもあります。
成人…5mg
欠乏症…皮膚炎、副腎障害、風邪に罹りやすい、自律神経失調症、神経過敏、記憶力低下、不眠、ビタミンD合成不足、免疫機能の低下など。
広く食品に含まれこの欠乏症は少ないとされますが、穀類には少なく、また野菜も比較的少ないので、菜食を主体とする場合には欠乏しがちになります。
ビタミンB6
(ピリドキシン)

水溶性
 ビタミンB6はアミノ酸の合成や分解の補酵素として働いています。 このため蛋白質を多く摂取した場合には、ビタミンB6も多く摂取する必要があります。
 ビタミンB6の機能の一つとしてアミノ酸の脱炭酸があり、グルタミン酸からGABAを生成します。 グルタミン酸は脳の興奮性の神経伝達物質の主要なものになっています。 GABAは抑制性の神経伝達物質の主要なものとなっています(他にはグリシンがあります)。 このため、B6が十分にないと、GABAの生成が阻害されることより、興奮しやすくなったり、神経過敏になります。

 また、肌の健康を保ったり、月経時の不定愁訴や妊娠のつわりの緩和に効果があるとされます。
 この不定愁訴は、次のことに因るとされます。 月経前には女性ホルモンのエストロゲンの分泌が高まりますが、このとき血中のB6濃度が低下し、この不足から不定愁訴が起こることになります。
 妊娠時のつわりについては、この一因としてアミノ酸の一種であるトリプトファンの代謝異常があり、これはB6の欠乏から起こるため、このビタミンを十分に摂ればつわりが軽減されることになります。 (妊娠時には、通常の6倍ものB6が必要であるともいわれます。)

 なお、食品を茹でた場合、3〜5割ほど減少するのが多いようです。 

成人男子…1.6mg 成人女子…1.2mg
摂取量上限値は100mg
欠乏症…成長障害、脂漏性湿疹、皮膚炎、粘膜疾患、口内炎、貧血、神経過敏症、記憶力低下、虫歯になりやすい、脱毛、手足の痙攣、免疫機能の低下、浮腫など。
にんにく、そば粉、玄米、種実類(意外にもアーモンドは少ない)、大豆類、魚類、レバー、甘海苔など。
ビタミンB12
(コバラミン)
水溶性
 ビタミンB12は、葉酸とともに核酸の合成に関与しています。 つまり、細胞分裂に関与しています。 このためこの欠乏は、細胞分裂が活発に行われている脊髄での赤血球の生成などに影響が顕著に現れます。
 また、神経や脳との関りも深く、記憶力や集中力を高めたり、末梢神経の傷の回復、腰痛・肩こりなどの改善に効果があるとされます。
成人…2.4μg
欠乏症…悪性貧血(致死的病気)、成長阻害、腰痛、記憶力低下、不眠、視神経の萎縮、脱毛、免疫機能の低下など。
魚貝類、肉類、卵類、海苔類。
ビタミンC

水溶性
熱に弱い
 ビタミンCはコラーゲン(繊維状蛋白質)の生成に必要なビタミンです。 (鉄と一緒に摂取することで、この生成が高まるようです。) なお、コラーゲンは皮膚や骨、血管などに多く含まれ、細胞同士を結びつける働きをしたり、骨や歯にカルシウムが付着するのを助けます。
 また、風邪のウィルスなどの進入を防止して風邪などに罹りにくくしたり、メラニン色素の生成や沈着を阻害し、肌を白くしたり、白い肌を保つ働きもあります(このためには、ビタミンCを1日当り1,000mg摂取する必要があるようです)。
 メラニン色素は皮膚が紫外線を浴びることにより生成されますが、これが増えすぎると、真皮に残り、シミとなります。
特に加齢によりメラニンが残りやすくなります。 (メラニンの他には、老人色素というリポフスチンが蓄積して、シミのようなものができるとされます。)
 他の重要な機能としては、ビタミンEと共に活性酸素などのフリーラジカル(これは結合性が満たされていない分子や原子のことで、化学的活性が高くなっています)を防止する働きがあります。 このため、発ガン物質を抑え、ガンの予防効果を持ちます。 というように、ビタミンCの欠乏は、壊血病だけでなく、老化などの原因になります。
 他には、鉄や銅の吸収を助けたり、ヘモグロビンの合成を助けることより、酸素の運搬に関係します。 また、コレステロールを排出する時、コレステロールから胆汁酸を作り、腸に排出するのですが、胆汁酸を作る際にビタミンCが必要だとされます。 しかもビタミンCが欠乏していると、胆汁に含まれるコレステロールが溶けきっていないため、胆石の原因になるとされます。

 ビタミンCの欠乏は喫煙やストレスで促進されます。 喫煙の場合は、タバコの煙に多量に含まれる活性酸素等のフリーラジカルを除去(還元)するのにビタミンCなどが多量に消費されるためです。 ストレスの場合は、ストレスが生じると、LDLコレステロールが肝臓から排出され、これから抗ストレス剤である副腎皮質ホルモンを作るのですが、この合成の際にビタミンCが必要となるためです。

 ビタミンCの摂取で気をつけるべきことは、これは水に良く溶けるということと熱によって分解されやすいことです。 例えば、茹でたキャベツでは約半分ほど(これくらいの減少が多いようです)、茹でたブロッコリーでは約2/3が無くなってしまいます。 (煮直す場合にはほとんど壊れるようなので、ビタミンCとしての栄養は期待できません。) ただし加熱調理でも、油炒めの場合には、それほど減少しません(1割程度の減少)。
 また、空気によっても壊れやすく(酸化のため)、しかも室温ではビタミンCの減少が結構大きいので、しばらく置いておく場合には冷蔵庫に保管する必要があります。
 食品にはビタミンCを破壊する成分(酵素)を持つものもあり、これはニンジンがそうです。 このため、ニンジンと一緒に野菜ジュースを作ると、ビタミンCが壊れてしまいます。

 野菜では、旬のものかどうかによって、含有量が2倍以上も異なるものが多いようです。 この意味では、旬のものは野菜が安いというだけでなく、栄養価にも大きく影響するということになります。 特に、ビタミンCの主な供給源は野菜・果物なので、この相異は大きいといえます。

 なお、通常のビタミンC入りチュアブルタイプ(噛むタイプ)の場合、このアスコルビン酸(ビタミンCのこと)は歯のエナメル質を破壊するため、虫歯になりやすいようです。 これに対して、エスターCと呼ばれるスーパービタミンC(ビタミンCの6倍の体内吸収率があるとされる)のチュアブルタイプは、酸度が中和されているため、虫歯になりにくいとされます。

成人で100mg。(従来は50mgとされていました。)
ただし、たばこを吸う人の場合、吸う本数をnとすると
    100 + n×50 [mg]
以上が必要なようです。
 ビタミンCは加熱調理などによって容易に分解されるため、実際にはこの倍の200mgを目標に摂取するのが望ましいといえます。 また、合成されたものの場合(つまり粗タンパクと結合していないもの)、生理活性が低かったり、吸収率が悪いとされ、この点も配慮する必要があります。

 活性酸素に対する十分な抗酸化作用などの薬理作用を期待する場合には、多量(1〜2g)の摂取が必要となります。 特に激しい運動をする人は、多量(1gほど)のビタミンCを摂った方が良いようです。 ただしこれも過剰摂取の害はあるようで、毎日2〜4gくらいを摂取すると、腎結石が生じることがあるとされます。

欠乏症…壊血病、皮下出血、貧血、風邪に罹りやすい、免疫機能の低下、癌リスク増大、脳卒中や心臓発作のリスク増大、骨形成障害、成長障害、肩こり、しみ・色黒、眼精疲労、神経過敏など。
過剰摂取…銅の吸収を阻害。尿管結石や腎臓結石の原因になり得る。
野菜類、果実類、ジャガイモ、ハム、ベーコン、甘海苔。
ビタミンD

脂溶性
 ビタミンDはカルシウム、リンを吸収するのに必要となるもので、これは日光の紫外線によって皮膚から作られます(ガラス越しではあまり効果がありませんが)。 また、歯や骨での石灰化を促進します。
 ただし、紫外線は夕日にはあまり含まれていないので、夕方ではあまり効果がないと考えられます。 (赤く見えるのは、周波数が低いほど屈折率が大きいことによります。屈折は媒質が異なるものに入射する時に生じ、この場合は真空から大気層に入り込むときに生じます。)
 なお、紫外線はそのように化学反応を引起こすものなので、過剰に浴びると皮膚ガンの原因になったりします。 (これは振動数が高い電磁波であることより、エネルギーも高いことが理由です。つまりエネルギーEは、E=hνとなり、振動数νに比例することによります。 また、周波数の違いによって吸収されるものが異なります。 マイクロ波から赤外線辺りの場合には、水分子などに吸収され、その温度が上昇します。 そのように、電磁波は周波数によってその影響度が異なります。)
 というのは、細胞のガン化は遺伝子の変異が原因となっているからです。 このため、紫外線を浴びたり、化学活性の高いものの摂取がガン化を引起すようになります。 食塩の過剰摂取が胃がんを引起こすようになるのは、食塩の成分である塩素はハロゲン元素であることより、化学活性が高いためです。
 また、高齢者ほどガンになりやすいのは、免疫機能が低下することによるものです。 このため若い時期にはガンにはならなくても、年を取るとその影響が現われてくるようになります。 特に喫煙によるその影響が現われてくるのは、年を取ってからということになります。 以前では、平均寿命が短かったことより、そうした影響はあまり考慮されていなかったのでしょう。
 ガン化を防止するには、免疫能力を維持したり、黄緑野菜に豊富に含まれているカロテンやビタミンC・Eなどの摂取が有効とされます。

 なお、大気最上層部にはかなり薄いオゾン(O3)帯があり、これが有害な紫外線などをブロックする役目をしているのですが、近年では冷蔵庫などに使用されていたフロンガスが大気中に多量に放出されることによってこれが破壊されて、北極地方や南極地方の上空にはオゾンホールが季節的に発生するようになりました。 (ただし、紫外線でもブロックするのはUV-Cとされるもので、これより波長の長いUV-AやUV-Bは透過します。 UV-Bが皮膚でのビタミンDの生成に寄与し、UV-Aは食欲増進、生殖機能を刺激するとされ、これらのことが日光浴をすることが良い理由です。) このため、有害な紫外線や宇宙線(紫外線よりも高い周波数のもので、エネルギーがより大きい電磁波)が入り込むことになり、オゾンホールが発生している場所での長時間の日光浴は避けるべきです。
 特に北極地方にできるものは、大気の流れ(極渦と呼ばれるもの)が安定していないため、明瞭なホールの形をとらず歪んでいます。 この結果、それが北海道辺りにも及ぶことがあるようです。

 特に梅雨時や日本海側の冬場には日光からの紫外線量が常時かなり減少するため、皮膚から合成されるビタミンDが不足する事態が生じます。 また、スモッグが多い都会や日常的に日光に当る機会が少ない人(20〜30分未満の人)、日焼け止めのクリームを塗っている人やUVケアの化粧品を使っている人、ビタミンDの合成能力が低下する高齢者も、ビタミンDが不足がちとなります。 そのような場合には、ビタミンDを食物などから摂取する必要があります。

 ビタミンDは、野菜や果物、穀物、乳類、肉類には含まれていなく、これは魚や卵、きのこに含まれています。

 卵1個(約50g)には、一日の所要量の約2割が含まれています。 なお卵は5度くらいの低温で保存すると、約1ヶ月はもつようです。 しかし保存温度が高いほど、また保存期間が長くなるほど、栄養分の劣化や細菌の卵黄への進入によって細菌の増殖(これは殻の気孔から進入してきたもの)が生じます。 このため、冷蔵庫の上段の奥に置くのが良いということになります。 (もっとも産卵後10日間くらいまでは、温度や置き場所による変化はあまりないようです。 もし保存期間を過ぎた場合には、しっかり加熱調理して食べるようにするべきです。)
 また、卵は殻の「底部」(先が尖っていない方)にある気室より呼吸しているため、殻の底部を上にして保存する方が良いとされます。

100IU(ビタミンDの場合、1IU=0.025μg)。ただし5才までは、400IUが必要。
摂取量上限値は1,000〜2,000IU(25〜50μg)
欠乏症…カルシウムの吸収阻害、くる病(小児)、骨粗鬆症、骨形成不良、免疫機能の低下、近視、難聴、筋肉の痙攣など。
過剰性…過剰に摂り続けると、血管などにカルシウムの沈着を促し動脈硬化の原因になります。また、腎臓に障害が出て尿毒症となる場合があります。
魚類、豚内臓、ハム、ソーセージ、茸類など。
ビタミンE

脂溶性
 ビタミンEは強力な抗酸化物質で、不飽和脂肪酸の酸化(過酸化脂質)を防ぎ、みずみずしい肌を保ちます。 このため、ビタミンEは若返りのビタミンともいわれます。 食品に含まれるビタミンEには4種類あり、それぞれα,β,γ,δ−トコフェロールと呼ばれます。 この中で最も効力が高いのはαで(五訂食品成分表でのビタミンE効力値はこれが基準)、これに対して他は、β=0.4,γ=0.1,δ=0.01の効力となります。

 過酸化脂質は、脂質過酸化の連鎖反応によって細胞を破壊するため、老化などの原因になります。 しかし、細胞膜にビタミンEがあると、その連鎖反応を停止させます。 ただし、ビタミンEによる過酸化反応の抑止が機能するためには、ビタミンCやナイアシン(B3)なども必要になります。 なお、抗酸化物質としては、他にビタミンC、β-カロテン(他にはリコピンなどのカロチノイド類)、ビタミンB2、ユビキノン(コエンザイムQのことで、順ビタミン物質とされる)、フラボノイド(他にはアントシアニン、カテキンなどのフェノール化合物類)、セレンなどがあります。
 また、発ガン物質を抑制したり、筋肉の萎縮を防ぐ他、生殖機能を正常に保っていて、この欠乏は生殖器官の萎縮により不妊や精子減少を招くことより、不妊ビタミンとも呼ばれます。
 なお、ビタミンEは酸化防止剤としても使用されますが、主に使用されるのは酸化防止効果の高いβ,γタイプのようです。

成人男子…10mg 成人女子…8mg

ガンや老化の防止などの薬理作用を期待するには、100〜300mgが必要なようです。

欠乏症…老化促進(黄褐色色素の増大など)、血行障害、不妊症(男性の場合、精子減少・精子の運動能力低下)、筋萎縮症、免疫機能の低下、癌リスクの増大、神経障害(神経過敏、疲労感、運動失調など)、筋力低下、近視、しみや皺の増加、脱毛など。
小麦胚芽、植物油、種実類(特にかやの実やアーモンド)、魚貝類、卵黄、野菜類など。
ビオチン
(ビタミンH)

水溶性
 ビオチン(旧ビタミンH、旧ビタミンB7)は糖質、脂質、蛋白質の代謝に関与しています。 (これは、ビオチンが二酸化炭素と結合して、この二酸化炭素がカルボキシル化反応に関与することによります。)
 また、DNAやRNAの合成にも関与していて、細胞増殖を促進させます。 神経との関係も深く、腰痛、肩こり、手足のしびれなどを改善したり、集中力や記憶力を高めるとされます。 
30〜100μg
欠乏症…脱毛、薄毛、白髪、乾燥肌、皮膚炎、爪の傷みなど。
 成人でのこの欠乏症はあまりないとされますが、生の卵白がビオチンと結合するため、生卵を何個も常食している場合には、ビオチン不足が生じるとされます。
レバー、牛乳、卵、大豆などの豆類、落花生、クルミやアーモンドなどのナッツ類。
ビタミンK

脂溶性
 ビタミンKは血液凝固因子(プロトロビン)の合成に必要となるものです。 このため、これは抗出血性ビタミンともいわれます。 また、骨からカルシウムの溶出を防ぐ働きに関与しています。 なお、女性の場合、高齢になると骨粗鬆症に罹りやすくなりますが、これは骨からのカルシウムの流出防止や骨の強化形成に関与しているという卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が停止することによります。

 ビタミンKは、穀類、魚介類、肉類、乳類には少なく、野菜や海草には十分に含まれています。 野菜や海草を全く食べない場合には、欠乏するおそれがありますが、野菜や海草を食べている分には欠乏することはないと考えられます。 ただし、野菜でも少ないものがあるので、同じものだけを食べている場合には、欠乏する可能性があります。

 しかし、ビタミンKは腸内細菌が作るもの(これはK2とされ、緑葉野菜などに含まれるものはK1とされます)を吸収することができるので、腸内細菌が少ない新生児以外での欠乏症はあまり起らないとされます。 ただし抗生物質やニンニクなどの食品を長期間摂取している場合には、ビタミンKの欠乏症が生じるとされます。

成人男子…65μg 成人女子…55μg
摂取量上限値は30,000μg
欠乏症…出血(乳児の頭蓋内出血など)、止血性の低下、骨粗鬆症など
大豆製品(特に納豆)、牛肉(脂身)、鶏肉(皮)、鶏卵、野菜類、藻類など。
葉酸
(ビタミンM)

水溶性
光に弱い
 葉酸(旧ビタミンM、旧ビタミンB9)は核酸(DNAやRNAの成分)の合成に関与しています。 (これは葉酸が炭素1つの基の転移を行なっていることによります。) このため、この欠乏は細胞増殖が盛んな組織において障害が顕著に現れます。 この代表的なものが骨髄での赤血球の生成で、この欠乏は悪性貧血を引起こすことより、葉酸は抗貧血性ビタミンともいわれます。
 また、葉酸の欠乏は消化器系の粘膜に潰瘍を生じさせることになります。

 ビタミンB12・Cとの併用が効果的とされますが、ビタミン剤からビタミンCを過剰(2g以上)に摂取している場合には、葉酸の排出が起こるとされます。

成人…200μg
特に胎児や乳幼児に必要で、妊婦は400μg
摂取量上限値は1,000μg
欠乏症…細胞増殖障害、貧血、口内炎、胎児の奇形、癌リスクの増大、神経過敏、記憶力低下、脱毛、白髪、免疫機能の低下、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など。
野菜(葉)、藻類、豆類(ただし、納豆を除く豆腐などの加工品は少ない)、レバーなど。 野菜(葉)をあまり食べない場合には欠乏気味になります。
ビタミンP  ビタミンPはビタミン様物質で、ポリフェノールの一種であるヘスペリジン(みかん由来のもので、したがって柑橘類に多い)やルチンなどの総称です。
 この主な効用は以下のようになっています。

    (1)毛細血管の強化
     毛細血管の透過性が増すのを抑制します。これにより、出血や浮腫、高血圧症などの症状となるのを抑えます。毛細血管の透過性が増すと、潰瘍や痔疾、壊血病、糖尿病などが生じるとされます。
     また、アレルギー反応である花粉症やアトピー性皮膚炎の症状を緩和するようです。   

    (2)動脈硬化等の予防
     悪玉コレステロール値(LDL)などを減少させ、善玉コレステロール値(HDL)を上昇させる効果があるとされ、これにより動脈硬化や脳血栓などを予防できます。  

    (3)血流の改善、抗ガン性
     壊れやすいビタミンCの働きを助け、体内の活性酸素の除去を向上させます。もし活性酸素が除去されないと、血管の収縮をコントロールしている酸化窒素が活性酸素と結合して、この働きが抑えられ、血管が収縮したままになってしまいます。
     また、活性酸素が除去されることにより、DNAが傷つくのを抑制することにもなりますから、(遺伝子変異が原因である)発ガンを抑えるということにもなります。

 ビタミンPの所要量については、一日当りを取っていればよいようです。
成人…60mg程度
 
 
カルシウム
(Ca)
 カルシウム不足は、骨や歯の成長・維持を阻害するだけでなく、脳の機能低下を引起します。 これにより、神経過敏、頭痛などを引起こしたりします。
 また、ビタミンDが十分に無かったり、リン酸塩の過剰摂取によってもカルシウム不足が起こります。 これは、リン酸がカルシウムや鉄を吸着して、体外に排泄されてしまうことによります。 他には、ストレスや女性ホルモンの分泌増加は、血中のカルシウム低下を引起こします。
 運動不足はカルシウムの吸収を低下させるので、適度な運動をした方が良いとされます。

 カルシウム不足になったり、酸性食品のみを多量に摂取すると、骨などからカルシウムが溶出するようになります。 これにより、高カルシウム血症となります。 特に女性の場合、閉経後は女性ホルモンの減少により、骨から容易に溶出するようになります。 この結果、骨粗鬆症となり、骨折しやすくなります。 (骨粗鬆症の原因としては他に、食塩の過剰摂取、過剰飲酒、コーヒーや茶などに含まれるカフェインの多量摂取などが挙げられています。) ただ、骨折ということにはコラーゲンの減少とも関係します。 というのは、コラーゲンが骨組織中のカルシウム化合物を保持しているものだからです。
 骨折を防止するためには、カルシウム(の他にビタミンDやマグネシウムも)を摂取することが有効ですが、これは40歳くらいまでとされます。 (ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を補助するために必要なものですが、これは腎臓によって活性型にされる必要があります。したがって、高齢などにより腎臓の働きが弱まっている場合には、カルシウムの吸収は低下するということになり、血中のカルシウム濃度の恒常性を保つためには、骨中からカルシウムを溶出さぜるを得ないという状況となります。) このことは、40歳を過ぎると造骨細胞の働きが低下し、カルシウムを摂取しても骨にはほとんど吸収されなくなるからです。 40歳を過ぎてからのカルシウムの摂取は、骨からのカルシウムの溶出を低減できるという点でのみ効果があると考えられますが、過剰摂取は高カルシウム血症(これは血管にカルシウムの沈着を引起こし、脳卒中や高血圧などの原因となる。また、過剰なカルシウムが神経細胞などに取り込まれて、不整脈や記憶力低下などの原因となる)を引起こすということなので注意が必要です。
 因みに、河川の軟水度が高い地方である秋田、青森、岩手において脳卒中が多く見られるのは、血中のカルシウムバランスを取るために、副甲状腺ホルモンによる骨からのカルシウム溶出が頻繁に行われ、これが常態となってしまったことが原因のようです。 (他には、酸性食品であるご飯を多く食べるということも関係しているのでしょう。)

 カルシウム不足が生じる原因としては、リン酸の過剰摂取ということも関係するとされます。 これは、リン酸とカルシウムの結合性が高いため血中でのカルシウム濃度が低下し、この低下を補うために副甲状腺ホルモンが分泌され、骨などからカルシウムが溶出するためです。
 リン酸は食品を(滅菌することによって)長期に渡って保持する目的で、加工・保存食品に多く用いられることより、そうした食品を多く摂取する場合には、カルシウムの欠乏(他にはマグネシウムも)に注意する必要があります。 また、リン酸を多く摂取すると、カルシウムが細胞に多く取り込まれるようになるとされます。 これは、細胞の老化や死滅の原因となります。

 カルシウムの補給には牛乳やチーズなどの乳製品が良いとされますが、食物に含まれるカルシウム量という点から言えば、小魚や野菜でもそれを上回るものがあります。 しかし、小魚や野菜では吸収率があまりよくなかったり(吸収率は2割ほど。一方、牛乳の場合には、7〜8割になる)、摂取量が少なかったりするので、実質的にはカルシウムの補給にはあまり適さないという傾向があります。 ただし日本人の場合、乳糖の消化酵素を持たなかったり、これが少ない人が多いため、牛乳よりもヨーグルトやチーズ(ナチュラルチーズ)の方がよいとされます。
 最近では、カルシウムの補給のために錠剤やカルシウム補給食品が市販されていますが、それらには安全基準値以上の鉛(発ガンや知能低下などの原因物質)を含むことがあるとされ、注意が必要なようです。 鉛は排気ガスにも多く含まれているので、交通量の多い場所や幹線道路沿いに住む人は鉛の過剰摂取に注意する必要があります。

成人男子…(600〜)700mg(13〜14才がピークで900mg)
成人女子…600mg(10〜18才がピークで700mg)
摂取量上限値は2,500mg。
カルシウムの吸収率は、吸収が良い牛乳でも半分程度のため、このことを考慮して、1日で失われるカルシウム量(150〜350mg)の上限である350mgの2倍程度となっています。 特に、カルシウム製剤に使用されることの多い炭酸カルシウムでは、この吸収率は5〜10%くらいしかないとされます。 カルシウムは砂糖や蛋白質、脂肪の消化時に消耗されるとされ、これらの摂取が多い場合には、カルシウム(他に鉄、亜鉛なども)の必要量は多くなります。(この点で、牛乳はカルシウムを効率よく摂取できるのですが、消耗も多いようなので一長一短ともいえます。) 逆に少ない場合には、1日当たり400mg程度摂取していれば十分なようです。 ただし、暑い戸外で作業などをすると汗を多くかき、カルシウムなどが排出されてしまうことから、この必要量が高まります。
欠乏症…成長障害、クル病、骨粗鬆症、虫歯、腰痛、神経障害、筋肉の痛み・痙攣等、免疫機能の低下、白内障、尿路結石など。
種実類、大豆類、小魚類、サンマ、サバ、干しエビ、乳類、とうがらし・カブ・ダイコンなどの野菜類(ただし根は除く)、藻類など。
リン(P)  リンはカルシウムやマグネシウムと共に骨を形成する成分です。 また、リン酸や核酸の成分になっています。
 リンは穀類や野菜類では少ないのですが、魚介類・種実類・豆類・肉類・卵類・乳類などに多く含まれているため、通常の食事では不足する心配はありませんが、副食が野菜ばかりだと不足しがちになります。
 ただし、リンの摂取量が十分でもビタミンDが不足すると、欠乏症が起こります。

 リンの摂取で気をつけるべきことは、リンをカルシウムに比べて多量に摂取すると、カルシウムの血中濃度が低下するためカルシウムの吸収を阻害することです。 (加工食品には品質改善剤としてリン酸塩を入れていることがよくあり、リンの過剰摂取が起こりがちであるとされます。特にインスタント食品や清涼飲料水に多いようです。) この結果、絶えずカルシウムの入れ換えを行なっている歯や骨が脆くなったり、神経や筋肉に欠乏症状が現れたりします。 逆にカルシウムがリンに比べて多すぎると、リンの血中濃度が低下します。
 このため、リン(P)とカルシウム(Ca)との比(P/Ca)は、2くらいが望ましいとされます。

成人…700mg
摂取量上限値は4,000mg
歯や骨がもろくなる。
穀類、種実類、豆類、魚介類、肉類、卵類、乳類、海苔、昆布など。
マグネシウム
(Mg)
 マグネシウムはリン酸マグネシウムとして骨を形成する成分ですが、これが欠乏すると、これの血中濃度の恒常性を維持するために骨から溶出することになります。
 また、筋肉にも存在して、カルシウムに対して相対的にこの欠乏が生じると(カルシウムも血中濃度の恒常性が維持されますが)、筋肉が収縮して痙攣(心発作などの原因)を引起こすようになります。 これは、カルシウムが動脈の収縮を促すのに対して、マグネシウムはこの弛緩を促すためです。 (カルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)との比(Ca/Mg)は、2くらいが望ましいとされます。) なお、血管の収縮・弛緩にはナトリウムとカリウムのバランスも関係しています。 食塩の摂りすぎは高血圧の原因になるといわれますが、これはナトリウムがカリウムに対して過剰になるためなので、食塩を摂りすぎる場合にはカリウムが豊富なものを食べる必要があるといえます。

 他には、肝臓、脳、神経にもマグネシウムが存在しています。 マグネシウム不足は片頭痛の原因になるとされます。 なお、マグネシウムには脳保護作用があるとされます。

 強い物理的あるいは心理的ストレスが加わると、マグネシウムが細胞から血液に流入し(この結果、血管の弛緩が起こり、血圧が低下します)、それが尿として排出されるようになるので、ストレスはマグネシウムの欠乏を引起こすとされます。
 また、リン酸を多く含む食品を摂取することによっても、マグネシウムの欠乏を引起こすとされます。 他には、蛋白質や脂肪、砂糖の摂りすぎも、マグネシウムの欠乏を引起こすとされます。 砂糖の摂りすぎは糖尿病の原因となりますが、この治療にはマグネシウムの摂取が有効であるとされます。

 なお、発育にはよく牛乳が良いと言われますが、これはマグネシウムが少ないため、他のものから摂取する必要があります。

成人男子…320mg 成人女子…260mg
摂取量上限値は700mgとされますが、過剰分は排泄されるので、この害はないようです。
欠乏症…成長障害、骨粗鬆症、虫歯、腰痛、筋肉の痙攣、心悸亢進、不整脈、高血圧、神経過敏、記憶力低下、免疫機能の低下、腎臓結石、脱毛、神経疲労、生理痛、ギックリ腰、細胞浮腫、片頭痛など。
藻類、種実類、豆類、イワシ類、野菜類など。
鉄(Fe)  鉄は赤血球のヘモグロビン・筋肉のミオグロビンなどに含まれています。 ヘモグロビンは肺からの酸素を運ぶ役目をし、ミオグロビンはその酸素を細胞に取り入れる役目をします。 このため、これが欠乏すると酸素不足となり、貧血などを引起こします。 また、鉄や銅にはカドミウムや鉛などの有害金属の吸収を防ぐ働きもあるようです。
 鉄分はヘム鉄(有機鉄化合物)と非ヘム鉄(無機鉄化合物)に分けられ、ヘム鉄の方が吸収率が高くなっています。 食物中に多く含まれる非ヘム鉄はそのままでは吸収率が悪く、これを高めるにはビタミンCや蛋白質の摂取も必要です。 また、非ヘム鉄は炭酸やリン酸、シュウ酸、フィチン酸、食物繊維などによって吸収が阻害されます。
成人男子…10mg(12〜19才がピークで12mg)
成人女子…10mg(12〜19才がピークで12mg)
摂取量上限値は40mg
欠乏症…貧血、動悸、疲労、筋力低下、脳の機能低下(記憶力や注意力の低下など)、神経過敏、頭痛、肩こり、免疫機能の低下、骨折しやすいなど。
過剰症…ラジカルの発生(細胞の破壊など)、心不全、肝硬変など。
小麦類、種実類、豆類、魚介類、レバー、肉類(赤肉)、卵類、パセリ・唐辛子などの野菜、藻類など。
銅(Cu)  銅は腸からの鉄の吸収を助けたり、脊髄でヘモグロビンを生成するとき、鉄の利用を容易にします。 この他、銅は酵素の構成成分にもなっていて、様々な働きをします。
 なお、銅鍋の緑青(ろくしょう)は中毒を起します。
成人男性…1.8mg 成人女性…1.6mg(摂取量上限値は9mg。ただし食品からの過剰症はないとされます)
欠乏症…貧血、骨折や骨の変形、神経障害、痙攣、皮膚炎、免疫機能の低下、白髪、脱毛など。
小麦類、種実類、豆類、ウナギ、カキ、イカ類、カニ類、エビ類、レバーなど。
ナトリウム
(Na)
 ナトリウムは筋肉・神経の興奮を弱めます。 また、細胞内の浸透圧を調整したり、体液のアルカリ性を保ちます。
 ナトリウムは食塩から摂取されますが、この摂取量は多く、通常不足することはありません。 特に漬け物には、保存性を高めるために食塩を多量に入れている場合が多く、それを多く食べる場合には塩分の摂取が過剰になりがちです。

 日本海側の東北地方(おそらく北陸地方なども)では、胃がんになる人が他県よりも多かったのですが、これは冬期には漬け物を食べることが多かったことより、塩分(塩素)の取りすぎが原因のようです。 (もちろん他にも胃がんを引起こす原因物質は多いですが。その代表的なものとしてはニトロソアミンが挙げられています。 微生物としてはピロリ菌も関係しているようです。 これはピロリ菌が産生するアンモニアや毒素、及び二次的に発生するサイトカインやフリーラジカルによって遺伝子が傷つけられると考えられています。 実際、胃がんの再発率はピロリ菌が存在すると高率になります。)
 しかし、塩分の摂取が少なすぎる場合にも弊害が生じます。 これは、血中のナトリウム濃度が低くなりすぎると、体液のナトリウム濃度の恒常性を維持するため、骨からそれを取出して補おうとするためです。 (または、細胞内に水分を吸収して体液濃度の恒常性を維持しようとします。) 特に夏場に汗としてナトリウムが排出されると、それが促進されるようです。 その結果、骨の分解が促進されて、骨粗鬆症となる可能性が生じてきます。 また、ナトリウムを骨から取出すときには、骨を形成している成分である、カルシウムやマグネシウムの濃度も上昇します。 カルシウムは体内で様々な働きをしている有用なミネラルですが、過剰にある場合にはやはり弊害が生じます。
 なお、腸管からのナトリウム吸収が低いという人の場合には、通常よりも多く摂取する必要があります。

食塩の摂取は10g未満が望ましい
欠乏症…食欲不振、倦怠など。
過剰症…高血圧、動脈硬化など
魚貝類(塩漬けや干したものに多い)、ソーセージ類、ハム類、野菜類(塩漬けのもの)、梅干し、ワカメ・昆布などの藻類など。
塩素(Cl)  塩素は、細胞液のPH値の調整や浸透圧の調節をする働きをします。 また、消化液に多量に存在し、消化酵素の重要な成分となっています。
食塩の摂取は10g未満が望ましい
欠乏症…消化不良、食欲不振。

過剰に摂取しても排出されてしまうので、過剰症はないとされますが、胃内での塩素の化学的作用は無視できないと考えられます。

ナトリウムは塩(NaCl)から摂取することより、ナトリウムが多いものは塩素も多くなっています。
カリウム(K)  カリウムは神経や筋肉の働きに重要なものです。 カリウムは多くの食品に十分に含まれていて、通常不足する心配はあまりありません。

 カリウムは水に溶けだすようで、茹でたものは、葉で5割ほど、それ以外は1〜3割ほど減少します。 

成人…2,000mg
欠乏症…筋力低下、不整脈、神経障害、高血圧など。
ジャガイモ、豆類、種実類、野菜類、魚類、藻類など。
亜鉛(Zn)  亜鉛は皮膚・目の硝子体・肝臓・腎臓・舌などに含まれます。 亜鉛はDNAや蛋白質、インシュリンの合成にも関与していて、この欠乏は成長障害などを引起こします。 また、細胞分裂に必要とされ、この欠乏は免疫機能を低下させたり、傷の治りなどを低下させます。 さらに活性酸素の働きを抑制するので、ガンを予防し、老化の進行を防止します。
 亜鉛は穀類(米など)や野菜には少ないので、これらの食品を主とする場合には亜鉛不足が生じます。 以前の日本人の体格が小さかったり、寿命が短かったのは、亜鉛不足が原因していると考えられます。
成人…11〜15mg程度
欠乏症…子供では成長障害、貧血、中耳炎など。 大人では、皮膚炎、味覚・嗅覚障害、免疫機能の低下、不妊、精子減少、視力低下、白内障、腰痛、脱毛(禿げの原因)、アルコール性肝障害など。
摂取過剰…銅の吸収を阻害。
畜肉類、魚介類(特にカキ)、豆類(豆腐などには含まれない)、種実類、卵黄、チーズ類など。
ヨウ素(I)  ヨウ素(ヨード)は甲状腺ホルモンの成分で、このホルモンは発育を促進したり、蛋白質・脂質・糖質の代謝を高めます。
 特に、ヨウ素はメラニン色素の働きを活発にするのに必要となります。 (他には、カルシウムやカリウムも必要になります。) もしこの働きが低下すると、白髪の原因となります。 これは、黒髪が形成されるのはメラニン色素の働きによるからです。 つまり、毛髄質の色である白い髪から、(透明であった)毛皮質のメラニン色素が活性化して、黒髪になるからです。
 白髪の人は、事務などのデスクワークを主体にする人に多いようですが、これは視神経の代謝物質としてヨウ素が過剰に消費されるためとされます。 また、このことには戸外にいる時間が短いことより、紫外線をあまり受けないということも関係するのでしょう。
成人…200〜300μg
摂取量上限値は3,000μg
欠乏症…発育障害、疲労感、肥満、新陳代謝の低下
過剰症…甲状腺腫
海草類(ワカメ、コンブなど)、魚介類
マンガン(Mn)  マンガンは糖質、脂質、蛋白質の代謝酵素の成分になっていて、骨や肝臓の働きを高めます。 また、ホルモン分泌の中枢である、脳の下垂体をの機能を高める作用があるとされます。

 マンガンは米や豆類、野菜に比較的多く含まれているため、通常の食事で欠乏することはなさそうです。 しかし洋風の食事、つまりパンにミルク、肉を主体にする場合には欠乏しがちになります。

成人男子…4mg
成人女子…3.5mg
欠乏症…骨の成長不良、腰痛、不妊、難聴、白髪など。
穀類、種実類、豆類、野菜類、海苔類など。
セレン(Se)  セレンの主な働きとしては抗酸化作用があります。 他には、抗ガン作用があるとされます。 また、最近では男性の精子の減少が顕著になっているとされますが、セレンには精子を多く作りだす作用があるようです。
成人男子…50〜60μg
成人女子…45μg。(授乳婦は65μg)
摂取量上限値は250μg
欠乏症…老化促進、免疫機能の低下、心筋梗塞、癌リスクの増大、不妊、白内障など。なお、欠乏は稀とされる。
過剰症…吐き気や脱毛など。
魚介類、緑黄色野菜、肉類、海藻など
モリブデン(Mo)  尿酸などの代謝を補助し、尿酸値を正常に保ちます。 (尿酸が過剰にあると結晶化してトゲのようになり、これが通風を引起こします。) また、鉄の利用を高め、造血作用を促進します。
 
欠乏症…通風、貧血、疲労、不妊
乳製品、豆類、穀類
硫黄(S) 硫黄はアミノ酸のシスチンに含まれ、シスチンは毛髪や皮膚・爪を作る重要な成分です。 
 
欠乏症…皮膚炎、抜け毛など
魚介類、肉類、卵、牛乳
クロム(Cr) 食物に含まれるのは3価のクロムで、5価のものは毒性があります。 クロムは糖と脂質の代謝のために必要な微量ミネラルとされます。 また、これはインシュリンの働きをよくする作用があるとされます。
成人男子…35μg
成人女子…30μg
欠乏症…高血糖、糖尿病、視力低下、白内障、肥満など。
 
コバルト(Co) コバルトは脊髄での造血の働きに関係しています。
 
欠乏症…貧血
肉類、魚介類、牛乳
ゲルマニウム(Ge)  ゲルマニウムは現代では半導体物質としてよく使用されています。 ゲルマニウムは炭素型元素で(他にはシリコンやスズ、鉛があります)、単体ではダイヤモンド構造をとっています。 炭素同士の結合に比べると、結合エネルギーは約半分で、温度が上昇するとこの結合が切れて、自由電子が生じ、導電性を示します。

 なお、金属が導電性を示すのは、金属結合の元になっている自由電子があるためです。 これから、金属であるということは、必然的に導電性を示すことになります。 原子での電子の結合エネルギーは、電子が原子核から離れるほど弱くなることから、一般に原子番号が大きくなるほど、原子核による電子の捕捉力が弱くなります。

 また、電子による閉殻ができた直後の原子も電子の捕捉力が弱くなります。 これの比較的原子番号の小さいものとしては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムがあります。 また、水素も電子を捕捉する力が弱い原子となります。
 一方、電子の捕捉力が強いものは、閉殻を作る前の原子で、しかも原子番号が小さいものとなり、これとしてはフッ素、塩素、酸素などがあります。 特にフッ素はその力が強いため、体内では劇薬となります。
 閉殻を作る前の元素の電子の捕捉力が強いのは、閉殻ができていないために、電子による遮蔽が完全になされていないということと、元素数が増えるということは陽子数が増えて原子核による引力が強まるのですが、この殻にまだ電子を捕捉できることによります。 つまり、近い距離に電子を入れることができるためです。 例えば、同じ最外殻を持っている、炭素、窒素、酸素、フッ素の電気陰性度(簡単にいえば、分子内の原子が電子を引きつける能力のこと)は、2.5、3.0、3.5、4.0というように直線的に増加していき、これは陽子数の増加と比例しています。
 しかし、閉殻ができてしまうと、その殻(正確には電子軌道のこと)にはそれ以上電子が入り込むことができないため(これはパウリの排他原理によります)、より遠い距離にある殻に入らざるを得なくなります。 つまり、このことは原子核-電子間の静電的引力が弱まることを意味するのですから、電子の捕捉力が弱まることになります
このため、温度上昇によって最外殻での原子核-電子間の結合が切れて、自由電子が生じることになります。 ゲルマニウムはそうした物質の中では、常温付近でちょうど導電性が高くなる物質になっています。 これと似た物質としては、シリコンがあります。 一方、常温で高い導電性を示す銅などの場合には、温度が上昇すると原子の熱振動によって熱抵抗性が生じるために、導電性が低くなっていきます。

 さて、古来よりゲルマニウムは種々の病気を治す効果があると信じられていますが、現在のところこれはヒトに必須な元素にはなっていません。 有機ゲルマニウムの毒性は、同族元素のシリコンやスズ、鉛と比較すると低いとされますが、ゲルマニウムは体内から排出されにくいため、長期に摂取するとこの蓄積によって、筋肉が衰えて呼吸困難を起して死亡することがあります。 実際、ゲルマニウムで糖尿病や高血圧などが治ると宣伝され、二酸化ゲルマニウムを多く含む健康機能食品を長期間摂取し続けた小児が死亡するという事故が起きています。
 なお、ゲルマニウムのアルキル化合物にバクテリアや真菌の増殖を抑える働きが発見され、抗腫瘍作用や抗マラリア性をもつゲルマニウム化合物が合成されています。 また、免疫機能を活性化させて、ウイルスの増殖を抑える働きがあると推定される、ゲルマニウムを含む環状の高分子化合物であるプロパゲルマニウムが合成されています。

 上記で、豊富なものとして挙げたのは、食物の可食部100g当り、成人男性の1日当りの所要量に対して2割以上含むものです。 また、大きく類別して挙げたものの中には当然少ないものも結構あります。


補 足

酸と塩基
 共有結合している水素は電子を補足する力が弱く、そのため水素イオンになりやすいという傾向があります。 このため、化学反応においては水素の置換が起こり易く、そうした化学反応の性質を表わす言葉として、酸と塩基があります。 この酸と塩基の現代的定義は次のようになります。 水素イオンを放出する物質は酸となり、水素イオンを受け取る物質は塩基となります。
 一般に酸素を含むものは酸になりやすく、窒素を含むものは塩基になりやすいようです。
 酸性度を表わす用語として、酸とアルカリがあり、これは水溶液中での水素イオン濃度によって表わされます。 水溶液中では、水素イオンの濃度は1mol/lから10-14mol/lと変化することになりますが、酸性度はこの量の常用対数の負を取って表わします。 したがって、この値が大きいほど水素イオンの量が少ないということになり、これは水素イオンを吸収する力が強いということを意味します。
 例えば、10-14mol/lでは -log10-14=14 となりますから、これはpH14となります。
 水の場合の水素イオン濃度はpH7となり、これを中性とし、これより小さい場合を酸性、これより大きい場合をアルカリとします。


核酸
 生体を構成する物質として重要なものは蛋白質と核酸です。 核酸にはDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)とがあります。 DNAは細胞核を構成している染色体の重要な物質で、つまり遺伝子の本体です。 しかし、実際に蛋白質の合成を受け持つのはRNAの方で、これには鋳型RNA(m-RNA)と転移RNA(t-RNA)などがあり、鋳型RNAの方はDNAの複写として核内で合成され、細胞の中のリボソームに辿りつき、蛋白質を合成させます。 このときアミノ酸を必要としますが、これはそれぞれのアミノ酸に付着する役目をする転移RNAが受け持ちます。
 核酸はそのように重要な物質ですが、これは体内で炭水化物(糖質)と蛋白質から十分に合成されると考えられているため、摂取すべき栄養素とは考えられていません。 しかし、体内で十分に合成されるのは20歳くらいまでで、それ以降は合成が不十分となり、このため細胞分裂や蛋白質合成が阻害され、老化が生じてくるようです。 特に穀物や野菜には核酸が少ないとされ、これらのものばかりを食べている人は老化しやすいとされます。
 したがって、老化を防止するには核酸の豊富なものを食べるのが効果的だということになるようです。
 例えば、老化の特徴の一つである白髪には、高核酸食品と動物性蛋白質、ビタミンA・B2・B6、パントテン酸などの摂取が有効なようです。
 ただし、核酸を多量に摂取すると、この成分のプリン類(アデニンとグアニンの塩基)によって血中の尿酸値が高まり、痛風や腎臓結石の原因になるとされます。 よく美食の人に痛風となる人が多いのは、肉や魚を多量に食べるため、核酸を過剰に摂取することが原因のようです。 そうしたことを防止するためには、尿の排泄量を多くするために水分を多く(1日2リットル程度)取ればよいとされます。

 また、高齢になると(短期的)記憶力が低下してくるものですが、これは核酸やDHAなどを摂取することで、ある程度防止できるようです。 このためには、一日当り2〜3gの核酸を摂取する必要があるとされます。 なお、これまで脳細胞は一旦出来上がってしまうと増殖しないものとされてきましたが、脳細胞の一部は増殖が可能なようです。 これは脳内に(未分化の細胞である)幹細胞があることによります。


所要量
 所要量は、健康を維持するために最低限必要な量(これは平均値)に一定の安全率(2割程度)を掛けたものです。 しかし、摂取したものが全て吸収されるとは限らないので、所要量だけ摂取しても、十分でない場合があります。 例えば、 カルシウムでは、牛乳の吸収率が高いとされますが、この吸収にはビタミンDが必要です。
 また、体格や活動性によっても所要量は変化します。 よく男性と女性とで所要量が多少異なるのは、体格的相異が大きいと考えられます。 ただし、発育盛りでは、体格は大きくなくても、所要量が増えるという場合があります。 例えば、カルシウムがそうです。
 なお、現在では所要量という言葉の代りに、推奨量という言葉が使用されます。


生理作用と薬理作用
 ビタミンの摂取量の相異によって生理作用のみが現われる場合と薬理作用も現われる場合とがあります。 1日の所要量を満たすだけでは生理作用しか望めません。 ただし、ビタミンA・Dは過剰症もあるので、摂取量に注意する必要があります。


水溶性のビタミン
 水溶性のビタミンは茹でると、水に溶けだして、減少します。 これは、葉のもので5〜7割くらい(5割くらいが多い)、根または豆が1〜5割くらい(1・2割くらいが多い)となります。


脂溶性のビタミン
 脂溶性のビタミンを摂取する場合、そのままでは吸収率が悪く、油や脂肪と共に摂取すると吸収率が高まります。


野菜の栄養価について
 豆類を除外した野菜の栄養価は、肉や魚介類その他に比べて、全般的に低い傾向が見られますが、これは野菜の水分含有率が高いことが関係しているように思われます。 つまり、水分を除外したものが栄養分として表わされるわけですが、多くの野菜の水分の含有率が90%以上であるのに対して、魚介類や肉類は70〜80%程度なことより、魚介類などの栄養分そのものの含有率は少なくとも野菜の2倍以上となり、平均した値としては4倍くらい違うことになります。
 そこで、野菜の各栄養価を4倍して比較すれば、結構野菜も魚介類などと張り合います。 ただ、やはり蛋白質や脂質は、肉や魚介類の方が多めですが。 特に野菜には脂質がほとんど含まれていないものが大半です。
 また、一般に根よりも葉の方が栄養価が高く、葉も捨てずに利用したいものです。 葉よりも根の方がおいしく、このため根の方が栄養価が高いと思われるのは、根の方が糖質が高く、そして蛋白質が低いことが関係しているように思われます。 (蛋白質は味覚にはほとんど関係がないことより。) あとは、歯ざわりの違いかもしれません。 (これも味覚情報として関係します。)


活性酸素対策
 食品の摂取や呼吸、ストレスなどで生じた活性酸素は過酸化脂質やガンなどの原因となります。 活性酸素は肝臓で抗酸化酵素によって除去されますが、このことは30代くらいまでで、40才を過ぎるとこの働きが弱まってしまいます。 (抗酸化酵素としては、グルタチオンペルオキシダーゼとSOD酵素があり、これらは黄緑色野菜に多く含まれるとされます。ただし、グルタチオンペルオキシダーゼはセレン、SOD酵素はマンガン、銅、亜鉛の微量ミネラルを必要とします。)
 このため、肝臓で処理されなかった活性酸素は食べ物から摂取したもので消す必要が出てきます。 このような食物としては、以下のものが挙げられています。

(1)ビタミンC
(2)ビタミンE
(3)カロテン(一般にはこれはカロチノイド類のことで、β-カロテンなどがあります)
(4)カテキン(緑茶に多い)
(5)フラボノイド(特にイチョウフラボノイドの効果が高いとされます)
(6)ユビキノン(コエンザイムQのことで、これは順ビタミンとされます)
(7)含硫化合物(ニンニクやキャベツなどに多い)

特に、ビタミンC、ビタミンE、カロテンを一緒に摂ることが効果的とされます。 これはそれぞれ働く箇所が異なるためです。
 なお、カテキンやフラボノイドはフェノール化合物(ポリフェノールとも)に総称されるもので、他にはアントシアニン(赤ワインに多いということで有名)などがあります。  


ストレスと免疫
 免疫とは異物(自己の体内以外のものである、細菌・ウィルスなどで、これは抗原と呼ばれます)に対する認識・排除システムのことで(認識は抗体生成によって行われます。一旦、抗体が作られると、それが保持されて異物はすぐに撃退されます。つまり、免疫があるというのは、その抗原に対して抗体ができている状態のことです)、ガン細胞(遺伝子の損傷によって生じる非自己的細胞)もこの対象になります。 ガン細胞はNK細胞(ナチュラル・キラー細胞、リンパ球の一種。リンパ球は白血球の2〜5割ほどを占める)によって撃退されるのですが、NK細胞の活性はストレスと関係が深く、ストレスが強いほどこの活性が低下するようになります。 もしそうした強いストレスを受けつづけていると、NK細胞の活性が低下したままとなって、ガン細胞を増殖させてしまうようです。
 また、ストレスによって副腎皮質ホルモンが分泌され、これによってコルチゾール(強い抗炎症作用をもつ)が増えますが、これは免疫系を抑制するとともに、肝臓に貯蔵されているグリコーゲン(糖質はブドウ糖に還元され、これはグリコーゲンとして貯えられます)を血中へ放出するのを促し、血糖値が上がるため、糖尿病の原因にもなるようです。 なお、ストレスによって怒りや恐怖が生じたりもしますが、これは交感神経を刺激し、副腎髄質からはアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。 アドレナリンは肝臓にブドウ糖の放出を行なわせ、ノルアドレナリンは血管を収縮させ、血圧を上昇させます。
 ストレスによってコルチゾールやカテコールアミン、成長ホルモンなどが産生するのですが、これらは自己に対する強迫的心理傾向(A型気質と呼ばれるもの)によって増加するとされ、このことによって脂肪組織から遊離脂肪酸の導出が促進されます。 さらに、遊離脂肪酸の代謝産物によってコレステロールが増加するため、動脈硬化を引起こすようになるとされます。

 免疫は通常は非自己的物質に対する反応なのですが、誤って自己の細胞や蛋白質に対しても働いてしまうことがあります。 これは自己免疫と呼ばれ、これとしてはリューマチ(関節の痛みや腫れを起す症状のもので、これは遺伝的要素が強いとされます)が挙げられ、これもストレスと関係が深いようです。


遺伝子組み替え食品

 遺伝子組み替え食品(GM食品)として流通が許可されている作物としては、大豆、ジャガイモ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、甜菜(テンサイ。ビートとも)の6種があります。 大豆は黒目大豆という品種で、豆腐や醤油などの油脂類(マーガリン、マヨネーズを含む)や植物蛋白に利用されています。 植物蛋白とは、大豆や小麦から炭水化物と脂質を除いて、蛋白質の含有率を50%以上にしたものです。
 ジャガイモは生のものは輸入されませんが、加工品や冷凍品として輸入され、お菓子やフライドポテトなどに用いられています。 トウモロコシは主としてデントコーンという品種で、これは家畜の飼料が主な用途で、他にコーンオイルやコーンスターチ(澱粉の一種)、お菓子(コーンフレーク、コーンスナック)、液糖の原料となります。 ただし種子汚染もあるため、他の種にも紛れ込んでいる場合があります。 ナタネ(アブラナ科)は搾油されて食用油(キャノーラ油、カノーラ油)となり、揚げ菓子などに利用されます。 (しかし、これには輸入港でのこぼれ種子の自生によってこの近縁種への交雑による汚染の心配があります。) ワタは綿実油となり、マーガリン(植物油に水素を添加して固形化したもの)などに利用されます。 テンサイはサトウダイコンのことで、砂糖の原料として利用されます。 なお、遺伝子組み替え米も開発されていて、近い将来米も加わる可能性が高いようです。

 遺伝子組み替え作物はアメリカではかなり多く作られ、食品に利用されているのですが、それをあまり見掛けないのは、表示上の問題とされています。 例えば、組み替えダイズが混じっていても、それが5%以下であれば、日本では「非組み換え」の表示ができるとされています。
 なお、日本でもダイズやコメなどの組み替え作物の試験栽培が行われていて、遺伝子汚染や耐性菌の発生が懸念されています。 コメの場合、昆虫やヒトなどの生物や植物が持っている殺菌作用のある蛋白質である、ディフェンシンを常時生じさせるように遺伝子を組み込んだものが試験栽培されているのですが、これに対する耐性菌が生じた場合の脅威が懸念されています。なお、微生物は環境に適応する能力が高いのが特徴で、最終的抗生物質であるバンコマイシンに対する耐性菌も生じているのですが、医療はこれに対してなす術がありません。
 しかも、この汚染には特許侵害(開発した種子に特許権を与えることができるため)という危険性が生じることにもなります。 このことは植物や昆虫などが勝手に行なうことで全く心外なことといえるのですが、組み替え作物を栽培している農地の周辺の農家の人は注意が必要です。
 また、輸入した、非組み替えである筈の種子(トウモロコシ)自体が混入により汚染されていたという場合もあり、注意が必要です。

 遺伝子の働きは蛋白質を作ることなので、ある遺伝子を組み込んだことによる影響は蛋白質によるものということになります。 蛋白質は胃や腸でアミノ酸に分解されて吸収されるので問題がないと考えられてもいるのですが、実際は完全には分解されず(特にBT毒素は熱や酸、酵素に強く、調理や消化で分解されにくいとされます)、そのまま吸収されて、アレルゲンになったり、発ガン物質になったりすることがあるとされます。 (BT毒素の毒性は昆虫にその受容体があることによるのですが、受容体がなくても、僅かながら細胞表面からの侵入があり、その影響が現われることになります。)
 DNA(核酸の一種で、遺伝子はこれでできている)の場合も同様で、動物実験によるとDNAは完全には分解されず、胃腸から吸収されてしまうとされます。 また、組み込んだ遺伝子が腸内細菌に取り込まれてしまったりします。 したがって、遺伝子組み替え食品を飼料にしている家畜の肉を食べた場合にも、間接的ながら遺伝子組み替え食品による成分を摂取してしまうという可能性があります。

 遺伝子組み替えの目的は、殺虫効果を持つ植物の遺伝子(BT毒素)を該当の植物の遺伝子に組み込んで、殺虫剤を散布しなくてもよいようにしたり、強力な除草効果を持つ農薬に対する耐性を持たせて、その農薬を使用できるようにするためです。 しかしながら、特定の作物にその遺伝子を組み込んでも、その花粉の受粉によって他の植物(雑草など)もその遺伝子を獲得するようになり、これでは特定作物の耐除草効果ということが無意味になったりします。

 さて遺伝子組み替え食品には、目的とする遺伝子とは別にプロモーター遺伝子やエンハンサー遺伝子、マーカー遺伝子などがセットで組み込まれます。
 プロモーター遺伝子とは目的の遺伝子を作動させるためのもので、これにはカリフラワーモザイクウィルス・プロモーターが使用されることが多いようです。 遺伝子組み替えを行なったジャガイモを用いたラットでの実験では、免疫力の低下や臓器の成長低下などが見られました。 このことはこの遺伝子が原因でないかと疑われているようです。
 エンハンサー遺伝子とは目的の遺伝子の働きを強めるためのものです。
 マーカー遺伝子とは、目的の遺伝子を打ち込まれた核の細胞が遺伝子組み替えに成功したものかどうかを調べるためのもので、通常これは耐抗生物質のようで、成功したものは抗生物質の中でも生存するということになります。 ところが、微生物は環境への適応力を高めるために頻繁に遺伝子の交換を行なっているとされ、その抗生物質への耐性をもつ腸内細菌が生じる可能性があります。 つまり、その細菌が体内にできて、病気に罹った場合、その治療のための抗生物質が効かなくなる可能性があります。 そのような遺伝子組み替え食品は家畜の飼料にはよく使用されていて、家畜では特にその危険性が高いようです。

 遺伝子組み替え食品は食品添加物にもあり、認可されているものとしてキモシン、α−アミラーゼ、リボフラビンがあります。 キモシンは牛乳を固めてチーズにするときに用いられます。 α-アミラーゼはパンをいつまでもふっくらとさせるために、パン生地に入れて焼き上げられます。 リボフラビンはビタミンB2のことで、栄養補強以外に着色剤としても使用されます。 これらの食品添加物は大腸菌といった微生物に該当の遺伝子を組み込んで増殖させて、微生物ごとすり潰して抽出するという方法がとられます。
 そうした食品添加物の危険性としては、遺伝子組み替えが行われた微生物が予期しなかった物質を生成してしまい、それが微量であるために成分検査から漏れ、しかも安全性を十分に確認しないまま市場に流通してしまうことです。

 以上のように、遺伝子組み替え食品の危険性というのは、遺伝子の組み替え自体だけでなく、遺伝子組み替え技術やその利用(除草剤の大量使用など)に大きな問題があるということを把握しないと、自然交配や突然変異との本質的相異を見失ってしまいます。


電子レンジ
 冷めたものを温めるものとして電子レンジがよく使用されますが、これは電磁波の一種である波長約12.2cmのマイクロ波を当てて食品中の水分子を高速回転させ、それが他の分子と衝突するときに生じる「摩擦熱」によって食品を温めようとするものです。
 水分子の場合、共有結合しているとはいえ、共有している電子が酸素側に強く引きつけらていて分極しています。 このため、水分子の結合面に対して上下に変動する電場を与えると回転するようになります。 そこで、この水分子の回転運動に同期するような振動の電磁波を当ててやれば、この回転運動が非常に高まることになります。
 また、電荷を持っているイオン(例えば塩やミネラルなど)もマイクロ波をよく吸収します。 したがって、水分及びイオンを含まない場合には電子レンジによって加熱することはできないことになるのですが、多くの食品は水分を含みますから、総じて食品の加熱が可能になります。 (水分子以外でも動かされる有機分子は多いと考えられています。)
 ただし凍っている場合には、水分子同士は水素結合によって比較的固く結びついていますから、回転させることが困難となります。 したがって、冷凍食品の場合にはその表面のみが温まり、中は凍ったままということが起こります。
 また、塩分が多い場合にはマイクロ波がよく吸収されるため、食品の表面部分がよく温まる結果となります。 一方、水分が少ない場合には熱容量が小さいために食品がよく加熱されますが、表面は外気によって冷まされるため、表面よりも内部の方が高くなります。

 電子レンジには食品を簡単に温めることができるというメリットがある反面、分子の衝突によってビタミンなどの破壊が生じてしまうことより、栄養価が低下してしまうことに注意する必要があります。
 また、分子の立体配置が変るものもあるとされます。 天然の脂肪酸やアミノ酸は固有の立体配置を取っていて、立体異性体のもの(D型アミノ酸やトランス脂肪酸)は体内で利用できなかったり、悪影響が生じる場合があります。

 なお、電子レンジで食品を温めたり調理した場合、食品からの放射線を完全に消散させるため、2〜3分そのまま置いてから取出した方がよいとされます。


アルコール、フェノールなど
 アルコール(広義)の定義ですが、これは飽和の炭素原子に水酸基(-OH)が結合したものとなります。 (そのようなアルコール分子は一般に、「…オール」や「…ノール」などと呼ばれます。) アルコールでも、結合する水酸基の数によって一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールなどと呼ばれ、一般に二価以上のアルコールは多価アルコールと呼ばれます。 例えば、単糖は多価アルコールです。 なお、多価や多数を意味する「ポリ」という接語がありますが、ポリアルコールという名称は使用されません。
 普通、アルコールと呼ばれるものは、エチルアルコール(エタノールとも)またはメチルアルコール(メタノールとも)のことで、飲用のアルコールはエチルアルコールとなります。 メチルアルコールは失明などをなどを起すことから、体内では毒物となります。 これらはアルコールの中では単純な構造のもので、メタノールはメタン(CH4)に一個の水酸基が化合したもので(CH3-OH)、エタノールはエタン(C2H6)に一個の水酸基が化合したもの(CH3-CH2-OH)です。 なお、水酸基を持つものとしては水がありますが、これは炭素を含まないことより、アルコールにはなりません。

 アルコールの中には、芳香族環(炭素環ではベンゼン環となる)に水酸基が結合したものがあり、これはフェノールと呼ばれます。 特に、一つの芳香族環に複数の水酸基が結合したものはポリフェノールと呼ばれます。

 アルコールに似たものとして、アルデヒドがあります。 これは、酸素が炭素と二重結合し、かつこの炭素が水素と結合したアルデヒド基(O=C-H)をもつものです。 この最も単純なものがホルムアルデヒドで、これはアルデヒド基に水素が結合したもの(H-CHO)です。 ホルムアルデヒドは反応性の高い物質で、殺菌作用があるため、スモークして保存性を高めるために使用されたりしますが、体内では毒性を示します。 これは、蛋白質にある窒素と反応して、蛋白質同士を橋かけ結合して、物質を固くしたり、蛋白質を不活性化するためです。
 次に簡単なものがアセトアルデヒドで、これはアルデヒド基にメチル基が結合したもの(CH3-CHO)です。 これはアルコールが最初に代謝されてできるもので、これが酢酸に代謝されないで、長く残ってしまうことが二日酔いの原因です。

 アルデヒド基の水素が水酸基に置換したものがカルボキシル基(O=C-OH)で、カルボキシル基をもつものはカルボン酸とよばれます。 脂肪酸はカルボン酸の一種です。
 カルボン酸の最も単純なものがギ酸で、これはカルボキシル基に水素が結合したものです。 ギ酸は蟻などの毒虫に刺された時に注入される毒成分の一つになっています。 また、メタノールが代謝されると、まずホルムアルデヒドができ、次にギ酸に代謝されるのですが、ギ酸によって蛋白質が傷つけられることになります。 そのように体内でメタノールからホルムアルデヒドとギ酸ができることが、メタノールが体内で毒性を示す理由になっています。
 次に簡単なものが酢酸で、これはメチル基にカルボキシル基が結合したもの(CH3-COOH)です。 次に長い炭素鎖を持つものがプロピオン酸で、これはエチル基(エタンから水素が1つとれたもの)にカルボキシル基が結合したもの(CH3-CH2-COOH)です。 また、乳酸はプロピオン酸の中央の炭素の水素1個が水酸基に置換したものです。

 カルボン酸(やアミノ酸などの酸)とアルコールからできるものとしてエステルがあります。 これは、カルボン酸RCOOHが、アルコールR'OHと反応して、水1分子がとれたものです。 つまり、次の反応によってできます。

RCOOH + R'OH → RCOOR' + H2O

ここで、RCOOR'の COOR'の部分の結合の仕方は、O=C-O-R'となります。


ポリフェノール
 ポリフェノールは植物に比較的多く含まれる成分で、体内で発生する活性酸素を抑える作用があることから心臓病、癌などの疾患に有効な一つとされます。
 また、ポリフェノールは通称のファイトケミカルと総称されるものの一つです。 ファイトケミカルはカロテノイド群、ポリフェノール・フラボノイド群、硫黄化合物群に分類されます。 なお、ファイトケミカル(ファイルとは植物の意)とは果物や野菜に含まれる栄養素以外の機能性成分のことで、これは植物が紫外線や酸素などの害から守るために作り出した化学物質のことですが、これは植物の細胞と似ている生体の細胞の場合でも類似の効果を持ちます。
 ポリフェノールの一般的作用は抗酸化作用ですが、これが発癌抑制性を示すのは次の理由によります。 癌というのは自己とは異なる遺伝子となった細胞が勝手に増殖して起こる症状であり、この遺伝子の変化を引起こすのが活性酸素やフリーラジカル(活性酸素の中にもフリーラジカルのものがあります)、紫外線などで、ポリフェノールは活性酸素やフリーラジカルを消去することより、癌の予防に大きく寄与するということになります。 この発癌抑制性は抗酸化作用にあるわけで、これはカロテノイドなどにもありますが、カロテノイドと比較するとポリフェノールの発癌抑制効果の方が非常に強いとされます。
 また、抗酸化物質は糖尿病の予防にも効果があるとされますが、これは次の理由によります。 糖尿病は膵臓の「ベータ細胞」から分泌される糖の代謝を促すインシュリンの不足によって生じますが、このベータ細胞は酸化(フリーラジカルによる)に弱いことより、活性酸素やフリーラジカルを消去するポリフェノールなどがこの予防に効果を発揮することになります。 もっともこれはインシュリン依存型(T型)の糖尿病の場合で、インシュリン非依存型(U型)の場合には食事療法などにより治療します。
 因みに、活性酸素等の消去はSODという酵素によっても行なわれますが、加齢によりこの働きが弱まることから、中高年の人ほど抗酸化物質の摂取が必要となってきます。

 さて、ポリフェノールと関連して似たような用語が多く混乱するでしょうから、以下ではポリフェノールについて整理しておきたいと思います。  ポリフェノールにはよく言われるフラボノイド系の他に、クロロゲン酸系、フェニルカルボン酸系(没食子酸系とも)、エラグ酸系(美白効果があるとされる)、リグナン系、クルクミン系、クマリン系などがあります。

 クロロゲン酸はコーヒー、イモ類などに含まれ、抗酸化作用を持ちます。

 リグナン系には、ゴマやゴマ油に含まれているゴマリグナンの一種であるセサミノールがあります。 これには強力な抗酸化作用があり、過酸化脂質の生成を抑制したり、動脈硬化やがんを予防する効果などがあります。 また、アルコールの代謝過程でできるアセトアルデヒド(二日酔いの原因物質)の分解を早める作用もあります。

 クルクミンはウコンやターメリックに含まれる黄色い色素成分のことで、これには解毒作用、胆汁分泌促進、抗酸化作用があるとされます。 特に肝機能の改善や回復の効果が高いとされます。


フラボノイド
 フラボノイドとは、次の構造のものを含む化合物となります。
 ベンゼンとは、最多の不飽和炭素数をもつ不飽和炭化水素6員環(つまり二重結合が3箇所ある6員環のこと)のことで、これは芳香族性の性質を示すことから、ベンゼン環を基本環とするものは、芳香族炭化水素と呼ばれています。 (一方、環の中に二重結合があっても、最多の二重結合を含まない炭素環は、脂環式炭化水素と呼ばれます。これは性質が脂肪と似ることによります。)
 ベンゼン様の環とはベンゼン環の水素が水酸基などと置換している環のことです。 水酸基が1個結合したものはフェノールと呼ばれ、2個以上結合したものはポリフェノール(多価フェノール)と呼ばれます。 したがって、フラボノイドはポリフェノールとなっていることも多いのですが、当然のことながらポリフェノールでないものもあります。
 酸素6員環とは、ここでは酸素1個と炭素5個からなる飽和6員環のことです。

 フラボノイドは、可視光領域の光を吸収する性質があるため、これは植物の色素成分となっています。 また、紫外線も吸収する性質を持つものもあり、この色素をもつ花(オトギリソウなど)を食べた場合、これが皮膚部分に集って、紫外線を吸収し、炎症を起すことがあります。

 フラボノイドの種類としては、アントシアニン(シアニジン系とデルフィニジン系がある)、イソフラボン、フラボン、フラボノール、フラバノール、フラバノン、カルコンなどがあります。
 これらの代表的なものとしては、以下のものがあります。

 アントシアニンはブルーベリーやブドウなどに含まれる赤〜青紫色の色素成分で、フラボノイドの中では代表的なものとされます。
 アントシアニンには抗酸化作用の他に視力改善作用があることで知られます。 この視力改善作用は網膜にあるロドプシンの再合成を促進することによります。 つまり、網膜にあるロドプシンが光エネルギーを受けて分解される時(ロドプシンのシス型のレチナールがトランス型に変って、レチナールと結合していた蛋白質のオプシンと離れることによる)、神経インパルスが発生して脳に視覚情報を伝えるのですが、この分子が再合成されないとこの過程を継続することができなくなるためです。
 また、フラボノイドの特徴である抗酸化作用もあり、これよりラジカル消去作用、脂質改善作用(過酸化脂質の防止)、抗変異原作用、抗ガン作用を持ちます。 また、血中のコレステロールや中性脂肪の低下作用があることから、肝機能障害(脂肪肝)軽減作用 があります。 他には、抗炎症作用、高血圧抑制、糖尿病予防作用などもあります。
 ただし、アントシアニンは体内では4時間程度しか存在できないとされます。

 大豆イソフラボンは大豆の胚芽に多く含まれるに含まれるポリフェノールの一種で、これにはゲニステイン、ゲニスチン(ゲニステインの配糖体)、ダイゼイン、ダイジン(ダイゼインの配糖体)、グリシテイン、グリシチン(グリシテインの配糖体)などの成分があります。 なお、非配糖体のものはイソフラボンアグリコンと呼ばれます。
 大豆イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをすることで知られます。 (イソフラボンアグリコンの中ではゲニステインのエストロゲン活性が最も高いとされます。) エストロゲンは骨の代謝に関わっていて、これが不足すると骨粗しょう症などになりやすく、特に女性の閉経後はエストロゲンが少なくなることより、積極的に摂取した方が良いとされます。 また、男性の前立腺癌は男性ホルモンの過剰分泌が原因であるとされ、女性ホルモン様の大豆イソフラボンを摂取することはこの予防になるとされます。
 ただし、ホルモン様物質であるため、過剰摂取の弊害を考慮する必要があります。 この健康影響が考えられない上限値として、大豆イソフラボンアグリコン1r/kg体重/日がフランス食品衛生安全庁により提示されています。 例えば、豆腐100g当たりでは20mg程度、味噌100gでは50mg程度(製品により含有量にかなり違いがあります)、納豆100gでは74mg程度となっています。

 カテキン類はタンニンの一種で(タンニンは大きく加水分解性タンニンと縮合型タンニンに分類されますが、カテキンはフラボノイド骨格をもつ縮合型タンニンとなります)、これにはカテキン(緑茶など)、エピカテキン(カカオ、赤ワイン、緑茶など)、エピガロカテキン(緑茶など)、エピカテキンガレート(緑茶など)、テアフラビン(紅茶など)などの種類があります。 なお、カテキンは緑茶などに多く含まれることから緑茶ポリフェノールとも呼ばれますが、これは商用名であって正式名ではありません。 また、カカオマスポリフェノールと呼ばれるものがありますが、これはカカオに含まれるポリフェノールのカテキンやエピカテキンなどの成分のことです。


タンニン
 タンニンとは、皮をなめして丈夫な革にするために使用されるカシの皮やフシ(没食)などに含まれる物質のことで、蛋白質やアルカロイド、金属イオンと強く結合し、難溶性の塩を作る性質をもつ化合物と定義されます。(なお、これと異なる定義のものもあります。)
 生体内では主にタンパク質と結合し、一般に複数のタンパク質と結合することから、タンニンとはタンパク質を凝集させる性質(収斂作用)を持つことになります。 口内では舌や口腔粘膜のタンパク質と結合して変性させ渋味を生じさせることになります。 (このため、渋味は味覚というよりは、タンパク変性によって生じる痛みや触覚に近い感覚とされます。) また、タンパク質同士を結合して被膜を作る効果もあることから、粘液の分泌を抑えて、消炎・止瀉作用を持つことになります。
 毛皮をなめした場合には、この表面を丈夫にし、滑らかにさせます。
 タンニンがタンパク質と結合するのは、タンパク質は一般に塩基性官能基を含むことによります。 つまり、それと水酸基の酸素と結合するということになります。

 タンニンを化学的構造からいうと、これはポリフェノールの一種で、これは加水分解性タンニンと縮合型タンニンに分類されます。 縮合型タンニンはフラボノイドの骨格を持つことから、フラボノイドとなります。

 加水分解性タンニンは、個々のベンゼン様の環(多価フェノールになっているもの)などが縮合を行っていないものです。 これはエステル結合したもの(酸とアルコールから水1分子が取れてできるもの)であることから、熱水や酸、アルカリ、酵素を加えると元の酸とアルコールに分解されます(これは加水分解と呼ばれます)。
 この最も簡単な構造のものが没食子酸で、これはベンゼン環に3個の水酸基とカルボキシル基1個が結合したもの(多価フェノールカルボン酸)で、これは次のようになります。


 一般的には、グルコース(ブドウ糖)に没食子酸などのカルボン酸(ただし環同士が縮合していないもの)かこの二量体のものがエステル結合したものとなります。(エステル結合とは、一方の水酸基の水素と、もう一方のカルボキシル基の水酸基が結合して取れ、これらが結合する(…-O-CO-…)ことです。この結合の結果、水1分子ができます。)

 縮合型のものは、環の縮合が起っているものとなります。 これは、次のようなフラボノイドの骨格をもつ、単一のもの(単量体またはモノマーと呼ばれる)が、複数結合したもの(オリゴマーまたはポリマーと呼ばれる)です。

上図で、R1,R2は水素または水酸基、R3は水素またはガロイル基となります。 (ガロイル基は単環のポリフェノールで、「O-ガロイル基」の場合は、R3が水素であった水酸基と没食子酸とがエステル結合したものになります。) 縮合型では加水分解を受けなくなります。

 縮合型タンニンで最も簡単なものといえるのが、カテキンやエピカテキンで、R1は水酸基、R2,R3は水素となります。 これらは分子的には同じものですが、酸素6員環に結合する水酸基の結合の仕方(立体配置)が異なります。(なお、立体配置を表す場合、破線は結合面に対して下側に付くこと、太い実線は上側につくことを示しています。上や下は基準とする結合配置によって決ります。)
 緑茶には、他にガロカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなど(主なものは以上の6種)もあることより、参考までにこれらのものも記述しておきます。 エピカテキンで、R3が水酸基となったものが、エピガロカテキンになります。 また、ガロカテキンはエピガロカテキンの異性体となります。 エピカテキンで、R3がガロイル基になったものは、エピカテキンガレートになります。 エピカテキンガレートで、R2が水酸基になったものは、エピガロカテキンガレートになります。

 カテキン類は茶の成分で、緑茶な紅茶、ウーロン茶に含まれるものですが、同じ葉を使用した緑茶のものと紅茶・ウーロン茶のものとは、少し構造が違っています。 これは、製造方法が異なることによります。 つまり、緑茶は葉を摘んだ後、蒸すのですが、紅茶やウーロン茶は蒸さないという点が異なっています。 葉を蒸すことによって発酵酵素が失活して、酸化しないようになっています。 カテキンの酸化というのは、このモノマー同士が酸化重合することを意味するのですが、この重合によってカテキンの活性が低下することになります。 このため、緑茶の方が強い抗酸化作用を持つことになり、紅茶やウーロン茶より動脈硬化やがんの予防などに高い効果を持つことになります。

 タンニンの性質としては、この定義よりタンパク質の収斂作用がまず第一に挙げられます。 この性質により、タンニンを多量に摂取すると便秘の原因になります。 例えば、ゲンノショウコは便秘に著明な効果を発揮しますが、これはゲンノショウコに多量に含まれている加水分解型タンニンの凝集作用によるものです。
 また、タンニンは胃などの粘膜に対して刺激性があり、過剰に摂取するのは良くありません。

 カテキンの作用としては、抗酸化作用、発ガン抑制、胆汁酸の分泌促進(血液中のコレステロールの増加を防ぐ)、殺菌作用、消臭作用、血圧上昇抑制作用(高血圧の予防)、血糖値上昇抑制作用(糖尿病の予防)、抗インフルエンザ作用などがあります。 殺菌作用としては、食中毒を起す腸炎ビブリオ菌やブドウ球菌などの殺菌、歯のエナメル質を溶かして虫歯の原因となっているミュータンス菌の殺菌や、胃潰瘍や胃癌などの原因菌とされるピロリ菌の殺菌が挙げられます。 (ただし、胃内の酸度の強い人の場合には、ピロリ菌の殺菌効果はあまりないという報告があります。 これは、その場合にはピロリ菌が胃の粘膜内に潜り込み、ポリフェノールと接触することがないからということです。)
 ただし、カテキンによる胃癌の防止作用については、喫煙男性の場合にはこの効果があまり認められないことから、禁煙が条件になるとされます。


カロテノイド
 カロテノイドはフラボノイドとともに植物の色素成分となっていますが、これはテルペン類の一種であり、テルペン類とはイソプレンの化合物のことです。 また、カロテノイドは大きくカロテン類とキサントフィル類に分類され、カロテン類は炭素と水素のみの化合物ですが、キサントフィル類はそれらの他に酸素をもつ化合物となります。
 イソプレンは下記の構造となっています。
           H   CH3  H   H                     H   H  CH3  H
           |   |   |   |         or         |   |   |   |
       H - C = C - C = C - H             H - C = C - C = C - H
なお、右側は単に左側を反転させたものです。

 カロテン類にはカロテン(α,β,γの3種がある)やリコピンなどがあります。
 ビタミンAの前駆物質であるカロテンはイソプレンなどを連結(両端の水素を置換して結合)した両端に炭素環を結合した構造を持ち(環1-左イ-左イ-右イ-右イ-環2。3種のカロテンの環1は同じだが、環2が微妙に異なる。また、γ-カロテンの環2は開裂したもの。なお、環1と環2もイソプリンが2個結合したものと見れば、カロテンはイソプレンが8個結合したものということになる)、多くの不飽和結合を持っているのが特徴で、着色しています。 これより、動植物の脂溶性色素成分をカロテノイドと言う場合もあります。 抗酸化作用の点では、α-カロテンの方がβ-カロテンよりも10倍ほど高いとされます。
 なお、動物性のビタミンAにはレチノールがありますが、これには過剰症があるのに対して(多くはそれほど問題のない量なのですが、例外的にレチノールを非常に多く含む魚の肝臓(特にイシナギのもの)もあり、これを食した場合にはこの過剰症が現れます)、カロテンの方は生体のビタミンAであるレチノールが不足した場合これに変換することより、これには過剰症はありません。 カロテンとして働く場合、これは主に体内の抗酸化作用として働くことになります。

 リコピンはカロテンの2つの環が開いた構造のもので、これはトマトや柿、スイカなどに含まれる赤色の色素成分です。

 キサントフィル類にはゼアキサンチン、ルテイン、アスタキサンチンなどがあります。

 ゼアキサンチンは、カロテンの2つの環で一つの水素が水酸基に置き換わった構造のもので、これはトウモロコシや卵黄などに含まれれている黄色から橙色の色素成分です。 体内では目の網膜の黄斑に多く存在して、紫外線により発生する活性酸素を消去して、黄斑症を予防します。 (黄斑症は黄斑が紫外線などによる活性酸素によって黄斑変性を起すことが原因です。) また、白内障の予防にも効果があるとされます。

 ルテインはゼアキサンチンとは右端の環の二重結合の位置が異なっているだけの構造で、これは緑黄野菜(特にホウレン草に多い)に含まれている黄色の色素成分です。 体内では目の網膜の黄斑部に多く存在し、強い抗酸化作用により活性酸素を消去して、黄斑症を予防するとされます。 また、白内障や緑内障も予防するとされます。 特に加齢によりルテインの吸収や代謝が衰えるため、高齢者の方はルテインを積極的に摂取した方が良いようです。 他には抗癌作用があり、特に乳癌の発生を予防するとされます。

 アスタキサンチンは、ゼアキサンチンの2つの環で、水酸基の隣の水素が酸素に置き換わった構造のもので、これは鮭やカニ、エビに含まれる赤い色素成分です。 これは非常に高い抗酸化作用を持つのが特徴です。 また、メラニン色素の沈着を抑制して美白効果があります。 他には、アスタキサンチンは脳の血液脳関門を通過できるため、脳内の活性酸素を直接除去することができ、脳内の活性酸素が原因となっている記憶障害や脳梗塞などの症状の予防や改善をするとされます。


硫黄化合物
 硫黄化合物は強い抗酸化作用を持ち、また発癌物質の毒性を無毒化する解毒酵素を活性化するため、癌の発生を予防する働きが強いとされます。
 硫黄化合物は含硫化合物とも呼ばれ、これは硫黄を含む化合物のことですが、硫黄を含むものにはアミノ酸のシステインなどもあり、これとの違いは何かということになりますが、ファイルケミカルとしての硫黄化合物とは、糖や脂質、蛋白質といった必須栄養素以外での植物由来の硫黄化合物ということになりそうです。 しかも、その有用性に着目しているわけですので、植物が身を守るために生成している硫黄化合物という制限が加わるようです。 (植物と動物の細胞は似ているため、細胞レベルから見て植物にとって有用であるなら、大概動物にとっても有用ということになり、したがってそれは健康維持に役立つことが多いということになるでしょう。)
 そうした硫黄化合物としてはアリイン、硫化アリル(アリシンなど)、アホエン、イソチオシアナートなどがあります。

 アリインは生のニンニクやタマネギなどに含まれる特有のアミノ酸成分です。

 アリシンは、ニンニクなどを潰したりした際に、アリインがアリイナーゼという分解酵素と接触することによりでき、ニンニクやタマネギの刺激臭や辛味となる成分です。
 アリシンは血液凝固を抑制して血栓を予防したり、血液中の脂質を減らし、糖尿病、高血圧、動脈硬化を予防するとされます。 また、解熱作用があり、風邪や発熱に効くとされます。 他には、ビタミンB1とともに摂取すると新陳代謝を活発にし、慢性疲労や筋肉疲労の回復に役立ったり、この吸収を高めてスタミナをもたらします。

 アホエン(アホとはスペイン語でニンニクの意)はアリシンを低温(50〜80度)で熱することによってできます。 アホエンには、記憶力向上、コレステロール低下(血栓防止など)、尿酸の低下(痛風の予防)、抗酸化作用(動脈硬化などの予防)、抗ガン作用、抗菌作用、HIV感染予防などがあるとされます。
 特に注目すべき作用は記憶力向上で、ボケ防止にもなるとされます。

 イソチオシアナート(イソチオシアネートとも)は大根やワサビなどのアブラナ科野菜やニンニクなどのユリ科の野菜に含まれる辛味成分で、肝臓などの第二相酵素を活性化させ、発癌物質などを無毒化させます。 (なお、毒物の無毒化は第一相と第二相とに分けて行なわれ、第一相ではチトクロムなどの酵素により酸化または還元を行い、第二相で転移酵素によりアシル基や糖などが付加されて無毒化されます。) また、これには殺菌作用や血小板凝集抑制作用などもあります。


トランス酸
 トランス酸(トランス脂肪酸)とは、脂肪酸で二重結合の部分の立体構造がトランス型となっているものです。 天然に存在する脂肪酸はシス型のもので、トランス型の脂肪酸は植物油などに水素添加を行なう方法によって人工的に作られることによって生じます。 これはマーガリンなどの合成油脂に含まれることになります。 また、合成油脂以外にも保存料としてよく使用されるソルビン酸もトランス酸になります。
 脂肪酸というのはカルボキシル基に炭化水素鎖を結合したものですが、シス型の脂肪酸の場合には二重結合の部分で六角形を作るように120度ずつ折れ曲がります。 一方、トランス酸の場合にはそれがジクザグに折れ曲がれます。 結局、シス型の脂肪酸は全体として折れ曲がりますが、トランス型のものは「真っ直ぐ」なものになります。 これは些細な違いに思われるかもしれませんが、飽和脂肪酸が常温で固形化するのに対して不飽和脂肪酸が液状化するのは炭化水素鎖の形態的な違いによるもので、その違いは無視することができないものです。 この理由は次のことによります。 一般に分子にはファンデルワールス力が働きますが、これは分子間距離が短い場合に有意に働くもので、このためより密に接触できる方が分子間の結合力が強まるためです。

 特に、細胞膜を形成するリン脂質には不飽和脂肪酸が含まれることから、不飽和脂肪酸の形態的違いが細胞の性質を変えることになります。 というのは、細胞膜は不飽和脂肪酸を含むことによって滑らかな柔軟性を保持することになりますが、一部にトランス型の不飽和脂肪酸を含むリン脂質があることによってそれが多少損なわれると考えられるからです。
 物質の細胞内への取込みや細胞外への排出は、細胞膜が柔軟に形態的変化をすることによって行なわれるため、その性質変化は細胞活性にとって無視できないものです。 そのような観点からか、トランス酸を取り込んだ細胞膜は有害物質を取り込みやすくなるという説が提唱されています。 特に皮膚はほとんど細胞膜となった細胞が積み重なったものであることから、トランス酸の影響が現れやすいと考えられます。
 また、分子の形態的違いは代謝の違いを生じさせることになります。 生体内では、分子の化学反応を円滑に行なうために酵素がよく用いられますが、この活性は分子の形態的な違いによって異なることになります。 (このことはカギとカギ穴の違いを考えると分かり易く、カギの形が似ていても形が全く同じものでないと、カギはカギ穴に合いません。もっとも、この場合のカギの意義は自身が壊されることですが。) そのため、トランス酸は生体内では分解されないまま残り、そしてこれが動脈硬化を促進したり、アレルギーを起すことになるのではないかと考えられています。
 他には、トランス脂肪酸はビタミンA,D,Eの働きを阻害するという説も提唱されています。

 トランス酸にはそのような健康への悪影響があると考えられていることより、欧米諸国など合成油脂の使用量が多い国ではトランス酸含有量への規制(この規制国の多くでは2%未満に規制)や当成分の表示義務が行われることになりましたが、日本では日常的にその摂取量が少ないと考えられているためか、現在のところまだその規制も表示義務もありません。 おそらくこの大きな理由は、日本では欧米諸国に比べて牛肉や豚肉などの食品の摂取量が少ないために、コレステロールの多量摂取による動脈硬化はそれほど大きな社会問題にはなっていないこと、そして日常的に食パンはそれほど食べられないことからバターの代用品として使用されるマーガリンの使用量は少ないため、と考えられます。 つまり、有用性や販売向上価値があるならば多少の弊害には目をつぶろう、ということだと考えられます。 (全体的コンセンサスが得られないままに有用なものに対する使用自粛を行なうことは企業戦略として愚かなことであり、結局のところこの問題は消費者全体の意識問題に帰着します。)
 


【参考文献】

 当文書や食品データの作成、及び栄養価を表示するに当って参考にした書籍を以下に示します。

番号書名著者・編者訳者出版社
1五訂増補 日本食品標準成分表文部科学省 科学技術・学術審議会
資源調査分科会報告
 国立印刷局
22008 オールガイド 五訂増補 食品成分表実教出版編集部 実教出版
3ビジュアルシリーズ 五訂食品成分表  開隆堂
4五訂 食品成分表 2004  女子栄養大学出版部
5新編 食品成分表 2000  一橋出版
6食材図典V 地産食材編  小学館
7日本料理全書 上・下土井勝 日本放送出版協会
8日本うまいもの辞典近藤弘 東京堂出版
9海辺の生き物小林安雅 山と渓谷社
10釣り魚 カラー図鑑豊田直之・西山徹・本間敏弘 西東社
11魚と貝 ポケット図鑑木村義志 主婦の友社
12新川釣り本間貞治編 ガイド出版社
13野菜・果物金田陽一郎
満田新一郎
 山と渓谷社
14学生版 原色牧野日本植物図鑑牧野富太郎 北隆館
15フィールドベスト図鑑シリーズ 日本の山菜高橋秀男監修 学習研究社
16食べられる山野草星川清親 主婦と生活社
17薬になる植物百科田中孝治 主婦と生活社
18フィールドベスト図鑑 日本の薬草指田豊 監修 学研
19実用の薬草栗原愛塔 昭和出版社
20よく効く薬用植物が分かる本森田直賢 健友社
21信州の薬草信濃生薬研究会編 信濃毎日新聞社
22食べて治す医学大辞典掘啓子 編集 主婦と生活社
23病気百科 家庭の医学  婦人生活社
24薬になる植物灘波恒雄・久保道徳共著 保育社
25薬草毒草300プラス20朝日新聞社編 朝日新聞社
26野草栽食法武田己廣 英和出版
27山菜50きのこ50菅原光二 つり人社
28フィールドベスト図鑑 日本の毒きのこ長沢栄史監修 学習研究社
29毒草を食べてみた植松黎 文芸春秋
30魚屋さんが書いた魚の本萩原尚弘 三水社
31三大成人病を食べて治す菅原明子 日東書院
32大成功する果樹の育て方川原田邦彦 監修 成美堂出版
33緑茶〜食べる・飲む桑野和民 NHK出版
34ハーブティ図鑑板倉広重 監修 主婦の友社
35よくわかるビタミンブック吉川敏一 主婦の友社
36ビタミン・ミネラルの使い方 第2版福井透 編著 丸善株式会社
37調味料全書  柴田書店
38調味料 食品辞典6河野友美 真珠書院
39つけもの 食品辞典7河野友美 真珠書院
40基本のカクテル北村聡 世界文化社
41リキュールとカクテルの事典成美堂出版(編者) 成美堂出版
42ワインを楽しむ岩野貞雄 永岡出版
43老化は食べ物が原因だったベンジャミン・S・フランク市川桂子青春出版社
44ビタミンE20倍の効果
お茶の飲み方
蛭田泰代 青春出版社
45カルシウムは体にわるい近藤賢 光文社
46あぶない食品物語溝口敦 小学館
47気をつけよう 食品添加物小若順一 学陽書房
48活性酸素の恐怖半田節子 PHP研究所
49頭がよくなる栄養学中川八郎 講談社
50気になる食べもの常識本多京子 青春出版社
51脳の健康生田哲 講談社
52ストレスと免疫星恵子 講談社
53腸内細菌の話光岡知足 岩波新書
54胃がんと大腸がん榊原宣 岩波書店
55遺伝子組み替え食品安田節子 徳間書店
56ヤマケイポケットガイド 庭の花鈴木庸夫 山と渓谷社
57全有機化合物名称のつけ方寥春栄 三共出版
58分子と生命P.W.アトキンス千原秀昭・稲葉章東京化学同人
59分子と生命 上・下M.B.ボリケンシュタイン柳下登・桝本セツ共立出版
60スタイナー 生化学R.F.スタイナー今堀和友培風館
61動的生化学 第3版E.ボールドウィン江上不二夫 他岩波書店
62モリソン・ボイド 有機化学(上・中・下)第3版R.T.モリソン、R.N.ボイド中西香繭・黒野菖庸・中平靖弘東京化学同人
63脳 - その構造と働きJ.C.エクルズ大村裕・小野武年共立全書
64神経興奮のメカニズム田崎一二・松本元 産業図書
65神経伝達物質 アミノ酸とアミン高垣玄吉郎・長津俊治 講談社
66数理神経生物学J.S.グリフィス塚原仲晃・佐藤俊介輔産業図書
67脳を究める立花隆 朝日新聞社

 P.W.アトキンス著の「分子と生命」は主な有機分子の構造が図で示されていて、実際にどのような分子かを知るのに参考になります。