果実酒・薬酒の作り方


1.果実などの材料

 果実は水で洗い、布巾などで水けをよく切ったり、布巾で拭き取ります。 (水けが残っているとカビが生えたり、濁ったりするため。) このとき、材料を傷つけないように注意します。
 材料は傷のない新鮮なものを選びます。 また、一般的には熟したものを選びますが(ただし熟しすぎたものは除外します)、酸味が足りないものの場合には未熟果のものを使用することがあります。 同じ果実でも品種によって酸味が異なる場合がありますが、果実酒には酸味の強いものが適しています。
 果皮も用いる場合がありますが、果皮にはワックスや防腐剤が塗られていたり(特に輸入品の柑橘類)、農薬が付着している場合がありますので、タワシなどでよく洗って落とす必要があります。
 草木の葉や茎、根は乾燥させてから用います。
 なお、酒税法により、ブドウ、ヤマブドウ、穀類を使っての果実酒・薬酒作りはできません。 また、作った果実酒などの販売は禁止されています。

2.甘味料

 甘味料には純度の高いもの、またゆっくりと溶けだすものが適しているため、氷砂糖を使用することが多いですが、他にはグラニュー糖や蜂蜜などもよく利用されます。
 氷砂糖を使用した場合、溶けはじめの頃は、2〜3日毎に瓶をゆすったりなどして砂糖の濃度を均一にさせます。

3.アルコール

 使用するアルコールは、一般的には安価で味も匂いもないホワイトリカー(焼酎甲類)が適しています。 焼酎には甲類、乙類の種別がありますが、本格焼酎というのは乙類なので、風味があり飲用には適していますが、果実酒作りにはあまり適していません。 もっともその風味を生かして作ってもかまいません。 なお、焼酎甲類とは連続式蒸留法でアルコールのみにしたものを水で薄めたものです。
 ホワイトリカーのアルコール度数は25度から50度までありますが、アルコール度数が高い方が成分の浸出が高くなりますが、高すぎると飲みにくくなるため、果実酒・薬酒作りに向いているのは35度のものです。 ただし、水分の少ない漢方の生薬(草木の果実や根などを乾燥させたもの)を使用する場合には、25度くらいのものが適しています。
 使用するアルコール量は果実の3倍量が一般的です。 例えば、1.8リットルのホワイトリカーを使用する場合には、果実の重量は約1kgとなります。 (果実は8〜9割が水分のため、果実の体積は水の場合とだいたい同じになります。) 生薬などの場合には、乾燥品なのでこのような比率にはなりませんが。 また、アルコール量に対する材料や甘味料の使用量は目安のようなもので、厳密に定まっているわけではありません。

4.熟成・保存

 熟成に使用する瓶はよく洗い、熱湯で消毒してから、よく乾かします。
 材料を漬け込んだ瓶は、酒精分が逃げ出さないように、蓋の上をビニールなどで覆い、紐でしばっておきます。 (ただし、発酵により炭酸ガスが出ることがあり、その場合には紐でしばって密閉する必要はありません。) また、瓶には作成した日付と熟成完了時期を書いたラベルを貼っておきます。
 瓶は冷暗所に保存して熟成させますが、冷蔵庫は温度が低すぎるためあまり適していません。 熟成中は瓶をときどきゆすって、成分の浸出を促進させた方がよいでしょう。 熟成期間は2〜3ヶ月のものが多いですが、半年から1年という長いものや、1ヶ月未満の短いものもあります。

 熟成用には透明な広口の瓶が適していますが、熟成後は布巾などで漉して、細口の不透明な瓶に移し変えます。 (材料を入れたままにしたり、単に引き上げるという場合もありますが。)

5.酒量

 健康増進目的で飲む場合、適量を守り、継続して飲むことが肝要です。 一般的に、1日の適量は30cc程度で、これは盃2杯程度です。 一回量は盃1杯程度のものが多いようです。