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外は白い雪の夜・その2

翌朝、山猫の牧師さんの家の暖炉で ウツラウツラしているポポロンさんたちに向かって、 怒鳴り声が浴びせられました。 「いつまで寝てるんだァ! 目が腐るぞ!!」 その声の主は牧師さんでした。 「ホラホラ、早く起きて、顔を洗う! 洗ったら、ホウキとチリトリを持って、 サッサとそこら辺を掃く! あ、そっちの大きいの、水を撒け水を! 小さいの、ホラ、お前は、ぞうきんもって!!」 寝ぼけまなこのポポロンさんたちは、 ワケもわからず、牧師さんの言うがままに おそうじをしました。 「おい、クマ! 終わったからって、 ボーッとしてるんじゃない! お湯を沸かして、ホラ! デカイの、 ウロウロするな! パンと卵でも焼け! どこにあるんです? ホラ、お前のうしろ!!」 ひととおり言いつけ終わると、 牧師さんはお祈りを始めました。 でも、 「あー、そこから前に入るな! 塩こしょうの場所がわかりません? 戸棚を開ける、戸棚を! ホラ、パンが焦げてるよ! お湯がふきこぼれてるよ!!」 なんだか、 落語の小言念仏のおじさんみたいだなー、 とポポロンさんは思いました。 牧師さんの朝のお祈りも終わり、 食事の準備が出来たところで朝食となりました。 食事マナーについて、また、ガミガミ 言われるのではないかと、ビクビクしながら 食べていましたが、牧師さんはいたって穏やか。 「あー、キミはコーヒーを入れるのが上手だねぇ。 なに、毎日、人間にやらされていた? それはお気の毒に。卵焼きもおいしいねぇ。 こんなおいしい朝食は久しぶりだよ」 なごやかな朝食も終わり、 フーっと一息ついていると、間髪を入れずに、 「ホラホラ、ボーッとしてない! 片付ける、ホラ、早く!!」 それから、庭の掃除をしたり、薪を割ったり、 忙しく一日は過ぎて行きます。 ただし、ごはんの時間だけは、のんびりと。 「この牧師さん、二重人格(猫格?)じゃないかなー」 とボンヤリとポポロンさんは思いました。 でも、ちょっとでもボンヤリしていると、怒鳴られるので、 すぐに考えるのは、やめちゃうんですけどね。 こうして、冬は、深くなっていきます。 つづく

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