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春を待つ手紙

ポポロンより こんにちわ。 ジュリの家を出発してから、長い時間が経ってしまいました。 淋しくありませんか? ところで、僕たちは、山ねこの牧師さんの家にお世話になって、 冬を過ごしました。春は、もうそこまでやって来ています。 春になったら、みんなで、いよいよポポロンの郷に入る予定です。 でわ、また。 この手紙は、山道をウロウロしていたポポルブさんに預けます。 なんでも、またまた出張で都会に出るそうなので。 ジュリより いやいや、お久しぶり。 ポポロンさんがいないので、食費がかからず助かります。 さてさて、都会にでて来たポポルブさんですが、我が家を訪ねて くれました。早速、ポポロンさんの手紙を渡してくれましたが、 あいかわらず、人間と口をきいてはいけないので、筆談です。 不便です(ところで、筆談ならOKと言う制度もおかしくないです かねぇ)。しかも、ポポルブさんはとっても小さいので、 メモ用紙に書かれる字がとても小さくて困ります。 「喉が渇いたなー。八海山があればいいなー」 とか 「山では、お刺身が食べられないんだよなー」 と、遠まわしに要求してくるのです。オマケに、 「落語、聞きたいなー」 と言うので、仕方なく、 「居残り佐平次」と言う大ネタを披露したんですが、 笑い声も筆談です。 「あははは」とか「いひひひ」とか、 無言の相手に落語を語るのも、相当イヤなものですが、 いちいち、メモ用紙をつきだして、あはははは、ないでしょう。 あ、早く、よこせと言ってます。途中で、ポポルブさんに読まれ るとイヤなので、キッチリと封をして渡します。 でわ、また ポポロンより ポポルブさんは、しっかりと読んでました。 「読んでないよ、ぜったいに」と言いつつ、封筒が不器用に 開けられている痕跡がアリアリと残ってました。 それと、ジュリが「中村のダンナからもらったマグロだ」と 言って、解凍してだした刺身は、旨かったけど、酒はちと、 古かったな、とか言ってました。 さてさて、ポポロンの郷への出発日が決まりつつあります。 牧師さんによると、春が来た日に送り届けてあげよう、 と言うことです。どうやら、えっちらおっちら歩かなくて 済みそうです。ポポロンの郷に着いたら、またお手紙しますね。 あ、この手紙は、どうやって送ったら良いのやら?

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