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幻想庭園

「さあ、行こう、パオオン!」 またまた、勝手な名前を象さんにつけた ポポロンさんです。 3人は早速、パオオンの背中に乗り、 のっしのっしと歩いていきました。 しばらく歩いていくと、砂浜に出ました。   「おいおい、ポポロンの郷って山の中だろ? 方向間違えてるんじゃないのか?」 早速、ニャニャニャンが不安になり、 ポポロンさんに聞きました。 「山野中田呂? 万葉詩人かい? ああ、違うね、山の中っていうことね。 そうだよ。いやいや、寄り道だって必要だよ。 時間はたっぷりあるんだから!」 まあ、そういうことならと、他の3人も納得しました。 ♪ 月の砂漠を〜 はるぅばるとぉ 旅のパオオンがぁゆぅきぃましたぁ〜 と、勝手な歌詞をつけて ニャニャニャンが歌い始めました。 ♪ クマとぉ タヌキのぉ バカをのせてぇ 「おいおい、バカはないだろう。 キミだって乗ってるじゃないか!」 ♪ クマとぉ タヌキとぉ ネコぉのせてぇ〜 「そうそう、それでよし」 ポポポンもポポロンさんも納得しました。 しばらく砂浜をウロウロしていると、 海の中からびしょぬれの男の人が出てきました。 溺れているんでしょうか? いや、ああやって歩いてあがってきたのだから、違います。 「難破船の乗組員じゃないか?」(ニャニャニャン) 「いや、女郎と心中しようとして、女郎に逃げられた人だ」(ポポロン) 「服を着たまま泳ぐことを教える水泳教室の師匠」(ポポポン) 「ぱおーん」(パオオン) みんな、想像を膨らませて、 ワクワクしながら、男の人に近づいていきました。 「やあ、何をしているんですか?」 「やあ、みなさん。 私は、お仕事から帰ってきたところだよ」 「お仕事? 舟から泳いできたの?」 「いやいや、舟になんか乗ってないさ。 私の職場は海の底にあるんだ」 「え! 海の底? どんなお仕事なの?」 「私の仕事は、海の底にいて、 釣り人の垂らす釣り針にお魚をつけてあげることさ」 「ええ! そんなお仕事があるの?」 「あるさ。最近は釣りを楽しむ人が多いだろう? 調子に乗って、釣りまくられたらお魚がいなくなっちゃうよ。 漁師さんのようにお仕事で獲っている人たちはいいけど、 釣りは遊びだからね。 そうでないと、海の神様に怒られちゃうんだよ」 「へえ、難しいお仕事なの?」 「そうだね、釣り糸と釣り針だけを見て、 釣りをしている人の人柄を判断しなくちゃいけないしね。 マナーを守らなかったり、環境を大切にしない人には、 お魚をあんまりつけてあげないんだよ。 逆に、釣りはへたっぴぃだけど、やさしい人には、 たくさんつけてあげたいしね」 「釣り糸だけで、人柄がわかるんだ。すごいなー」 「最近は釣りブームだから、 お休みがなかなか取れなくてね。 これから交替なんだよ」 そう、みんなにお仕事のお話をすると、 その人は、次に現れた人にバトンタッチして、 去っていきました。 4人はきらきら光る海を見つめて、 その男の人たちの優しいお仕事に思いを馳せました。 さあさあ、それは人生の一瞬さ、旅路を急げ!

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