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土曜日の夜と日曜日の朝

どんどん、どんどん、どんどんどん。 クマのポポロン、 ネコのニャニャニャン、 タヌキのポポポン、 ゾウのパオオン の4人組は、ポポロンの郷を目指して進みます。 でも、みんな、目的地なんて どうでもよくなってます。 街では見れなかった風景や、聴けなかった風の音、 やさしいやさしい陽の光に月明かり、 どれもこれもが新鮮でした。   海岸線をしばらく歩いて、 今度は森の中へと入っていきました。 4人はかわりばんこに自分の 話や面白い話をしながら、 わいわいがやがやと歩いています。   「ねえ、おしゃべりしながら歩くのも楽しいけど、 どうだろうせっかく4人いるんだから、 楽隊をつくろうじゃないか!」 と、珍しくポポポンが提案してきました。   「4人と言えば、カルテットだな。 ♪わたしゃ  もすこし  せがほしいぃ〜」 と、ニャニャニャンが茶化しました。 でも、他の3人は意外に乗り気です。    「でも、楽器はどうするんだい?」  「えへん、僕が誰だと思ってるんだい? 木の葉をお札に変えてしまう、ポポポン様だぞ!」   そう言うと、腰に下げたヒョウタンをギターに、 海で拾った貝殻をチューバに、 木の枝をフルートに変身させました。 そして、みんなでどの楽器をやるか話し合いました。   「体の大きなパオオンは、チューバだね。 逆にちっちゃなニャニャニャンは、フルート。 ポポロンはジュリとバンドやってたからギターだね」 ポポポンは手際良く振り分けました。 そして、 「あ、僕の楽器が無いや。 仕方ない、リードボーカルと言うことで!」   しかし、他の3人の猛烈な反発にあったのは 言うまでもありません。 結局、みずからの体を張って、 タイコと言うことになりました。 そして、4人のパートが決まったところで 早速練習開始!   ポポポンが、ポンポコポコポン。 パオオンが、ぼっぼっぼぉ〜。 ポポロンが、じゃら〜ん。 ニャニャニャンが、ピーヒョロロ。 森の真ん中で、わいわいがやがや。 すると、森の仲間たちが、 ひとり、ふたりと集まってきました。   「ややや、僕らの楽しい演奏につられて みんなが集まってきたぞぉ!」 「よーし、もっともっと、飛ばしていくぞぉ!」   ぽんぽこぽこぽん、ぼっぼっぼぉ〜、 じゃら〜ん、ピーヒョロロ〜。 そして、   ♪ わたしゃおんがぁくかぁ やまのたぬきぃ じょうずに タイコを た たいてみましょう ぽこぽんぽんぽん ぽこぽんぽんぽん  いかぁがですぅ と、このように、ひとりずつ かわるがわるソロを演奏し、 決まった!と思い、顔をあげると・・・・・ 「こらこらぁ、せっかくの日曜日に、 へたっぴぃな演奏をして森に迷惑を掛け ているのは、だれだぁ!」 「ぼうやが、ひきつけをおこしちゃったわ!」   あらら、思いのほか、不評のようね! 4人は、森のみなさんに深々と頭を下げ、 もうしません! と約束してその場を離れました。   「何が悪かったのかなぁ」 「即席のバンドだから、へったぴぃなのは仕方ないよねー」 「じゃあ、森のみんなに喜んでもらえるように、もっと練習しようよ!」 「ぱおーん」   浜辺に戻り4人組は、一所懸命練習を始めました。 「今度の日曜日には、 森のみんなに喜んでもらえるようにがんばらなきゃ」   と夕陽に誓ったポポロンさんでした。

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