ユッカ

正式名称は知らないが、ユッカという植物がある。
観葉植物の一種といえばそうなのかもしれないが、昔は「泥棒除け」として植えられていたと思う。
パイナップルの葉っぱに似ていて、高さ1m以上に成長する。葉っぱの先は尖っていて非常に鋭い。
蘭の仲間だろうと思う。これに花が咲く。近所の交番の脇に2株あったのが、今年の初夏に咲いていた。
芯から真っ直ぐ上に花軸が高く伸びて、やや大き目の白い花が下向きに鈴なりに咲く。
幼児の頃、家にこの植物があって夏になると花が咲いた。懐かしい花である。
懐かしい以上に、なんとなく「いとおしい」花なのだ。当時きれいな白い花が欲しくてさまざまにトライした。が、「泥棒除け」と言われるだけあって固くて尖った葉っぱは難関だった。手足の傷なら物ともしない年齢でも、 目を突かれそうになる。結局毎年挫折していた。言うなればその挫折が「いとおしさ」だろうか。
今年の交番脇のユッカは、花が咲いて目を引いた時期によく見たら葉っぱの尖りがみんな切り取られていた。
花を取れるようにというわけじゃなく、歩道の傍にあるので危ないからだろう。
交番脇の「泥棒除け」が非力な姿になっているのが妙におかしかったのだが、今日側を通ったら、元から根こそぎにされて2株ともなくなっていた。
なんだかとてもがっかりした。

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