PC Parts Impression
「Voodoo Banshee」

さて,PCパーツ紹介第1回は,期待の2D/3Dアクセラレータ,Voodoo Bansheeを取り上げます.

Voodoo,Voodoo2などの3Dアクセラレータで有名な3Dfxですが,
これらのチップは3D専用チップであり,2D,つまり,通常のGUI表示には使えません.
何らかの2D表示用のカードと組み合わせて使う必要が有りました.
この場合,通常の2D画像は,一旦3Dアクセラレータを介して,ディスプレイに表示される訳ですが,
こうして多くの機器を経由することは,画質の劣化を伴うなど,決して望まれたことでは有りませんでした.
そのため,2D/3Dのどちらも表示できる製品の登場が待たれました.
VoodooRUSHという2D/3Dアクセラレータもかつて存在しましたが,性能的に満足のいく代物ではなかったのです.
こうした期待に応えて,満を持してリリースされるのが,このVoodoo Bansheeです.


特徴

Voodoo Bansheeの性能ですが,2D/3D共にトップクラスを誇ります.
2Dに関しては,MilleniumやRIVA128以上であり,RIVA TNT並であると言えるでしょう.
3Dに関しては,元となるチップがVoodoo2で有るため,さすがの性能を示しています.
Voodoo2との性能差ですが,Voodoo2には2つ有ったテクスチャエンジンが一つになってしまったため,
テクスチャを同時に複数扱うようなゲームではVoodoo2及びません.
しかし,それ以外のゲームでは,メモリのアクセス幅がVoodoo2に比べて向上しているため,
Voodoo2以上の性能を示します.
さらには,搭載されてるメモリ量がVoodoo2よりも多いため,
より大きな解像度でゲームを出来るという利点もあります.

さて,この時期,多くの競合グラフィックスチップが登場しますが,
Bansheeと直接競合するのは,nVIDIA社のRIVA TNTでしょう.
気になる両者の比較ですが,Bansheeが優れている点が2つ程あります.

一つは,価格が安い,ということです.
16MBのメモリを搭載しながら2万円を切るという価格設定は,RIVA TNTの2万〜2万5000円と比べ,アドバンテージがあります.
(ただし,RIVA TNTにも1万円半ばという実勢価格の物もあり,これからどうなるかはちょっと解りませんね.)

二つは,Glideという3D APIが使えるという点です.
現在,ゲームに使われる3D APIには,Direct3DGlideの二つがあります.
Open GLというAPIも有りますが,対応ゲームが少ないので省略)
Direct3Dは,Windowsの基本的な3D APIであり,もちろんBansheeもTNTもどちらも対応しています.
Glideというのは,元々Voodoo用の3D APIで,現在,これに対応している3Dゲームは,洋ゲーを中心に数多く存在しています.
ゲームによっては,Glideのみ対応というゲームも有るほどです.
つまり,Bansheeの方が,数多くのゲームに対応しているわけです.

後述しますが,Bansheeにも欠点はありますので,一概にTNTと比べ,Bansheeが優れているとは言えません.
しかし,エンドユーザーにとっては願ってもない製品が現れたと言えるでしょう.


ベンチマーク

定番ベンチマークソフトのHDBENCH(2.61)によるベンチマーク結果です.
比較としては,RIVA128を搭載したカノープスのPWR128Pを挙げておきます.
共に,Cyrix MII-PR300(233MHz駆動),1024x768(16bpp)での結果です.

HDBENCH Ver2.61
矩形 Text Scroll DD
RAVEN
(Banshee)
61515 3175 31627 406 84
PWR128P
(RIVA128)
45795 20755 23429 365 42

PWR128のが爆速ですが,これはカノープスのボードの特徴です.
それ以外では,Bansheeが上回っており,Bansheeの2Dの速さが垣間見えます.

次に,3Dの性能を調べてみましょう.

FinalReality Ver1.01
RAVEN
(Banshee)
PWR128P
(Banshee)
Overall
3D
2.599 2.739
Overall
2D
2.014 1.983
Overall
bus rate
0.926 1.568
OVERALL
SCORE
2.173 2.337

Direct3D性能測定ベンチの定番,FinalRealityです.
ここでは,意外にも,Bansheeが苦戦しています.
どうやら,Bus Rateが低いのが影響しているようです.
もしかすると,私のマシンのCPU(Cyrix MII-PR300)が3D向きではない
(=FPU及びMMX性能が低い)
ためにBansheeの能力を使いこなせていないのかもしれません.

さて,3Dの性能には,速さともう一つ,表現性の問題が有ります.
この点に置いては,Bansheeが圧勝です.
まず,何はともあれ,3D画面の輝度が高く,見やすいのは好印象ですね.
また,Cityにおける雲の表現など,全く別物になった印象があります.
(RIVA128はFogをサポートしておらず,ドライバによるエミュレーションなので
 当然といえば当然の部分なのですが.)
Glideと比べ,表現力が落ちるといわれているDirect3Dでさえこうなのですから,
Glide対応ゲームだと,その差は一目瞭然です.
私の持ってるゲームの中で,Direct3DとGlideの両方に対応しているものは
「FIFA:RoadToWorldCup」だけですが,比較してみたところ,
まるで別のゲームのような印象を受けます.
この辺りはさすがにVoodoo譲りと言うところでしょうか.

問題点

さて,Bansheeの問題点ですが.
なんと言っても,
熱い
という事に尽きるでしょう.
なにせ,隣に刺してあったサウンドカードまでが熱暴走する位ですから(笑)
システムも原因不明(笑)のエラーを頻発するし,
思わず,メモリクロックを定格に下げてしまいました.(爆)
Bansheeを使う場合は,熱対策に気をつけた方が良いようです.
(最近のRAMDAC内臓ビデオカードは,どれも熱いので気を付けましょう)

後,気になったことは,AGP対応でありながら,AGPテクスチャに対応していない点です.
これじゃ,AGPと言いながら全くPCIと変わらないじゃないですか(^^;
今後,大容量のテクスチャを扱うゲームが出てきたときには苦しくなるでしょうね.
FinalRealityのBusRateが振るわないのも,この辺りが原因なのかもしれません.

総評

さて,数点問題がある物の,CostPaformanceの良さ,Glideの使用感から言って,
Voodoo Bansheeが非常にお買い得の製品であることは間違い有りません.
今,グラフィックボードの買い換えを健闘している人で,
Voodoo2を持っていない人は,
考慮してみる価値のあるボードだと思います.

Last update [1998.10.29]