Moulton APB Terada Original

2003-05-12

唐突に Moulton を購入。 まー、胸張って「自転車が趣味です」なんて到底言えない状態なのであって、Moulton と言っても APB なんだが。 お城のは無理。 それでも出費としてはデカいので、こう言う場でのネタくらいにはなって貰わんと。 てな感じで、以下、いつもの言い訳がましい買い物日記。

Moulton APB

自転車に興味がない向きには、"Moulton" (モールトン)だけでは分かりづらいかも知れない。 ここでアレコレ書いてもいいんだが、Dynavector のサイトにある開発コンセプトの説明を参照するのがいいだろう。 外観的には、トラス構造のフレームと小径のタイヤが特徴の自転車である。 最近は折り畳み自転車が流行っているが、同じ小径でも Moulton は畳めない(幾つかのパーツに分割できるモデルはある)。

ブランドは設計者の名を取って Alex Moulton(アレックス・モールトン)。 開発・製造は Alex Moulton Bicycles が行っているのだが、なにせ職人による手作り。 モノはいいが、高価だし、何より供給量が少ない。 で、Pashley (パシュレイ)がライセンス生産しているのが APB。 どーやって作っているかは語られないが、AM製より安くて数も多いのは確かである。 また Pashley は APB の他、自社ブランドの自転車や Land Rover も作っている模様。 なお APB は all purpose bicycle と言う意味らしい。

国内では Dynavector の扱いで、完成車とフレームキットが販売されている。 本家AMはフレームだけで 50万円とか 100万円とかなので、庶民に手が出せるのは APB、多くは APB Fx8 (非分割) か APB-8 (分割式) の何れかであろう。 この辺だと完成車で概ね 20万円、要するに全ラインナップの内で「一番安いヤツ」である。

この他、ショップ向けには APB に使っているフレームも卸しているようだ。 聞くところでは、APB の完成車はコストを抑えるためにフレームの格に見合わない安い部品を使わざるを得ないらしい。 フレームは間違いなく Moulton であって価格も下げられないので、他の部品にしわ寄せが来ると。 そこで各ショップがフレームに相応しい部品を選定して組み上げ、販売している。 部品が良い分、価格もそれなりになってしまうのは必然だが、走りは断然良くなるようだ。

こう言った部品の交換を「自分で」やっているオーナも多い。 と言うか、APB の場合はカスタマイズの種車としても優秀らしい。 まるで自作PCのようだ。(^o^) ショップのカスタム車はショップブランドPC、Dynavector のもホワイトボックスPC てな所かな。

Terada Original

以上、前フリ兼 Moulton 基礎知識。(←ホントか? (^^;
お次は今回購入した自転車の話。

[写真:Moulton APB Terada Original]

正式な名称はよく分からないので、ここでは Moulton APB Terada Original としておこうか。 これ、納車のお知らせを E-Mail で貰った時に使われた名称。 請求書などでは "Moulton APB" ってのが多いし、口頭では専ら "モールトン" で通っていた。 だが、Dynavector 扱いの物と区別する意味で "Terada" の名称はぜひ残していきたい。

墨田区の寺田商会さんの手によるカスタム車。 仕様は発注の時にオーダーできるが、基本的にお店の提案(同店サイトで紹介されている"APB-18")そのままの仕様である。 これに Hira的にはあった方がいいと思うオプションを追加してもらった。 本来なら重量増は好ましくないのだが、気楽な「お散歩」が主目的であるからして、利便性を優先した。 ただしここでも細かいパーツ選定などはお任せ。

お任せの主たる理由は、当方の知識不足。 例えば、105 でいいの?って言われても ULTEGRATIAGRA との違いなんて分からないし。 あと、「ドロップハンドルは乗り方が分からないから恐い」とかワケの分からん理由もあったり。 自分の意志で指定したのは、ペダルは表裏の無いヤツにして,色はネイビーって位だな。

価格はオプション込で 37万円くらい。 我ながら「37万円も出してチャリンコ買ったのかよ!」と思わなくもないが、不思議と「やめときゃ良かった」と言う思いは全く起こらない。 これまで使っていた MTBルック車が調子悪いってのは、意外に心の負担になっていたのかも。 残業続きの鬱憤晴らしで買ったんじゃないですよ?

ここで構成パーツについて語れると楽しいのだろうが、先述の通り初心者であって無理というもの。 Pashley と SHIMANO 分については取説を渡されているので、一応メモっとく。

FRAMEPashley APB
BOTTOM BRACKET SHIMANO 105 BB-5500
FRONT HUB SHIMANO 105 HB-5501
FREE HUB SHIMANO 105 FH-5501
FRONT DERAILLEURSHIMANO FD-R440
REAR DERAILLEUR SHIMANO 105 RD-5501
SHIFTER SHIMANO SL-R440
CRANK SET SHIMANO 105 FC-5502
BRAKE SYSTEM SHIMANO BR-A550

他のパーツについては、よく分からず。 メーカー名が分かる物もあれば分からない物もあるし、型番にしても同様。 問い合わせれば教えてくれるだろうけど、たぶん聞いても分からないだろうから放置中。 そう言った部分にあまり興味がないってのもあるかも。 結局の所、自転車としてちゃんと機能してくれれば、それでいいのだ。 そしてちゃんと機能するように仕上がっている。 問題なし。

まーアレだ。 自作PCと同じで、部品を替えたりする時には他のパーツとの関係をきちんと把握しておく必要があるけど、出荷時構成のまま使うんならパーツ個別の話は分からなくてもOKと。 どこかいじる場合は、お店に持ち込んでやってもらう事になるだろう。 自分で交換できそうなのは、タイヤとチューブくらいな物だ。(^^;1

最初の感想

最大の特徴は「カッコいい」こと2。 思いっ切り主観の問題なので反論は却下である。 このデザインがキライと言う人も少なくないようで、好き嫌いがハッキリ別れるのも Moulton の特徴らしいから。 自分もあまり好きじゃないカタチの自転車ってあるし、そう言った価値観を否定する気はない。

ひとくちにカッコいいと言っても色々あるわけだが、コレに関しては、あまり攻撃的でない所がお気に入り。 いかにも走りまっせ〜という感じではなく、言っちゃうと「ちょっと変わったママチャリ」な所がいい。 気負いなく乗れそうな印象がステキだ。 おそらく街に出てもヘンに自己主張せず、さりげなく溶け込めるんじゃないだろうか。

色もカッコいいぞ。 ネイビーの車体と銀色の金属パーツが作るコントラストは美しく、また明暗のバランスもいい感じだ。 基本的に青系が好きってのと、濃い色はパイプが細く見えスマートさが強調されるのがヨイ。 最初からネイビーしか眼中になかったので他にどんな色があるのかは知らないが、一台一台塗装に出しているので割と自由なんじゃないかな。

ドロヨケを付けるとカッコ悪くなる自転車もあるが、コレに関しては細身でクリアランスが非常に狭くタイヤとの一体感があって問題なし。 むしろ俯瞰した時に適度に銀色が入っていい感じではなかろうか。 実用上はもっと長くて幅が広い方がいいのだが、見てくれを考慮すると長過ぎないと言う点も重要かも。

軽く滑らかな乗り味で、自転車の自己主張がほとんど無いのが印象的。 踏めば素直に前に出るし、ブレーキを掛ければスッと止まる。 素直なハンドリングでサッと曲がるが、かと言ってフラフラするでもない。 唯一、前のサスは如何にもサス付で御座いって感じで盛んに自己主張してますな〜。

車輪は 20インチのままだが、APB-8 の HE に対しコレは WO を使っており、車輪径は一回り大きい。 納車の時、同じく納車待ちの APB-8 (Dynavector仕様) があったので並べてみたが、ホントに大きかった。 おー、こんなに違うんだってな感じ。 初めは細くて頼りなげだったけど、何日も経たないのに他のタイヤが太くて仕方ないように見えてしまう…。3

そうそう、ブレーキは APB-8 と違ってサイドプル。 Vブレーキ(カンチもね)は見かけが物々しいのでイマイチ好みじゃないのだが、その点でもお気に入り。 なお、Vブレーキ台座は最初から付いていないとの事で、フレームもスッキリ。 ただ、V程じゃないにしてもブレーキは強力で、急制動したら後輪がぐぅんと浮いて危うくコケる所であった。 あーびっくりした。 子供の動きは予測できんな。

分不相応?

ハッキリ言って、自分には分不相応な買い物かも知れない。 でも素人なりに「良さ」は伝わるし、何より外見の美しさが忘れられなかった。 APB-8 を見ても何とも思わなかったんだけどなー。 寺田商会オリジナル 20inch Mini Disk と Moulton で大いに迷ったから、コーディネートが勝因だった可能性も高い。

一目惚れみたいなモンだが、購入して乗り始めると、これがまた楽しい。 BROMPTON はいいが、Moulton はもっといい。 BROMPTON でよく言われる "畳めるって事の割り切り"って、こう言うことだったのか。 とか、妙なところで納得してみたり。

初めてのスポーツ車が教えてくれる事も多いはず。 初めてだから、初心者だからこそ、なるべくいいモノ,いいお店と巡り合う必要があると信じるわけだ。 モノになるかどうかは分からないけど、適度に楽しませてはくれそうだ。 もっと早くに出会いたかったなぁ…。
と、この様にして自転車にハマって行く人が多いのだろう。 気を付けねば。

  1. タイヤとチューブの交換
    つまりはパンク修理。 これだけは押さえておかないと実用上困るので、納車時にやり方を教えてくれる。 分割の仕方,前後ホイールの外し方/付け方なんかと一緒にね。 実際にオーナーに作業させる講習のスタイルなので、一通り練習した後はパンクに対する不安がほとんど無くなってしまった。

  2. カッコいい
    コレに乗る人間については論じないのが礼儀と言うもの。(^^;

  3. タイヤの太さ
    Schwalbe Stelvio (20 x 1 1/8; 28-451; 8.5bar) という物。 空気圧はお店の指定どおり 8kg/cm2 (=7.8bar) で MAXよりは低めに ロードレーサーなんかと比べると太いタイヤだけど、何しろ前が MTBルック車だし。 太さと空気圧のせいなのか、MTB と違って転がる抵抗はほとんど感じないくらい。 それだけ「楽できる」って事ですな。

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