コンセント用語解説集 「コンセントを3.14倍楽しむ方法」

田口ランディさんの処女小説コンセント。 そこには随所に鏤められたスピリチュアルな用語をはじめとする多くのクールな言葉がまるでスパイスのようにピリッと作品を引き締め、なおかつハーブの如く芳醇な香りを醸し出すのに成功しております。

ここ「不思議の小部屋」は、田口ランディさんが調理なされた美味なるものを皿まで味わい尽くすためにセッティングさせていただきました。ここにて、コンセントに鏤められた様々な用語の解説を試みるものです。

題して、「コンセントを3.14倍楽しむ方法」

3.14は円周率πのことです。コンセントという作品を直径に、πを乗算して一つの円を形作り、お読みいただける方々に円のように偏りなく作品に共鳴して頂けたらという願いをこめてみました。

しかしながら、ここで全ての用語を解説できることは出来ません。
ですから、ささやかな楽しみとしてお読み頂ければ幸いです。

 
経済はオカルト人間の腐敗臭コーラ中毒マンガ雑誌
モーツアルトズブロッカ世界残酷物語携帯電話と電磁波
シャーマニズム霊能者新宿の空の紅蓮に渦巻く雲コンセント
WHOの人間の健康の定義電波(な人)サイボーグルイス・ブニュエル
ガルシア・マルケス自発性トランス解脱
御霊送り  お金の世界が変わるアカシック・レコード
樹木はアンテナであるファインドホーンサイの角スピリチュアル・エマージェンシー
地球の響きダスティン・ホフマン参考文献

経済はオカルト(P.4)

一つの会社の株の変動など、一つの些細な出来事が世界経済に連動しており、あたかも経済自体が一つの生命体みたいに振る舞う事象をオカルト的だと評していると思われる。

これは、英国の科学者ジェームズ・ラブロックが提唱した“ガイア仮説”すなわち地球上の生命体が環境を制御しているという仮説が発表から30年たった今でも、ニューエイジ思想のファンタジーにすぎないとみられていることと同様である。

経済も一つの学問として成立しうるものである以上、我々が捉えることのできる経済的な事象は自然科学の範疇に治まるであろう。しかし当の自然科学ですら、中世すなわちアイザック・ニュートンら近代科学の祖が登場する以前はオカルトとの境界が無く、混沌としたものであった。

従って、反科学(アンチサイエンス、いわゆる“とんでも”)という分野がアンダーグランドで現代になお密かに生息し、人々の関心を時折引き起こすように、経済学においてもオカルティックなアプローチが密かになされている可能性も否定できない。

太陽黒点の変動が株価に影響しているというようなものや、携帯電話の使用がマインドコントロールによって加速され、経済効果をはじき出しているとか、風水経済学なる研究が竹のカーテンの彼方からいつかは登場してくるかもしれない。

余談ではあるが、有線よりも無線の方が遙かにコストダウンできるので、広大な領土を有す中国なんかでは有線のインフラよりも無線の方が圧倒的に有利であり、結果最先端の技術を一足飛びで導入できるという隠れたメリットが出てきた経緯がある。

しかしながら、現段階で人類は市場経済をコントロールするまでに至っていないのが実状であり、計画経済も一時期は救世主の如く歓迎されたこともあったが、旧ソ連崩壊を見るように、成功までには至らなかった。やはり人類が市場を支配するまで進化していないのかもしれない。

例えて挙げるなら、需要や供給によって価格が上下することを価格の自動調節機能と呼ぶが、これを英国の経済学者のアダム・スミスは“神の見えざる手”と呼んだ。つまり神の見えざる手と言わざるを得ないように、現段階の人類では把握できない事象・法則が存在しているのであろう。

これは、オカルトと呼ばれる分野にもあてはまる。人類は認知・証明できない事象をオカルトと呼んでいるにすぎないのだ。オカルトと経済は、同じようなものなのである。

人間の腐敗臭(P.18)

腐った鮪の血合に似ているという。線香はその臭いを消すために焚かれる。

コーラ中毒(P.18)

コーラは炭酸飲料の一種で年間の消費量も凄いものがある。コカコーラはコラ飲料の一種につけられたアメリカの商品名である。コカの葉の抽出液とコラの果実の抽出液を主原料にして作られるのでこの名がある。1886年アトランタの薬剤師によって創製され、90年代の初めからひじょうな勢いでのび、また第二次大戦後は合衆国の軍隊と共に世界各地に浸透するに至った。

原液(コラエキス)の製法をアメリカのコカコーラ本社では秘密にしており、その調整は直属の工場で行い、他の国内及び国外のびんずめ工場では、指示された一定の処方で行うのみである。

従って原液の調整法は知られていないが、次の処方によってもきわめて類似のものが得られる。その一例を略記すると、カフェイン水溶液、グリセリン、カラメル(耐酸性)、コカ葉の可溶性エキス、コラ実の可溶性エキス、のり状リン酸、ライム・ジュース、コカコラ香料、以上のものを混和し、ろ過した後、冷浸法により糖液を混和し、できあがった上記の糖液にバニラエキス、レモン油、甘オレンジ油を添加して、約20日間熟成させるとコラエキスに近いものが出来るという。

清涼感を演出するための炭酸のおかげで、砂糖が大量に入っているとされ、飲みすぎは骨を痛め(砂糖のリンと骨のカルシウムが結合して体外へ排出されてしまう)歯が溶け出してしまうといわれている。

※情報をどうも有難うございました>ロックさん

マンガ雑誌(P.20)

死亡した兄が読んでいたもので、死亡した部屋に数十センチの高さで積まれていた。週刊誌であることが判明しているが、三週間で数十センチになるのであれば、一冊の背表紙の高さが2〜3センチある少年誌だと推定される。コアな兄の趣味から言えば、恐らく「週間少年サンデー」ではなかろうか。

また作中には兄の愛読書として漫画「ガロ」が登場(P.74)している。ガロは知る人ぞ知るコアな漫画雑誌である。1962年に長井勝一によって設立された青林堂は白土三平氏の「カムイ伝」を連載するために1964年雑誌「月刊漫画ガロ」を創刊。「カムイ伝」は当時の学生たちに受け入れられ、たちまち「ガロ」の人気は上昇。

以降、水木しげる、林静一、つげ義春、池上遼一、矢口高雄、古川益三、鈴木翁二、阿部慎一、永島慎二、上村一夫、蛭子能収、どおくまん、みうらじゅん、内田春菊、岡崎京子など蒼々たるメンバーが執筆ないしはデビューを飾った。

しかし次第にガロの人気が低迷、一端は休刊したが、99年12月10日、生まれ変わった青林堂から「ガロ」が復活,現在に至る。作中にガロの中の漫画の世界というのは、恐らく水木しげる氏、ないしはつげ義春氏の漫画をモチーフされている。

モーツアルト Wolfgang Amadeus Mozart(1756〜91)(P.21)

◆小説コンセントの中にて◆
死ぬ間際まで兄が聞いていたCDであったのが、モーツアルトである。普段はジャズを聴いていたにも関わらず何故にモーツアルトであったのか?その謎解きは後述する。

ちなみに、ユキの携帯電話の呼び出し音もモーツアルトのセレナーデ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」Eine kleine Nachtmusikである(P.199)

◆モーツアルトと彼を取り上げた作品◆
モーツアルトはハイドンとならんで古典派を代表する、オーストリアの作曲家である。アマデウスはミドルネームである。幅ひろいジャンルに、すぐれた作品を数多く残し、その類い希な才能は、室内楽曲、協奏曲、交響曲などに発揮され、オペラでは、個性豊かな劇的世界をきずきあげた。

モーツアルトは、他の分野でもこれまでも様々な形で作品のテーマに取り上げられてきたが、なかでもよく知られているのは、1984年に封切られた映画「アマデウス」ではなかろうか。これはウィーン時代のアマデウス(モーツアルト)と、ライバル音楽家サリエリの毒殺説をテーマにした映画で、全世界で大ヒットし、アカデミー賞も受賞している。

ユニークなのは、日本におけるコミック漫画の「マドモアゼル・モーツアルト」(福山庸治 著 弓立社 1995年 08月)であろう。モーツアルトが女性ではなかったかとうテーマで綴られているこの作品は、また違った視点でのモーツアルト像を垣間見せてくれる。

◆モーツアルトと死の見解◆
モーツアルトは死というものをどのように捉えていたのであろうか。これが、小説コンセントの中で重要な役割を果たしていると考えられる。このCDも主人公に対するダイイングメッセージとして残されているのではなかろうか。

そして、それはモーツアルトの手紙の中から読みとることができよう。
「モーツァルトの手紙・下」(柴田治三郎編訳、岩波文庫、pp124-125)より引用すれば、

「31才の時、父にお見舞いの手紙として書いている。“死は(厳密に考えて)われわれの一生の真の最終目標なのですから、私は数年この方、人間のこの真の最善の友ととても親しくなって、その姿が私にとってもう何の恐ろしいものでなくなり、むしろ多くの安らぎと慰めを与えるものとなっています! そして、神様が私に、死がわれわれの真の幸福の鍵だと知る機会を(私の申すことがお分かりになりますね)幸いにも恵んでくださったことを、ありがたいと思っています。私は、(まだこんなに若いのですが)もしかしたら明日はもうこの世にいないのではないかと、考えずに床につくことは一度もありません。”(4月4日 この2ヶ月ほど後に父は亡くなった)」

◆モーツアルトの癒しの効果◆
彼の死後200年以上経つのにかかわらず、未だ根強い人気を誇る理由として考えられるのが、モーツアルトの音楽が持つ癒しの効果である。植物や家畜にモーツアルトを聴かせると育ちが良く、乳の出も良くなることは最近になって知られるようになってきたが、もちろん人が聴く上でも、モーツアルトの音楽は耳を生命の歓喜で満たし、蘇りをもたらすという。人が初めて耳にするのが母親の胎内での心音や、母親の呼びかけである。従って、母親の声が最も癒しを与えるのであるが、万人に共通して癒しを与えることが出来るのがモーツアルトの音楽であり、大脳皮質にエネルギー補給、動機づけを行うとされる。

ズブロッカ(P.44)

ポーランド東部ビアロウイツァの森に群生するズブロッカ草の香りを添えたウオッカで、ボトルの中に一本の草が入っているのが特徴。

ズブロッカという草は、かやの一種で、ズブラという野牛が好んで食べる。ラベルに描かれた猛牛の絵はそのズブラである。

また、猛牛が好んで食べる草のエキスが配合されている酒なので、ズブロッカは強精にも効果があるという説が昔からのヨーロッパ諸国で信じられている。

味は強い酒のわりにはデリケートで、独特の舌ざわりである。

アルコール度の非常に高いウォッカは、もともとはロシアの酒で、前ロシア大統領がウォッカ中毒であったのは有名な話。それがロシア革命以降亡命したロシア貴族が海外でウォッカを作り、それがきっかけとなっえて世界に広がったという。現在はアメリカ産、ポーランド産のものが多く日本では飲まれている。原料は麦、ジャガイモなどの穀物。生産国の主食となる穀物が多い。水と共にちびちびと飲むのが主流で、主人公みたいに飲むのは希だと思う。

世界残酷物語(P.82)

三部作の映画のタイトル。

携帯電話と電磁波(P.111)

電磁波とは、太陽光、電波、放射線、超周波電磁界の総称。近年、高圧電線など強力な電磁波源の周囲で電磁波によるものと見られる被害(白血病の発生率が以上に高いなど)が報告されたり、テレビや電子レンジ、自動車、携帯電話、パソコンのディスプレイなど身近な製品も強力な電磁波を発していることがわかり、健康や生態への影響が懸念されてきた。天然に存在する電磁波には大昔から人類は曝され長い進化の果てに適応してきたのだが、人類の文明の発達はそれ以上の電磁波に身を曝すようになってしまったのである。

現在のところ直接的な因果関係は証明されていない。米国立環境健康科学研究所は1999年6月、電磁波による健康被害について、完全に安全とはいえないが、癌などの原因となる確率は極めて低いとする報告を発表し、自体の収拾を図っている。

携帯電話最大の問題は、口と耳に近づけて用いるため、眼や頭に極端に近いところで電磁波を継続的に被爆することにあるとされる。携帯電話が用いているのは800〜900メガヘルツのマイクロ波で、送信出力は0.6〜1ワットと強く、さらに携帯電話と頭部の距離が問題に拍車をかける。距離に反比例して強度は強まるからである。これは言ってみれば頭部に電子レンジのマイクロ波を受けているようなもので、それによる発熱などが悪影響を及ぼすのではないかと心配されている。また、最新の研究では熱を発生させない微弱レベルのマイクロ波でも、ガンや脳腫瘍、白血病、白内障、奇形などを起こすことが判明し物議を醸しだしている。

シャーマニズム shamanism(P.118)

◆シャーマンの語源◆
シャーマンというのは中国の古文献に記載された「薩満」のことで、北支、満蒙・沿海州から北方のシベリア地区に見受けられる異様な宗教的儀礼を行使する者をさしていたという。この地区に17世紀後半以来ヨーロッパの民族学者が旅行するようになり、ツングース族で使用されていたサマン(saman)をそのまま採用して学術語として使用することとなった経緯があるようだ。また、ツングース語のsamanがパーリ語のsamana(乞食僧)、サンスクリット語のcramana(compassionate feeling)、中国語の沙門と関連があるとする説もあるらしい。

宗教的な特殊職能者を意味し、ここでは”神霊・精霊との直接交流(DIRECT COMMUNICATION)が可能である者”をシャーマンと呼ぶことにしておく。このような混乱の背景にはシャーマニズムが諸々の分野から注目されてきたことがされてきたことがある。宗教学,人類学(民族学),社会学,歴史学,文学,音楽学,心理学、精神医学などであり、細分化された学問領域を挙げるとさらに枚挙のいとまがないであろう。

詳細は、次の論文を参照されたし。非常に優れた研究で、シャーマンに成るまでの課程などがフローチャート化され、懇切丁寧に解説されている。

“シャーマニック・イニシエーションに関する研究−心理学からのアプローチ−”
金田千恵子(1991)
http://www1.akira.ne.jp/~uzura/shaman.htm

◆シャーマニズムとは◆
日本においては異界の言葉を伝える者として「かんなぎ」や「巫女」「いたこ」「ユタ」が知られている。神がかりによる祈願、まじない、治療などを行う彼らは学術的にシャーマンと呼ばれ、シャーマンを中心とした社会構成をシャーマニズムという。

◆シャーマンの役割◆
この世の全ての者には精霊(スピリット)が宿るという考えが根底にあり、シャーマンは、その霊を自分の体に降ろし、または自分の精神を霊界に飛ばして精霊と語り合い、呪術を行う。 シャーマンは何よりもまず、神霊や精霊と人との媒介者であり、霊はシャーマンの口を通して人に語りかける。そのために新しいシャーマンは、長期間の断食や隔離生活その他、夢幻状態にはいるための試練を課されたイニシエーション(加入儀礼、作中では禊ぎ)で霊との関係を取り結んだ後、熟練したシャーマンに指導をうける。

シャーマンの研究者であるロジャー・ウォルシュはその著書のなかでこう語る。
「この人類最古の宗教的・神秘的・医学的・心理学的伝統に関しては、 まだまだ多くの謎が残されている。シャーマニズムについて探求すればするほど、人間の体、心、魂について認知されていない側面や可能性があることがわかる。何千年もの長きにわたり、シャーマニズムの精神は、人類を助け、癒し、導いてきた。それはこれからも、さらなるものを 与えてくれるかもしれない」

霊能者(P.146)

霊媒など、霊の世界とかかわる能力が備わるという超能力者を霊能者と呼ぶ。あるいは超能力者の古い呼び方。霊媒(メディウム)とは、死者などの霊を呼び出したり、自分に憑依(乗り移させる)させたりして、死者の声を伝え、あるいは超常現象を引き起こしたりする特殊能力者のこと。シャーマンと同義的に扱われることもある。

新宿の空の紅蓮に渦巻く雲(P.150)

参考図書並びに出典不明。小説コンセントのちょうど中間の折り返し地点で登場するエピソード。主人公ユキが大麻を吸引し、その後、明け方公園にて目撃した光景であり、ユキの都市型のシャーマンとしての才能が開花することを暗示しているかのように見える。つまり世のバランスを取るための使命があることを意味していると考えられる。

謎の中国人が云うには、10年くらいまえ(ちょうどバブル崩壊の兆しが見え始めた1990年代)に新宿上空に出現するようになったという。

明け方は、自然界でも重要な時間であり、小鳥が鳴き出す瞬間に、樹木の葉から気が放射され、陽気を地に満たす準備が始まるという。件の雲は肉の渦のように見えるらしく、まさしく都会に充満する肉欲などの人が発するエナジー(想念というべきか)を吸い取り、地球上の他の不毛の地に放出するために同じような雲が、ゴビ砂漠やシベリア原生林の地帯上空に出現しているものと推測される。

これによってエナジーのバランスを図っているというだから、これは地球が持つ一つの自浄作用であろう。

本書の中間地点であるので、読者の鬱積したエナジーを転換するための呪術がここにて作者から施されているという意見も出たが、それは唾を眉に塗っておこう。

コンセント(P.168)

和製英語。動詞。もともとは共に調和し共感するという意味。大辞林第二版によれば、和 concentric+plug〕電気の配線器具の一。電気器具のコードを配線に接続するため、壁などに設けるプラグの差し込み口。本書の主題であり、作中ではOSの異なる新人類として描かれ、都市型のニュータイプのシャーマンと位置づけられているようだ。

WHOの人間の健康の定義(P.169)

従来、WHO(世界保健機関)はその憲章前文のなかで、「健康」を

「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」

原文;"Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity."
と定義してきた。(昭和26年官報掲載の訳)

平成10年のWHO執行理事会(総会の下部機関)において、WHO憲章全体の見直し作業の中で、「健康」の定義を

「完全な肉体的(physical)、精神的(mental)、スピリチュアル(Spiritual)及び社会的(social)福祉のダイナミック(Dynamic)な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」

原文;"Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity."
と改めることが議論された。

最終的に投票となり、その結果、賛成22、反対0、棄権8で総会の議題とすることが採択された。

◆日本での対応◆
ここで、興味深いのは、日本語訳にする場合。スピリチュアルという言葉は直訳すれば霊的なとなるが、日本では一連のテロ事件以来、霊という言葉にはネガティブなイメージがつきまとうため、結局のところカタカナ表記することでオチがついたようだ。

しかし肝心の「何が霊的に健康な状態であるのか」は当の日本ではほとんど議論されておらず、また宗教や精神世界(ニューエイジ)では霊性の向上を謳うにわりには、具体的な方策など明確な回答は未だ模索中のような感が拭えない。

なぜなら明確な回答が示されるのであれば、こうも様々な宗教宗派や団体が百花繚乱の如く狭い日本の国土で華開くであろうか?スピリチュアルに健康な状態とは、恐らく、「こう生きる」という人としての明確な意志をもって生きるということなのであろう。

◆涙さんからの投稿(2001/07/31)◆
最後に、この掲示板によく出てくる「スピリチュアル」について、看護の視点から述べます。
WHO(世界保健機構)の健康の定義に新たに追加されようとしている概念(健康の定義に付け加えられようとしているスピリチュアル)についてからですが・・・。(現在検討中の課題です)

1、現行の健康の定義と改正案との違い

【現行】
 Health is state of complete physical,mental and social well−being and not merely the absence of disease or infirmity.
 『健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。』(官報掲載訳)

【改正案】
 Health is a dynamic state of complete physical,mental,Spiritual and social well−being and not merely the absence of disease or infirmity.
『健康とは、完全な肉体的、精神的、スピリチュアル及び社会的福祉の動的状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない』

2、健康の定義に「スピリチュアル」を加えようとしているのは何故か?

 これまでの健康の定義は、physical(身体的・肉体的)、mental(精神的)、social(社会的)の3側面が誰もに共通理解できる人間の側面でした。しかし、以前(1984年)より、ここに含まれない人間の一側面があると指摘されています。それが、今回のSpiritualにあたるものです。これは、宗教的・実存的側面であり、特に癌の末期のQOLが話題になり始めてからより強く意識されるようになってきています。死に対する姿勢や生きがいの問題として、宗教とも密接に関わっており、取り上げ方によっては唯物論が優勢な日本では、かなり複雑な問題を抱える可能性もあると予測されています。

 患者は、疾病の進行に伴い様々な症状や日常生活動作の障害を体験しています。それまで当然の如く行なってきたことができなくなり、自分に対して持っていた自信や価値を失い、自己に対する認識を変えざる得なくなる。更に自分の死が近づくと、「人間は死を免れることのできない存在である。」ことを認識します。自己の存在が消滅してしまう事に恐れを感じたり、存在の意味を失ったり、虚しさを覚えたりしながら患者は苦悩する。このように、末期患者は否が応でも人生や自己の存在の意味に悩み、改めてそれまでの人生や自己の存在を振り返らざるを得ない状況におかれます。

 ここで発揮されるのが、Spiritualと言われる概念です。この概念や定義は、まだ日本では確立されていない現状にあります。しかし、この概念は生命倫理や人間の尊厳、ターミナル医療の視点からは、切り離せない概念であり、今後研究される分野であると考えています。色んな文献を読みあさり、私なりの「スピリチュアル」を定義するならば・・・。スピリチュアルティは、人間が人間らしく生きる為に、もともと誰もが持っているもの。(根源的次元)で、「外への無限なる欲求」と「内への無限なる欲求」に大別されています。「外への無限への欲求」とは、神仏への信仰や自然崇拝など、超越的な次元に現されます。「内なる無限への欲求」とは、自己の心に現れた思想・信念・価値・倫理。自己及び他者の生きる根拠を認める死生観。 生きる意味・本質です。そして、それらは、危機的状態で発揮されやすく、置かれている状況で変化しやすいものだと言えます。

 スピリチュアルティは、決して客観的に捉えられるものではなく、あくまでも主体的なものであり、限りない個別性を有しているものだと思います。

電波(な人)(P.170)

◆語源◆
非常にマニアックであったり、オカルティックであったり、ほとんどストーカーに近いと思われる人物を電波な人と呼ぶ。その語源については、彼らが一般的にある種の思い込みを説明するのに、電波に教えてもらったなどと主張することがあり、そこから由来しているという。また一説には、もともと電波塔からきているらしく、電波塔が立っている付近に住んでいる人達の子供に多くの精神障害者が生まれたことからきていると云われている。 今では電波といえば、チャネリング・ご託宣などなど、カテゴリーは広い。一昔流行した「おたく」という言葉にも近いニュアンスがあり、類似した言葉に、「トンデモ」というものがあることが知られている。いずれにせよ、主に精神世界に傾倒している人物を揶揄する場合に使用することが多い。

◆電波とは◆
この、「電波」というのはいったいどういうものか?ニコラテスラが電信というものを発明して(一般的にはマルコーニと云われているが、その後の裁判にてテスラが発明者であることが確定した経緯があるのは意外と知られていない)、電波の存在を証明する前には、神のお告げであるとか、外宇宙からのメッセージなどと称していたようである。つまり、人の耳に可聴領域外の声が聞こえてくるときに、それが時代によって神だったり、宇宙人からの通信であったりして、それらを電波をキャッチしたというのである。
しかしながら、特異な体質(霊媒体質やシャーマンなど)以外の明らかに健常者と思われる人物が「電波をキャッチした」というのは、言うまでもなく、誰かが実際に電波を送っているわけではなく、結局のところ、自分の心の中にあるもう一人の自分と会話してるようなものである。これは精神病の分裂症などとして診断してもらわなければならない。
反対に、「電波」のポジティブな表現としては、「インスピレーション」という言葉が適切であろう。類い希な芸術などはこれらインスピレーションの賜物であるとされる。

コンセントはこれらインスピレーションの源に繋がることを意味しているのかもしれない。

※情報をどうも有難うございました>ロックさん

サイボーグ cyborg(P.175)

人体の機能の一部を機械で代用すること。あるいは機械と融合して人間として意思を持って活動を行う存在。サイボーグは、通常、改造人間と訳される。cybernetic organisumの省略形で、1950年代に2人の医学博士によって作られた言葉で、サイバネティクス(動物と機械における制御と通信とを、総括的に取り扱う学問)から派生したものである。

当初の目的は、かなりSF的であり、人間の諸器官を医学的に人工機器に置き換えて人間が宇宙空間で生きていけるようにしようというものであったという。しかし、現在では簡単なものでは入れ歯や義眼、義肢、さらにより高度のものとしての人工臓器などは、人間改造の端緒といえるであろう。これらの人工的な医用機器を身につけた人は、定義どおりならみなサイボーグである。

サイボーグを題材にした作品は多く、例えばニール・R・ジョーンズの有名なシリーズ『ジェイムスン教授シリーズ』に出てくるサイボーグは箱型のサイボーグである。他には、士郎政宗氏の代表作『攻殻機動隊』の草薙素子少佐自身もサイボーグだし、木城ゆきと氏の漫画『銃夢』(近日新シリーズが再開される)の大半の登場人物はサイボーグであり、脳以外は全て機械である。(逆に脳がチップで身体が生身というパターンのザレム人というのも登場する)

ルイス・ブニュエル Luis Bunuel(1900.2.22-1983.7.30)(P.175)

スペイン生まれの稀代の映画監督。メキシコにて黄金時代を迎え、残酷にまで高まるリアリズム,超現実的な飛躍,夢のイメージ,倒錯した性的欲望,宗教への嘲弄などが渾然一体となったブニュエルならではのコスモロジーが見るものを圧倒する。代表作に『アンダルシアの犬』『忘れられた人々』『エル』『ナサリン』『皆殺しの天使』などなど。

参考URL
http://www.asahi-net.or.jp/%7Emd5s-kzo/luisb.html

※情報をどうも有難うございました>meomさん、Fidlerさん

ガルシア・マルケス Gabriel Garcia Marquez(P.175)

1928年、コロンビア生まれ。1967年の作品『百年の孤独』は、現実と超現実が共存する「魔術的レアリスム」といわれる独特の小説世界を創造し世界的な注目を浴びた。その後82年にノーベル文学賞を受賞。96年の最新作『誘拐』は著者の新聞記者としての経歴と資質をバックグラウンドとした、コロンビアにおけるジャーナリスト連続誘拐事件のルポルタージュである。

※情報をどうも有難うございました>Fidlerさん

自発性トランス(P.175)

参考文献、出典不明。トランス状態とは身体感覚を喪失し、意識と分離してしまう状態のことを意味する。いわゆる神の声を聞いたり、体外離脱などの神秘体験はこの状態の時に起こりやすい。

通常このトランス状態に移行するには、アメリカンインディアンのように特殊な薬草を煙草として吸飲するとか、あるいはマジックマッシュルームなどの特殊な植物、あるいは大麻など薬物を摂取するとか、極端な過呼吸状態に陥るとか、宗教的儀式あるいはロックコンサートのような熱狂的な行為によってエクスタシーに達するとか、主に外的な刺激によって為されることが多い。

この場合は半ば強制的にトランス状態へ移行するので、心身に与えるダメージが計り知れないことが多い。しかし、自発的(自分の意志によって)とトランス状態へ移行することが、持ち前の才能によって行える場合があるらしく、それを自発性トランスと呼ぶようだ。作中には、自分で自分の意識を身体から出したり入れたりすることが可能となるとある。

解脱(P.177)

「げだつ」と読む。特定宗教団体による一連のテロ事件以来、この言葉にもネガティブなイメージがつきまとうようになってしまっているが、本来は涅槃(仏教で説く理想郷、悟りの境地)に至ることを意味する。

捉え方によるが、一つは四大苦(生老病死)から解放されること。または、生きては死に、死んでは生まれ変わるという生と死の永遠の輪、輪廻転生という束縛から脱出すること。あるいは、因縁という人の命運を司る原理から脱出すること。いずれも表現が異なるだけに過ぎず、全ては業(後述)を中心にした世界観からの脱出を意味している。

古代印度思想によれば、人間には7つの霊的なセンターが背骨に沿って存在し、それらをチャクラと呼ぶ。チャクラは通常閉じているが、チャクラを開発すると霊的な能力が開花し、最終的に6つのチャクラを開発すると、尾てい骨付近からクンダリニーと呼ばれる性的な超エネルギーが頭部に向けて上昇。クンダリニーを受けて、最終最後のチャクラが開花して涅槃(悟りに至る)することができるという。この状態を解脱という。

(P.185)

梵語karmanの訳。
「人はそれぞれその行ったことにふさわしい報いを得る」
この自ら行ったことを業という。それから発展して、行為の結果までも指す。
カルマと呼ぶ場合もある。

業という言葉を使う時には、むしろ、気質・性格をあらわすと考えた方が良いであろう。業は、一つの原因から結果まで導くための力(エネルギー)として捉えることが出来、それは個々人から地域、国家、地球レベルまで及ぶとされる。類語=因縁。

◆行為の種類◆
行為は次の3つに分けられる。それは身と口と心である。つまり心で思ったことが外に現れて身と口の行為となったものとして考える。逆に言えば、身と口のあらゆる行動の源となるのは心である。この心を正すことによって行為も正しく行われると説く。

◆カルマ思想の影響◆
古代印度思想のウパニシャッドにもカルマの思想は現われ、輪廻転生思想などの基礎となるっている。インド、中国、日本の思想に大きな影響を与えた。

御霊送り(P.204)

調査中。

(P.204)

調査中。

お金の世界が変わる(P.207)

調査中。

アカシック・レコード(P.209)

この宇宙で起こったあらゆる出来事が、過去・現在・未来にわたって、それもあらゆる人間の全ての瞬間における想念や情動までもが、超物質的な方法で記されている記録のことをアカシック・レコードという。アカシャ年代記とも表記される。

このレコードを解読することで、過去を透視したり、未来を予測したりすることが出来るという。ユングのいう、集合無意識と同義的に扱われることもあるが、SFでは、この銀河の中心にあるブラックホールの空間内にアカシック・レコードが納められており、厳重に封印されているとするアイディアも提示されている。

仏教的には業ないしは因縁がメモリーされている場所と云えばよいのであろうか。

樹木はアンテナである(P.232)

調査中。

ファインドホーン(P.233)

found horn
1962年に北スコットランドに生まれたニューエイジの共同体(コミュニティ)。北緯58度付近に位置しており、北極からの凍てついた風が吹きすさぶことも多い土地だという。元々鹿が多く生息していた土地柄で、角(horn)が沢山発見(found)されたことからそう呼ばれていたという。

日本に紹介された際には「フィンドホーン」と表記されることが多い。従って多くの関連する本が「フィンドホーンの○○」とされているので注意されたし。

創設者は、アイリーン・キャディ、ピーター・キャディ、ドロシー・マクリーン、の三人。彼らとキャデイ夫妻の二人の子供たちが、ゆくところがなく荒れた砂地(ファインドホーン)にたどり着いたのが奇跡の始まりとされる。

最初ドロシーが自然の精霊の声が聞こえるようになり、ついで、瞑想によるアイリーン達と精霊達との交流によって、荒れ地に巨大な野菜を収穫することに成功する。この成功が後にニューエイジ運動と結びつき、そのメッカとして隆盛を極めた。現在で尚、ニューエイジの発信基地として機能し、年間数万人が訪れるという。

ファインドホーンでは、歌やダンス、ゲームによって人との一体感を体験するワークショップ、世界各地の古代から伝わる儀式や瞑想によって自分の内面を見つめる試みなどが随時開催されている。

このファインドホーンと同様な土地が、世界各地でも見受けられ、米国ではヴァージニア州のブルーリッジ山脈の山嶺にあるミッシェル・ライト・スモール女史の「ペレランドラ」がある。彼女も自然の精霊(デーヴァ)と共に働き、理想的な菜園を築き上げている。

日本においては、信州にワークショップの開催地として名高い穂高養生園がある。

サイの角(P.233)

作中では、ファインドホーンの中心に据えられている、世界一のアンテナとして登場する。コニュニケーションホールの壁のキルトのタペストリーに刺繍されている一角獣(ユニコーン)がサイの角に見えることから、その正体は一角獣であるとされる。

角には神秘学的にも豊饒のシンボルとされ、力を集積させる器として知られている。豊饒の角と訳される「コルヌコピア」はギリシャ神話に起源をもつとされ、幼少のゼウスを養った雌山羊アマルティアの角とも、河神アケロオスが牝牛に身を変えてヘラクレスと争って折られた角とも言われている。

この角からは所有者の望むままに食べ物や飲み物や花があふれ出すというので豊饒の角と呼ばれ、装飾のモティーフによく使用される。日本の打ち出の小槌の伝説に相当する話である。

著名な神秘家であり精神世界での啓蒙家であったシュタイナーが編み出した農法も、特殊な肥料を混ぜた土を牛の角に詰めて地中に埋没し、地球の諸力を込めてから再び取りだし、良質な土壌改良剤として活用するとある。

スピリチュアル・エマージェンシー Spiritual Emergency(P.236)

直訳すると、魂の危機。SEと略す。より広義なものとして、スピリチュアル・エマージェンス−Spiritual Emergence− (精神性出現)というものがある。これは個人がより大きな広がりをもった存在になっていくプロセスを意味するが、このプロセスの重要な部分は、人生や宇宙の中のスピリチュアル(霊的)な次元への気づきが増大するということである。 

このスピリチュアル・エマージェンスのプロセスが、急速に、劇的に進展すると、状況は危機的になり、魂の危機(SE)になるとされる。従来の生き方が脅かされ、親しんだ世界に違和感を覚え、強烈なエネルギーが体の中を流れたりして、日常生活が困難になるという。

地球の響き(P.258)

作中に、気流の鳴る音とされる地球の響きとは、別の捉え方では地球の自転による大地と大気との摩擦音であると考えられる。通常、地球上のあらゆる生命体は、長い進化の中で、この摩擦音に対して適応しているので、特別意識することはないが、仮に他の天体に地球人が赴いた場合、そこでの固有の摩擦音(これがその天体の固有振動数と称される)に果たして耐えられるのかどうかは、今後の宇宙開発における課題ではないかとされる。

SFの世界ではよく取り上げられるテーマで、北海道在住の漫画家、星野之宣氏の代表作「2001夜物語」の一エピソードにも取り上げられており、摩擦音で混乱をきたした動物たちの群を統率するため、一角獣が誕生するというものである(発表当初は自然発生であったが、後にコミックに収録時、宇宙船の医師が人工的に誕生させたと変更されていた経緯がある)。

見田宗介著「気流の鳴る音」という本がある。これは、アメリカの文化人類学者カスタネダが、メキシコ北部に住むヤキ族の老人に十年以上も弟子入りしてインディアンの行き方を学んだ記録、いわゆる「ドン・ファンの教え」を氏が独自の視点から読み解いたもの。著書の中で氏は、全てを合理性のある説明で覆おうとする「明晰の罠」からの解放というドン・ファンの教えを「世界を止める」という言葉で表現しており、私達の文明の中でこれに最も近い対応物はフッサールのいう「現象学的判断停止(エポケー)」であるとし、その作用はフッサールによって ausschalten という動詞で表現されている。そして、この動詞を要するに「スイッチを切る(コンセントを抜く)」という作用を表現しているという。

ダスティン・ホフマン Dustin Hoffman 1937〜(P.294)

アメリカを代表する映画俳優の一人。映画「卒業」にて人気を博した。基本的には2枚目よりも2.5枚目〜3枚目の役柄が多く、あるいは自閉症など、特異な役柄にチャレンジするなど、その演技力には定評がある。

実は、P.5にも登場するのだが、主人公ユキにとってちょっと悲しげで間の抜けた顔をした男は皆そう見えるようだ。

<参考文献(順不同)> 

コンセント(幻冬舎)
フィンドホーンへのいざない(サンマーク出版)
絶対モーツアルト法(マガジンハウス)
幸福な人生の秘密(PHP研究所)
土壌の神秘(春秋社)
スピリチュアル・バース(KKベストセラーズ)
心臓の暗号(角川書店)
魔術(中央アート出版社)
風水術(荒地出版社)
ヒーリングマニュアル(同文書院)
バイブレーショナル・メディスン(日本教文社)
シャーマンへの道(平河出版社)
古神道の行法と科学(BAB出版局)
日本人の脳(大修館書店)
瓜と龍蛇(福音館書店)
西洋歴史奇譚(白水社)
聖女ヒルデガルトの生涯(荒地出版社)
シャーマニズムの精神人類学(春秋社)
ムーミステリーハンドブック(学研)
瞑想の精神医学(春秋社)
鳩よ!No.204

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