この物語を書くにあたって

イスラームというと、皆さんは何を思い浮かべますか?「アッラーの他に神なし」という宗教、それを熱心に信じる人々、排他的で過激で男尊女卑で、ジハード(聖戦)の名のもとに戦争やテロを繰り返す人々……。現代ではあまりいいイメージがないのですが、中世においては、イスラームという宗教がもたらした社会変革により、ヨーロッパより遥かに進んだ素晴らしい文化が発達し、洗練された人々がその社会を支えていました。

シルクロードが大好きな私は、シルクロードの通る国々を調べたり、旅行もしていました。それらの国々は今はほとんどがイスラーム文化圏に属し、そのおかげで他の人よりはイスラーム文化に触れる機会が多かったと思います。そんな中でこの物語は生まれました。

今心配しているのは、異教徒の私がムスリム(イスラーム教徒)の話、しかも架空のファンタジーなんかを書いて許されるのだろうかということ。アッラーの名さえ語ることがはばかられるような気もするのですが、それについてアドバイスを頂ける人が周りにいないので、いいかどうかわかりません。

けれど、私は私の知り得る限りのイスラーム文化を皆さんに紹介したいし、『千夜一夜物語』に書かれているような生き生きした人々のことを知ってほしいと思うのです。だから思い切って書いてみようと思います。この物語でそれがどこまで描けるかわかりませんが、チャレンジあるのみ!! がんばります。

アッラーは慈悲深く寛大な御方でいらっしゃるし、ムスリムももともと異教徒には寛大でしたから、きっとお許しいただけるものと信じています。

それでは、そろそろ始めましょうか。『ディマシュクのウード弾き』の物語を。

ひらけ、ゴマ!

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