きんとさんのお気楽ゴクラクのーと

K.水谷


春の岩手路


5月 8日 (土) 最近は寒かったり暑かったり

4月29日(木)
東北新幹線に乗るのは久し振り。最近は「はやて」だの「こまち」だのいろんな列車が増えてわけがわからなくなっている。違う列車を連結して走っていくのも妙な光景だ。
盛岡まで、喫煙車はいささかきつかった。最近の新幹線の乗り心地の良さに加えて、臭いのとケムいのでちょっと酔ってしまったよー(ワタクシの場合、列車でも車でも乗り心地が良いと酔いやすいのだ。フワフワしているのがダメなのだ)。
そんなわけで、盛岡に着くと直ぐに外へ出てブラブラ歩いた。なんとなくお城の公園の方へ歩いていき、城郭の上のベンチで休む。天気がもの凄く良くって、お弁当を買ってここでのんびり食べても良かったなあ、と思ったが、やはり当初の目的の盛岡名物じゃじゃ麺を食べに行く。デパートの地下の「白龍」の支店に行ったが予想以上に時間がかかって、列車の時間が迫ってきたので諦めて駅に戻る。くっすん (>_<) 残念。
結局「前沢牛弁当」を買って列車の中で食べた。これはこれで良いものだ。やっぱり「列車で駅弁」って独特の風情があって気分がいい。前沢牛もうまかった。
山田線は通常時盛岡発一日5本という超ローカル線だ。よくこれで廃線にならないものだと感心してしまう。私たちの乗る「快速リアス号」もたったの2両編成。でも、なぜかローカル線の旅ってウキウキしちゃうのだー。家族の中に「テッちゃん(鉄道フリークをこう言うらしい)」はいないのだが、私の中には確実にテッちゃんの血が混じっている。とにかく列車に乗るのが好きで、乗れば何時間も飽きずに外を眺めている。線路を走る時のカタンカタンという乾いた音も好き。
盛岡を離れた「快速リアス号」はドンドン山の中へ入っていく。山の所々に咲いている山桜がとてもきれいだ。長いトンネルを越えると区界という高原に出た。岩手は「日本のチベット」だと昔どこかで聞いたが、確かに山は急峻ではなく、高原が至るところにあって牛や馬(昔は)が飼われている。のびやかな風景が北海道に似ている気がする。
それにしてもローカル線に乗るといつも思うのだが、こんな山の中まで鉄道が敷かれていることにビックリする。昔の鉄道インフラってもの凄い情熱でもって推進されたのだなあ。多分地方のお役所が今現在道路造りに血道を上げているのと同じように、線路敷きに血道を上げていたんだろう。せっかく造り上げた鉄道網なのに、儲からないからってどんどん引っぺがしちゃってるのはなんだかもったいない気がする。
この日は岩泉にたどり着くだけで終わり。山田線、岩泉線とローカル線を堪能した午後だった。

4月30日(金)
この日も良い天気。お宿を出てさっそく「龍泉洞」を見学する。入り口付近からすでに水がゴウゴウと地下水路を流れていて期待が深まる。鍾乳洞なのだが鍾乳石はたいしたことない。水が多すぎて石灰分が流れ落ち発達できなかったのではないかと推測する。そのうちどんどんと洞穴の高さが高くなっていき、縦に裂けた穴のようになっている。
そして地底湖。湖の深さもすごいけどその上の空間もかなりの高さで、外から見るとなんてことない山の中に巨大な穴が空いているのだ。その空間が不思議でたまらない。湖の青も噂に聞いたとおりだ。なんであんなに青いんだろう。もちろん光がなければ真っ暗なのだが。水面が揺れていて透明度が今一つ実感できなかったのが惜しい。
三原山という洞穴内の山に登って地底湖を見下ろすとさらにダイナミックな穴の様子がよくわかる。上の方にはよく鍾乳石が発達した支洞もあり、コウモリの見える穴もあった。
龍泉洞を出ると、やはりもう一つの鍾乳洞「安家洞(あっかどう)」も見てみたくなり、タクシーを呼ぶ。現地の公共交通機関がないのが困るなあ。人が少ないからしょうがないのかもしれないが、マイカーと観光バスだけじゃ落ちるお金もしれてるでしょうが。できるだけ地元の交通機関を使ってもらい、地元に泊まってもらうのと、食事や土産だけで通り過ぎてしまうのとどちらが観光地にとってお得か、考えた方がいいんとちがうー、といつも思ってしまう。
岩泉タクシーの運ちゃんはすぐ来てくれて、安家洞からリアス海岸の名所「北山崎」を回ってお宿まで連れて行ってくれるという。1万5千円はちょっと割高すぎるが、何しろ交通手段が他にないのでしょうがない。というわけでタクシー豪遊に出発進行。
龍泉洞から安家洞までは高原地帯を抜けるとてもいい道。小さな牧場(まきば。ぼくじょうというよりまきばと言った方がしっくりくる)もあったりしてのどかな風景が気に入った。20分ほどで安家洞着。この鍾乳洞は日本最古で日本最長なのだ。全長は1万mをゆうに超え、成長しきった洞穴はすでに埋没期に入っているのだそうな。
入り口でヘルメットを貸してくれる。そ、そんなに危険なのか?とビビるが、単に天井の低い所があるだけだった。といっても腰をかがめなければ通れない狭い所があると思えば広々としたホール状の所あり、くねくねと曲がりくねった通路ありとバリエーションに富んでいる。ここは小説のネタにちょうどイイなあ、とほくそ笑む。鍾乳石は洞穴の色と同じく皆黒ずんでいる。これも古い鍾乳洞の故か。洞穴見学をすると必ず頭をぶつける相方はここでもガッツンガッツン頭をぶつけ、帰り際「ヘルメットがあってよかったです〜」と受付のおばちゃんに感謝していた。
さてタクシーは安家洞から美しい安家川の渓流沿いに気持ちよく進み、海へ出た。三陸海岸だ。黒崎灯台に寄り、北山崎に着く。ここは名所なので、観光客がいっぱいいる。展望台に行くと、まさに絵に描いたようなリアス式海岸の断崖が続いている。磯を洗う波と断崖の下にぽっかり空いた洞門。うーん絵になるなあ。下の海岸まで700段余りもある階段で下りられるので下りてみたかったが、おなかが空いていたので断念。カニホタテ入りの磯ラーメンをレストハウスで食す。
タクシーのメーターはちょうどこの辺で1万5千円だった。残りの行程はサービスということになる。そこから15分ほどで本日のお宿「ホテル羅賀荘」に到着。すごく気持ちの良いドライブだったし、運ちゃんにも稼がせてあげたという満足感で気分良く代金を支払う。
タクシーで効率よく回ったおかげで観光船に乗る時間ができた。さっそくお宿の車で送ってもらい「北山崎観光船」に乗る。断崖を海からじっくり眺めようというわけだ。しかし前の席にいたガキンチョが飛んでくるウミネコに餌をやるのに夢中で、じっくり眺めるには目障りだったなあ。天気が良く景色も良かったが、非常に寒かった。

5月1日(土)
朝日の見えるお宿ということだったので期待していたが、この日に限って朝から天気が悪い。一応日の出時に起きてみたが、どんより曇って全然見えなかった。
お宿の車で田野畑駅まで送ってもらいリアス鉄道で宮古まで行く。リアス鉄道と言うものの、海はほとんど見えずちょっとつまらない。宮古に着いた時は小雨交じりでひたすら寒かった。バスで浄土ヶ浜へ行く。観光地へ行くバスなのに観光客は誰も乗っていない。しかし浄土ヶ浜に着くと観光客はワンサカいる。これじゃ町は寂れるわねー。
浄土ヶ浜は奇岩に囲まれた内海の浜が一面白石でとてもきれいだ。しかしちょっと上から眺めてみたいと思って登った丘は全然眺望がなく、ただ体を温めただけだった。気を取り直してターミナルビルへ行き、観光船に乗る。海から奇岩を眺めリアス式海岸を眺めるという船だが、ここの船は「ウミネコ航路」という名前で、北山崎の観光船よりウミネコ餌付けが盛んなのだ。観光客もウミネコもそれを知っていて、餌をまく人も多いし、群がるウミネコも大量だ。浄土ヶ浜から沖を行く船を見ると、ウンカの如く船に群がるウミネコが見える。とにかく寒いので今回は船室の中にいたが、奇岩や断崖を見るより餌を求めて飛び回るウミネコを眺めてしまっていた。
船を下りる頃、空が晴れてきた。海の色もきれいなブルーに変わる。ターミナルビルの近くに展望台があったので、そこに登って上から眺める。海の色が本当にきれいだ。この日もレストハウスで雲丹ラーメンを食べ、宮古に戻る。列車はないのでバスで盛岡へ。すっかり晴れ渡った岩手路を、列車の通らない山田線を隣に眺めつつバスは快調に進み2時間ほどで盛岡に着いた。お土産に盛岡冷麺を買って家路についた。


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