きんとさんのお気楽ゴクラクのーと

K.水谷


憲法なんて知らない?


5月 3日 (土)

今日は憲法記念日なので、テレビでは相も変わらず自衛隊は合憲か違憲か、違憲なら改憲か護憲かなどと論議をしていた。
この論議はもうずーっとずーっと続けられているけれど、その割に真剣にどうこうしようとする動きはなく、論議はするものの「猫の首に鈴は付けられない」状態だったのは確かだ。
最近作家の池澤夏樹氏が『憲法なんて知らないよ―というキミのための「日本の憲法」』という本を出された。
これは難しい文章で書かれた「日本国憲法」のいわば日常語訳なのだが、それが英文で書かれた「日本国憲法」の訳文だというところが目新しい。
もともと「日本国憲法」は24人の若いアメリカ人が起草したもので、英文が元だったのだそうだ。
それを威厳たっぷりの固いお役所言葉で訳したものだからあんなふうになってしまったらしいが、日本語はとにかく曖昧になりがちなので、英文の「日本国憲法」を読むとその辺のわけがわからない部分がはっきりするらしい。

そういえば、「日本国憲法」は平和憲法だ、なんて言っている割に、私も第九条の内容なんてよく知らないのだ。
そして日本国の理想を掲げた前文も。
社会の授業で習ったかもしれないけど、記憶にはまったく残っていない。
なんでだろう。
あの当時の先生たちはリベラルな人が多かったから、憲法って素晴らしいと教えていてもおかしくなかったんだが。
憲法ってのは民法や刑法と違ってただの法律ではない。
日本という国はどうあるべきか、どうやって日本という国をやっていくかその大筋が書かれているもので、それを知らないということは結局、自分の国を知らないことになるんだよね。

日本国民は平和ボケだとかぬるま湯に浸かっているとかいう人がいて、政府は日本人は国を敬う心が欠けているから、学校では君が代を歌って国旗を掲揚しなさいなんて言っている。
確かにおっしゃるとおりだと思うけど、それは単に日本という国を知らないだけで、知ろうとする教育を受けてこなかったからなのかなあ、と思う。
うん、君が代歌って、国旗に敬礼するより先に、憲法の勉強をもっとしたほうがいいと思う。
憲法の良いところも悪いところも知って、じゃあ自分たちはどうする、と考える機会を子供のうちから与えなければと思う。

「日本国憲法」の前文と第九条は理想論で、現実的ではないという人は多い。
でもその理想は本当に実現できないものなのだろうか。
理想は持っちゃいけないのだろうか。
今の日本はその理想に近づく努力もせずにできないできないと言っているように思える。
この理想は日本の誇れる理想だもの。
私だって日本国民として誇れるものは欲しいのよ。
だからこの理想は大事にしたいし、国を動かす人々にはもっと責任持って努力して欲しい。
自分の国を知って、誇りに思うものがあれば、自然と国を敬う心も生まれるというもの。
子供たちにもそういう教育をして欲しいのよね。

前回に続いて憲法の話になってしまったが、私なんかがまじめに憲法のことを考えるようになるくらい、日本は危ない方向へ行きかけているということなんじゃないかしら。
「何の議論もないまま国の方針が変わるのを見ていると、一度は憲法に戻ってみなければと考える」と池澤さんはおっしゃっている(青春と読書より)。
24人の若きアメリカ人の理想とマッカーサーの日本を無力化するという思惑が作り上げた憲法だけれど、これを活かさない手はない。
危ない方向へただ押し流されていくのではなく、これを機会に今までとは違った日本を憲法を土台に構築できないだろうか。
憲法で定められた日本国の主権は国民にある。
考え行動しなければならないのは国民なのだ。
とにかくまず、知ることですね。
私もこの本買ってみよう。


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