きんとさんのお気楽ゴクラクのーと

K.水谷


毎日がお勉強


11月15日(金) 東京も紅葉

久しぶりにこちらに書くことにしたのは、まあ、ちょっとコソコソッと書きたかったからで・・・。
これまで私はのほほんとした生活をしてきたので、世間様の常識にとても疎かったようなのだ。
それを今まさにお勉強中なわけでして、ま、たいしたことではないのですが、早い話がちょっとぼやいてみたかったのですね。

訳の分からない前置きはこのくらいにして、どういうことかというと、私は最近、サラリー主婦から自営主婦に転業して、おうちでフーレセラピーなる健康療法を始めたのだが、いかにすればお客が来てくれるか、に頭を悩ませているのだ。
気功もずっと続けていて、こちらも週一回近所の人たちのサークル活動として指導などしているが、気功の方はサークル活動なので、本収入として考えてないし、年一回市の広報に載せるだけで、2,3人は見学に来てくれる。
だから常時3〜5人が集まってひっそり続けていて、それは自分としてもちょうどいいと思っていて、特に問題はない。
ところがフーレセラピーの方はこれから自分の職業として成り立たせたいので、ちゃんと自分で営業をしてお客を呼ばなければならない。
それがやはり素人なので、なかなかうまくできないんだよねー。

まだフーレセラピーを習っていた時、練習台になってくれた人が何人かいて、練習だからタダでやってあげたのだが、その時は開業したら是非来たいと言ってくれたので、私もなんとなく期待していた。
とりあえずこの方々がお客様になってくれると。
でも世の中そんなに甘くない。
タダとお金を取るのとでは大きな違いがあるわけで、結局、お金を払ってまで施術を受ける価値はないと判断されてしまったようなのだ。
もちろん開業したらウンヌンはタダに対するリップサービスだったわけで。
「そんなの当たり前じゃん!」と世間様はおっしゃるでしょうが、やはり開業時、希望的観測に頼る気持ちがどうしても強くなってしまうのですよ。
今は「ああ、世間ってこんなものなのね」と身にしみて実感している。
でも恨む気持ちは全然なくて、ホントにこれも勉強だなあとしみじみ思っているのだ。
いかに自分が世間知らずだったか、そっちの思いの方が強い。

人間の行動様式というのは以外と単純で(もちろん単純じゃない人もいるけどそういう人は少数)、こうすればお客の目に付く、こうすればお客は飛びつくなどというノウハウはある程度確立していて、多分そういうノウハウを使えばとりあえず最初だけは盛況になるかもしれない。
でも問題は長続きするかどうか。
ノウハウだけに頼って、お客が来さえすればよい、という考え方はやはり避けたい。
一人一人じっくり取り組んで、その人が良くなるまでちゃんとやってあげたい。
でもそういう自分の願いは自分だけの問題で、お客にとってはお財布とにらめっこして安くて効けばそれでよい、だったりする。
初回お試し半額は安いからやってみるけど、後は高いからいいや、ってなカンジでね。
だからといって安くしたらいつも来てくれるか、というとそういうものでもなかったりして、気まぐれなお客の心をつかむのは本当に難しいと思う今日この頃なのだ。

フーレの先生に「時にはハッタリも必要よ」と諭されたが、私はこのハッタリが大の苦手。
なんか馬鹿正直で、ハッタリどころか自分に不利なことまで正直にしゃべってしまって失敗する。
ああ、これでこのお客はもう来てくれないな、と思うこともしばしば。
ハッタリなんかできなくても正直なだけでも、誠実さが相手に伝わればきっとわかってくれる、などと思っていたけど、それも甘ちゃんの考えだったと、今はつくづく思う。
商売に関しては「正直者は馬鹿を見る」なんですな。
お客にとって、伝わらなければならないのは、その人の本当の正直な気持ちや誠実さではなく、仕事に対しての確実さや誠実さであって、それがたとえ虚像であってもわからなければ何の問題もない、ということなのだ。
たとえば今日は施術がうまくいかなかったと自分で思っても、「どうです?気持ち良かったでしょう」と言ってしまう。
それは自分が精一杯やりましたという仕事に対する誠実さの表現であって、それに対しお客がどう判断するかは自分が考える必要はない。
逆に「今日はうまくいきませんでした」などと言ってしまったら、お客はその仕事に対して不誠実だと感じてしまう。
ハッタリとはそういうことなのだけど、その辺の割り切りがまだできないんだよねー。
以前、同じ気功教室で学んでいた人と、自分たちの教室を一緒に持とうとした時、その事を指摘されて、私はハッタリなんて嫌だと思い、反発してやめてしまったけれど、今は本当に申し訳なかったと思っていますよー。
彼女の言うとおりだったんですもの。
たとえ実力が伴わなくても、虚像だったとしても「気功の先生」という顔を作り上げなければ、生徒さんは付いてこない。
生徒さんの求めるものはその人個人の人柄ではなく「気功の先生」なんだものね。
いろいろ経験して、やっと私もそのことに気づき始めたわけです。

人間は基本的には温かいけど、お金が絡むと冷たくなります。
理想と現実は大きな開きがあり、近づけることは難しい。
でも私は、今までとは違った角度で人間を見ることが出来て、それもなかなか面白いと思っています。
おかげさまで、一度きりの冷やかしのお客でも来てくれるだけ偉い!と思えるようになったし、そういう謙虚さが身に付いたのもありがたいこと。
これからどういう風に、商売を成り立たせるか、セラピストとしての顔を作り上げることができるか(もちろん、虚像ではなく実力を持った顔ですけど)、まだまだ勉強しながら模索していかなければなりません。


戻る Copyright(c) 2002 K.Mizutani.All rights reserved. メール