きんとさんのお気楽ゴクラクのーと

K.水谷


日本人って変ですか?


6月29日(土) 毎日、雨、雨、雨

W杯も明日で終わり。
良くも悪くも大騒ぎの一ヶ月が終わろうとしている。
ホスト国としての日本の評判はまずまず、心配していたフーリガンも暴れなかったし、拍子抜けするほど平和な大会だった。
あまりに遠くてフーリガンが来れなかったってこともあるだろうけど、暴れるには日本が平和すぎたと考える向きもあるらしい。
海外のメディアでは日本人が自国の応援以外にも、他国のユニフォームを着て国旗をペイントして一緒になって応援していることを不思議だと伝えている。
他の国の人はたとえホスト国でもそういうことはしないらしい。
イングランドにはベッカム目当てのにわかファンも含めてずいぶん日本ファンが味方していたから、選手もサポーターも気分よく、暴れる理由がなかった。
平和な大会はその不思議な日本人に支えられていたというわけだ。

韓国では自国の試合はものすごく応援するけど、他国の試合は観戦者もすくないし、特にどこかのチームを応援するという人もいなかったから、日本人だけが特異なのだ。
もちろん、日本のサッカーファンは日本よりも海外の試合を多く見ていたから、ごく自然に海外のチームを応援できるということもある。
しかしやはり日本の国民性によるということは間違いない。
新聞にその辺の分析記事が出ていて、日本人の意識が拡散的であるということを指摘していた。
日本も応援するけど他の好きなチームも応援する、とか日本が負けちゃったから他の国を応援するなど意識が拡散分散的だというのだ。
たぶんに戦前は日本も他の国のように集中型の意識の方が強かったと思う。
ナショナリズムもそれなりにあったし。
ところが戦後、日本人の日本人としてのアイデンティティーは完全に崩壊してしまった。
ナショナリズムは戦前の軍国主義と結びついて否定され、人も物も日本より欧米の方が優れていると思いこむようになってしまった。
日本人として素直に日本を愛せない、そんな状況が何十年も続いたのだ。
最近になってようやく軍国主義と結びつけず、素直に日本を応援するためニッポンと叫んだり日の丸を掲げたり、君が代を歌うようになれたけど、そういう時代背景もあっていまだに日本より欧米の方が好きという人もたくさんいる。

それとこれも日本人の特徴なんだけど、スポーツを見るときチームを見るのではなく人を見るよね。
長島が好きだから巨人を応援するとか、そういう見方をしている人が多いと思う。
イチローがマリナーズへ行ったらマリナーズを応援するし、中田がパルマへ行ったらパルマを好きになる、そういう見方をしている人は外国には少ないはずだ。
フランチャイズのスポーツが根付いていれば、チームで見るから、いくら人気選手でも出ていったらそこで終わり、新しく来た人を応援するものだ。
だからこそイチローも中田も新しいチームに歓迎された。
もちろん結果を出せなければ、ボロクソなんだけどね。
今回のW杯でも、ベッカム見たいとかフィーゴ見たいとか、そういう意見は多かった。
そういう見方を日本人がしている、ということだ。

ホスト国として来てくれたチームを応援するのは当然だ、という意見もあった。
日本にとってはサッカーはスポーツ。
他の国のように負けたら非国民扱いされるような「戦い」ではない。
もともと勝負ごとに美意識を持ち込むような国だから、ことさら勝ち負けにこだわりすぎたり、負けたものに追い打ちをかけるような行為は汚いと思ってしまう。
後に禍根を残したり、もめ事が起こったりすることを嫌うお国柄でもあるし、そういう意識が他国を応援することに結びついているのかもしれない。

しかし、そういう日本人は変だと言いながら、やはり悪い気はしていないらしい。
そりゃ、他の国の人が自分の国を応援してくれて嫌な気がする人はいないよねー。
フランス大会でユーゴ代表として出場したストイコビッチが、自分たちの試合に日本人が声援を送ってくれて、すごく嬉しかった、感激したと言っていた。
ベッカムも今回の日本人の大声援に感激して、将来日本でプレーしたいと言ったとか言わないとか。
今までは外国から日本は変だと言われて、それを気にして直すことに懸命になったり、変と言われないように一生懸命外国に合わせていたりしてたところがあったけど、変と言われることは悪いことじゃないんだよね。
特に今回の応援に関しては、日本はこのままでいいと思う。
お人好しだと言われても日本はそれでいい。
お人好しでもしたたかであれば、世界で生きていける。
ロナウドの大五郎カットをカフーが「史上最悪」とけなしたのに、ロナウドは「自分が楽しければそれでいいんだ」と言い返したそうだ。
今の日本に必要なのはそういう開き直りなのかもしれない。


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