きんとさんのお気楽ゴクラクのーと

K.水谷


強い女(ひと)


8月 8日(水) 相変わらず天気悪いけど雨不足

世界陸上をやっているせいで、いつも見ている「はなまるマーケット」がやってなくて、仕方なく他局のワイドショーを見ていたら、田中真紀子外相の応援演説問題でもちきりだった。
真紀子さんは参院選挙中、一日に二つの応援演説を引き受けたが、一つはドタキャン、一つは候補者本人を無視して一人でしゃべりまくった挙げ句、「今来たばかりで候補者の名前は知りません」と言い出し、候補者に「まあ、そんなご冗談を」とばかりにポンと腕を叩かれたら「知らないんだから、触らないでよ」とぶちかまし、「皆さんはよく考えて、この人がいいと思ったら投票してください」なんてちっとも積極的じゃない薦め方で締めてさっさと帰ってしまったのだ。
選挙中このことをニュースで見て、これはちょっとまずいんじゃないの、と思っていたら、やはりこの候補者は落選し、自民党では真紀子さんの応援演説が選挙妨害にあたるのではないかと論議になって、処分を検討しているという。
妨害まではいかないが、内容はとても応援演説と呼べるようなものではなかったし、真紀子さんが帰ったら観客も帰ってしまい、なんのために呼んだのかわからない状態ではあった。
なぜ、一つはドタキャンし、一つは勝手にしゃべってさっさと帰ったのか、それはその日贔屓の指揮者のコンサートが新潟であって、それを見に行くためだったのだとか。
それって、今日はGLAYのコンサートがあるから早退しまーすと勝手に宣言し、周りの迷惑顧みずさっさと自分の仕事だけ終わらせて帰っちゃう自己中OLと一緒じゃん。

外相就任後、数々の失言暴言を繰り返してきた真紀子さん、頭のよい人であるだけに、最初は何か意図があってワザとそうしているのではないかしら、とも思っていたが、最近はどうもそうではなくまじめに失言しているのだと思うようになった。
ようするに天然オバサンなのだ。
失言だと責められて、何度も謝っているが、本人は絶対悪いと思っていないに違いない。
まあ確かに、彼女は別に悪いことは言っていない。
時と場所と相手の立場を考えてないだけで、彼女の知りうる限りの認識に基づいて率直に発言し、自分が感じたとおりの意見を正直に表しているだけだ。
今回の応援演説だって、外遊から帰ったばかりで候補者のことを事前に知ることもなく、いきなりその場に臨んだので、正直に「知らない」と言い、知らないからその人のことについて何も述べることはできず、仕方なく選挙のことではなく小泉内閣の政策について持論をぶち上げるしかなかったのだ。
ただそういうことを言ったら、相手はどう思うか、この先どうなるか、ということについての認識ははなはだ甘く、頭のよい人なのになぜなんだろう、と不思議に思ってしまう。

大抵の人間は自分を基準に考える。
それが一番わかりやすいからで、こんなことを言ったら失礼かしら、なんて判断は自分がそう言われたら嫌だ、と思うか思わないかで判断していることが多い。
真紀子さんは多分、あんな応援演説をされてもきっと失礼と思わない人なのだろう。
「触らないでよ」なんて言われると、「それって、イジメ?」なんて弱い私などはすぐに思ってしまうけど、真紀子さんにとっては軽いジョーク、そんなことにいちいち目くじら立てるな、って感じなのかもしれない。
イジメって、いじめられている方はイジメだと思ってるけど、いじめている方は全然そう思ってないものだ。
真紀子さんは強い女(ひと)、自分の人生は自分で切り開いてきたし、率直に発言し率直に行動し、それで孤立しても決してめげない人だ。
真紀子さんの応援演説以上に失礼なことを自分にされたとしても、彼女は平気だろうし、それで悔しい思いをしたら自分の力でそれをはねのけ、より強くなっていくのだろう。

率直に意見を述べて何が悪い、嘘やおべっかで虚言するよりよっぽどましではないか、弁明するたび真紀子さんの顔にそう書いてあるような気がする。
でもそれって、20代のワカモノが言うことだよね。
いい歳した大人は、それは理想だけど世の中にはいろんな人がいる、言って良いことと悪いことは常に考えなきゃならない、てことを知っている。
今まで一匹狼だった真紀子さんだから、もしかしたらそういうことを経験せずに来ちゃったのかもしれないけど。
特に政治の世界じゃ、率直だけじゃ生きていけないよね。
国民にはそういう態度がとてもさっぱりしてて、気持ちいいけどさ。
「田中真紀子にとって人間は三種類しかいない、すなわちファミリー、敵、召使い」と外務官僚の人が言ったそうだけど、これ今の真紀子さんには結構当たってると思う。
その三つに当てはまる人への態度は本当にはっきりしているし、どれにも当てはまらない人には明らかにどうでもいいって態度丸出しみたいだし。
そういう人は自分で事業を興してワンマン社長とかになるのが、向いているんだよね。
彼女、職業の選択を誤ったのかも。
いや、突然クーデター起こして、いきなりソーリの座に着けば、政治の世界でもやっていけるかもしれない。
トップに上り詰めるための面倒な階段を一気に飛ばしてね。
なにしろ真紀子さん、強い女(ひと)だから。
あっ、もしそうなったら国民は皆召使いかな…。
ま、日本がよくなりゃそれでもいいですよ、存分に使ってください。


戻る Copyright(c) 2001 K.Mizutani.All rights reserved. メール