きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


相互理解


5月 25日(金) 久々に晴れ

今週やっとイランの写真をDPEに出して、出来上がってきた。
これからはそれらの整理と、更に旅行記を書き出さなければならない。
たった週2日のバイトでも、やはり時間が取られるのは痛い。
私って、寝る時間削れない人間だからね。
日記もお休みにするしかないかもな〜。

ところでこないだ富山で、コーランが破り捨てられたという事件があった。
日本在住のムスリム(イスラム教徒)は怒り心頭で、さっそく富山に2,3百人ものムスリムが集まって抗議行動を起こしたそうだ。
東京新聞によると、事件のあった周辺にはパキスタン人などが経営する中古車販売店が数十店もあり、外国人排斥を唱える右翼団体が活発に宣伝活動をしていたらしい。
犯人はまだわかってないが、もしかしたら彼らの挑発行為だったのかもしれない。
そうだとしても、そうでないとしても、大変なことをしてくれた、と思う。
ムスリムにとって、コーランは唯一、神の言葉が記されたもので、それを汚すという行為は神を汚す行為であり、絶対に許されない行為なのだ。
以前、預言者ムハンマドを冒涜していると断罪された小説を訳しただけで殺されてしまった学者もいたのだから、この犯人も見つかったら当然殺されるだろうな…、おお、こわ。

こんな事を言うとまた「ムスリムは怖い」という認識を増長してしまうな。
彼らの神に対する想いが理解できない日本人の目には、彼らが必要以上に過激になっているとしか映らない。
彼らの想いは無視されて、行為ばかりが異様に目立ってしまうのだ。
できるだけ誤解や偏見は取り除いた目で彼らを見ているつもりでも、はなから神に対する感覚が全く違うのだから理解するのは難しい。
しかもやっかいなのは、イスラムにおいては信心と行為が深く結びついていることだ。
イスラムは生活一般に深く根ざしていて、信心を必ず行為で表さなければいけない。
その独特の行為が奇異に映るし、トラブルのもとにもなってしまう。
だが彼らからすれば、日本人も奇異な存在に違いない。
明確な信仰心を持たず、神も仏もごっちゃまぜで都合のいい時だけ祭り上げる日本人をとうてい理解できないはずだ。
相互理解無くして、共存は難しいのだ。

でもさ、理解できなくても彼らの気持ちは尊重してあげたいと思うのですよ。
誰だって大事にしているものはあるし、それを汚されたら許せないと思うでしょ。
だから少なくともそういう気持ちを踏みにじるようなことはしない。
そっとしておいてあげれば、彼らも過激にならずに済むんだもの。
って、なんか猛獣を相手にしているような感じになってしまうなあ。
まあ、そんなおっかなびっくりじゃなくても、触らぬ神にたたりなし、ぐらいの気持ちで…(^^;;;
いかんいかん、どうもやっぱり「怖さ」を増長してしまう。
ほんとはねー、ムスリムの人たちってそんな過激じゃないんですよ。
血の復讐とか泥棒は手を切り落とすとか、残酷に見えることも、そうならないようにするための厳しい掟なだけで、自分たちを律するための厳しさは持っているけれど、それと残酷なのとはまた別の話だ。
歴史の資料を見ても、彼らは征服し、奪うことはしても、皆殺しとかはやってない。
テロリズムに走るようになり、平気で罪のない人まで巻き込むようなったのは近代以降だと思う。
近代以降は戦争自体、狂ったように人を殺す行為になってしまったからね。
でも個人個人は、マナーさえ守れば、異教徒に対してもフレンドリーだし、人情にあふれた優しい人が多いです。
イランではそうでした。
彼らは、人の信仰に口出しするようなことはしないし、それはそれ、これはこれでお付き合いできる人たちなんですよ。

一部の熱情的な人たちが、宗教的行為として過激なことをするけれど、それは大多数のムスリムの人から疑問視されることも多い。
今回の富山の事件も、ムスリム協会の会長さんは抗議行動が起こるにつれて「一部の日本人の挑発に乗って、ムスリムが過激だと誤解されるのも心配だ」と懸念されていた。
一般的には彼らも寛大な神のお慈悲によってトラブルを避けようとするし、トラブルだらけの宗教的対立やジハードなどは、むしろ政治的な対立や活動であることがほとんどなのだ。
政教分離があり得ないイスラムだから、宗教的対立と政治的対立が不可分なのですね。
けれど中東地域だって本来は、自分たちの共同体の信仰と生活が守られれば、互いに干渉せず、何百年も普通に共存してきたのだ。
毛嫌いせずに、相手を尊重する心を忘れず、節度を保ちながら彼らと付き合って、もっとわかり合い、偏見をなくしていきたいものだ。
触らぬ神にたたりなし、と思っていれば、決して怖くないんだよ。(^^;


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