きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


創作にまつわる話


4月 19日(木) 久し振りに雨、のち晴

最近、気分が妙にメランコリックだったりする。
別に自分自身が憂鬱を抱えているわけではない。
恋愛ものなんぞを書いているので、そっちの方に気持ちが行っちゃったまんまなんですね。
「ディマシュクのウード弾き」に出てくるユースフ君(18歳、純朴な男の子)の純情一途な恋心にすっかり乗っ取られてしまい、切ない恋の歌なんぞを聞いては切なく胸キュンし、ため息なんぞついているわけです。
はあ〜、キュンキュン、ウツウツ。
私自身はそんな感情とはほど遠い環境にあるのに、妙な疑似体験だ〜。
プロの作家さんならその辺の切替は素早いんだろうけど、私は集中すればするほど引きずるなあ。
でもまあ、胸キュンは気分が悪い疑似体験じゃないからいいんだけどね、オホホ、ちょっと若返った気分よ。

話は変わって、先日「こみっくパーティー」なるアニメを見た。
内容は同人誌にはまっている男の子と女の子たちのお話で、同人誌のHow toものにもなっている。
私は同人誌はやったことないんだけどそのHow toを見て、同人誌の世界ってウェブ小説世界に似てるって思った。
ウェブ小説をやっている人には同人誌出身の人も多いし、並行してやっている人も多いから、当然なのかもしれないけどね。
同人誌は即売会というのがあって、そこで自分たちの創った物を売るんだけど、作品がどんなに良い物でも、地味だと売れない。
派手で人気のあるサークルは人も集まるし、人が集まっていると注目を浴びて更に人が集まって更に売れるという構図がある。
ウェブ小説にもそういうのはある。
小説検索ページのランキングで、上位にいるサイトは加速度的にアクセス数が増えていくけど、ランキングが下の方だと、実はとても良い作品であったとしてもなかなか注目されず閑古鳥が鳴いているのだ。
アニメの中で「人気こそが全て、同人誌は売れてなんぼのもんじゃ!」 という発言に対して、同人誌オタクみたいな人が「沢山売れなくても、自分の好きに作るのが同人誌の良いところ! 買う方だって人気に左右されず本当に面白い物を探すのが本当のマニアだ。そんなに売りたいんなら商業誌に行け!」と反論していた。
うーむ、そのとおりだ! ウェブ小説にも言えることだ。
とは言うものの、読んでもらわなきゃ良いかどうかも認めてもらえない。
まず手にとってもらうための工夫をしなさい、とその同人オタクは言っていた。
うーむ、ごもっとも! はは、耳が痛いわ……

その後、手にとってもらうための宣伝の仕方をいろいろやってたけど、ウェブ小説の宣伝の仕方って、同人誌の即売会のアイデアをそのまま持ってきたみたいだ。
即売会自体はウェブだと検索ページやリンク集ですね。
ビラ配りやガイドブックの代わりに、登録時の宣伝文に工夫を凝らしたり、宣伝掲示板に積極的に書き込むわけです。
そして自分の売り場ブースがウェブだと自分のサイトになる。
目立つようにきれいにデザインしたりして、とにかく目にとまるように作る。
そして即売会のブースが売り手と買い手のコミュニケートの場となるように、サイトでも掲示板を作り、読み手の皆さんとの親睦を図る。
うーん、同じだー。
やっぱりサイト運営のこういうやり方って、同人出身の人が持ち込んだんだろうなー。

同人誌でもウェブ小説でも、素人が気軽にできるのがウリだけど、その分、いい加減なところも多々あって、盗作問題なんかはよくあるトラブルだ。
以前、盗作された人のページを見たら、その人が同人時代に創った作品が、固有名詞や若干の言葉を入れ替えただけで後はほとんどそのままの状態で、他人のウェブページに他人の作品として載せられていたんだそうで、自分がウェブページでその過去の作品を載せた時に、自分のほうが盗作したと指摘されて嫌な思いをしたんだそうだ。
相手への抗議のメールとそれに対する釈明なども載っていたけど、相手側にはあまり誠意が見られなかった。
軽い気持ちでやったんだろうし、注意されても悪いことと思ってないのかもしれない。
でもなんのためにそんなことをするのか、私にはわからないなあ。
他人の創った物を自分の物にして、発表して何が楽しいんだろう?
人気が欲しいから? 注目を浴びたいから?
私なんかは自分が創った物だからこそ、発表の機会が欲しいと思うだけなのにねー。
他人の創った物に小細工するのなんか面倒だし、そんなことのためにページを作るのも面倒で嫌だと思うけど。

盗作みたいに大げさでなくても、ちょっと拝借というのはJavaScriptでもしょっちゅうだと、はぎさんは言っていた。
もちろん、ソースは公開されているし、ご自由にお使い下さいとは言ってるけど、他人が創った物はあくまで他人が創った物だ。
それをあたかも自分が創った物のように発表している人は、ちょっと非常識なんじゃないの。
だってさ、ソースの中の、はぎさんオリジナルを示すコメント、わざわざ削除してるんだってよ。
こりゃー、知らなくてやったんじゃないよね。
そこまでいかなくても、アイデアを拝借して自分のサンプルとして発表したり、文章の一部を許可なくそのまま使ってたりする人も結構いるらしくて、もうちょっとみんな他人の創った物に気を使うべきじゃないかと私は思う。
そこに一言、「この部分は誰それが創った物です」と明記するだけでもいいんだからさ。
私は大学で論文を書く時に、他の論文や書籍から引用する時は必ずその出典名、著者名、引用場所まで明記せよ、他に参考にした物があれば全て巻末に参考文献として挙げるように、としつこく教え込まれたので、いまだに、たいした小説でなくても参考文献をつけてしまう。
でもそういう経験のない人は、あまり気にしないでやってしまうものなのかもしれないなー。
そりゃーさ、私だって気がつくとマネしてるっとこもあるよ。
でもそれは元の作品が大好きで影響受けまくってるからだもの。
それと惚れ込んだ作品のオマージュとして、わざと使ってる所とかもあるけど、そういうのは一部分で、全体としてはあくまで自分の創り上げた物ですよー。
そういうのだって、作者欄で一言コメントするようにしてるし。
とにかく、自分の創った物に誇りがあれば、他人の創った部分を区別するなんてなんでもないことのはず。
良い出来かどうかの自信はなくても、自分の作品にはせめて誇りと責任は持つようにしたいものです。

さて、「こみっくパーティー」を参考にして、私のページはどういう運営方針でいくべきだろうか?
まあ、どう転んでも人気の出るような物語じゃないことは確かだから、今までどおり地味にいきますか。
たまーに気が向いた人が来てくれて、たまたま読んだ人が「こりゃめっけもんだ!」とか「期待してなかったけど案外面白いじゃん」と満足してくれれば、それでいいなあ。
そういうサイトがあるってのも、ウェブの面白いところだと思うからねー。


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