きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


雪の森


2月 13日(火) 曇りちょっと薄日

今年もクロカンスキーに行って来た。
今回はもうちょっと上手くなりたいと、指導員付きのツアーに参加した。
地元のハイキング&スキークラブのツアーなんだけど、これがまた、おじちゃんおばちゃんばっかりのクラブなのだ。
平日に活動しているからそうなっているのだろうけど、別に年齢制限があるわけではないので、私も参加できた。
行って来たのは妙高、黒姫、戸隠のエリア。
ついた日は雪がズンズン降っていて、せっかくの妙高山麓も何も見えず、ただただ雪の森の中を方角も分からずズンズン進むだけだった。
指導員兼ガイドの秋山氏は、滑る前、一応滑り方を説明していたが、やっぱり去年の乗鞍と同じように「スリッパを引きずるようにズリズリ歩けばいいんです。止まれなくなった時は転んじゃって下さい」とそれだけ。
うーむ、結局クロカンて技術じゃないのね。

二日目は晴れた。
宿泊先の黒姫スキー場からは目の前に黒姫山、お隣に妙高山がドカーンと見える。
すっぱらしい眺めだ。
目の前のスキー場も雪が白銀に輝き、思わず私もゲレンデスキーをしたくなる。
でも、この日は一日、戸隠のスキーツアーだ。
今回は2回目なのでクロカンの板にもだいぶ慣れてきた。
新雪でもズンズン歩いていけるし、板の裏のウロコを使って斜面もガシガシ登れる。
下りでは相変わらず転ぶし、まっすぐ滑るだけで曲がれないけど、ソフトブーツと軽い板の開放感は気持ちまで軽くする。
晴れた日の森は明るく、雪はたっぷりで、沢に落ちないよう気を付ければ、どこへでも歩いて行ける。
なんて気持ちいいんだろう!

広い牧場の雪野原に自由にトレースを付けて歩くのも楽しい。
ウサギやテン、キツネのトレース(足跡)を追うのもまた楽しい。
あれはウサギ、これはキツネと秋山氏に教わりながら見ていく。
中には獲物を引きずりながら歩いたらしい、キツネの足跡があった。
足跡の横に何かを引きずったような跡が残っていて、ウサギの耳でも引きずっていたのだろうと想像した。
追っていくと、だんだん疲れてきたのか引きずり跡が大きくなり、キツネの足跡もよろけている。
ずいぶん大物だったらしい。
昼間は動物の姿など影も形も見えないが、人の寝静まった深夜には様々なドラマが繰り広げられているのかもしれない。
葉を落とした後の樹を観察したりしながら、午後はまた森の中へ。
戸隠の奥社の鳥居も雪に埋もれ、私の背丈より低い。
なんだか滑稽だ。
鏡池はすっかり雪野原と化し、スキーで池の真ん中まで行ける。
そこからは険しい岩肌に雪をまぶした戸隠連山の素晴らしい眺め。
冬のこの時期しか見ることのできない眺めだ。

三日目も晴れ。
ついてたなあ。
この日は黒姫の森をちょっとだけ歩いた。
お天気がいいと、みんな笑顔なんだよね。
いい歳したおじさんおばさんたちがはしゃいでいるのだ。
傾斜を上手く下れなくて転んでも、みんな笑ってる。
私も一緒になって笑ってたら、平らな所で転んじゃった。
平らな所の方が起きあがれなくて、難儀するのよ。
みんなに笑われながら、ジタバタもがいている私も、もがきながらウヒャウヒャ笑っている。
なんだか雪って、心をコロコロ弾ませる効果があるみたい。
なんたって、転んだって何したって痛くないしね。

ますますクロカンの魅力に取り付かれてきたなあ。
冬の明るい雪の森って、本当に気持ちいいし、楽しいんだもの。
来年はまた乗鞍に行くかな。
もう、行ったらガンガン滑らなきゃなんて考えずに、のんびりと構えて、晴れたら森をうろついて雪野原で遊んで、降ったら温泉浸かって宿で読書なんてのもいいかもしれない。
ああ、そんな優雅なウインターリゾート、したいけど、金がない……。


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