きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


お届け物の顛末


12月 27日(水) 晴れ

うわぁ、一ヶ月ぶりだ!
もう日記とは言えませんな。
だいたい日記という名前でも、あくまで「日記風エッセイ」で毎日書いてるわけじゃないけど、ここまで間があくとさすがに看板に偽りがありすぎだよなー。
改題しようかしらん…。

さて、3週間弱ほど(実質13日間)続いたバイトも途中一日熱出して休んだけど、無事終了し、晴れて自由の身になった。
何のバイトをしていたかというと、お歳暮で大忙しの配送所の電話番。
今までいろんな所でバイトして、いろんな業界の裏側を覗いてきたが、今回は運送業界の裏側をちょこっと覗けた。
私が働いた配送所はT便のYとかP便のNみたいな全国規模の大手の運送屋ではなく、地域限定の中小運送会社の臨時の配送所だ。
つまり、お中元とお歳暮の時期だけ異常に増えるお届け物をさばくために、いつもの配送地域を更に分割し、臨時の配送所を開設して臨時のバイトを雇ってまかなうのだ。
まあなにしろ中小なもんで、時給もYとかNよりは全然安いんだけど、時間の融通が利いたし、なによりウチから近かったので、そこでやることにした。

床が抜けそうなおんぼろのプレハブの事務所で、不在届けを見て電話してくるお客さんの応対が私の仕事。
住所、氏名、電話番号、荷物の伝票番号(10〜12桁と長い)、配送元のデパート名など、聞くことはたくさんあって、しかもいちいちメモを取りながらなので結構やっかいだ。
しかも安物の電話の音は聞きづらいし、人の名前って結構間違えやすいし、ちゃんと聞き取ろうとすると神経を使う。
やってみての感想は、月並みだけど「いろんな人がいるね〜」の一言。
まあたいていの人は、面倒でもちゃんと答えてくれるけど、中には最初からイライラしてまくし立てる人とか、怒り出す人もいて、そういう人に当たると非常に困る。
まくし立てられると、メモが間に合わないので、聞き直す羽目になる。
聞き直すと余計怒り出す。
イライラしててもいいから、ちゃんとハキハキとゆっくりわかりやすく言ってくれればすぐに済むのに、と思いながらも、こちらは下手に下手に怒られたら平謝りしてやり過ごす。
こういう人が一番の困ったちゃん。

次の困ったちゃんは、嫌みを言う人。
何かというとYとかNと比較して、「おたくはどうしてできないの?」と迫る。
その1――色々聞かれるのに嫌気が差して「伝票番号だけでどうしてわからないのっ!」と言い出す。
こちらは弱小運送会社、オペレータがパソコンを前にして電話を受けてるわけではない。
電話を受けてから荷物が今どこにあるか、それをいつの再配に回すかなどの調査や手続きは全て私たちの手作業なのだ。
不在届けだって手書きだから間違えてることもあって、伝票番号だけでなく住所氏名まで付き合わせて、やっと確認できる荷物もある。
でもそんなこと説明してもしょうがないから、また平謝りでやり過ごす。
その2――「配達員の携帯にすぐ連絡して持ってこさせて!YやNならすぐ持ってくるわよ」と無茶を言う。
確かに配達員さんは携帯を持っているが、彼らにも彼らの都合がある。
弱小運送会社ゆえに彼らの歩合はとても低く、効率よく回って数をこなさなければならない。
ただでさえ不在が多く、無駄足を運ぶことが多いのに、更にわがままな客に振り回されてあっちこっち回ることになったら、時間のロスばかり多くなってしまう。
だから、私たち電話番は丁重にやんわりとお伺いを立てて、再配の日時をうまくやりくりしなくてはならない。
ま、なんにせよ、YとかNとかと一緒にしてほしくないのだ。
だってさ、元々その荷物にかかっている運賃がYとかNに比べてとーっても安いのよ。
だいたいこの運送会社が受け持っているお届け物は、デパートが配送料無料ですなんて言って請け負っているお届け物なんだから。
そういう荷物はデパートもケチって、安い弱小運送会社に配送させているわけ。
運賃が安いから、会社の設備も悪いし、私たちパートの時給も配達員さんの歩合も安く押さえられているのだ。
電話もフリーダイアルじゃないしね。
そこんとこ、考慮してほしいなーって思うんだけど、お客さんはそんなこといちいち汲み取ってくれないしな……。

電話は午後4時頃から急に増えてくる。
一番忙しいときは電話が鳴りっぱなしになる。
回線も2本しかないしね、「おたくずっと電話中よ!」と怒られてしまうほどだ。
とにかく不在のお宅が多い。
ひどい所だと週に1,2度しか家に帰ってこない人とかもいて、そんな家にお届け物なんてするなー!と怒りたくなる。
できるだけ不在置きはしないようにとお達しが出ていたので、なるべく在宅の日時を聞くのだが、案外皆お届け物にはぞんざいで、なくなってもいいから玄関前に置いてちょうだい、なんて人もいる。
ウチもそうなんだけど、みんなお歳暮なんてもらっても、あんまりありがたく思ってないんじゃないかしら。
今は物がない時代じゃないし、欲しい物は自分で買うしね。
お歳暮で物もらって喜んでいた時代は遙か昔になっちゃったよね。
でも、慣習はやめられないから、みんな仕方なくデパートで適当に選んで送ってるし、もらう方も仕方なくもらっている。
いい加減、もうそんな慣習なんてやめちゃえばいいのに!ってつくづく思う。
その分のお金で、各自好きな物買えばいいじゃんか!ってね。
でも、誰もやめないんだよね。
それに、デパートも運送会社もそれでメシ食ってるようなものだから、私もその一端を担った者として、そんな暴言は吐けませんわ。

喜ばれようと喜ばれまいと、お届け物は様々な人の手を経て、様々なエピソードを内に秘めたまま届けられる。
いろいろあったけど、無事お歳暮の季節も終わり、無事臨時の配送所も終わることができた。
後は給料をもらうのみだ!
お歳暮の季節が終わると、次は大掃除の季節、私も年に一度しかやらない細かい所の掃除に勤しんでおります。
来年はどんな年になるのかな……。
てなわけで、皆様、良いお年を!


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