きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


専業主婦


11月 14日(火) 曇り(さむっ!)

今冬(まだだけど)早くも風邪を引いた。
気を付けていたつもりだったが、いったんウィルスをもらってしまうと、体を温めようがうがいをしようが発症は免れない。
今回の風邪は熱は出ないかわりに、ぐずぐずといつまでも咳が出て治りが遅い。
一晩中ゲホゴホと咳に悩まされていると、そーいえば私、子供の頃から夜咳が止まらなくて眠れないことがよくあったなぁ、などと思い出す。
体はいたって丈夫だが、なんか細かいところで弱いのよねー、私。

あんまりひどくゲホゴホしてると、夫が心配して寝てろと言う。
でも彼は「寝てろ」と言うだけである。
言うだけというと冷たいと思われるかな――いやいや、もちろん彼は優しいので、「寝てろ」と言う以外にも布団を掛けてくれたり、色々と気を遣ってくれる。
でもでも、私の言いたいことはそういうことではない。
夫のやさし〜いお言葉に甘えて一日二日と寝ていると、家の中が大変なことになってしまうのだ。
つまり私が日々やっているルーチンワークは全て滞り、つまりは掃除も洗濯も食器洗いもアイロンがけもお風呂掃除もみーんなほったらかしになってしまうのよ。
とりあえず、食事だけは起きて作るにしても、「もうきみ、早く寝なさい」という夫の言葉尻を捉えて「じゃあ、悪いけどあれやってこれやって」と指示を与えなければならない。
それでも夫は仕事で疲れているし、自分のしたいことしたいだろうから、何から何まで頼むというわけにはいかない。
彼は「掃除だって洗濯だって、しなくたって死にゃしないよ」とのたまうが、死ななくたって汚いのはイヤだ!
そんなにきれい好きってわけじゃないけど、洗濯だって3日しなきゃ洗濯籠に洗濯物が山ほどたまるし、掃除だって大きなゴミは目立たなくても、流しの生ゴミはすぐに溜まるし、放っとくと臭うし、台所はパンくずだらけ、洗面所や寝室は落ちた髪の毛だらけになってしまうのだ。
ゴミ出しだって、一回逃すと燃えるゴミで3日後、燃えないゴミで1週間後、資源ゴミなんて2週間後まで待たなきゃなんない。
お布団だって、風邪菌まみれな気がして、早く干して殺菌したい気分だしさ。
家事ってやってることは大したことじゃないけど、細かな作業の積み重ねで、それがコントロールできないとめちゃくちゃになるのだ。

こんなことになるのも、私が専業主婦で家事を1人でコントロールしているせいだ。
私がフルタイムで働いていた時は、家事は分担だったから、夫は掃除も洗濯もしたし、ゴミ出しも生ゴミの捨て方も知っていた。
洗濯物なんて私より上手にたたんだ。
私が寝込んでも、居間の掃除してとか明日ゴミ出しといて、と連絡事項のように伝えるだけでよかった。
今は家の中のルールが私1人のものになっていて、夫は知らない。
ルールを知らないからやり方に戸惑うし、できないのだ。
私の母が風邪の時もろくに寝てなかった理由がいまさらのようにわかる。
母も専業主婦で、家のルールを他の誰も理解していなかったからだ。

私は今は自分で専業主婦という道を選択している。
テレビの「TVタックル」という番組で、専業主婦についてあーでもないこーでもないと盛んに議論していたが、男の勝手で女が専業主婦にさせられたのだという意見は、私の母の時代の話だ。
今はもっと自由で、私のように自ら専業主婦を選択している人は多い。
女だって結婚しても1人の人間として働いて収入を得て税金を払うべきだという意見は至極ごもっともな意見だが、様々な社会環境の中で夫婦がどういうライフスタイルを選ぶかはその夫婦の勝手であって、人にとやかく言われる筋合いではないと思っている。
ウチの場合、夫は妻も社会と繋がりを持つべきだと考えている人なので、仕事を持つことには何の支障もなく、キャリアウーマンの女性ならなんて理解のある旦那さん!と思うだろう。
ところが肝心の私はキャリアウーマンでもなんでもなく、彼の給料は決して多くはないけれど、節約すれば二人で暮らしていくのに足りている、なら無理して働くことはないじゃん、なんて合理的かつ調子のいい考え方の持ち主なのだ。
会社から離れて、社会的な役割を果たすという点では確かに劣ってしまったけど、専業主婦になったおかげで新しい趣味も持てたし、働いていた時よりももっといろんな人と交流できて、よほど社会的活動をしてるんじゃないかしらと思うぐらいだ。
お金ということを抜きにしたら、会社から得ることなんてほんと何もなくって、働くことに社会的意義を求められなくなっちゃってるのよね。
自分にとっても社会にとっても、充分意義のある仕事をしている人は別だけど。

まあだから、納得ずくで私は進んで家事をやっているのだけど、やっぱり病気の時はこまるなあ。
まず病気にならないこと! だけど、夫には家のルールぐらい教えておこうかしらん……。


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