きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


ワーカン、ジャオシュイ、ザイシュウ、ジャオシュイ
(内蒙古植林記・その3)


5月25日(木) 晴れ

5月1〜3日(月〜水)−エジンホロの植樹活動の現場はホテルからバスで1時間くらいの所にあった。
町を出ると、バスは沙柳という灌木や駱駝草みたいな草しか生えていない荒野を走る。
でも本当はその中には耕地もあって、夏にはひまわり畑になってたりするらしい。
大きな河を渡った先がハラサという所で、地球緑化センターの活動場所だ。
道路の両側に広がる丘陵状の沙地に、沙柳やポプラ、障子松の若木が一面植わっている。
地球緑化センターの活動の成果だ。

因みに中国では砂漠を沙漠と書く。
砂漠というと砂丘の連なる砂漠を指すが、そのような本当の砂漠は少ない。
沙とは「水の少ない」という意味で、水の少ない広野(漠)すなわち、土漠、砂沙漠、礫沙漠、ステップ様の沙漠、塩沙漠、みんなひっくるめて沙漠と呼ぶ。
沙地は元々沙漠でなかった土地が沙漠化した所を差すそうだが、実際その地に降り立ってみると、以前そこに緑があったとは想像できないほど乾燥し、砂に覆われている。

「カイシィバ!」「シュウシィバ!」まずこの二つの中国語を覚えた。
「カイシィ」は「開始」で「シュウシィ」は「休息」、つまり始めと休憩の合図だ。
まるで土方の現場監督さんみたいな団長や班長のこの合図で、作業が仕切られる。
みんな日本人だし学生さん達も日本語がわかるけど、「郷に入れば郷に従え」で覚えた中国語を使う。

作業内容は中国語で言うと「ワーカン、ジャオシュイ、ザイシュウ、ジャオシュイ」となる。
まず私たちは一人一本スコップを渡され、目印に付けてある小さな穴に従って「ワーカン(=穴を掘る)」する。 上のさらさらの砂をどけると、少し湿った砂地が出てくる。
それでここが元からの沙漠ではないことがわかる。
湿った砂をサクサク掘って50cmほどの穴を作る。

そのままだと砂が乾燥して松がうまく根付かないので、「ジャオシュイ(=水を注ぐ)」する。
これは現地の人たちの仕事だ。
給水車は作業場に入れないので、雇われた現地の人たちが両天秤で水を運び、各穴に水を入れてくれる。
両天秤を担ぐのは大変な重労働で、私たちにはとてもできないから現地の人に任せるしかないのだ。
挑戦していた人たちもいたけど、みな一回運べればいいほうだった。
その中にヒョイヒョイ担いでるおじさんがいた。
聞いてみると「俺、子供の頃やったもんね」。
うーん、さすが田舎のおじさんは鍛え方が違う。。。

さて注がれた水が砂に染みこんで落ち着いたところで、いよいよメーンイベント、「ザイシュウ(=樹を植える)」だ。
今回は障子松の6年生の苗を植えた。
結構大きくて、一抱えもある金物製の簡易鉢に50cm〜70cm程の立派な苗が植わっている。
トラックで運ばれてきた苗は、ロバ車に積み替えられて作業場の中に入ってくる。
それを降ろして、穴の近くに置く。
これも苗が大きく重いので結構重労働だ。
そして苗を穴の中に落とし、簡易鉢をはずして砂を埋め戻す。
最後にまた水を入れるので穴の周りの土手は残しておく。
やはり、樹を植えに来たのだから、実際に樹を植える作業は楽しい。
穴掘りや苗運びはただ重労働なだけなので、皆の顔にあまり笑顔は見られないが、植えるときは皆ルンルンして作業している。
どんどん作業が進むので苗運びが追いつかない。
苗がなくなると団長さんは「シュウシィバ!」と叫ぶ。

最後に現地の人が苗に「ジャオシュイ(=水を注ぐ)」して作業完了だ。
午前中3時間、お昼の休憩が2時間半、午後も3時間程作業をしてホテルに戻る。
お昼の休憩が長いのは、昼間は暑くて作業にならないからだ。
昼食時も夕食時も、メンバーのおじさんたちはまず「ピイジィウ(ビール)!」と叫び、冷えてなくてもかまわず飲み干す。
メンバーには5,60代のおじさんたちが多く、何回も来ている人もいる。
リピーターのおじさんたちは慣れたもので、作業に最適な地下足袋を履いている。
地下足袋姿のおじさん達がドカドカと作業し、作業が終わればガバガバとビールを飲んでご機嫌になっているのは、なんだかまるで土方のおっちゃんそのものという感じで、日本に帰れば全くかけ離れたお姿をしている、というのがウソみたいだ。
中国内モンゴルの田舎で、楽しく土方している日本人の私たちは奇妙な一団だった。

その4に続く


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