きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


サブ・カルチャーの国


3月30日(木) 晴れ

花粉のせいで家に閉じこもっているせいもあって、最近鬱々している。
エネルギーレベルもずっとローレベルで、なんとなく不安定な感じで、あまりやる気が起きない。
小説の方もうまく運ばなくて、仕事がない今のうちに頑張って書こうと思っても、気が付くとネットサーフィンして遊んでしまっている。
今日もやる気の出ないお気楽主婦は午前中からテレビを見て遊んでいました。 f(^^;;;
でも、ワイドショーでなく、春休みアニメ特選を見ているところが私らしい。

今日たまたま見た「MACROSS PLUS」はなかなか面白かった。
マクロスシリーズは設定はとっても面白いんだけど、お話がダレダレで退屈なのが不満だった。
これは劇場用の2時間ものということもあってか、バーチャルアイドルものという新味に欠ける内容にも関わらず、演出にしまりがあってちゃんと見られた。
絵もきれいだったし、動きはマクロスらしいスピード感にあふれていた。
そしたら監督は近年まれにみる良い作品だった「カウボーイ・ビバップ」の渡辺信一郎サンだった。
やっぱね〜、さすが良い監督サンは脚本イマイチでもきっちり仕上げるのね〜。
面白くないアニメもいっぱいあるけど、良い作品を作っている監督サンは常にハイレベルを保って日本のアニメ界をしょって立っている。
「近ごろ思うこと」(その41)でも書いたけど、こういう監督サンとアニメーターの職人肌の丁寧な作品は、今や日本が世界に誇れる数少ない芸術だ。
芸術というとおこがましいから、やはりサブ・カルチャーと言った方がいいのだろうが、アニメにしろマンガにしろ、現代の日本はサブ・カルチャー花盛りと言っていいかもしれない。

東京新聞に今度ある大学に漫画を学問的に研究しようとする「漫画学」なる講座ができる、という話が載っていた。
低俗なものと言われ続けた漫画も、ついに学問の対象になったかと感心してしまうが、実際、漫画の世界には「低俗」で片づけられない奥深い歴史と文化が創り上げられていて、センセー方が論じるに足るものがある。
芸術的と言っていいほどのマンガだって数多く存在するのだ。
ただ、だからこれがカルチャーかというと、やはりそこまでの存在ではなく、あくまでもサブ・カルチャーの域は脱していないと思う。
それが良いことか、悪いことかは別にしてね。

カルチャーとサブ・カルチャーの違いって何だろう。
サブ・カルチャーを辞書で引くと「下位文化」と書かれていた。
私が想像するに、その違いはお金の違いなんじゃなかろーか。
平安文化とか安土桃山文化とか言って、代表作の絵なり書なり工芸品なりを見ると、みんなパトロンがしこたまお金を使って作らせてるものばかりだ。
本当に良いものにお金をかけて、それが文化になるって感じ。
江戸時代になると庶民の活動が活発になって、庶民文化なるものが形成されたけど、そうゆうのはみんなサブ・カルチャーなんだよね。
お金はかけないけど、良いものが創り上げられていく、っていうのがサブ・カルチャーの実体でしょう、きっと。
こだわりがあると、お金かけなくても良いものができてくるしね。

現代の日本はというと、本当の文化にお金をかけてるとは言えない。
お金出しても、そのお金で過去の文化遺産を持ってくるだけでしょ。
バブルが弾けてからは、それもなくなっちゃった。
でも平和だから、下位の庶民がお金をあまりかけずに文化を創り上げ楽しんでる。
それがマンガなりアニメなんだと思う。
文化にお金かけられなくても、こだわり持ってものを作る人が結構いるから、日本はサブ・カルチャーの国なんだろうね。

さて、ここでもしアニメやマンガの世界に大量のお金をつぎ込むパトロンができたらどうでしょう?
サブ・カルチャーはカルチャーに昇格できるのでしょうか?
今の状態では無理でしょうね。
今でも、お金をつぎ込む人はいるけど、それはその芸術性ゆえにお金をつぎ込むのじゃなくて、商業性のためにつぎ込んでいるだけだ。
それじゃ、本当に文化を創造しているとは言えない。
採算とかを考えずに、お金を出して、育てて守って後世に残れば、初めて高尚なカルチャーと言えるようになるでしょうが...
アニメやマンガにそこまでしてくれるパトロンなんて、まずいないよね。
それに単にお金かけたからって、良いものが作れるとは限らないし。
むしろサブ・カルチャーとしての活きの良さを失ってしまうかもしれない。
現に商業性を見込まれて、お金をつぎ込まれて作られた大作には、それなりの出来であっても素晴らしい作品とは言えないものもある。
限られた条件下だからこそ、人は工夫し、エネルギーをつぎ込んで良いものに結実していくのだ。
サブ・カルチャー万歳、がんばれクリエイターたち!


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