きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


異国からの便り


10月30日(土) 晴

こないだエジプトからメールが来た。
送り主は「私の西遊記」を見てメールをくれた人。
シルクロードを旅行するので見に来てくれたとのこと。
たまたま夏休みの旅行中でメールチェックするのが遅れて、お返事を出したらもう出発された後だったらしい。
1ヶ月ほどして、その人からいきなりパキスタンにいるというメールが届いてびっくりした。
なんとも凄い世の中になったものだと思いながらまたお返事を出したら、また1ヶ月ほどして、今度はエジプトから来たのだ。

何という時代だろう。
パキスタンなんて、ろくに国際電話もちゃんと通じない所だったのに、今や街角にインターネットカフェがあるのだもの。
別の人はネパールにもインターネットカフェはあると言っていた。
私が旅行した頃、いつ着くかわからない手紙や葉書に伝言をたくしたり、何時間も待ってようやく繋がった国際電話でやっと家族と連絡をとっていたあの頃に比べたら、今は時空を超えて、顔も知らない人と瞬時にメール交換できるのだから隔世の感がある。

もっとも、あまりに瞬時だと遠い所から届いたという感じが薄れて、ありがたみが半減するというのはある。
異国のスタンプが押された絵葉書などは、それが書かれて10日も経ってたりすると、よく届いたなぁとそれだけで感激するけど、Eメールだとエジプトからといったって、エジプトの印が押されてる訳でもないし、ただ無機質な文字が並んでいるだけの味も素っ気もないメールだからね。
それでも、旅人からの便りは嬉しいものだ。
中国からパキスタン、その後どうやってエジプトに抜けたのかはしらないが、自由に歩き回っている彼の足跡を垣間見て、懐かしさが込み上げてきた。

自分も旅人だったけど、そうでない時も友人や先輩後輩の誰かが旅人になっていて、便りをくれたり、話を聞いたりすることが当たり前だったあの頃。
旅の自由な気分と旅への憧れを、いつもいつも感じていたかったあの頃。
今は遠ざかってしまったそんな気持ちを、1通のメールが蘇らせてくれた。
ああ、うらやましいなぁ。
今はそんなつぶやきしか出てこないけど...

旅にはいろんな思い出がある。
あの異国の街角がずっと変わってほしくない、そんな思いもある。
でも、変わっていくのは仕方ないよね。
インターネットカフェだもんなぁ。
でもね、ネパールに行ってきた人からのメールでは、インターネットカフェがあっても街の様子は私が旅した19年前とはほとんど変わってないんだって。
相変わらず狭いゴチャゴチャした通りに人と車とバイクとリキシャと牛がうごめいてるそうな。
変わっていく文化と変わらない文化。
その両方をまぜこぜにしたまま生きている異国の街角を、もう一度見てみたいなぁ。
いつか、きっとね。


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