きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


抜け殻たちは今を生きる


7月16日(金) 梅雨の晴れ間

小説の追い込みはやっぱり予定が遅れている。
こういう時に限って、私のジャックくん(私の中の天の邪鬼のことを私はこう呼ぶ)はしゃしゃり出てきて、邪魔を始めるのだ。
つまり今週、読まなくてもいい小説を二日間も通してずっと読み続けてしまったのだ。
おかげで、予定は二日の遅れだ。
この二日の遅れは大きい。ハァ ...、まったく。

ところで、最近WOWOWのノンスクランブルで「課長王子」つうアニメをやってるんだけど、これがけっこう面白い。
ストーリーは、昔メジャーでやってたこともあるバンドのギタリストが、今は30過ぎて妻一人子一人の冴えない男、しがないサラリーマン稼業に身をやつしているが、ある日突然とびきり美人の異星人がやって来て、自分たちは今宇宙で戦争やってて、それに勝つにはあなたのイカシたギターが必要なのよと言い出して、彼は再び愛器フライングVを手に取る... てな感じなんだけど。
雰囲気がよく出てるんだよね。
妻は元追っかけで、でも若い頃の夢や憧れにはさっさと見切りつけて、現実に埋没してたくましく生きてるんだけど、主人公は、自分も現実に生きることにしたのに、なんかその現実に埋没しきれなくて、昔の夢を引きずって、抜け殻みたいになって生きている。
その抜け殻感がよく出てて面白いのだ。

30代40代の男の人たちに、こういう抜け殻なヤツって多いのかしら。
ロック世代の成れの果てというかね。
なんせ、ウチの亭主もその一人だ。
今はおまけの人生なんだと言い切る彼は、やはり在りし日の抜け殻として今を生きているのだろう。
彼も「課長王子」を面白いと言って見ているが、共感できる所はあるようだ。
もっとも、彼はおまけの人生もそれなりに楽しんでるみたいだけど。
だから抜け殻らしい言動は端々にあるものの、それほどペーソスは感じさせてない。

今日、エリック・クラプトンの東京公演を予約した。
夫とコンサートに行きたい私は、クラプトンなら行ってもいいという夫の言葉を覚えていて、この日を待っていたのだ。
でも、夫はあまり行きたくなさそうだ。
彼の知ってるギターの神様クラプトンは、昔の酒と煙草とドラッグと女に溺れて毒気にまみれて、でも最高のギターを聴かせてくれる神様であって、今のクラプトンは全く別物に見えてしまうらしい。
すっかり毒気が抜けてアカ抜けちゃった神様は、やっぱり在りし日の抜け殻に過ぎないのかもしれない。
そんな神様の抜け殻なんて見たくないと思う気持ち、抜け殻なヤツには共通の思いなんだろうか。

インターネットの先行予約なら、電話しまくらなくても済むわいと思っていたら、なんのその、アクセスが集中して繋がらないのなんのって。
やっぱりまだまだ人気はあるのよね。
結局、見たくないと思いつつも、夢を思い出して、抜け殻なヤツらが神様の抜け殻を見に行くってことかな。
まあ、神様だって、抜け殻になっても生きていかなきゃなんないし。
抜け殻なヤツらだって、現実を生きているわけだし。
お互いの現実を受け入れれば、それはそれでHappyなコンサートが楽しめるかもよ、と現実的な私は思うのでした。


戻る (C) Copyright 1999 K.Mizutani.All rights reserved. メール