きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


北京日記 その2


5月14日(金) 晴れ後曇り,にわか雨

北京日記の続きです。

研修旅行に参加するのは2回目なんだけど、今回もまた熱烈歓迎だ。
歓迎の宴では、若いお弟子さんたちが必ずお料理をサープしてくれて、それから「日本の皆さんのために」と言って、演奏したり歌ったり踊ったりで、一生懸命私たちをもてなしてくれる。

研究所のお弟子さんたちはみな若い。
大体10歳前後で入門して、20歳くらいには幹部として残る人の他は研究所を出て、大学や他の研究機関へと散っていく。
10代の頃は、気が人間の一生の中で一番大きく強い時期なんだそうだ。
だからその時期に修行すると、さらに気が高まって優れた気功師になれるのだって。
万先生のお弟子さんたちは全国から選りすぐって集められた、いわば気功師界のエリートの卵たちだから、もちろんそのレベルはものすごいらしい。
そして、ものすごく厳しい修行をして、10代後半ですでにものすごい気功の技を身につけている。

私たちは今年もまた、お弟子さんたちによる硬気功の表演を見せてもらった。
硬気功というのは、気功で体を鍛えて強くするという意味で、武術に通じるものがある。
実際表演でも、少林寺のような拳術や剣術を見せてくれる。
それから気で体を強くして、針金で首をしめたり、鉄の玉を飲み込んだりする。
今回はそれに火を飲む、火を吹くといった技まで見せてくれた。
それを10代のいたいけな若者たちがやるのだから、ちょっとこわい。

お弟子さんたちの修行は気功だけにとどまらない。
普通の勉強に気功治療のための医学の勉強、一応軍属だから兵士としての訓練もあるだろうし、私たちを迎えるために語学も身に付けなきゃならないし、身の回りのことから、果てはお客様のおもてなしの技術まで、幅広く身に付けなくてはならない。
気功師というものは、気功だけができればいいというものではない。
トータルして人の為になる立派な人間になりなさい、という前提があるから、そんなお給仕みたいなことまで修行としてやらされるのだ。
でも、彼らはエリートの卵なだけに、勉強に対する熱意もただものではない。
ほんとにまじめにやってるし、日本語だって一生懸命覚えて、私たちに教えるときは全て日本語でやってくれる。
そうやって、練功のときも、外気治療のときも、お食事のときも、ずーっとお弟子さんたちにお世話になりながら、私たちは研修期間中を過ごす。

表演のときは立派な武術家、外気治療のときは一人前の気功師、練功のときはまじめな先生、といくつもの顔を持っているお弟子さんたちも、素顔は全く普通の10代の若者たちだ。
顔を真っ赤にして火を吹いていた女の子が、歓迎宴ではおしゃれして流行のサンダルをはいていたり、かっこいい拳術を披露してくれた男の子が実はとてもシャイだったり、そしてみんな普段のときに見せる屈託ない笑顔は、まだまだあどけなくてかわいい。

10代の頃は1年でも、すごーく成長するでしょ。
去年、会ったお弟子さんが1年で、ずいぶん大きくなってたのを見て、なんだか親戚の子の成長でも見てるみたいにうれしかった。
「○○ちゃん、おおきくなったねぇー」って。
お弟子さんたちは私たちの先生だし、尊敬してるけど、一方で若い彼らのいろんな表情を見つけ、成長を喜ぶ、そんな楽しみもある中国研修なのだ。

というわけで、次回さらに続く...


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