きんとさんのお気楽ゴクラク日記

K.水谷


昔とった杵柄


11月17日(火) 曇り

最近、また小説を書出した。
ほんとは『賢者の結婚』の続きというか、外伝みたいなのを書きたかったのだけど、どうも上手くまとまらないので、後回しにして違うのを書くことにしたのだ。
昔、アイデアだけ考えて放っておいたのがいくつかあったので、その中から物になりそうなのを選んで、もう一度最初から練り直した。
中世のイスラム世界が舞台の物語だ。

『賢者』の時は、まったくの架空の世界を作ったけど、今回は実在の時間と空間を想定している。
中世イスラムの歴史なんて知ってる人、どのくらいいるんだろう。
王朝の名前くらいなら、聞いたことあるって人がほとんどだろうなぁ。
でも、私はかなり細かい年代まで絞って、時代考証もかなり綿密にやってみました。
なんでそんなことできるのって、それはね、昔とった杵柄だから。(^。^)
私は大学で東洋史を専攻していた。
なぜ東洋史かというと、シルクロードが好きだったから。
どっちかというと、それは中国寄りの興味だったのだが、大学に入ってから、イスラム史やアラビア語に興味を持った。
それで、卒論はイスラム史にした。
イスラムを国教とする国を旅行したこともあるし、私にとってイスラムはそれほどかけ離れた存在ではなかった。
そんな訳で、中世イスラムの世界を舞台にした物語を思いついたのだが、その時はまだ実際に物語を書こうとは思ってなかった。
今、ようやく物語を書ける状態になって、昔とった杵柄がとても役に立っている。

舞台を設定するのに、昔の本、テキスト、ノート、事典などなどを引っ張り出してきて、必要なところを読み直す。
昔やったことだから、覚えてることも少しはあるが、ほとんどは忘れていて、よくこんな難しいことやってたな…なんて思うことしきり。
アラビア語なんてもう全然忘れてて、字がかろうじてわかるくらい。
情けない限りだが、でもやっぱり昔やったことだし、元来興味のある事だから、理解するのは早いみたい。
足りない部分は更にまた本を買ってきて読み漁っていると、自分の向学心に自分で酔っちゃって、若返った気になっちゃって…。
大学時代の勉強なんてほとんど役に立ったことなんてないけど、ひょんな事で役に立つこともあるのだわ。
いやぁ、どんな事でも経験は大事だし、それを自分のたんすにしまっておけば、ちゃんと肥やしになってるものなんですねぇ…。

中世イスラムの物語というと、超有名な『アラビアンナイト(千夜一夜物語)』がある。
私は子供の頃、絵本で『アリババ』や『アラジンと魔法のランプ』など読んだだけで、いつかちゃんと読んでみたいと思っていたがその機会がなかった。
今回、大急ぎで少しだけ読んでみたが、奇想天外な冒険物はもとより、教訓めいた説話からちょっとエッチな落語の艶話のようなものまで、本当に様々な話が収められているのだ。
そして、どのお話も人間が、王侯貴族から泥棒乞食に至るまで、生き生きと描かれていてとても面白かった。
中世の物語世界の豊かさって、洋の東西を問わないみたい。
イスラム世界っていうと、どうも私たちの理解を越えるところばかり目立つけど、結局は彼らも私たちとあまり変わらず嬉しければ笑い、悲しければ泣き、よく食べ、よくしゃべり、恋もすれば、エッチもする、うまく儲ける人、損する人、悪いことをするやつもいれば、善人もいる、スケベなおやじに気の強い女、女だって決して男に負けちゃいない、そんな感じなのだ。
私はあんなにうまくは書けないからなぁ。
せめて、雰囲気だけでも借りることができたらと思う。

今、物語作りは行き詰まっている。
全く何もないところから全部設定するのも大変だが、実在の歴史や地理の枠の中に架空の設定を割込ませるのも、結構難しいものだ。
大体設定が終わって、いざ書き始めたところで、事実と反する重大なミスが発覚して、設定し直さなきゃなんなくなったのだ。
その作業中なのだが、また本を読み直し、ああでもないこうでもないと、頭の中は中世イスラム都市の街の中をさ迷っている。
お掃除しながらも、夕食作りながらも、頭の中はそんな状態。
ああ、今も皮をむいているこの玉ねぎがモスクのドームに見えてくる…なんてことはないけどぉ。

ある程度まとまった状態になったら、またはぎさんにお願いしてこのページに載せてもらうつもりだけど、まだまだ当分先だな。
こうご期待、と言えないのが寂しい…。(^_^;)


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