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▼ぬか漬けの仕組み

▼滅び行くぬか床

▼楽をする極意を探る




完璧を目指して疲れる前に、手の抜き方を 考えましょう。
 
ぬか床は生きている



 ぬか床の中には、莫大な数の微生物が住んでいます。この微生物のバランスを適正に維持することが、ぬか床を保つ基本です。適度に手を抜きつつ、つまり混ぜる回数を減らしながらも健康的なぬか床を作るために、ぬか漬けの仕組みを理解することから始めたいと思います。



ぬか床の中では何が起きているのか



 ぬか床に住む主たる微生物は、乳酸菌と酵母です。これらの極小の生き物が、ぬかのでんぷんやたんぱく質を分解することにより、ぬか床は野菜ともども発酵をします。野菜は、浸透圧によって水分を放出するとともに、ぬか床内のさまざまな成分を吸収します。

 酵母は、アルコール発酵をします。そこで生成されるエステルという成分は、ぬか漬けの風味を構成する大切な要素です。

 乳酸菌は、乳酸発酵をします。生成される乳酸やアミノ酸が、ぬか漬けに酸味や旨味を与えるほか、ぬか床の雑菌を抑える働きもします。乳酸菌が多すぎると酸味が強くなり、逆に少ないと、酸度が下がってぬか床が腐敗しやすくなります。



好気性・嫌気性



 酵母は好気性といって、酸素に触れていたほうが発酵が進みます。ぬか床をかき混ぜるのは、酵母に空気を送り込むためです。一方で、乳酸菌は条件的嫌気性で、酸素のないところでも乳酸発酵をしますが、空気に触れていても乳酸菌は生きることができます。反対に、ぬか床を傷める原因となる菌の多くは嫌気性です。


手入れをしないぬか床は、次第に衰えてゆきます。
 
落ちる、味



 酸素を送り込む作業を怠ると、酸素を必要とする酵母が減少して、風味が悪くなります。一方、乳酸菌は空気を必要としないので、酵母との活動均衡が崩れ、乳酸菌の活動ばかりが盛んになり、ぬか漬けが酸っぱくなります。



招かれざる微生物たち



 ぬかの表面に産膜酵母と呼ばれるカビが発生し、白い膜を作ることもあります。産膜酵母は、異臭のもとになる酢酸エチルを生成し、風味を損ねます。酢酸エチルは、ごく微量ならば風味のひとつなのですが、異常に発生するとマニキュアの除光液のようなにおいがします。

 さらに酸素が減少すると、これまでおとなしかった嫌気性の酪酸菌が増殖を始め、ついには乳酸菌を追いやってしまいます。乳酸の生成が滞ってphが上昇すると、もはや雑菌の温床と化したぬか床は、最後には腐敗してしまいます。



基本は冷蔵庫。 
 
全体の発酵を抑える



 冬季には漬け時間が長くなりますが、ぬか床が痛むことがないように、ぬか床を冷蔵庫に入れておくことにより、ぬか床全体の微生物の働きを抑制することが可能です。
 また、からし粉や鷹の爪など、殺菌効果のある食材を投入しても、これに近い効果を得ることができますが、やはり確実なのは冷蔵庫です。NHKのテレビ番組でも冷蔵庫保存を推奨しています。楽なぬか床の基本は冷蔵庫です。



特定の微生物を投入する



 単純に、酵母や乳酸菌を投入してしまう方法です。よく知られているのは、乳酸菌を主成分とする「ビオフェルミン」で、細かくして投入します。また、「強力わかもと」、「エビオス錠」は乳酸菌だけではなく、酵母も入っています。ただし、いずれも人工的に精製した菌ですので、ぬか床に住んでいる多様な菌種を再現しているわけではありませんから、効果は限定的です。どちらかというと、日常的に使用するというより、微生物のバランスが崩れそうになったときに緊急避難的に使用すべきものでしょう。



酸味は中和できる



 乳酸菌が増えて酸味が強くなってくる手抜き初期段階では、卵殻を砕いて投入することで酸性を中和し、微生物バランスと味をある程度、調整することができます。しかし、酸度が下がると腐敗菌に弱くなるので、過信は禁物です。
 これらの施策を打てば、かき混ぜる回数は1日に1回で済みます。さすがに2日に1回だと、だんだん味が落ちてきます。それでも負担に思うようであれば、気が向くまで休むこともできます。使わないぬか床は、冷凍して保存することができるそうです。


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