降りられない理由



「降りてもいいのだぞ。」

ウルバヌスを攻撃するという彼は、彼の真意を測りかねる私を試すような言葉を吐く。
私は貴方の副官だというのに・・・。
貴方は私の気持ちを知っているというのに・・・。





シルヴァーナが打ち砕いた岩が次々と自らの船体へと降り注ぐ。
眼前では、ウルバヌスが反転し、急速に遠ざかって行く。

船体を幾度となく衝撃が襲う。
2、3度の点滅の後、艦橋の照明が落ち、辺りが闇に溶け込む。

何かにつかまっていても立っているのが難しい暗闇の中、バランスを崩したソフィアは、誰かに抱きとめられる。
すぐに、それがアレックスだと分かった。

"大丈夫か"ぐらい言ってくれてもいいようなものだが、彼の口から発せられるわけがないことも分かっている。

彼は、皇帝に弓を引いてまで何をしようとしているのか。
私にはまるで分からない。
彼は何も教えてはくれない。
彼にとって、私はそんな存在なのか・・・。
こんな船さっさと降りてしまうべきだったのだろうか・・・。
寒いわけでもないのに、体の震えが止まらなくなった。

どれくらいそうしていただろうか。
震えるソフィアの額にアレックスが唇を寄せる。
何も語らないアレックス。
驚いておびえるように目を閉じるソフィア。
それでも、ソフィアの震えは収まる。





船体は相変わらず下降を続けるているようだが、落岩は止まったようだ。
すかさずアレックスから指示が来る。

「ソフィア、現状を把握し、報告しろ。」
既にいつもの調子だ。
相変わらずズルイ男だと思う。
だから私はこの船を降りられない。

「各部、被害状況を報告せよ。」
アレックスの腕の中から抜け出したソフィアは、服の乱れを整えると、声を張り上げた。



12話の最後を見ていて考えたもの。
「Calculate Sophia」とたいして変わらない気がするが、まあ気のせいに違いないことにしておく。
アレックスはもう少し、ソフィアさんにやさしくして欲しいです。

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