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第52回「エネミー・オブ・アメリカ」

エネミーポスター 監督… トニー・スコット、 脚本… デビット・マルコーニ
撮影… ダン・ミンデル、 音楽… トレバー・ラビン
キャスト… ウィル・スミス、 ジーン・ハックマン
ジョン・ボイト、リサ・ボネット、ジェイソン・ロバーズ

1998年ブエナ・ビスタ/上映時間2時間12分
CASTジャック&ベティ
ジャックの評価 /ベティの評価

…金かえせ!! / …いまひとつ
…まあまあ/ …オススメ
…大満足!!観なきゃソンソン


J/ 『エネミー・オブ・アメリカ』は面白かったね。タイトルはいかにもハイテクを扱った映画って感じで、タ イトル文字も冷たい機械的なスタイルだったけれど、キャラクターに人間味があったからか、映画全体のイ メージは、テクニカルで冷たい雰囲気ではなかった。この映画が成功しているのは、その点だと思うよ。

B/ 本当に贅沢な俳優の使い方をしているのね。良心的な古いタイプの政治家にジェイソン・ロバーズ、謎の男 ガフリエル・バーン、エージェントの一人にイアン・ハートなど、それぞれ出番は少ないのだけれど、画面 を確実に引き締めてるの。もったいないようなんだけれど、それぞれがきちっといい仕事をしてるから、決 して無駄遣いではないのよ。

J/ 敵役にもジョン・ボイトや、バリー・ペッパーなど強烈な個性の人をそろえてね。この映画がとても説得力を 持っているのは、こういう脇を固める人たちの力が大きいからと思うね。

B/ ウィル・スミスとジーン・ハックマンのコンビがとてもぴったりとハマッていたのも良かったわね。それぞれ が、自分のいいところを出し切り、決して個性がぶつかることがなかったものね。

J/ 監督が俳優の使い方、生かし方をとってもよくわかっているように思うよ。

B/ ウィル・スミスは今回はシリアス演技だったけれど、頼りないところとか、間の悪いところとかが『メン・イン ・ブラック』の時と重なるところがあって、映画にちょっとした可笑し味をだしてたわ。それとは逆に、ジーン ・ハックマンの方は年輪の味を感じさせて、頼り甲斐があって、絶妙なバランスをとっていたわね。

J/ ジーン・ハックマンがいいね。久々にかっこいい彼の姿がみれたね。最近悪役とか多かったから。

B/ 銃のぶっ放し方がかっこいいの。ばっちり決まっていたわ。

J/ 60年代から70年代にかけて活躍したアクション・ヒーローは、スティーブ・マックイーンにしても、ク リント・イーストウッドにしても、それぞれ個性的な銃の撃ち方っていうのがあって、ひとつの美学になっ ていたからね。彼も『フレンチ・コネクション』以来のスタイルを持ちつづけている人だから。

B/ 久しぶりに、カー・アクションあり、走るシーンあり。若い頃の彼を彷彿とさせてくれて嬉しかったわ。
それに乾いた内容の映画でも、彼が出てくるとあたたかみが感じられるし、なぜか映画がキリッとしまってくるのよ。 彼って、ホントに人間くささを感じるものね、いい意味でのね。あらら、でもウィル・スミスも良かったわよ。

J/ 若い頃のジーン・ハックマンと言えば、そもそもこの映画のブリルって人物は、彼の昔の映画『カンバーセ ーション盗聴』の主人公が、そのまま歳をとったようなキャラクターで、僕はそれがとっても嬉しかった。

B/ 映画の中で彼がどういう人物か、どこからかデータを集めてくれるシーンがあったのだけれど、そこでファ イルに使われていた写真が、なんと『カンバーセーション盗聴』の時のスチール写真を使っていて、監督が あきらかにあの映画を意識してこのキャラクターを作ったというのがわかって面白かったわ。

J/ だからあの映画と同じく眼鏡をしているし、彼の仕事場までもが、『カンバーセーション盗聴』にそっくり だった。もっとも機材は格段に進歩しているのだけれど(笑)

B/ ウィル・スミスに「こんな機械に囲まれてひとりで過ごす人生で、満足しているのかい」なんて言われるの だけれど、なんか『カンバーセーション盗聴』の彼とその後の生きてきた道のりまでもが、パーッと目の前 に浮かんできて、不思議な感じがしたわ。

J/ 相変わらず彼の得意分野は、盗聴のようだし、警戒心が強いのもかつての失敗の反省からかななんて想像した くなってしまう。

B/ カメラに監視されている恐怖っていうと、『スネーク・アイズ』もそんな映画だったけれど、私はこちら の方が数段怖かったわ。なんかあっちは、カメラ・ワークの面白さばかりが目立って、内容がお粗末だっ たような気がする。

J/ 現実的な怖さがあるね。商店の監視カメラのような身近な素材が使われているから。よくコンビニの強盗を 監視カメラで映した映像がテレビなんかで流れるものね。コンピュータの力を使って、一瞬にしてその映像 情報を集めるなんて、ああいう組織には容易いんじゃないかな。

B/ なんか、私たちの住んでいる地球全体が、「トゥルーマン・ショウ」の舞台になってしまったような。(笑)

J/ 日本の衛星でも、地上の車種が見分けられるくらいの性能があるんだってよ。

B/ なんかゾッとする話よね。

J/ 財布が、最近パンパンになってきたから、少しお金持ちになったのかななんて思ってたら、ただ単にカード が増えただけだった。今どこでもカードだからね。で、その中には何を買ったかの情報が入っていて、その 人の好みなんかがわかってしまう。うかつに変態ビデオなんか借りられないよ(笑)

B/ 「ぴあ」とかの会員になるときとかに、アンケートを書かされるでしょ。あなたはなんの雑誌を購読してま すかとか、あなたの好みは、中華ですか、それともフランス料理ですか。なんて。あんまりチケットとは関 係のないことまで。雑誌の懸賞なんかに応募しても実に色々なアンケートがあるのよ。「一ヶ月分の小遣い」 とか、「車は何を持っているのか」「好きな洋服ブランドは何か」「タバコは吸いますか」これ何の雑誌の アンケートだと思う?

J/ ファッション雑誌かなんかでしょ。

B/ 映画雑誌よ。映画と何の関係があるのかしら。

J/ 無意識のうちに、色々なところにさまざまなプライバシーに関する情報が流れているんだね。これらの情報 がコンピュータを介して、ひとつにまとめられ、色々なところで一人歩きをしているかと思うと怖いね。友 達にさえ知られていないことまで赤の他人が知っていたりなんかして。

B/ この映画が怖いのは、現実にこういうことがあるからなのね。まるっきりの絵空事には見えない。明日はわ が身のような。

J/ もう、安心な場所はトイレだけかもしれない。

B/ 甘いわね。トイレだってヘンなマニアに盗撮されてるかもよ。(笑)

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