ガングロからヤマンバへ

DATE : ( 2000/2/19 )

いつからだか知らないが、いつのまにかガングロはヤマンバといわれるようになった。ヤマンバとは古い言葉を持ち出してきたものだ。この言葉を持ち出してきたのはある男性誌が初めてとされる。

なぜか突然休刊した egg 誌といい、最近ガングロに対する風当たりが強い。いきなり私の言いたい事をいうと、これはファッション業界などの陰謀なのではないかと思う。なぜ私がそう思うようになったかについて、これから説明していこう。

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私は休刊する少し前の egg 誌をたまたま買っている。なぜ買ったかというと、表紙が非常にかわいかったからである。ちなみに、休刊前の最終号の表紙はかわいくないのであしからず。で、私はその雑誌を通読してみて、いくつか思うところがあった。

まず、彼女らの着ているファッションは案外安く手に入るものだということである。彼女らを見れば分かるとおり、彼女らはかなり派手なファッションをしている。しかし、それらはせいぜい三千円とかそのぐらいのものなのである。下手をすると、彼女らの服装を上から下までそろえたとしても、ブランド物の一点よりも安いのである。つまり、はっきりいってガングロファッションは、ファッション業界にとっては憎むべきものである。そうでなくても、ガングロギャルたちが宗派を変えただけで、ファッション業界の売上は数割増えるものと思われる。

ガングロファッションが流行った全ての根源は、egg などの雑誌であると言われている。つまり、ガングロギャルたちが egg などの雑誌を読まなくなれば、ファッション業界は潤うことになる。そこで最近のマスコミなどを見てみると、テレビではガングロファッション否定一色である。私はガングロファッションが好意的に受け入れられている番組を、少なくとも深夜番組以外で見たことがない。

そしてさらに不可解なのは、毎月数十万部も売り上げていた egg の突然の休刊である。そうなると、egg に何らかの圧力が掛かったと見て良いのではないだろうか。ただ egg 休刊の理由としては、編集員が過酷な労働を強いられていて次々と人が入れ替わって行った、などのことが言われているので、圧力とまでは言いきることはできないのかもしれない。しかし、毎月数十万部も売り上げる雑誌をむざむざ休刊にするのであれば、その前になんらかの機動修正があっても良いはずである。

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ガングロはあらゆる雑誌から非難されている。

男性誌では、食われる、などの言葉でガングロギャルたちを忌避している。最初に言ったように、あげくはヤマンバなどという言葉まで生み出される始末である。しかし、どう考えてもこのヤマンバという言葉、とても若者世代から発生した言葉とは思えない。漢字で書くと「山姥」である。なんとしてもガングロギャルを撲滅しようという何かの意志を感じずにはいられない。

女性誌では、読者にガングロをやめたほうがいいと言っている。その言い分は、ガングロだと淫乱に思われて、男性から良い扱いを受けない、ということだそうである。この言い分も何かおかしい。というのは、既に前から、ガングロファッションは男受けが悪いということが常々言われていたからである。それでもガングロファッションを続ける彼女らは、男受けを気にしていないとしか思えないではないか。なぜ女性のファッションが、男受けすることを至上としていなくてはならないのであろうか。むしろ、男性のためのファッションをするような女性に対して警告すべきではないだろうか。

ちなみに、女性が好んでするファッションで、男受けしないものは他にもある。それは、全身を黒系の服で統一することである。しかしそんな黒系のファッションはなぜか否定されない。

さらに分からないのは、一部の女性が、奇抜で新しいファッションと称して、極めて妙ないでたちをしているのである。そして逆にそのようなファッションは、テレビなどで取り上げられ、これからの新しいファッションであるとレポートされている。私から見れば、シノラー(篠原ともえが一時期やっていた子供っぽい服装)よりも変で、頭がおかしいのではないかと思うようなファッションである。しかしなんと、このようなファッションは実は結構高価なのである。

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こうして、市場主義社会から、そして男社会から、ガングロファッションは撲滅の方向へと向かわされているわけである。しかし、そう簡単にはなくならないだろう。ガングロギャルが一人でも街を歩いて、自信たっぷりの振る舞いをしたら、それを見てガングロギャルの予備軍が再生産されていくのだから。 



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