メモランダム

DATE : ( 1999/11/11 )

初回にコーナーの名前を持ってくるというのは、デビューしたてのグループが最初に出すアルバムの名前を自分たちのグループ名にするというのと似ている。それはいいとして、新しく memorandom という項目を設けたからには、まず名前の由来から説明したいと思う。

メモランダムという英単語の綴りは memorandum である。これを略したものが memo つまり日本語にもなっているメモという単語になる。応用して「メモる」と言ったりもするので完全に日本語化している。ちなみに、目盛る、とは違う。

このコーナーの綴りは、同じメモランダムでも memorandom にした。自分で言うのもなんだが、結構べたなタイトルである。と、誰かに突っ込まれる前に自分で突っ込んでおこう。メモ(memo)のように気楽に手短に自分の所感を残しておき、それを不作為(random)に公開する、という意味でこのようなタイトルにした。むしろこっちが本当の意味でのコラムなのではないかと思わなくもない。

というわけで、既に本題に入っているのであるが、コラムとは元々、雑誌や新聞などの段組のことを言う。普通の記事は長いので、複数の段組にわたって書かれる。一ページにいくつかの記事や写真や絵が載るので、段組を工夫しても隙間が残ったりする。そういう隙間を意図的に作って文章を当てこんだものがコラム(column-カラムとも発音する)である。

だから、コラムというものは元々、とても短い文章なのである。それでいて、要点だけはしっかり突いていて読み応えのある文章になる。ただし、コラムとはあくまで雑誌や新聞のおまけ記事である。おまけ記事なのに、場合によっては雑誌や新聞のメイン記事よりも良い出来のものが多かったりするので、コラムを崇拝して私のように長文をコラムと称する勘違いが生まれる。本筋とは離れた面白さがあるのでコラムは良い。私のページでコラムと称しているものも、系統立てて書かずにちょっとした時事や疑問点から話を進めるからである。

コラムとエッセイも似ているが、コラムはあくまで豆知識的なのに対して、エッセイは作者の日々の雑感の意味合いが強い。だから、コラムには作者の人格は必要ないが、エッセイには必要である。

個人のホームページでよくあるのが日記である。日記はそれこそ日々の日記で、作者の一日をそれなりに読み物として読める程度にはまとめて書かれたものが掲載されている。日記というのは、テーマが特になく、異なるテーマだろうが関係なくただ時系列に書かれたものが多い。他方、日本には日記文学というものがあり、面白い日記はその人のことだけでなくその人の生きた時代などが分かり、立派な歴史的資料のようになっている。

私は、日記は効率が悪いと思っている。それは、書く方にも読む方にも面倒だからである。書く方からすれば、書き手が日記を付ける習慣さえあれば書くのもそれほど面倒ではないかもしれないし、露出的な人であれば自分の日常すべてを書くことで自己を最大限に表現することが出来て満足かもしれないが、それ以外の人にとってみれば書くのも面倒である。そしてそれ以上に読む人の方が面倒であることは言うまでもない。私は唯一筒井康隆の出版された日記を読んだことがある。私は筒井康隆が当時好きだったので面白く読めたが、やはり半分以上は退屈だったし、ダラダラ読んでいた面もあった。

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私のコラム(と称するもの)は比較的長文が多く、読んだ同僚の一人から「長すぎて読む気がしない」と言われたことから、なるべくなら手短に、話題もそれほど広げずにさっと書いていきたいと思う。まあ初回は大したことのない内容になってしまったが、次回からはちゃんと書く予定である。

今回、ちょっとページのデザインに凝ってみたが、これはいま私が仕事で開発に関わっているハードにバンドルされる Lotus Organizer 2000 に影響されてこうなった。誰かのウェブページで同じようなものを見かけたのだが、なかなか秀逸なので真似させてもらった。ちなみに、こういうレイアウト専門のデザイナーという人たちが存在する。私が彼らの存在を知ったのは、何かの辞書のレイアウトをデザインしたデザイナーが、デザインしたあとすぐに契約を切られ、デザインに対して十分な報酬が払われなかったとして会社を訴えた事件があったからである。結局裁判所は、このようなデザインには著作権は存在しないという判決を出したのだ。どう考えても秀逸なデザインは著作権で守られるべきだと思うのだがいかがだろうか。

最後に、雑文のポータルサイトのようなものをたったいま先輩から教えていただいたので、ここにもリンクしておくことにする。

雑文館
http://zatsubunkan.net/


特に筒井康隆のファンには熱狂的な人が多く、彼の作品だけでなく人格のファンが多い。当時筒井康隆の日記は結構人気があったらしいが、私はその人気ほど面白いとは思えなかった。読者が楽屋ネタに突っ込まないのはなぜだろう。
 
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