7. よこぎき (1998/11/26)


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今日は、朝の通勤最中に、二人連れの女性が延々電車の中で喋っていた会話の内容について書きたいと思う。

私はいつも京王線の上り電車で会社まで行っている。その電車は車両編成が決まっていて、必ず或る部分の連結が連絡通路になっていて、そこに片方の車両につき三人〜四人ぐらい人が入れるようになっている。その中で音楽を聴きながら週刊誌を読んでいると、まるで通勤中じゃないような気がしてくるほど快適である。そう思うのは私だけではないはずだ。今日は突然隣の女性が、そこに座り込んで編物を始めてしまったぐらいだ。

最初私の隣には、その編物の女性と、あと若い母子連れだった。その母子は、母親の趣味かもしれないが、子供に tincarbell(?) の帽子をさせていて、まあ服はどうでもいいのだが、非常にかわいらしい子供だった。何でも物珍しい時なのか、私の方もじっと見てきたりするところがさらにかわいい。

この母子は途中の駅で降りてしまった。その時に、入れ替わりに入ってきたのが、冒頭で述べた二人の女性である。ヘッドフォン越しに二人の会話が聞こえてきたので、私は嫌らしくも、音楽を止めて会話を横聞きすることにした。

二人はどうやらそれぞれアパート暮らしのようで、同じアパートの人と仲良くしたいね、などということを話し始めた。片方の女性が、どうやら隣の人とは親密になったみたいで、それで CD まで貸したようなのだが、最近その人がバイトとかで忙しくなって時間が合わなくなり、それで CD が返ってこない、ということらしかった。あと、彼女らの住んでいるところには、それなりの年の人か、ギャルか、どちらかしかいないとのことだった。

その後、携帯の話になる。二人はどうやら PHS は持っているが、携帯はまだ持っていないらしい。来年の一月に携帯/PHSの番号が変わるので、その時に携帯を買い、PHS はそれまでに機種交換をしたい、とか言っていた。

そして片方の女性が、編物をしている女性を見てから、編物の話になる。毛糸は「ゆざわや」が安い、みたいなことを言ったあとに、吉祥寺の話になる。私は以前吉祥寺にそこそこ近い場所に住んでいたので分かるのだが、吉祥寺にも「ゆざわや」があるのでその関係だと思う。それで、片方の女性が「吉祥寺最近楽しいんだけど」と言うと、もう片方の女性が「古着屋とか見つかった?」と返す。どうやら吉祥寺には、雑誌とかで古着屋が結構あると報じられているのだが、実際に行ってみるとなかなか見つからないらしい。私も同感だと思う。ちなみに、私の友人は「吉祥寺ってつまんない。焼肉食べにいったぐらい」とか言っていた。さすがに吉祥寺は新宿池袋渋谷原宿六本木青山といった街と比べるのは苦しいのだが、それでも目的もなくブラブラしているっぽい人を多く見かけるし、それはそれで成り立つぐらいの街ではある。

そこで会話が途切れたあとに、髪の話を始める。片方の女性が、学生時代に髪をショートにしたかった、という話をする。ずっと母親に反対されていて、あんたは伸ばした方がいい、切ったら駄目だ、と言われていたけど、ついに「一度ショートにしてどんな風に後悔するか試してみる」とかいって切っちゃったらしい。そうしたら「マジで後悔した」そうだ。もう片方の女性も、時々ショートにしたくなって頻繁にショートにするのだが、そのたびに後悔するらしい。

その後、カバンの話になる。曰く「私ポーチしか持ってないの。カバンもいいよね」。同じ皮系ということで、靴の話にもなる。靴は三足しか要らない、みたいなことを言う。結局気に入った靴が三足あれば十分だ、ということらしい。

このあとの話で、二人がどうやらモード系の学校の生徒であることが分かってくる。友達のことを指すときに「六組の○○ちゃん」「七組の…」と言ったり、明日の二限の講義が「コーディネイト論」だったり、実習でスカートを作っているらしいことが分かる。片方の女性は、スカートを一枚しか持っていないようなので、最近実習で作ったスカートを履きたい、でも駄目なんでしょ、なんて話をしていた。あと、友達だか彼だか知らないが「ともちゃん」という男に服を買うだか作るだか知らないが、サイズを聞くと「スリムの7」というのがいいらしくて、ウエストが 66cm で、まるで女の子だよね、などと言っていた。

電車はその間、初台まで来る。すると一人が「このへんに住みたいよね」「チャリ通したい」などと言う。

そして定番、この世代は何かというと「眠いね」「うん、眠い」である。そして二人は新宿で降りていった。

おしまい。どっとはれ。というか、これのどこがコラムだ。以上。


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gomi@din.or.jp