55. ソフトウェアの適正価格 (2000/4/3)


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500hits を自分で踏んでしまった。

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ここずっとハードだけ買って遊んでいたので、ソフトはほとんど買っていない。去年の 11月に Microsoft AGE of EMPIRES II を買ったのだが、私はこのゲームをいまだに遊んでいる。それに Civilization II もまだ遊び足りていないとは思いつつ遊び終わったことにしている。これらは良い買い物だったと思う。前者は長持ちしているし、後者は廉価版約四千円でまだ飽きていない。

いま現在、私がかなり興味を持っているいくつかのソフトがある。それで三週間連続で LaOX まで行って吟味したのだが、結局なに一つ買うには至らなかった。そこで改めて思うのだが、ソフトウェアは高い。今回は、私が買うのを躊躇したソフトとその理由を列挙することにする。

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いまのところ今年一番の評判だった Windows 2000 であるが、このソフトはまず値段が高い。私は丁度新たなマシンを一台作ったのであるが、これ用の OS には Windows 2000 がいいなと思っていた。しかし、フルバージョンで三万円以上する OS を買う気にはなれない。

しかも、買ったとしてもパーツ個々で対応していないものが多い。多少逆説的かもしれないが、新しい OS を入れるには古いマシンが良い。新しいマシンでは、パーツ個々も新しいので、新しい OS の中にドライバが含まれていないのである。ただしあまり古いものも困る。新しいパーツだと、新しい OS 用のドライバも少ししたら確実に出てくる。

私の会社の先輩で、Windows 2000 のフルバージョンを買った人がいる。あいにく仕事が忙しくてあまりいじっていないそうである。彼は、さきほど私が挙げた Microsoft AGE of EMPIRES II を Windows 2000 でやろうとしたがうまくいかなかったらしい。Microsoft は Windows 2000 での動作も確認しているらしい。保証はしていないかもしれないが。で、なぜ彼のマシンで動かなかったかというと、動作させるには Administrator モードでやらなければいけないらしいからである。

Windows 2000 の値段に関してだが、フルバージョンではなくても、OEM 版と呼ばれる廉価なパッケージもある。これだと大体 17,800円ぐらいで買える。いや、もう少し安かったかもしれない。ただし、このバージョンのものはハードディスクかマザーボードも同時に購入しなければならない。なおかつ、まだこの値段でも高い。

そんなわけで私はいまだに Windows 2000 RC2 を使いつづけている。このバージョンは、去年年末の雑誌付録についてきた、Windows 2000 のテストバージョンである。テストバージョンだからもちろんバグも残っているだろう。私のも段々調子が悪くなってきている。なぜかアイコンの背景色が白一色になって透過しなくなってしまった。最初はリソースが足りないものと思ったが、再起動しても直らなかった。ちなみに製品版でもかなりバグがあるらしい。出荷された Windows 2000 にはまだバグが 65000個ある、との報道があって、それも私の購入をためらわせている。この報道にはなにやら戦略めいたものを感じるのは私だけではないはずだ。

ちなみに、私は OS の適正価格はせいぜい一万五千円ぐらいだと思う。しかもこの値段は、きっちりと作られた OS の値段としての目安である。Windows 95/98 なら五千円、Windows 2000 なら一万円ぐらいが良いのではないかと思う。マイクロソフトの OS には色々と機能が付いてくるが、これらはオプションにすべきだと思う。もっとも、そうは出来ない事情というか戦略があるのだろうが。それと、Linux はファイルシステムさえ交換できるという柔軟性を持っているのだが、Windows 2000 もそれを見習って、さまざまな機能と信頼性をもたらす新しい NTFS とその機能をオプションにすれば良いのである。私にはこのファイルシステムはいらない。

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次に、私はこうしてホームページを作っているわけだが、このホームページを作るためのソフトが欲しいと思った。このページは割合レイアウトが簡単というか、以前作ったページのレイアウトをそのままテキストエディタで切り貼りしてこのページを作っているだけなので良い。しかし私はもう一つページを持っていて、そのページは先の Microsoft AGE of EMPIRES II というゲームの AI についてのページなのだが、このページのような多少レイアウト性のあるページを作るにはやはり専用のエディタが望ましい。私は Mosaic の頃から WWW に親しんできたのだが、タグをチクチク書いていくことに硬派な喜びを見出しているような人が理解できない。

私が現在使用しているのは、Netscape Composer と Frontpage Express である。これらの良いところは何より無料で手に入ることである。しかし、なにぶん無料であるだけに、機能が足りないのは許せるものの、なにやら不可解な動作をするところが私には気に入らない。そこで、ホームページを作るためのツールを市販の製品の中から買おうかな、と思ったわけである。

私が雑誌を読んで選んだのは、IBM の ホームページビルダー 2001 というソフトである。機能面も優れていて、各所で良い評判を聞く。IBM というブランドイメージも良い。それに、値段も手ごろである。

しかし私は結局買わなかった。なぜか。値段は確かに手ごろなのだが、それでもまだ高いのである。通常で買えば一万円強、学生用パッケージなら七千円弱。弟に学生用のやつを買わせて利用してやろうかなとも思った。それでもまだ高い。ちなみに IBM はソフトウェアの価格表示をはっきりと「使用価格」と書いているところが良い。我々は基本的に、ソフトの所有権を購入するのではなく、使用権を購入するのである。そのあたりを騙されてはいけない。

七千円弱という値段で通常パッケージを使用できるとしても、これは妥当だろうか。これは一人が一台のマシンで使用するときの値段であって、これを私と弟とで使うには倍の値段が掛かるのである。無論仮に私がこのソフトを購入したとしてもそんな馬鹿正直なことはしないのだが、この程度のことで「犯罪者」呼ばわりされるぐらいなら、なにもこんな値段でソフトウェアを買ってやることもない。市場原理とやらで十分に値段が下がった時に買ってやればいいのだ。

結局結論はこうである。一万円するソフトを使ってホームページを楽に作りたいと思う人のためにこのソフトがある。しかもその人は、一万円を使うからには、それなりに出来の良いページを長いことかけて作っていく人なのだろう。私のような片手間で楽しみたい人間のためのソフトではない。私はこのソフトに興味を持っていて、実際使ってみたいとも思ったが、私の用途とは合わないのである。

私の提案なのであるが、ホームページ作成のエディタのコアの部分と基本機能だけのバージョンを Basic 版として四千円ぐらいで売り、アニメーション GIF やフレームなどの機能の付いたものを Regular 版として八千円で売り、サイト管理ツールなど大量のページを管理する機能や CGI インタフェイスや ActiveX 関係の機能のついたものを Professional 版として一万二千円ぐらいで売るのが妥当ではないだろうか。そうなればもちろん私は Basic 版を購入したい。フレームが使いたくなれば Regular 版にアップグレードすればよい。

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IBM はホームページビルダーのほかに、翻訳の王様という翻訳ソフトと、デジカメの達人だかなんだかのフォトレタッチソフトと、三本込みで 19,800円というパッケージも用意している。店頭ではそれが 14,800円ぐらいで売られていたので、私は当初これはお買い得だなと思った。しかしよく考えてみれば、フォトレタッチソフトは既に VAIO のプリインストールソフトに付いてきているので、私が欲しいのはホームページビルダーと翻訳の王様だけである。翻訳の王様は大体六千円弱で売っているので、通常パッケージで二本買っても値段はそんなには違わない。…ニ千円くらいは違ってくるか。

ここで私は改めて考えるのだが、翻訳の王様というソフトさえ良いものであれば買ってもいいかな、と思った。このソフトは、ネットサーフィンで英語のホームページを翻訳したり、通常のテキストファイルなんかを翻訳させることが出来る。かつてはそれなりの値段がしたものだが、この翻訳の王様は六千円ぐらいで通常版が手に入る。これはお買い得ではないだろうか。

というわけで私は買ってしまおうかなと思った。しかしここでふと思い直した。私はそんなに英語のページは見ない。たまに見ることもあるが、そのときは適当に読み流す。特定の話題に関する英文というのは案外読めるものである。それに英語の辞書ソフトなら既に持っている。これからどれだけ見るか知れない英語のページのためだけに六千円を払うことは妥当だろうか。

英語のページからの情報を楽しみたいユーザーにとっては、六千円という価格は極めて良心的なように思えるのは事実である。良い世の中になったものだし、IBM の製品戦略は素晴らしいと思う。多少のバグがあったとしても、間抜けな翻訳をしたとしても、これならユーザーも割り切って使うだろうし、買ってよかったと思うに違いない。しかし私にとってみれば、どうしてもぬぐえない割高感がある。このソフトがどれくらいの翻訳精度を持っているのか分からないが、少なくとも英語の文章を綺麗に日本語に訳すことは不可能だし、かつての同僚がユーザーだったので聞いてみたところ、やはりそれなりのものらしい。だとすると、やはり私は四千円ぐらいを期待してしまう。4,200円くらいだったら私なら思わずレジに持っていくかもしれないし、3,500円くらいだったらすかさずレジに持っていくだろう。

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私はゲームもあさっていたのだが、やはりゲームも割高に思える。一度遊びきってしまえば価値がなくなるものなのに、あの値段はまだ納得がいかない。

私が買った Microsoft AGE of EMPIRES II は、確か九千円弱ぐらいした。これは私にとっては妥当であると言える。なぜなら、私は前作を買って満足していたし、今作がどのように改良されたのかを大体知っていたからである。もちろん予想外の点にガッカリしたこともあった。しかし予想外に良かった点があって今も遊べている。

ただ言えるのは、どんなに素晴らしいゲームソフトでも、八千円を超えると買いづらくなる。たとえ自分が色々とそのゲームソフトについて情報を集めていても、六千円を超えると警戒心が出てくる。そして、四千円を超えるソフトは冒険をためらってしまう。ニ三千円のソフトであれば冒険もありだと思う。

私は 3D アクションゲームに少し興味があるのだが、少なくとも四千円はするし、六千円を超えるものがほとんどである。だから、なかなかこれらのジャンルのゲームを遊んでみようとは思わなくなっている。ただし、一時期と比べれば十分に値段も下がってきているとも言える。本当に遊びたくなったときに六千円弱ぐらいで評判の良いゲームを冒険できれば良いと思う。

一方、安いゲームは、本当にそのゲームに時間を掛けるだけの価値があるのかどうかを確かめなければならない。私は学生のころは時間があったので、少しでも良さそうな評判を聞いたゲームで、値段の下がっているものを買いあさってプレイしていた。しかし、社会人になってからはそうもいかなくなってきており、現にいまでは注目しているゲームでさえやりすごさざるを得ない状況となっている。

ちなみに、スクウェアのゲームは、期待させるだけさせといてダラダラと面白いような面白くないような時間を過ごすハメになるので、最近は全くやっていない。ただし、ファイナルファンタジー X がネットワークゲームになるということには非常に期待している。

コーエーが創立記念とかで、シリーズものの最新作の前々作あたりのソフトを四千円くらいで売っている。私はもちろん触手を伸ばしたのであるが、結局買うまでには至らなかった。というのも、私は社会人で、金はあるのだからどうせなら最新作をやるべきであると思ったからである。しかし最新作は高い。一万一千円以上するのはどうかと思う。これらはどうせシリーズ物で、確かにゲームシステムやグラフィックなどは全部変えるのだろうが、基本的な部分では変わっていないはずである。それをいつまでも高値で売るのはどうかと思う。それから、出来の悪い続編は、ゴテゴテとシステムが重くなっていって、面倒でつまらなくなることが多い。去年かなり売れた Microsoft AGE of EMPIRES II に関してもその傾向がある。

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私が最近買ったソフトの中で、唯一適正価格だったのは、3DCG ソフトの myShade である。3DCG ソフトは軒並み高価格で、その理由は恐らく、プロ用途中心・市場が小さい・ソフトがそもそも高度、などの理由があるのだと思うが、これを逆手に取れば、適切な商品を適切なレベルで売ることが出来る。

3DCG は難易度が高いので、誰でも出来るわけではないという致命的な点により、市場の規模は限られてきてしまう。しかし、3DCG 自体は非常に魅力があり、難しくても挑戦してみたいと思うユーザーは多く、その点をうまく汲み取って雑誌でユーザーを啓蒙したのは非常に大きかった。これで、プロ用途ではなく趣味で 3DCG をやる人により市場が大きくなった。しかし、プロが使うソフトと趣味で遊ぶソフトとでは同じソフトを売るのは明らかに間違っている。そこで、機能を削ったものを売るという戦略は当たり前のようなものである。しかしこの当たり前のことがなかなか行われなかったのは事実である。

Shade シリーズは、my Shade が最も安くて九千円弱で購入できる。このソフトは、機能といってもアニメーション機能が削られていることが大きいだけで、あとは上位ソフトとあまり変わらない。次に二万ぐらいでその上位バージョンがあり、このバージョンでアニメーション CG が作れるようになっている。そもそも一枚の CG さえまともに作れないような初心者に、アニメーション CG を作るための機能は不要であり、恐らく初心者を脱しないまま楽しむユーザーも多いことだろう。Shade にはさらに上位バージョンがあり、たとえば描画を高速化するために二台以上のマシンを使えるようにする機能をもつバージョンは 20万円くらいするのだが、これは明らかにプロ向けである。

my Shade は、このソフトの持っている機能・価値からすると、とても九千円以上で手に入れられる商品ではなく、もっと高い値段で売って良いものだと私は思う。しかし、このソフトを多くの人に売ろうと思った時、ユーザーの平均レベルを考えれば、このソフトの持っている価値を平均的なユーザーがどの程度引き出せるかを元に値段を決めた方が適正価格だと言えるのではないだろうか。価値は、引き出せる分だけしか意味がないのである。

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私がソフトウェアの適正価格について最近考えるようになったのは、冒頭で述べたように、最近はハードばかり買っていたからである。今年の一月は新しいマシンを作り、そして三月の初めくらいにメモリとハードディスクを無意味に買い足した。特に、メモリ四枚とハードディスク二台で合計五万円も使ったのを反省し、半分をソフトにまわすべきだったと後悔した。

しかし冷静に考えてみて、ソフトは高いし、そしてなにより値段分の価値があるかどうかは基本的にギャンブルである。ハードの場合、二万円出費することで元々 128MB のメモリを搭載していたパソコンを 384MB にするのはかなりもったいないというか無駄な出費だとは思うが、少なくともアプリケーションは大体 256MB くらいまでは有効に使ってくれるし、残りもディスクキャッシュになる。それに引き換え、たとえばソフトでメモリやハードディスクなんかを有効に使ってくれるソフトがあるのだが、これらのソフトはあらゆる面で割高である。一つには、これらのソフトは使用できる OS が決まっている点である。ついでに言えば、Windows 95 用のソフトを買ってしまったら、Windows 2000 でそのまま使うことは不可能なので、アップグレード料金を払って最新のソフトを導入しなければならない。そんなことなら、メモリを一本買った方が得じゃないか。

私はメモリの効率化ソフトは買ったことがないが、ディスク圧縮ソフトは買ったことがある。当時私の VAIO ノートは 2GB しかハードディスクが無かった。ハードディスクを交換するには、交換用のハードディスクを買うという高い出費と、交換を自分でやるという Do It Yourself のリスクがあった。そこで私はディスク圧縮ソフトを使おうと考えた。幸いなことに Windows には、ユーザーが必ずしも欲しがるわけでもないのにゴタゴタとソフトがついてきて、その中の一つにディスク圧縮ソフトがあった。私の周りでこのソフトを使っている人はほとんどいないのに、マイクロソフトは抱き合わせで OS ごと買わせているのである。

しかしそのソフトは、FAT32 と呼ばれるファイルシステムには対応していなかった。私の VAIO のファイルシステムは出荷時に FAT32 になっていて、FAT16 に変換する手段は用意されていない。調べてみると、なんと Windows 98 のオプションパックの中に、FAT32 のドライブを圧縮するためのソフトが入っているみたいだった。ドライブを圧縮したいという目的のためだけに、他の機能がゴタゴタ入っているオプションパックを買う気もなかった私は、他の会社から販売されているソフトも物色することにした。

そこで私はサードパーティ製のソフトを買うことにした。値段は確か 6,800円ぐらいだったと思う。結論から言うと、このソフトは失敗だった。買うときに色々調べてみたのだが、パソコン雑誌の記事に紹介されている内容は限られている。データを沢山入れるために圧縮する、という方法自体の限界もあることは言っておく。恐らく私の失敗の半分までは、問題解決の方法を誤ったのである。しかし残りの半分はそのソフトである。Windows に付属している圧縮ソフトと同じくらいのクオリティを期待したのだが、そのソフトは機能面では確かに高機能であったが、質的には私の期待は裏切られた。その大きな理由は、Windows 付属の圧縮ソフトが OS に密着していたのに対して、サードパーティ製の圧縮ソフトは OS と完全には密着していないのである。何より大きかったのは、圧縮することで一番容量節約が期待できる Windows フォルダ系のファイルの圧縮が不可能だったことである。

そんなわけで私は、せっかく 6,800円で買ったそのソフトを放棄して、交換用の 5.4GB のハードディスクを 35,800円で購入した。データ量は 2.5倍になり、圧縮ではないので速度も速い。自分でノートPC のハードディスクを交換するのはかなり勇気が必要だったが、結果として十分納得できる買い物であった。しかも交換したことで余った 2GB のハードディスクは次のマシンを作るときに再利用できた。ソフトによるデータ圧縮で容量を増やすと、Windows 95/98 でしか使えないのだが、物理的に容量を増やしてしまえば Linux でも使える。それに Windows 95/98 を Windows 2000 に乗り換えてしまえばそのときにアップグレード費用がいくら掛かるか知れない。その割に実際に増える容量は 1.5倍がせいぜいである。私のソフト蔑視が加速されたのは言うまでもない。

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ハードは裏切らない。必ず期待通りの機能を果たしてくれる。…いや、そうとは言い切れないのだが、ほとんど値段分の価値があるか、値段に見合わないと思ったら買わなければ済むことである。それに対して、ソフトを買うのはギャンブルと同じである。

ハードは買えば所持できるが、ソフトは使用できるだけである。ハードは譲渡・貸与・売却・共有が出来るが、ソフトはその全てが出来ない。

ソフトウェアは、欠陥があっても交換してくれない。どんな機能を持っているのか、そしてどれだけ便利なのか、実際に使わないことには全て把握することが出来ない。雑誌の情報や評判だけではとても分からない。とはいえ最近は各社ともお試し版を出していて、これは良い傾向である。製品版にある機能が使えなかったりするお試し版だと、そのソフトの全てを把握することは出来なくて躊躇するかもしれない。逆に世の中には製品版とほとんど変わらないお試し版があったりしてこれは良いことだと思う。

しかし実際のところ、業務用のソフトにはとんでもないものがあるのが事実である。1ライセンスで四千万円もするソフトに、かなり信じられないバグなんかがあったりするのである。しかもそもバグというのは、使い込まない限り絶対に分からないようなバグなのである。そうなると、ユーザーはうまくこのバグを回避するために必死で頭をひねるのである。それに対して、ソフトウェアハウスはこのバグを急いで修正する義務はない。もちろん自社のソフトの評判が落ちることだけは避けなければならないのだが、たかだか 1ユーザーに配慮する必要はないのである。次に出るバージョンでこっそりそのバグが直っていることもあれば、堂々と「最新版にアップグレードしてください」と言ってくることもある。

ソフトウェアはバージョンアップしていく。我々がソフトウェア会社に「使用料金」を払ったとしても、たとえば仮に一ヶ月後にバージョンアップしてそのソフトに新機能が加わってその機能を使ってみたいと思ったら、我々は今度はソフトウェア会社に「アップグレード料金」を払わなければいけない。これは「使用料金」に含まれないのか? まだまだソフトウェア業界は未成熟…というか詐欺の域を抜け出ていない。バグがあっても直してくれないのも重要な点である。

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ソフトがなければただの箱、などということがよく言われているのだが、その前にもう一度考えて欲しい。ツールに関しては、ハードで解決できる問題であればハードで解決すべきなのである。パソコンで何かやるにはソフトが必要なのは言うまでもない。しかし現在のところ、パソコンでインターネットやメールをするぐらいであれば、ソフトを購入する必要などない。ワープロ目的でもソフトを購入する必要はない。すべて、タダで使えるソフトがあるからである。

四月から、ソフトウェアの違法コピー撲滅キャンペーンが始まると聞く。しかしその前にソフトウェア業界は自らの体制を改めるべきである。自分たちのやっていることが詐欺のグレーゾーンにあるということを、である。私から見れば確実にクロなのだが、一応グレーと言っておく。もちろん違法コピーもクロである。だから私は、値段分の価値のないソフトは買うな、値段分の価値があるかどうか分からないソフトも基本的には買うな、と言いたいのである。違法コピー撲滅キャンペーンをやりたければ、ソフトウェアの料金が「使用料金」であり、所有権はあくまでソフトハウスにあり、譲渡・貸与・売却・共有の一切が出来ないことをしっかりと全国に TV コマーシャルで流すべきである。

価値のないソフトを買うユーザーのお陰でソフトハウスがつけ上がったのも事実である。だからといって、ユーザーが賢かったとしたら、ソフトハウスはビジネスにならないので現在の大きさの市場は生まれなかっただろう。それから、違法コピーをするユーザーがいなかったら、さらに市場は小さいものになっただろう。違法コピーがなかったらソフトの値段も下がっていた、というのもソフトハウスの勝手な理屈である。

現在、市場は十分に大きいものとなっているので、そろそろユーザーもソフトハウスも甘えを無くすべき時期に来ているのかもしれない。

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後日談。結局 IBM のホームページビルダー 2001 とコーエーの三国志5 を買った。というか、自分が買いに行ったら多分やめちゃうので、弟に買いに行かせた。ホームページビルダーは、マニュアルを見たり、ちょっと本体ソフトや付属ソフトをいじってみたりしてみたが、なかなか悪くないソフトである。ホームページをある程度気入れて作ろうと思った時に、この一万円という出費は妥当なようにも思えた。やはり買って使ってみないと分からないものである。実用していくうちにまた評価も変わるだろう。

三国志5 は、四千円だけあって、DirectX ではなく WinG のころのソフトだと気づいて驚く。ソフト自体は良いだろう。値段も安い。しかしグラフィックを見るとちょっとやる気をなくす。でも、実際にやってみると結構遊べたりするのではないかと思う。CD-DA に収録されている音楽も合わせると、良い買い物になりそうな予感がする。しかし私は昨日から Nintendo 64 のゼルダの伝説をプレイしはじめた。


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gomi@din.or.jp