45. ガルベス改め… (1999/9/20)


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大いに散財した。

  1. IBM DJNA-371350  (15,980円)
  2. 電源分岐ケーブル  (650円)
  3. 怪しいアクティブスピーカ  (1,280円)
  4. WiNDY の MicroATX アルミケース  (27,800円)
  5. GAINWARD CARDEXPERT TNT2 M64  (9,500円)

買った順番に書いた。

おととい、弟に貸してある自作PC ガルベス のウィンドウズが腐ったので、これを良い機会と新しい HDD を買うことを思い立った。以前から HDD が狭い狭いと感じていた。いつまでもノート用の 2GB のハードディスクをつけていたら、ディスク整理とかで結局苦労するだろうから、いっそ買った方が経済的だなと思っていたところだ。なぜいままで買わなかったかというと、中に入っている Office を消したくなかったからである。この Office は、会社で入れていたままだったもので、つまりメディアが家にないものだから消すのがもったいなかった。でも、ウィンドウズが死んだら消すしかないのである。別に仕事以外では大して使う当てもないのであるが、弟がレポートを書くのに使いたいというので、多少悩んだところだ。ウィンドウズが多少腐ったぐらいならそのままにしておくのだが、ろくに使えない程度に腐ってしまったのでやむをえない。

余談だが、弟の最近のレポートの宿題テーマが面白い。ここ 4,5 年以内にヒットした商品の、マーケティング戦略に関して書け、というものらしい。戦略には大きく三つあり、価格、機能的差別化、客層、それぞれに関してヒットの要因を分析するというものだ。ところが、弟はロクに勉強していない馬鹿大学生なので、ちょうど良いヒット商品が思い当たらない。そこで私が手伝い、ようやく iMac に決定したのだが、こんなありきたりなテーマは誰でも書きそうな上に、彼自身にあまり知識がないときている。そこで、ギターの ZO-3 という象型のコミカルなギターにすればと提案してみたが、これはどうやらかなり前のヒット商品みたいなのと、教授へのアピールが足りない(教授が知らない)ので却下となった。弟は結局テーマを iMac に決め、一生懸命インターネットで調べている。ちなみに、その教授の出した模範回答が、ポラロイドカメラの「チェキ」である。この商品は低価格で、気軽に写真がとれて、ジャニーズジュニアの滝沢を起用して女性にアピールしたのが受けてヒットした。

ハードディスクを新たに買うにあたり、私は別に普通の 5400rpm のディスクで良かった。7200rpm のドライブは発熱が大きいと聞いていたので、いまの自作機ガルベスのケースだと危ないかな、などと思った。だが、価格表を見ていると、最終的に私が選んだドライブが一番経済的な気がしたのだ。なにせ、15GB の 5400rpm なドライブと 13.5GB の 7200rpm なドライブが同じ 16,800円だったからである。5400rpm と 7200rpm で単純比較すると、読み書きの速度は 10%ぐらいしか変わらないみたいである。

怪しいアクティブスピーカとは、もの自体は普通なのだが、パッケージに怪しい日本語が書いてあり、私の弟はそれを見て笑い転げた。それだけでも 1,280円の半分ぐらいは回収したと思って良いだろう。取り扱い注意の文章で、ひらがなの「め」が全て「ぬ」になっていたり、「家内安全と子孫の繁栄のためにも…」などと書かれていたり、それなりに笑わせてくれる。製品自体は、3D サウンドもそれなりに聞こえて悪くない。数年前に KENWOOD のアクティブスピーカを買った時には、同じような製品なのに五千円だか八千円だかしたような覚えがある。技術が進歩したのか、円高が進んだのか、よく分からないが良い時代になったものである。PC 以外にも使い道が十分にあるので、たとえばウォークマンのスピーカーなんかにも使えたりするだろうから、パソコンに全く興味のない人にも薦められる。

それで、まあ HDD も買い、面白いアクティブスピーカも買ったし、手持ちの金ももう無いし、そこでいったん店を出た。ところがそのあと急に、店内で見かけたアルミケースが欲しくなった。急に 7200rpm のドライブは発熱が大きいということを思い出し、本当にこのままでいいのかどうか悩んだ。それ以前に、いまのノート用ドライブでも、ケース密閉では CPU 温度が 60度を越えてしまい、ケースを少し開けている状態だ。いまの自作機ガルベスのケースは、通気口が無い割にやたらときっちり密閉されるという、小憎らしい完成度を持つケースである。さすが名前の由来の通りである。熱いハードディスクを追加したらどうなるか分からない。そういううっとうしい状況を打開するのも悪くないなと思った。

そのときの時間が 18:20 ぐらいである。蒲田の会社を出たのが 17:30 で、店に着いたのが 18:15 で、ちなみにその店というのはパソコン工房一号店でつまり神田の私の会社の事務所から 5分の位置にある。いまから銀行で金を下ろしに行っても 19:00 までには買い物が出来ると思って、銀行を探した。あさひ銀行が見つかったので、手数料取られてもいいやと思って東京三菱の口座から 10万おろして店に戻った。余談だが、そろそろ優良な地銀に移したほうがいいのかもしれない。2000年問題も気になるこのごろである。

で、その時点でアルミケースを買うことは心に決めていたので、そのあとのことを考えた。アルミケースを買って、HDD も速くなって、でもこれでは 5万も支払ってもそんなに体感的にパワーアップしないな、と思ったわけだ。そこで急遽ビデオカードも買いかえることにした。でもパソコン工房はビデオカードの品揃えがそんなに幅広くない。いや、ラインナップとしてはいい感じなのである。ハイエンド中心なのだが、最低価格帯の GAINWARD のビデオカードが一通り並べられている。ATI は今回はパスしようとだけ思ったのだが、あとの選択は値段と相談してちょっと良いものを買おうと思ったのである。RIVA TNT2 と Voodoo3 と G400 と Savage4 があったが、どれも高い。Savage4 は安めだが値段相応らしいのでこれも避けたい。なるべく GAINWARD も避けたかった。というのは、前回のカードで初期不良を起こしたからである。いまの私は神田に勤めているわけではないので、カードを初期不良で交換してもらいに行くのが面倒でしょうがない。

RIVA TNT2 は Diamond 製のものが 2.1万ぐらいだったので心動かされた。でも、二万を超えてまでビデオカードなんて欲しくない。同様の理由で G400 も却下した。dual head display なんて意味はない。多分多くの人もそう思っているのではないかと思う。ディスプレイ切り替え機と併用して、仮想スクリーンとして使っている人がいたら笑えるのであるが。それで意外に残ったのが VooDoo3 で、3000 と 2000 があった。バルクの 2000 が 10,400円だったので心動いたのだが、バルクは却下した。ビデオカードのバルクは基本的に、機能が欠落していたり、クロックが下げられていたりするので、マニア以外は手を出さない方が良い。でも Box だとなぜか 1.5万ぐらいする。バンドルソフトが付いてくれば我慢して買ってたかもしれないのだが、ろくなものが付いていなさそうだったので却下した。それで、結局初期不良の不安はあったものの GAINWARD の RIVA TNT2 M64 通称 VANTA 改の載ったカードを買った。バス幅が半分の 64bits なこと以外は RIVA TNT2 と基本的に変わらないみたいである。家に帰って箱から出してみると、怪しい形のヒートシンクが付いててちょっとナーバスにはなったのだが、体感的には 2D でも G200 クラスの速度が出ているっぽいし、3D も期待できるだろう。まだテストはしてないので、あとでテストしてみる予定である。それにしてもこのヒートシンクほんとに大丈夫か? なにせヒートシンク用のファンなんて絶対に載らない。うーん。芸術的な形なのだが…。

ビデオカードを買った理由の二つ目は、アルミケースなのだから多少発熱の多いビデオカードでも大丈夫だろうと思ったからだ。アルミケースは期待通りの冷えを見せてくれた。というか、もう夏も終わって気温も下がってきたせいだからかもしれないのだが。熱がこもっている感じがしない。マザーボードに付属している温度センサー表示ソフトを入れて長時間動かしてみると、温度は 50度を越えてしまうが、マザーボードの警告温度の初期設定である 55度を越える気配は全くない。さすがに、アルミケースであるのに加え、前方に 8cm 吸気ファン一個、後方上部に 6cm 排気ファン二個付いているだけはある。これだけファンが付いていれば、ひょっとするとケースがアルミである必然性がないのかもしれない。

はっきり言ってケースの交換は非常にしんどい。もうあまりやりたくない。延々一時間半ぐらい掛かった。このケース、思ったより小さい。廃熱に関してはアルミだから大丈夫、というノリで容積を小さくしたのだろう。この小ささは小気味良い。アルミケースというと、冷却のことだけを考えて大きめのものを想像したのだが、良い意味で裏切ってくれた。だが作業はしづらい。いや、でも色々な工夫がされていて、狭い中でもうまく収納できるようになっていた。ファンが三つ付いているわりには、どれもあまり風切り音がしないのでいい感じである。ファンだけで定価が一万円を超えるということらしいが、それだけの価値があるのかどうかはこれから判断する。

*

それにしても Windows のセッティングもしんどい。非常に時間が掛かった上に、他のドライバをインストールするときに、いちいち出てくる「再起動してください」というメッセージを無視してまとめてインストールしてから再起動したら、再起動後に要求される CD-ROM ドライブからなぜか所定のファイルが読めなくなって、結局ドライバ一つが組み込まれなかった。そのあと UDMA 関係のドライバが引き続き組み込まれたみたいなのだが挙動が不信だった。そのあとも再起動を要求されたので再起動させてみると、なんと立ち上がらないのである。KRNL386 なんたらが起動できない、とか言われて電源が切れてしまう。そこであの糞長いインストールをもう一度やり直した。というか、面倒なので弟にやらせた。朝起きて調べてみるとちゃんとインストールされていた。

のちの調査によると、どうやら UDMA 関係のドライバだけがおかしかったようである。他のドライバでいちいち出てくる「再起動してください」というメッセージは、まとめて対処しても問題ないのかもしれない。それにしてもなぜ UDMA 関係のドライバが入れられなかったのだろうか。多少心当たりが無くもない。それは、新しく買ってきた HDD を Primary IDE の slave にして Windows をインストールしたからかもしれない。いや、それとも新しい HDD は元々 Windows98 が UDMA ドライバを組み入れてくれるので、それ以上別の UDMA ドライバを入れようとすると衝突を起こすのかもしれない。原因はいまも不明である。以前の HDD に以前の Windows98 で UDMA は正しく入ったのだが…。しかもこの UDMA ドライバはマザーボードに付属しているものなので、Windows98 の UDMA ドライバよりも安心できるはずのものなのである。まあ、今回はあまり考えないことにする。

古い HDD も付けたかったのだが、こいつを slave にするためのジャンパの設定とピン自体がどこにも無かったので一度あきらめた。結局、新しいドライブを slave にしてデータ移行を行うことにした。でも、ブートは master の方からやってしまうみたいで、そのままだと古いシステムが起動してしまう。面倒なので DOS からファイルを移行することにした。しかし、相当長いことコピーした挙句、コピーしたファイルのファイル名が壊れていた。しょうがないので、マザーボードの設定をいじって slave 側から立ち上げることが出来ないかやってみたが無理だった。ブート順序で A,C,SCSI ってなってるやつを D,A,SCSI あたりにすると大丈夫そうな気がしたのだが、全く意味がなかった。ちなみに、なぜかこのマシンでは CD-ROM からブートしてくれない。本来ブートするはずの Windows OSR2.5 が立ち上がらなかった。おかしい。以前は出来たはずなのだが…。CD-R ドライブだったからだろうか? ちなみに今回の新しいケースでは 5inch ベイが二つあるので、CD-R drive と CD-ROM drive を両方とも入れた。これで CD のコピーはやりやすくなったはずだ。

結局昨日は、20:10 ぐらいから作業を開始して、ケースの交換が大体 21:30 に終わり、Windows やドライバのインストールは 25:30 にあきらめて弟に任せた。いかに Windows やソフトが面倒か分かる。データのコピーを DOS にやらせたのが時間を浪費して響いたのかもしれない。あれは DOS のメモリに読みこんでコピーしているので、Windows にコピーさせるよりずっと時間が掛かる。でも Windows を立ち上げたら旧ディスクから立ち上がってしまう…。次の日にやりなおせばなんとかなるだろう、帰ってからが楽しみだ、と思ってその日は寝た。Final Reality やらなにやら色々やってみようと待ち遠しい。

次の日の朝、ちょっとだけ立ち上げて HDBENCH のグラフィックベンチだけをやってみた。ところが、DirectX のスクロールで、延々スクロールしたまま固まってしまった。なぜだ。ビデオカードがハングアップしたってことは考えられにくい。うーむ。社会人はこんなことでトラブルを楽しむ心の余裕などない。おそらく、以前買った怪しいメモリのせいだと思うが、これも確証はない。今度まとまった時間をとって調査した方が良いのかもしれないが、固まるのはベンチマークだけで、ゲームのデモは普通に動くので、実用上何も問題はない。調べるのも時間の無駄の気がしてきた。とりあえず劣悪なメモリを取ってもう一度ベンチマークを動かしてみることにする。このメモリは、以前 CD-R ライティングソフトの実行中に固まったときには、はっきりとこいつが原因だと分かっているので、今回も怪しいものだ。それとも、マザーボードの二番目のメモリスロット周りがおかしいのだろうか。

*

いま、残されたガルベスケースとビデオカードで、クズマシンを作ろうかどうか悩んでいるところである。とはいっても、本命マシンもそんなに良いスペックではない。オーバークロックしていない Celerom 300A なんていまでは性能が悪い方である。たとえビデオカードが良かろうと、ハードディスクが強化されようと、一年前に発売された廉価CPU を搭載したマシンに変わりはないのである。だから、いまはクズマシンを作るのをあきらめたほうが良いのかもしれない。将来 Athlon の使える MicroATX マザーが出たら、アルミケースを差し替えて使えば良い。Athlon 向けマザーに MicroATX のものが出るのかどうか怪しいが、出れば買いである。

現実問題として気づいたことだが、MicroATX マザーで、VGA を内臓していないものを見つけるのは難しくなった。一応 MEB-M-woa や MEZ-M-woa といったマザーはあるのだが、ほとんどが何らかの VGA を内臓している。MEB や MEZ はマザーボードの中ではブランドものっぽいので、値段がそれなりに高いのもネックである。廉価でかつ VGA 非内臓のマザーはほとんど見かけなくなった。あったとしても、一世代前の 440EX 搭載のマザーで、ベースクロックが固定されていたり、Mendocino が使えないっぽかったりする。考えてみれば当然で、そもそも MicroATX は廉価マシンを作るために作られたのであって、省スペースはどうやら二の次なようである。マザーにサウンド機能や VGA や、モデムや LAN などを埋め込む方がコストを押さえられて良いのである。

私の自作したマシンを改めて見てみると、MicroATX の小型のケースに、RIVA TNT2 M64 と 7200rpm HDD が搭載され、アルミケースなので Celeron 程度のオーバークロックがそのままオッケーであり、なかなか市販されている出来合いのマシンでは存在しえないものとなっている。VGA が内臓されていないマザーだからこそ、強力な VGA をあとから搭載できるという利点がある。アルミケースだからこそ安定して熱を気にせずに高性能な HDD や CD-R を搭載しても、小さいケースで熱問題を起こさないわけである。

ここで考えてみる。もしこれが、普通の ATX ケースだったらどうだろう。アルミケースは必要ないので、普通の安いケースでも熱問題は発生しない。マザーも汎用的な ATX マザーで安くて高性能なものが使える。この時点で、買い替えを含めて大体三万以上掛かっていることになる。さらに、熱問題で買ったスマートケーブルは確か五千円ぐらい掛かっている。もちろん手間隙も掛かっている。そうしてコストを掛けて行った省スペースであるが、実はそれほど省スペースにはなっていないのである。確かに馬鹿でかい ATX のケースと比べるとコンパクトではある。が、ATX にも比較的小さいケースが存在する。もっと小さくしたければ NLX ベアボーンがある。私の微妙なポリシーを満たすための値段は、少なくとも無視できないほどには掛かったことになる。

まあ私にとって旧ガルベスは一代目の自作マシンであり、これまでのところ上々なのではないかと思う。今回は、凝縮小型マシンを追及したのであるが、次回は、外見や大きさになるべくこだわらないようにする予定である。そういうマシンを作ってみると、今回の旧ガルベスの良さが改めて評価できるようになるように思える。


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gomi@din.or.jp