42. 陰謀 その1 (1999/8/4)


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二ヶ月くらい前に,面白いホームページを三つばかり見つけた.そのお陰で,自分のページのコンテンツを書く気が無くなってしまった.そこで,今回はそれらのページの紹介をしたいと思う.

まず一つ目は,週刊アカシックレコード である.この怪しい名前にはポリシーがある.このページは主に,世の中の情勢の移り変わりを科学的に予測することを売りにしている.著者の佐々木敏氏の予測は,普通のマスコミからの情報だけを受取って生きている我々からすればまさに 予言 とでも言うべきほど素晴らしい.だが著者は,こんなものは怪しい予言のたぐいではなく,あくまで様々な情報を集めてきてそれを科学的に分析した結果だと言っている.最近はオカルトを信じる若者が多くなり,怪しい予言などにはまってオウムなどの宗教に身を染めてしまうことを著者は憂えている.そこで自分が,そんな怪しい予言なんてものがいかに都合よく作られて盲信されていくかを説明し,また科学的な予測だけでもどれだけ世の中の真実を知ることが出来るかということを証明しよう,ということで,敢えて「アカシックレコード」というオカルト用語を自らのホームページに冠したとのことである.ちなみにアカシックレコードとは,これから世の中に起ることがすべて書かれているとされる架空の記録物のことである.どうでもいいが,さくらももこ「ちびまる子ちゃん」で花輪君がアカシックレコードのことをまる子たちに解説しているシーンが出てくる.

陰謀史観という言葉がある.これは,世の中の出来事が一部の人間たちの手によって恣意的に起こされているという考え方である.つまり,これまでの歴史というものが,一部の人間たちの都合のいいように動かされてきたと考えることから,彼らの陰謀を中心にして歴史を見るということで陰謀史観と呼ばれるようである.このページの著者もこの陰謀史観を取っている.ちなみに,陰謀史観というのは,複雑な世の中を単純に説明づけようとする安易で誤った考え方を揶揄するのにもよく使われる.たとえば,何か不可解なことが起るたびに「これは CIA の陰謀に違いない」などと考えることがそうなのであるが,これは一種の思考停止である.分からないことがあればなんでも CIA のせいにすると,確かに全てにおいて納得が出来るかもしれないが,そうすることで分かることも永遠に分からなくなる.

このページの著者が彼の陰謀史観の中で中枢として考えるのは,ユダヤ系の財閥であるロスチャイルド家と,国際石油資本のロックフェラー財閥である.彼によれば,超大企業はほとんどこの二つのどちらかの支配下にあるという.たとえば,コンピュータ系の企業では,Sun Microsystems, Oracleなどがロックフェラー系で,日本では NEC がロスチャイルド系であるとからしい.詳しくはホームページを見ていただきたい.なぜこのような二項対立が起きたか,というところから詳しく説明されている.

この二大勢力の元は,ナポレオン戦争にまで遡るらしい.ユダヤ人ネイサン・ロスチャイルドが自らの情報網を元に,ほとんどのイギリス貴族を破産させるほどの取り引きをし,その富を一人占めし,その富をもとに自らの血族を次々とイギリス貴族にしていったそうである.それが,ユダヤ人でありながらイギリスを支配するロスチャイルド家の発祥である.一方ロックフェラーの方は,アメリカ独立のころからの勢力で,石油を元に大資本を築いていって今日大勢力になったそうである.ロスチャイルド対ロックフェラーの図式は,アメリカ独立戦争の頃から始まっているらしい.階級制であるイギリスで,ロスチャイルド家に支配されているイギリスから,アメリカのピリグリムファーザーと呼ばれる祖先たちがアメリカ大陸へ移住して,自分たちの自由な国を作ろうとした.イギリスは当然アメリカの独立を阻もうとし,いつまでもイギリスの植民地にしようとする.ロックフェラーはそんなイギリスに対抗するアメリカ人たちの中の権力者から生まれたのだろう.

話は二大財閥だけに止まらない.クリントン大統領の背後にはロスチャイルドの影響が,そして二大政党制であるアメリカの二つの政党はそれぞれ両財閥の影響が大きいとしている.ユダヤ人は流浪の民族であったため,ロスチャイルドは金融関係に強いとされ,一方ロックフェラーはアメリカという地に足をつけているために製造業に強いとされる.また,アメリカという国の強さと支えるものが実は米軍であること,CIA が秘密工作員だけではなく優れた頭脳を集め世界各国のあらゆるマスコミを含めた情報を掻き集めて分析していること,MIT の政治学者がアメリカの国策を考案していること,などなど,主にアメリカの機関を中心に世界情勢を説明している.

この著者がことさら興味を持っているのが,2000年問題である.著者,佐々木敏氏は,この 2000年問題に関する本を出版した.ただ出版したのではない.彼はまず最初に彼のホームページから記事を書き初め,そこから出版にまで持っていったのである.著者に言わせれば,マスコミは権力そのものであり,一般市民がいくら良い物を書いてもなかなか出版されず,やっと出版されても権力がなければ売れないそうである.なぜなら,日本には言論統制を行うことが容易な書籍流通システムが確立しており,そこへは容易には一般の書籍は流通に載らないようになっているらしい.これは別に危険な書籍が流通しないということではなく,大出版社が十分に宣伝した本しかヒットしないということらしい.そこで著者は曰くゲリラ的な作戦で自分の本を出版したそうである.売れ行きの方は知らないが,この作戦が功を奏し,新宿紀伊国屋へはホームページ読者からの援護射撃的な問い合わせの電話がかなり行ったらしく,これにより書籍営業マンが「この本は売れる」と判断して,この本はそれなりに流通に載ったようである.

話は飛んだが,2000年問題はかなり重要な問題である.現在の社会構造が変わるのではないかとこの著者は予測している.たとえば,まず中期停電は避けられないとしている.すると下水処理も出来なくなり,トイレが使えなくなるなどの生理的被害が起るらしい.また,銀行から(どう楽観的に考えても)一定額以上の金がおろせなくなり,食料の流通が止まり商店で取り付け騒ぎが起り,電話が不通になり,テレビ・ラジオから情報を受取ることが出来なくなってパニックに陥り,最悪治安が悪くなって生命に危機が及ぶらしい.詳しくは是非このホームページ 週刊アカシックレコード を見ていただきたい.

今回は時間がないので,残りの二つについては次回以降にまわすことにする.


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gomi@din.or.jp