36. ネットワークゲーム (1999/4/24)


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私はいま、ネットワークゲームにはまっている。そのゲームとは、Lord of Monsters IV という SCEI のゲームである。このゲームの特徴は、ウェブ上にあるということと、フリーであるということである。

このゲームは色々な意味で面白い。その中で特に私が面白いと感じたのは、なんとこのゲームには経済が存在するということである。私は Ultima Online などの本格的で有料なネットワークゲームはやったことがないのだが、それらのゲームにもおそらくアイテムの売買などの経済が存在するのだが、この Lord of Monsters IV は経済を全面的に前に出したゲームとして画期的である。

このゲームの経済は、国を単位になり立っている。国には道具屋があり、国は商品を売ることによって金を得て、国を存続することができるようになっている。もちろんプレイヤーは、最初にある程度お金を準備することで、誰でも国を作ることができる。また、自分で国を作らなくても、他人の国に国民として参加し、いっしょに共同で国を大きくすることができる。

国が商品を作るには、まず農業や林業や漁業や市街に投資することで、種の生産ができるようにすることからはじめる。国で生産できる種は 12種類あるのだが、一つの国では生産できる種の種類はかぎられている。そのため、国は国同士で種の貿易をしなくてはならない。そうして集まった種を、今度は合成してアイテムを作る。アイテムを作るには、特定の種と種を混ぜあわせなければならず、失敗しても何もアイテムはできないため、最初に国はどの種とどの種を混ぜればアイテムができるかを「開発」しなくてはならない。また、そうやってできたアイテム同士を混ぜあわせなければ作れないアイテムもあるため、組みあわせは単純ではない。そうして作ったアイテムは、国の道具屋に商品としてならべることができる。商品の価格は国ごとに好き好きに決めることができる。

プレイヤーは、基本的には自分のモンスターを持ち、モンスターを引きつれて旅をし、遭遇するモンスターを倒しつつ、自分のモンスターを強くしたり、金を稼いだりする。プレイヤーはその過程で、モンスターの体力を回復させるアイテムや、敵から受けた毒などを治療するアイテムを必要とするため、旅をしている最中にある国の道具屋で購入する必要がある。

このゲームの目的はいくつかあるが、逆に最終目標というものは存在しない。まず一番わかりやすいのは、自分のモンスターを最強にするということである。モンスターを強くするには、二体のモンスターを合成してより強力なモンスターを作ったり、レベルをあげてクラスチェンジ(変体)させる必要がある。また、特定のモンスターに関しては、クラスチェンジさせるためにアイテムが必要になるため、そのアイテムを国から購入する必要がある。ちなみにそのクラスチェンジに必要なアイテムというのは、プレイヤーが敵との戦闘の結果たまに拾うことができる各種の「玉」がもとになっていて、国はプレイヤーからその玉を買い、その玉をもとに合成してアイテムを作る。玉は滅多に出ないため、高額で取り引きされている。そのため、玉を使用した実験には運と勘と財力が必要なので、このクラスチェンジに必要なアイテムを製造する方法が実験により分かった国は、そのアイテムを高額で売ることにより国庫を潤すことができるようになる。

このゲームでもっとも重要なものは「情報」である。アイテムを合成するための情報、強力なモンスターを作る方法、である。その情報を得るには、ネットワーク上の他のプレイヤーとの協力が欠かせない。そこがネットワークゲームの面白いところである。それから、ほかに重要なのは、より長い時間プレイすることなのであるが、このことに関してはあとで述べる。

このゲームの基本的な部分は、いまでも根強い人気を誇るポケットモンスターというゲームによく似ている。ほんとうはドラゴンクエスト・モンスターズというゲームの方が似ているのだが、このゲームは知らない人が多いと思うのであえて触れないことにする。ようするに、モンスターを集め、モンスターを育て、強くしていくゲームである。強くしたらどうするか? ゲーム上の世界には、聖地と呼ばれる特殊な場所が存在し、そこにはダンジョンがある。そのダンジョンには強力なモンスターが生息しており、そのダンジョンを一つ攻略するごとに星がもらえる。

また、金を集めることも目的となっている。所持金の高い人や国はランキングが出るので、各プレイヤーは金を集めることで他のプレイヤーに誇ることができるようになっている。

だが、このゲームの本質となると、やはり「会話」であると言われている。各国にはBBS が個々にあり、そこで国の運営に関する情報をやりとりできるようになっているのだが、そこではそれまで知らない者同士だった人間が集まるため、会話で楽しむことができる。そしてその会話の「肴」が、モンスターやアイテムの情報である。このモンスターとこのモンスターを合成するとこういう強力なモンスターができるだとか、どこの国はこういうアイテムの開発に成功しただとか、どの国はどの種が安くてどの種を欲しがっているだとか、そういう話が日夜繰り広げられることになる。

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ここでいったん話を切って、私が初めてネットワークに出会ったのは、1994年か 95年の大学のコンピュータ室である。大学のコンピュータ室はもちろん教育用のため、ゲームをすることは基本的には禁止されているのだが、当時学生の間で crossfire というネットワーク型RPG が流行っていた。そのゲームは英語オンリーのものだったが、よほど面白いのか、一部の学生の間でかなり流行っているようだった。ネットワークといっても、基本的には友達同士でやるもので、専用のサーバに仲間が集まってプレイするのが普通であるが、大域的なサーバもあった気がする。プレイヤーは戦士だとか魔法使いになり、他のプレイヤー同士でパーティーを組み、一緒にダンジョンを攻略していくというゲームだった。私も少しやってはみたが、操作方法がよく分からなかった上に、ビジュアル的にそんなに面白くなさそうだったので、少しやってやめてしまった。

このあと、やがてディアブロというゲームが流行った。私はこのゲームをまったくやったことがないので、ここでは何も説明することができない。このゲームが一部のマニアの間でブレイクしたころから、ネットワークゲームの人気が出てきたと思う。ただ、アメリカでは通信関係のインフラが発達していることで通信料金が低いため、日本よりずっと前にネットワークゲームがはやりだし、いまではほとんどのパソコンゲームは通信対戦ができるようになっているという話をきいた。

ここで注意しておくが、ネットワークゲームには大きく二つのタイプがある。一つは、オセロやチェスのように、ネットワーク上で任意の対戦相手を見つけて二人とか決まった人数で楽しむゲームである。私が今回とりあげているのは、そういうタイプのゲームではなくて、不特定多数の人間が一度にプレイするたぐいのゲームである。最近では Ultima Online が日本でもブレイクしているが、このゲームは有料のサーバに接続することで、数千人もの人が同時にプレイしている世界でゲームができる。

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話題にぜんぜん関係ないが、私はいま WindowsCE マシンでこの文章を書いている。CE マシンはバッテリーバックアップ RAM にすべてのデータを保存するため、私はどうも生理的に、これ以上長い文章を書くのはつらいため、ここで終わることにする。なにせ、電池が切れたらパーになるからである。もっとも、バックアップ用の電池はそれなりに長持ちするみたいなので、実際のところそこまで気をもむ必要はないのだろう。ただし、私の身の周りでデータの消えた人がいるので、やはり安心はできない。

WindowsCE マシンは、こうやって文章を書くぶんには結構手軽でいいなと思っている。ただし、会社で貸与されたのでなければ、自分で買おうとは思わないだろうが。でも最近出てきた SVGA サイズの新しい CE マシンや、各社から発売されたパームサイズの CE マシンは面白いかもしれない。SVGA ぐらいに画面が広ければ十分アプリケーションが使えるし、Windows95/98 よりも安定しておりシンプルなので実に良いかもしれない。パームサイズのマシンは、メモリ搭載量が増えれば MP3 のウォークマンとしても使えるので便利だろう。

私がいま使っているマシンは、日立の persona HPW-200JC であるが、このマシンはどうも中途半端な気がする。画面がカラーで美しいのは良いのだが、バッテリーは八時間しか持たないし、メールソフトが悪いのかしらないがメールを見るのもちょっと重い。まあ、こうやって文章を書く分にはジャストなサイズだとも言えるかもしれない。バッテリーも八時間持てば一日心配なく使えるし、携帯電話とアダプタさえあればメールやウェブも使える。画面がカラーである必要はないかもしれないが、これは好みだろう。カラーは美しい。ただし、白黒液晶だと 60時間ぐらいバッテリーが持つという話を聞くと、私も白黒の方がいいような気がしてくる。


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