26. 宗教いろいろ (1999/3/6)


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最近明らかに新興宗教系の人を見かける。

私の職場は秋葉原にあるのだが、これまでに二回、怪しい人に声を掛けられた。怪しいといっても、最近の新興宗教はイメージが違う。つい最近、東大生が女性を刺したという事件があったが、その女性はどうやら統一教会関係者だったという話である。最近の新興宗教は、女性を使って男性を勧誘するらしい。私に声を掛けてきた人は二人とも女性であった。一回目と二回目の言葉は、
「すみません、交番はどこにあるかご存知ですか?」
「中央通りはどこかご存知ですか?」
私は二回とも、歩行を止めずに教えた。あそこで立ち止まってはいけないんじゃないかと思う。それから、この二人がなぜ私に話し掛けてきたかというと、やっぱり効果ありと見られたのだろう。

その東大生の方の事件であるが、この事件に関する詳しい情報を私は「週刊文春」で呼んだのだが、その記事によれば、相手の女性はかなり熱心な信徒だったらしい。そんな彼女に対し、その東大生は彼女を宗教から抜けさせようとかなり努力したみたいだったが、結局どこかで感情的になってしまったようである。

私の出身大学は、理工系単科大学である。学生はほとんど男である。私が大学を卒業したあとに、同じ大学の電子工学科の院生を名乗る男から電話が来た。
「すぐに会いましょう。大変なことになりますよ」
といったことだけを彼はひたすら言いつづけていた。私は彼に向かって、
「あなたはどなたですか?」
「名乗らない以上は何もできません」
と言いつづけた。最後はむりやり切って電話が終わった。こういう脅迫まがいの電話は危険である。私は心理学に多少詳しいので分かるが、この手の電話は心理的に危ない。人の危機意志をあおることは、洗脳の最も重要な手段である。

残念ながら、私の大学には、この手の宗教に弱い人間の比率が多いだろう。もっとも、新興宗教は東大とか京大などの有力な大学を集中して狙っていて、現に支部が出来ているみたいであるから、私の大学を狙ったのであれば別の意味でうれしいのだが。そして、もし私の大学の学生を狙うとしたら、やっぱり女性にやらせるのが効果てきめんだろう。私が教祖でもそうやっている。というか、私も教祖になりたい。

三日ぐらい前に私が電車に乗ったときに、隣に座っている女性が FRIEND MANUAL という題名の冊子を読んでいた。これは間違い無く新興宗教系だろう。中も覗いてみたが、怪しいにおいがぷんぷんしていた。

なぜ若者が新興宗教にはまるのかよくわからない。こういう文章を書くような私が、分かるはずがないのだ。プロのライターのような人間がわかるはずもない。増して、新興宗教にはまるような人間が、なぜ自分がはまるのかを客観的に書けるはずもない。

日本には、オウムよりも恐ろしい宗教があることをご存知だろうか? それは、創価学会である。信徒数も影響力もけた違いである。さすがに人を殺すことはないかもしれないが、日本の政治を半ば牛耳っていることからも、かなり恐ろしい宗教であることが分かる。最近発行された地域振興券では、国民の税金数千億を動かした。

だが世界にはもっと恐ろしい宗教がある。北朝鮮である。外国人はさらうわ、強力な組織でゲリラやスパイを養成して送り込むわ、テポドン打ち込むわ、この国が核開発を成功させると恐ろしい。まあ、そういう見えない恐怖はまだ実感としては少ないので良いのだが、国の行事とかで国民が異様に揃ったダンスや行進をしているのを見ると、本当に心の底から恐ろしいと思う。

だから、我々はそんな恐ろしい宗教とは無縁でいられて良かった、と思うかもしれない。だが、身近なところにも恐ろしい宗教はある。たとえば、学生の間で根強く行われている「一気」である。この宗教の恐ろしいところは、教団の先輩信徒が、新しく入ってきた信徒に、アルコールの一気飲みをさせるところである。この危険な行事のためにいままでに何人もの学生が死んできた。

サラリーマン教も恐ろしい。めいいっぱい働かせて、精神病院や霊安室送りにするのである。彼らは別に強制されて働くわけではない。自分から働くのだ。彼らに共通するのは、何かしら義務感にとらわれているところだ。会社に入れば、めいいっぱい働くことがサラリーマンの義務である、という考え方に洗脳されてしまうのである。彼らはおよそ共通した格好をしている。近代においてイギリス人が考案した「スーツ」と「ネクタイ」というものをみんな着ているところも恐ろしい。互いに会えば「お疲れ様です」と言い合い、初対面のときは信徒の印である名刺を交換し合う。

学校教も恐ろしい。無邪気であるはずの子供が、死んだ目をして教室に 40人以上集まっていて、黙って大人の話を聞いている。

それはいいとして、昔あったフリーメーソンという宗教じみた組合は、私が昔生きていたとしたらぜひ入りたかった。彼らは、彼ら自身にしか分からない方法で、互いがフリーメーソンであることを確認し合い、自分たちが利益を得られるように互いに協力しあうのだ。たとえば、工場長がフリーメーソンだった場合、もし労働者の中でフリーメーソンの会員がいれば、彼らは他の労働者よりも優遇される。はっきりいって、非常に卑怯である。最低である。だが、入れるものなら入りたい。現在もあるという話も聞く。

だが、驚くなかれ、日本にも同様の組織がある。それは、学閥である。東大法学部の学閥は日本の政治を動かす力がある。慶応大学の OB 同士はかなり協力しあうという話も聞く。私の出た大学にはそんな力はないが、某大手メーカーの半導体事業部で最大派閥の一つだという話を聞いたことがある。最近の半導体不況で、どんどんリストラされそうではあるが。

これ以上話を進ませていくと、全く別の話になっていくので、ここらでやめておく。


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